「もぎりで全国行脚したい」片桐はいりさんがセンチュリーシネマでチケットもぎり『もぎりさん』『もぎりさんsession2』上映記念イベント
3月24日から3月30日までの1週間限定でセンチュリーシネマにて上映される『もぎりさん』『もぎりさんsession2』は、キネカ大森の名画座上映の前に先付けされるショートムービーとして、映画館スタッフたちの映画愛、映画館あるあるをキネカゆかりの映画人たちによって製作された作品です。キネカ大森に通い詰めていた片桐はいりさんが主演し、映画と映画館と映画好きな人々の素敵な関係を描きつつ、キネカに限らず「街のちいさな映画館が元気になりますように!」との願いがぎゅっと込められています。
センチュリーシネマの22周年を記念して、片桐はいりさんによるお客様のチケットのもぎりと、アフタートークイベントが開催されました。片桐さんによる見事なもぎり、片桐さんの軽快なトークにお客様は大満足!笑いが絶えない、あっという間のひと時でした。そのもぎり&トークイベントの模様をお伝えします。(取材日:2023年3月25日)
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片桐はいりさんの高速もぎりにカメラのシャッターが間に合わない?!お客様との交流も!
3月24日から公開されているキネカ大森先付ショートムービー『もぎりさん』『もぎりさんsession2』は、街の小さな映画館の「あるある」な出来事が描かれ、クスっと笑ってしまったり、映画館の裏側に「へ―」と感心したりしてしまう映画好きの心がくすぐられる作品です。センチュリーシネマ22周年を記念して、支配人が”片桐はいりさんを迎えたい”ともぎりとトークショーを企画したそうです。
イベント当日、センチュリーシネマにお客様が溢れんばかりに詰めかけ、チケットを握りしめ片桐はいりさんの登場を今か今かと待ち構えていました。片桐さんが”もぎりさんの衣装”で登場し、劇場扉前でご本人による”もぎり”がスタート。「ピッ」という小気味良い音とともに「楽しんでくださいね」と直接声を掛けられて嬉しそうに会場に赴く方、「今日わたし誕生日なんです!」と片桐さんに声をかけたり、片桐さんから「それ、レモンスカッシュ?今日持ってる人多いわね」と声を掛けたりと交流を楽しんでいました。
カメラのシャッターが追いつかないほど高速でチケットもぎりをする片桐さん。時間に余裕をもってもぎり終えた片桐さんは「もう少し、ゆっくりでよかったね」といたずらっぽく笑いました。もぎりだけでなく片桐さんは「会場内は暗くなっておりますので足元にご注意ください」などの前説まで行い観客を喜ばせました。上映直前、劇場の扉を閉めたのも実は片桐はいりさんでした。自然と体が動く、まさに「スタッフ」のような姿に映画館に対する愛情を感じました。
「35ミリ映写機はとても大切なもの」
『もぎりさん』『もぎりさんsession2』の上映後に片桐はいりさんが登壇し、「あのー、いかがでしたでしょうか」と会場に呼びかけると大きな拍手が起こりました。片桐さんは「大学の時にキネカ大森っていう映画館で、もぎりをしておりまして、長年やっていたのですが、俳優になって映画に出ちゃったので…中断して、2011年くらいから再びもぎりをさせていただいた関係で2018年とか19年に本作を作りました」とトークがスタート。「若いかたは既に”もぎり”を知らないわけでしょ。今日がもぎり初めての人」と観客に尋ねると、若干名が手を挙げ、片桐さんは「初めてですか~」と笑顔を向けました。
「35ミリフィルムの映写機、本作ではそれがある劇場という設定ですが、今ではあの映写機がある劇場はほぼないんです」と映画館の現状を明かしました。「私にとって35ミリ映写機はとっても大切なものだったんです。映写機もそうですが、昭和の時代からの映画館の風景を残したいということで『もぎりさん』を作ろうよって始まったんです」と企画のきっかけを語りました。『もぎりさん』と『もぎりさんsession2』で映画館の様子が変わっていることについて片桐さんは「session2のときに改装されていて、今や売店がコンセッションという名前に変わりまして、35ミリの映写機も無くなって、つい先月に椅子も張り替えたばっかりなんです」と教えてくれました。
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「もぎりで全国行脚したい」という夢がかなった!
