toggle
2023-01-23

柄本佑監督が名古屋センチュリーシネマで映画『ippo』鑑賞後の観客とたっぷり交流&サプライズでサイン会も!


 

1月20日(金)よりセンチュリーシネマで公開中(2月2日までの期間限定公開)の映画『ippo』はドラマや映画、舞台と幅広く活躍する俳優の柄本佑さんが監督をつとめた短編集です。これまで「アクターズ・ショート・フィルム」(21年・WOWOW)に監督として参加し、短編『夜明け』(主演:森山直太朗)も監督した柄本監督ですが、実はそれ以前からすでに何本もの短編を自主製作で監督していました。

今作は2017年から2022年のあいだに撮影された3本の作品で構成され、すべてが劇団東京乾電池に所属し、ユニット「曖昧なカンパニー」を主宰する劇作家・演出家の加藤一浩さんの演劇戯曲を原作としています。今作は旧知の仲ともいえる柄本監督と加藤さん、ふたりによる連作集的な意味合いをもった作品で、俳優もスタッフも、柄本監督が一緒に映画を作りたい人々に声をかけ、小さなチームで丁寧に撮りあげられました。『ムーンライト下落合』で久々に再会する友人ふたりに加瀬亮さんと宇野祥平さん。『約束』の兄弟に渋川清彦さんと柄本時生さん。『フランスにいる』の画家とそのモデルに加藤一浩さんと高良健吾さんが登場。3本すべてが、“男ふたりによって繰り広げられる物語”というところも今作の興味深いところで、真面目で不思議、ユーモラスでセンチメンタル、そしてときに楽しくも不条理な世界を味わうことができます。また、全編撮影を担当したのは柄本監督が主演を務めた『きみの鳥はうたえる』(18)の四宮秀俊さんが担当し、映画監督の三宅唱さんや俳優・映画監督の森岡龍さんが助監督で参加している作品もあります。

映画『ippo』の公開を記念し、センチュリーシネマ(名古屋パルコ東館8階)では舞台挨拶付き上映が開催され、上映後、満席となった会場に柄本監督が登場!観客の質問に柄本監督が答えるティーチイン形式で進み、会場から続出する質問に「オレ、話長いよね(笑)」と言いながらも、ひとつずつ丁寧に答える姿が印象的でした。ファンとの時間を楽しみながら、20年来の友人である高良健吾さんや実弟である柄本時生さんをキャスティングした理由などを教えてくれた舞台挨拶の様子をレポートします。(取材日:2023年1月21日)

2月2日(木)までの期間限定!名古屋センチュリーシネマで公開中の映画『ippo』

映画『ippo』は、劇団東京乾電池に所属する劇作家・演出家の加藤一浩さんの演劇戯曲を原作に俳優として活躍する柄本佑さんが監督をつとめた短編集です。東京のユーロスペースでは1月7日から公開されていましたが、いよいよ名古屋でもセンチュリーシネマ(名古屋パルコ東館8階)で1月20日から公開となりました。公開2日目となったセンチュリーシネマで開催された舞台挨拶付き上映会は満席。柄本監督は大きな拍手に迎えられると「スクリーンのデカさにビビッてました!」と振り返り、スクリーンを見上げると「東京のユーロスペースのスクリーンに比べると1.5倍くらいあるので、ここでみんな、この映画を観たと思うと不思議な感じです」と嬉しさをにじませながら挨拶しました。上映後ということで、ティーチイン形式で進められた舞台挨拶では「感想だけでも大丈夫です」と柄本監督が呼びかけると、すぐに多くの手が上がりました。

