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2024-11-12

「紅だー!」伏見ミリオン座の劇場内が紅に染まった!映画『カラオケ行こ!』山下敦弘監督トーク&応援上映レポート


 

11月3日~9日まで行われたNAGOYA CINEMA Weekは、名古屋から映画を通じて多様性の宝庫である映画から「未来へのワクワク」を見つけるきっかけを、名古屋の企業・団体・市民みんなで作る映画祭です。映画の上映を始め、多くの洋画字幕を担当した戸田奈津子さんや、俳優の柄本佑さんなどのトークイベントが催されました。

山下敦弘監督トーク付き『カラオケ行こ!』紅に染まれ!絶唱応援上映

最終日には今年1月に劇場公開された映画『カラオケ行こ!』の上映会の舞台挨拶に愛知県半田市出身の山下敦弘監督が登壇。自身の作品の応援上映のトークは初めてということで、笑顔で話していました。キャスティングについて、カラオケシーンの裏話などを話し、観客からの質問にも答えました。応援上演中の様子もレポートします。(取材日:2024年11月9日)

伏見ミリオン座で行われた『カラオケ行こ!』応援上映 上映前の熱気に山下敦弘監督タジタジ

上映された映画『カラオケ行こ!』は今年1月に劇場公開された作品で、変声期に悩む合唱部の男子学生と、歌が上手くなりたいヤクザの交流を描いた和山やまさんの人気コミックを綾野剛さん主演で実写化した映画です。年齢も住む世界を超えた友情…はたまたBLなのかという絶妙なブレンド感がたまらない風味で描かれています。

今回の『カラオケ行こ!』は応援上映ということで、観客のテンションは一段とアップ。会場のミリオン座の外観、室内の展示前で映画のチケットや自前のペンライトなどを入れて写真撮影をしている方々が多く見られました。入場受付でサイリウムが配布され、「声だし、ペンライト、タンバリン・鈴などOKです(が、火気・笛はNGです)」とアナウンスがあり、観客の気持ちが一層高まっていく様子が伝わってきました。待ち時間もペンライトや持参したタンバリンの準備に余念がありません。見知らぬ相手も、同じものを楽しむ者同士としてグッズを見せ合うなどの交流を楽しんで、徐々に一体感が生まれていきます。

MCの松岡ひとみさんの「おかえりなさいませ」の声に迎えられて愛知・半田市出身の山下敦弘監督が登場すると大きな拍手が響きました。山下監督は「ネタバレはしませんが、ちょっとだけ内容も話します。応援上映っていうのを僕は見たことがないです。今日は冒頭だけでも一緒に見させてもらいます」と楽しみにしていたと挨拶しました。また、ペンライトで埋まる会場に「こんな映画だったっけと、僕が追い付いてない」と熱気に圧倒されたようでした。

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「綾野剛くんには何度か抱かれました」と爆弾発言⁉ 独特な歌い方は事前に練習

企画の段階で主演の綾野剛さん、脚本家の野木亜紀子さんが先に決まっていたと話す山下監督は「野木さんが『この作品、傑作だよね』と開口一番に言っていて、全部仕切ってくれて、僕はもう演出するだけっていう感じでした」と明かしました。山下監督は「綾野さんとは初めてでしたけど、何度か抱かれました」と衝撃の発言をすると客席からはキャーっという驚きの声とタンバリンの音が響きました。リアクションに驚きつつ「いや、いっぱいハグしました。綾野さんは挨拶代わりにハグする人なんです。岐阜出身なんですけどね」と山下監督が訂正するように話すと客席は落ち着きを取り戻し、笑顔になりました。

劇中の綾野さんの歌声について山下監督は「クランクイン前にカラオケに行って、裏声の気持ち悪さを、”こんな感じかな”とか”ラルクっぽい歌い方します?”とか、いろいろ試しました」と入念な準備をしたと述べました。綾野さんの相手役の齋藤潤さんについて「彼は全国から来てもらったオーディションの中から選びました」と話し、「役が合唱部であり、紅を歌える中学生。潤くんに決めてからクランクインしてもボイストレーナーを付けて関西弁もあったんで両方練習してもらいました」と斎藤さんの頑張りを紹介しました。現在公開中の『室井慎次 敗れざる者』にも出演している斎藤さんは、『カラオケ行こ!』がきっかけで本広克行監督の目に留まったそうです。

ヤクザチームの歌謡シーンは原作通りの曲もありながら、何曲か山下監督が決めたそうです。「僕の先輩の吉永秀平さんの歌声を昔から知っていて、絶対キャスティングしようと決めていました。ビブラートの癖が強い銀次役です」とニヤリ。チャンス大城さんや湘南乃風のRED RICEさん、橋本じゅんさんなど個性豊かなヤクザチームの面々が上手く聞こえないように歌唱するシーンは抱腹絶倒の面白さです。

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ネタバレを恐れるあまり「アレ・ソレ」が飛び交うQ&Aタイム

Q&Aコーナーになると一層会場内の熱があがりました。最初の質問は「原作マンガにない、中学生の合唱部以外の”アノ”部活がどうやって生まれたのか」というものでした。山下監督は「最初は大阪の街をミニチュアで作っていくミニチュア部にしようと考えていましたが、脚本の野木さんと大変そうだと断念しました。そして「映画を観る部」にしようとなって、見る作品のテーマを、”愛・大人が嘘をつくようなもの”にしようと野木さんと一緒に決めました」と答えました。そして「スクリーンの中にもう一つスクリーンがあるレイヤーが面白いなと思いました」と自身の感想も付け加えました。