片桐さんが「椅子は重要ですよね。皆さんの色んな感情というか冷や汗でも、なんか出た物が染みついているものだと思うんです」と独特の表現で話すとクスクスと客席から笑い声。「私は映画館って酒蔵みたいなものだと思っています。観た人の感情が揺すぶられて立ち上ったものが天井やら壁やらに染みついて発酵してできていく空間じゃないかと思います」と手を振りかざしながら話しました。「だから、都市伝説がない劇場はダメだっていうジンクスがあったんですよ。キネカでは常連さんで弁天様みたいな人がいらっしゃって、その方が来ると神様が来たと思っていました」と自身の体験も述べ「劇場や映画館に物語があるといいですよね」とまとめました。「体がそこ(劇場)にあって、いろんなことがありながら、その状況に居て、暗闇を共有してスクリーンに向かうことが映画を観ることですよね」と語り、「でもコロナになって休館を余儀なくされたり、配信とかになってきてどこの劇場も大変なんです。私も映画館が開かなくなっちゃうのかと怯えていたんですが、こうやってもぎりを久々にできて…当時はチケットなんか触っちゃダメで禁止されてましたからね」と振りかえりました。
もぎりについて「もぎりが必要かって言ったら今、ほとんどQRコードになっちゃたり、もはや紙ですらないという世界ですが、私は”いらっしゃいませ”と言ってピってやる作業は火打石…お守りみたいな”どうぞ素敵な世界に行ってきてください”と送り出す気持ちで行ってるつもりだったので、ピッという音がないと嫌なんですよ」ともぎりへの熱い想いを述べました。「先ほど、もぎりが早いって言われましたが全盛期の『寅さん』をもぎっている時は、もうそんなスピードだって間に合わないぐらいのお客さんが詰めかけて来たんですよ。今はそういうことが無くなっちゃって、チケット買う時も題名を言わなくていいじゃない。誰とも喋らず、押すだけで行って帰ってこられる時代なんだけれどね」ともぎりをしていた当初と現在の違いを対比。「『もぎりさん』を作ったきっかけの一つが、全国の映画館をもぎりで行脚して回りたいということだったんです。でも自分の主演映画がないといけないんで、こうして作品ができて、皆さんとおしゃべり出来て、とても嬉しいです!」と夢が叶った喜びをマイクに乗せて話し、客席からも祝福の祝福の拍手が送られました。
「最近は『フェイブルマンズ』に夢中!」センチュリーシネマがより良くなるためには…
センチュリーシネマのスクリーンをみた片桐さんは「マスクがありますね。マスクっていうのはスクリーンのサイズを作品ごとに動かして調整するものなんですが、マスクが動く音から、映画が始まると感じているんです」と述べ「それにしてもセンチュリーシネマ22周年…不思議な周年に呼んでいただいて、じゃあ23・24年もお願いします」と自ら営業をかけて会場を笑顔で満たしました。
コロナが落ち着き、映画館に作品が戻ってきたことにふれ、客席に最近観た映画について問いかけ少々やり取りしてから、自身のこととして「私は『フェイブルマンズ』に夢中!そもそも私が映画を観てビックリしたのは『ジョーズ』なんです。もう本当にお風呂に入ることすら出来ないくらい恐ろしさが染みついたんでしょうね。スピルバーグも、列車がぶつかって怖くて眠れなくなった時、お母さんに、撮影したら怖くなくなるよと言われて映画を撮り始めたっていうので、似ているなと感じました」と話しました。また、コロナが落ち着き映画が戻ってきたことに対して「次から次に観たい映画があって、劇場回数が少なくなるから早くいかなきゃって、もう忙しいですよ」と嬉しい悲鳴をあげました。客席の皆さんも同じ気持ちだったのでしょう、大きく頷いていました。