“タイトルを『ippo』にした理由”について質問されると、柄本監督は初めにつけようとしていたタイトルが『不安』だったことを明かし、「3本に共通する僕の中の思いとして、日常に対する不安、直面することへの不安、明日への不安。不安が3本すべてに共通するんじゃないかと思うんです」と話しました。続けて、「でも、僕が一番大好きな映画監督マノエル・デ・オリヴェイラが『不安』という映画を撮っていたんですよ」と断念した理由も教えてくれました。そして、「こっぱずかしい言い方をすれば“はじめの”とつけてもらうのが一番いいんですが、さすがに漢字で『一歩』はちょっと恥ずかしいなぁと思いまして、『ippo』にしました」と笑いながら答えていました。「1本1本、実験的に撮っていたりします。“長編(映画製作)までのレッスン1”みたいな気持ちで撮らせていただいた3本です」と今作の公開と同時に踏み出した“はじめの一歩”を楽しんでいるようでした。

「今作で何が一番に伝えたかったのか?」という質問に、「僕としては伝えたいことを今日ここにいらっしゃるみなさんが、それぞれ誤解してくれるのがいいんじゃないかと思います。勝手に、“こういうことなんじゃないかな”みたいに思ってもらえるといいんじゃないかなと思います」と答えました。そして、「僕は映画監督になりたいって小学校のときの卒業文集に書いているんですけど、何が伝えたいか言葉にできないから、こういうことをやっているんだと思います」とゆっくり時間をかけながら話す姿も印象的でした。

「高良健吾はのほほんとしたのんきなやつ」20年来の友人・高良さん、実弟・柄本時生さんキャスティングの理由は?

キャスティングについての質問に対しては、「ムーンライト下落合」は本を読んだ段階で加瀬亮さんと宇野祥平さんの名前が自然にあがってきたそうで、「撮影当時、宇野さんと加瀬さんはめちゃめちゃ仲良かったらしくて、“公園でコーヒー飲みながら、月は何回も見たよ!”って言ってて」と予想外の偶然に驚いたことを明かし「これはやってもらうべく頭に浮かんだのかなと思いました」と話しました。

「フランスにいる」でモデル役を演じた高良さんとは20年近くの付き合いになるという柄本監督。「これは良いとか悪いとかではなく、彼は犯罪者とか何かを背負っている役とか、重い役が多いなぁと思ってて。僕の目の前にいる友人の高良健吾はもっとのんびりした、のほほんした、のんきな奴というメージがあったんです」と話し「いつか、僕の目の前にいる高良健吾を捕まえたいと思っていました」と念願が叶ったキャスティングであることを教えてくれました。原作の加藤さんが画家役を演じたことについては「加藤さんは(本を)書くのが遅いんです(笑)。何かがくるのをじっと待っているんです。その待っている姿と画家の姿がマッチして、この役は加藤さんにやってもらうべく役だなとお願いしました」とキャスティングの経緯を明かしました。

そして、「約束」の話を続けようとすると同時に「オレ、話長いよね(笑)」と会場を見渡すように言い、観客の笑いを誘っていました。団地の中の公園で繰り広げられる兄弟の物語「約束」は、兄役を渋川清彦さんが演じ、弟役を柄本監督の実弟・柄本時生さんが演じています。野外での撮影は天候の影響で撮影期間がおすかもしれないと考えた時に「監督と役者さんとの信頼関係を築いていく時間に手間取っていたら撮影が進まないと思って、弟にお願いすることにしました」と柄本監督。「弟なら共通言語もあるし、一緒に芝居もしているし、信頼関係は築けているので」と力強く話しました。「約束」はマンガっぽくしたかったという柄本監督は「あまり重くならないような方、と考えた時に思い浮かんだのが渋川さんでした」とキャスティングの理由を明かし「僕が思っていた以上に、渋川さんの抜けの良さが素晴らしくて、「約束」は思った以上に爽やかな作品になっていると思います」と見どころを教えてくれました。

短編「フランスにいる」は“日本のフランス”と言われている?〇〇〇で撮影!

「場所、距離感、空間の使い方や、ロケーションにつていのこだわりは?」という質問に対しては「めちゃくちゃ難しい質問ですね(笑)」と返しながら、場所との出会いと勘を大切にしていることを話しました。特に苦労して探したところは「約束」の舞台になる団地の公園だったそうで「冒頭は30メートルのレールを敷いて横移動で撮影しているんですが、最初からやりたかったんです」と、はじめから念頭にいれて場所探しをしていたことを明かしました。今作は3本すべてが1つの場所で物語が繰り広げられているところも面白いところです。その中で、柄本監督が“初めからやりたかった”と話す「約束」の場面はぜひ映画館でお楽しみください!そして、「フランスにいる」については「別名フランスといわれている下北沢で撮ったんですけど、劇団東京乾電池の倉庫なんですよ(笑)」とまさかの撮影場所を暴露!「雑多になってたんですけど、キレイにしたらいけるんじゃないかと思って。フランスはあんなに天井低くないんですけどね(笑)」と遊び心もこめた作品であることを明かしました。実は、この短編は全編iPhoneで撮影された作品。不思議な臨場感を楽しめる1本となっていますのでお見逃しなく。

最後の質問となった「実験的なものを積み重ねて、今後目指すところは?」という問いかけに「目指すところということでいえば、やはり次は長編を撮りたいなと思っています」と、これからの意気込みを聞かせてくれました。ひとりひとりの質問を受けるたびに深くお辞儀をし「ご質問ありがとうございます」と声をかける姿が印象的だった柄本監督。「鋭意制作中です!」と教えてくれた長編映画で今度はどんな世界を楽しませてくれるのか今から楽しみです。

時間の許す限りファンのみなさんとの時間を楽しまれ、最後に「観るたびに印象が違ったり、発見があったりするような映画だと思います。2回3回、何度でも観に来てもらっても僕の方は構いませんので(笑)ご友人にもすすめていただけたら嬉しいです。本日はどうもありがとうございます」と話し舞台挨拶を締めくくりました。また、この日はパンフレットを購入された方限定でサイン会が開かれるというサプライズもあり、舞台挨拶後はパンフレットを買い求める長蛇の列で会場は賑わっていました。愛知県で唯一の公開劇場となるセンチュリーシネマでは2月2日(木)までの2週間限定公開となりますのでご注意を!早めの鑑賞をおススメします!

〈関連記事〉

不倫夫を漫画で追い詰める!?映画『先生、私の隣に座っていただけませんか?』堀江貴大監督にリモートインタビュー

柄本佑さんが伝説の雑誌編集長を演じる映画『素敵なダイナマイトスキャンダル』冨永昌敬監督に名古屋でインタビュー

作品概要

映画『ippo』

1月20日(金)~2月2日(木) センチュリーシネマで公開中

監督・脚色・編集:柄本佑

脚本:加藤一浩

『ムーンライト下落合』

出演:加瀬亮、宇野祥平

ストーリー:肌寒さを感じる、ある春の深夜。東京・下落合にある長田(加瀬亮)のアパートに、友人の三上(宇野祥平)が泊まりにきている。久しぶりの再会だ。眠れぬ夜を過ごすふたりは、互いのいまを探り合うように会話を続ける。

『約束』

出演:渋川清彦、柄本時生、西村順乃介、西村廉乃介

ストーリー:梅雨どきのある日。昔ながらの団地の一角の広場に、ふたりの兄弟がいる。スーツ姿の兄(渋川清彦)と作業着姿の弟(柄本時生)。ふたりはどうやらお金に困っている様子なのだが……。

『フランスにいる』

出演:高良健吾、加藤一浩

ストーリー:フランスの、ある田舎町。一人旅をする日本人の男(高良健吾)と、同じく日本人の画家(加藤一浩)。画家はいままさに、自分のアトリエで男の肖像画を描こうとしている。

エンディング曲:山口ともこ 「知らない人の足音だ」

製作:がらにぽん Pigdom

配給:ブライトホース・フィルム

 

 


関連記事