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2017-11-27

朝ドラ&月9で話題の女優・芳根京子さんや吉行和子さんが主演する奇跡の短編作品集が名古屋で上映!


「映画監督外山文治」を知っていますか?ご存じない方は、12月2日から名古屋のシネマスコーレで上映される「映画監督外山文治短編作品集」をぜひご覧ください。様々な奇跡によって生まれたとしか思えない3作の短編『此の岸のこと』『わさび』『春なれや』を観ることができます。
外山監督が11月上旬に名古屋に来られた際に、インタビューをさせていただくことができました。それぞれの作品に込められた想いや撮影中のエピソードなどを教えていただきました。(取材日:2017年11月5日)

「映画監督外山文治短編作品集」で上映される奇跡の3作品

「映画監督外山文治短編作品集」で上映されるのは『此の岸のこと』『わさび』『春なれや』の3作品です。いずれも20分から30分という短編映画です。

朝ドラヒロイン決定前の芳根京子さん主演の『わさび』

『わさび』の主演は芳根京子さん、2016年秋からのNHK連続テレビ小説『べっぴんさん』でヒロインを演じ、2018年1月スタートのフジテレビの月9ドラマ「海月姫(くらげひめ)」への主演も話題です。『わさび』の撮影が行われた2015年の年末、芳根さんは18歳でまだ『べっぴんさん』のヒロインをつとめることは決まっていなかったそうです。飛騨高山の撮影現場にあらわれた芳根さんをみたとき、外山監督は「宝くじに当たったと思った」と教えてくださいました。「凄いとしか言いようがない。こんな子は二度と現れないだろうと思った。彼女の凄いところは感性だけでなく技術が追いついているところ。」と撮影時の様子を振り返り、撮影の直後に朝ドラでