『僕が裕太にしていることは、(綾野)剛さんが僕にしてくれたこと』北村匠海さんの言葉を語る林裕太さん 映画『愚か者の身分』名古屋でインタビュー
10月24日(金)から全国公開となる映画『愚か者の身分』は、西尾潤氏の同名小説「愚か者の身分』(徳間文庫)を原作に、Netflixドラマ「今際の国のアリス」シリーズや「幽☆遊☆白書」などの話題作を手がけるグローバルコンテンツを創造するプロデューサー集団THE SEVENが初の劇場作品として映画化した作品です。愛を知らずに育った3人の若者たちの青春、闇ビジネスから抜け出そうとする3日間を描く逃亡サスペンスで、主演は北村匠海さん、共演は綾野剛さん、林裕太さん、山下美月さん、矢本悠馬さん、木南晴夏さんなど実力派キャストが物語を立体化させます。メガホンをとったのは永田琴監督で、自身のキャリアの中でも異色な作品にトライし、第30回釜山国際映画祭コンペティション部門で北村匠海さん、林裕太さん、綾野剛さんが3人揃って<The Best Actor Award (最優秀俳優賞)>を受賞するという快挙へと導きました。映画『愚か者の身分』公開前に永田琴監督と林裕太さんが名古屋でインタビューに応じ、現場の様子・シーンへのこだわり・釜山国際映画祭で受賞した時の気持ちなどを話しました。(取材日:2025年10月10日)
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貧困と犯罪から抜け出そうとする若者をエモーショナルに描く 関西出身の永田琴監督「波長が合う」原作との出会い
映画『愚か者の身分』は貧しさから闇ビジネスに足を踏み入れてしまい、抜け出せなくなった3人の若者たちの運命や友との絆が、各々の視点が交差するトリック感のある展開で紡がれたヒューマンドラマです。闇ビジネス組織の手先となったタクヤ(北村匠海さん)、タクヤの弟分のマモル(林裕太さん)、タクヤを闇ビジネスに引き込んだ兄貴分の梶谷(綾野剛)の逃亡劇や青春ストーリー、はたまたサスペンス要素など多面的な輝きを見せるミラーボールのような映画です。光を諦めた者、光を失った者、光を受け継ぐ者のどの視点が刺さったのか、鑑賞後に感想を言い合いたくなる人も多いのではないのでしょうか。
映画『愚か者の身分』の監督をつとめたのは、岩井俊二監督の元で長年助監督として活躍し、人間ドラマを巧みに描くことに定評のある永田琴監督です。永田琴監督は緊張気味の林裕太さんの肩に手を置いて「こんなポーズはどうかしら?」とポーズを取り、その鶴の一言で写真撮影タイムに突入。林さんの笑顔を引き出して、インタビューが始まりました。映画『愚か者の身分』はこれまでの永田監督の作品とは毛色の違う作風です。制作までの経緯や原作の印象について尋ねると永田琴監督は「もともと若者の犯罪や貧困のような社会問題に関心を持っていました。ただ自分のオリジナルで書いても、人目に触れない地味な映画になるだろうとプロデューサー目線で思って、原作を探しました」と話しました。

西尾潤氏による小説『若者の身分』について、永田監督は「エンタメ性のあるサスペンス要素があって嬉しいなと思いました。説教臭い映画は嫌だったので、原作の明るさと自分が描きたいことを合体させたら軽やかに描けるのでは…と手ごたえを感じました」と述べました。そして「木南晴夏さんが演じる女性の関西弁のノリも、関西人は特に分かると思います。西尾さんは大阪の方で、私も関西出身なのでその波長みたいなものが合うなと思いました」とノリの部分でも共感できたと明かしました。
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『僕が裕太にしていることは、(綾野)剛さんが僕にしてくれたこと』北村匠海さんの言葉を語る林裕太さん
北村匠海さん演じるタクヤを兄のように慕い、闇ビジネスに足を踏み入れたマナブを演じる林裕太さんは、これまでドラマ「御上先生」や映画『オアシス』などに出演し、2026年前期のNHK朝の連続テレビ小説『風、薫る』に出演が決まっているなど注目が集まっている24歳の俳優です。実直な青年や反社会的な若者など、出演作品によって印象がガラッと変わる林さんに、役者として大事にしていることを聞くと「自分がこう見えたいというのは無くて…僕は監督がやりたいことや見せたいと思うところに寄り添うのがすごく楽しいんです」と言葉を選びながらも熱く答えました。劇中では激しく脆い面がある若者を演じていますが、目前の林さんは赤ん坊のような澄んだ瞳で、全く違う人物のようです。