最後にセンチュリーシネマへのアドバイスを求められた片桐さん。「働いてる人が楽しそうなのがいいなって思います。お休みの日に、映画を見に行っちゃうような人が働いてる映画館は好きですね」と述べ、「お客さんにマニュアル通りでなく、ある程度喋れる位は映画を見て欲しいですね。私をもぎりに呼んでくれるセンチュリ―シネマさんは面白い!」と太鼓判を押してくれました。フォトセッション中も、作品の監督の面々がこそっと出演したことや、ミニシアターでクラウドファンディングしている場所があることなど客席に語りかけてました。予定時間を上回って、大いに語った片桐はいりさんのアフタートークイベントに観客はとても満足な様子でした。
施設概要
センチュリーシネマ
Address:名古屋市中区栄三丁目29-1パルコ東館8F
作品概要
キネカ大森先付ショートムービー『もぎりさん』 全6話
監督:大九明子(第1話~第3話)、菊地健雄(第4話~第6話)
出演:片桐はいり、佐津川愛美、川瀬陽太、前野朋哉、久保田紗友、伊勢志摩
企画:沢村敏 プロデューサー:平林勉
脚本:大九明子(第1話~第3話)、鈴木太一(第4話~第6話)
音楽:侘美秀俊 タイトルイラスト:岩田ユキ
撮影:彦坂みさき 照明:永田英則 録音:小宮元
ヘアメイク:鰕澤真由美 編集:小野寺拓也 助監督:北川帯寛
企画制作:東京テアトル Powered by CoMix Wave Films
2018年/日本/カラー ©東京テアトル
★各話詳細★
第1話「忘れもののもぎりさん」
監督:大九明子 出演:片桐はいり、佐津川愛美、川瀬陽太、伊勢志摩
第2話「うたた寝のもぎりさん」
監督:大九明子 出演:片桐はいり、川瀬陽太、前野朋哉
第3話「気にするもぎりさん」
監督:大九明子 出演:片桐はいり、佐津川愛美
第4話「つなぐもぎりさん」
監督:菊地健雄 出演:片桐はいり、佐津川愛美、川瀬陽太
第5話「もじもじのもぎりさん」
監督:菊地健雄 出演:片桐はいり、佐津川愛美、前野朋哉
第6話「思い出のもぎりさん」
監督:菊地健雄 出演:片桐はいり、佐津川愛美、川瀬陽太、久保田紗友
キネカ大森先付ショートムービー『もぎりさん session2』 全6話
出演:片桐はいり、佐津川愛美、川瀬陽太
ゲスト出演:(出演順)今野浩喜、日南響子、岩井ジョニ男(イワイガワ)、唐田えりか、萩原みのり
監督・脚本:鈴木太一(第7話~第9話)、瀬田なつき(第10話~第12話)
企画:沢村敏 プロデューサー:平林勉 音楽:侘美秀俊 タイトルイラスト:岩田ユキ
撮影:彦坂みさき 照明:志村昭裕 録音:東凌太郎 スタイリスト:齋藤ますみ ヘアメイク:鰕澤真由美
編集:小野寺拓也 助監督:北川帯寛 振付:ストウミキコ 謎の監督:菊地健雄
企画制作:東京テアトル Powered by CoMix Wave Films
2019年/日本/カラー ©東京テアトル
★各話詳細★
第7話「くそガキともぎりさん」
監督:鈴木太一 出演:片桐はいり、今野浩喜
第8話「恋のもぎりさん」
監督:鈴木太一 出演:片桐はいり、佐津川愛美、日南響子、岩井ジョニ男(イワイガワ)
第9話「励ますもぎりさん」
監督:鈴木太一 出演:片桐はいり、佐津川愛美、川瀬陽太
第10話「もぎりさん、さようなら」
監督:瀬田なつき 出演:片桐はいり、佐津川愛美、唐田えりか
第11話「もぎりさんところどころ」
監督:瀬田なつき 出演:片桐はいり、佐津川愛美、川瀬陽太、今野浩喜、萩原みのり
第12話「終映後のもぎりさん」
監督:瀬田なつき 出演:片桐はいり、佐津川愛美