今回で15回目の『カラオケ行こ!』の鑑賞だという方は、「映画館でも配信でも鑑賞していますが、この作品は映画館で観たほうが良い音楽劇だと思います!」と熱く述べ、劇中の合唱曲の歌詞が中学生の聡実の心情にリンクしていると考察した上で「合唱曲を選んだのは監督ですか」と尋ねました。山下監督は「最終的な決定は僕ですが『リンダ リンダ リンダ』の頃から一緒にやっている音楽プロデューサーがを選んでくれました」と答え「そんなに歌詞がリンクしていましたっけ?僕、もう一回見ます」とタジタジと襟を正しました。

エンドロール後のシーンについて「最後の狂児(綾野さん)のアレのアレは、聡実くん(斎藤さん)は把握しているのでしょうか」とネタバレを恐れ指示語を用いて質問をした方に、山下監督も「はい、アレのアレのアレは」と絶妙な返しで笑いを誘い、「ソレは野木さんがこだわった架空のラストです」と答えました。「僕は屋上のシーンで終わっていいかなと思っていたんですが、野木さんの意向でアレをやりました」と言い、「狂児の腕に注目してください」とまとめました。

「演出する中で、最初の想定から変わっていったシーンや熱が特に入ったシーンはありますか」という質問に、山下監督は「原作に比べて、合唱部含めて中学校のパートが膨らんで学園ものを撮っているような気分でしたね」と話し、「野木さんの脚本も素晴らしいのですが、副部長とか芳根さん演じる先生とか、なおかつ和田くんというキャラクターに僕は力が入ってしまって最後は僕ももらい泣きして…中学校パートは力が入りました。後半にヤクザが出てきますが別の作品を撮っているような気分でした」と明かしました。熱量の高いQ&Aは大盛況!山下監督は嬉しそうな表情を浮かべ、観客とのフォトセッションに応じていました。

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紅のペンライトが揺れ動く 絶妙な声かけに大盛り上がり!

山下監督のトークで一層気分が高まった会場。山下監督は最前列の席に着くと劇場内の光が落とされました。するとスクリーンにに綾野さんと斎藤さんが映しだされ、「”紅だー!”の練習映像が流れました。「うわー、すごい」と観客と山下監督は反応。みんなで拍手や絶叫の練習をしたところで、映画『カラオケ行こ!』がスタートしました。(監督は冒頭のみで退場しました)

中学生の合唱シーンが始まると、思い思いに手拍子やタンバリンがリズムを刻む様子が見られました。お待ちかねの綾野さんが登場するとペンライトが光り、「かっこいい」「足長ーい」などの声が上がりました。主人公の狂児がカラオケで紅を唄った後には「お疲れ!」「よかったよ~」などのねぎらいの言葉も聞こえてきて、本当に劇中のカラオケに来ている気分になります。いろんな地域の応援上映に参加している強者もいて、名人芸のごとくタイミングよく声掛けをしています。初めての応援上映をする人たちも、勇気をもって徐々にリアクションが強くなっていきました。

主人公の狂児と中学生の聡実の二人のほのぼのとしたシーンのBGMでは、すかさずタンバリンが拍子をとり、皆つられて手拍子。そしてちょっとBLっぽい雰囲気を察知すると「近い!距離近い♡」と呟き、裏通りに入り込もうとする聡実に「危な~い」「入っちゃダメ」など悲鳴のような声が漏れていました。古き良き時代の映画館では、観客が笑ったり泣いたり、劇中の悪役にミカンなどを投げつけていたと聞いたことがありますが、きっと今回のような雰囲気だったのだろうと感じられました。「紅」歌唱のシーンでは、その都度ペンライト・サイリウムが揺れに揺れ、紅に染まって神々しく光っています。

聡実の父親役の宮崎吐夢さんが登場するシーンでは、父役が愛らしいキャラクターのせいか妙な盛り上がりがありました。焼き鮭の皮を妻からもらうときの癒しの表情や、ションボリする表情を見せると場内が「可愛い」といいながら拍手やタンバリンが鳴るのです。「そうか、こういったシーンにキュンとするのか」という発見がありました。応援上映は大盛況!鑑賞後、皆さんは満足顔でおのおの連絡先を交換したり、写真を撮ったりして交流を深めていました。応援上映は作品への没入感がより深くなり、劇場内一体感が格段に上がるようですね。

作品概要

映画『カラオケ行こ!』

変声期に悩む合唱部の男子中学生と歌がうまくなりたいヤクザの交流をコミカルに描いた和山やまの人気コミックを、綾野剛主演で実写映画化。
相手役には新人・齋藤潤を抜てき。『リンダ リンダ リンダ』の山下敦弘監督がメガホンをとり、テレビドラマ「アンナチュラル」の野木亜紀子が脚本を手がける。

2024年/107分/日本

出演:綾野剛、齋藤潤

監督:山下敦弘

©2024「カラオケ行こ!」製作委員会

イベント概要

NAGOYA CINEMA Week 2024

URL:https://nagoya-cinema-week.com/

期間:2024年11月3日(日)~9日(土)

会場:伏見ミリオン座・センチュリーシネマ・ミッドランドスクエア シネマ 三越映画劇場・星が丘テラス・オリマチ錦・愛知県芸術文化センター スペースX

主催:スターキャット株式会社

後援:名古屋市

 

 


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