永田監督は「裕太はすごく素直に取り組んでくれました」と林さんを見て微笑み、「私自身、役者たちがストレスなく持っている力を最大限発揮して欲しいと思っていましたね」と現場でのスタンスを語り、映画『愚か者の身分』について「私はただの事象に転がるだけの作品にしたくなかったので、心情シーンを大事にしたいと思いました。”このシーンは要らないんじゃないか”という意見があったシーンこそ死守したい…カットできませんと宣言しました」とこだわりを明かしました。
そんな永田監督にマモル役に林さんを選んだ理由を尋ねると「ビジュアルが好きでした」と即答。「切れ長の目で、タクヤ役の北村さんとの違いがハッキリしてくるし、オーディションでお芝居をしてもらったのですが、人への不信感を表現する力があるところが一番の決め手でした」と明かすと、すかさず林さんは「現場では、”こうして欲しい”ではなく、”こう思っているなら、こうしてみたら”と背中を押してくれる監督だなと思いました」と言葉を継ぎ、相性の良さを見せました。

北村匠海さんや綾野剛さんと現場でどんなやり取りをしたのか質問すると、林さんは「(北村)匠海くんとは、お互いに歩み寄って2人の関係性を築いていきました。僕は匠海くんの人との距離感や懐の深さに対して落ち着きますし、匠海くんも僕から感じ取れるものがあったようで一緒にいてくれました」と撮影現場以外の関係性が役に活きたと話しました。具体的には神田川で話すシーンを挙げ、「台詞がありながら、台詞を越えたアドリブのような感じでやり取りしていて、それは2人の関係性がよく出ていたと思います」と振り返りました。「(綾野)剛さんとはシーンではご一緒しませんでしたが、会うたびに温かい声を掛けてくれました」と嬉しそうな表情を見せました。加えて「匠海くんが『僕が裕太にしていることは、剛さんが僕にしてくれたことなんだ』と話していたので、常に匠海くんの背後に剛さんがいるんだろうなと感じていました。3人の繋がりを現場でも現場の外でも実感しながら芝居ができました」と語りました。
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映画『愚か者の身分』は9月17日~26日まで行われた釜山国際映画祭コンペティション部門に選出され、主演の北村匠海さん、客演の林裕太さん・綾野剛さんが3人そろって<The Best Actor Award(最優秀杯優勝)>に輝きました。審査員から「それぞれ個性がありながらも完璧に調和した、この3人の若い俳優たちの演技は、セリフに若々しいエネルギーを吹き込み、観客が登場人物と共に笑い、涙し、成長できる特別な力を示していた」と高い評価が得られました。

釜山での授賞式に参加した林さんに、受賞した気持ちを伺うと「俳優としてまだまだですが、自分がやってきたことが報われた瞬間というか、自分を支えて下さった方々に一つ返せるものができたな…というくらい大きな賞で、忘れられない夜でした」と述べました。そして「授賞式が終わって部屋に戻ったら匠海くんが電話をくれました。森井燿プロデューサーや剛さんからも”ありがとう”と伝えてもらって、本当に3人で受賞できてよかったと思いました」としみじみと話しました。永田監督は「大舞台だったんでね!舞台の上にジュリエット・ビノシュなどのスターと林裕太しかいないんです。もう、感無量ですよ」と興奮気味に話して満面の笑顔を見せました。

最後に林さんは「この作品はサスペンス要素もあり疾走感もあって、僕は青春ストーリーだと思っています。僕と匠海くん、匠海くんと剛さんの関係が役と重なると思うので、そこもお楽しみください」と映画『愚か者の身分』をアピールしました。永田監督は「3人とも素敵で大好きですが、あえて山本美月さんについて話します」と闇ビジネスに関わる希沙良を演じる山本さんについて言及。「泣く泣くカットしたシーンが多くて本編での出演シーンが少ないのですが、体を張ったお芝居で挑んでいただきました。やはり乃木坂46の大勢の中からセンターをとっただけの集中力と体力で応えてくれた方なので、希沙良を演じた山本美月さんにも注目してください」と声を強めました。映画『愚か者の身分』はどうしても主な3人に注目しがちですが、山本美月さんや綾野剛さん演じる梶谷の恋人役の木南晴夏さん、戸籍を売った男を演じる矢本悠馬さんなど実力俳優たちの芝居に目が離せません。また、3人に立ちはだかる闇ビジネスの頭を怪演する田邊和也さんの存在感や、アクションシーンの迫力も見応えがあるので、ぜひ劇場でお楽しみください。
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作品概要
2025年10月24日(金)よりミッドランドスクエア シネマほか全国ロードショー
出演:北村匠海、林裕太、山下美月、矢本悠馬、木南晴夏、綾野剛
プロデューサー:森井輝
監督:永田琴
脚本:向井康介
原作:西尾潤「愚か者の身分」(徳間文庫)
主題歌:tuki.「人生讃歌」
製作:映画「愚か者の身分」製作委員会
製作幹事:THE SEVEN
配給:THESEVEN ショウゲート
©️2025映画「愚か者の身分」製作委員会

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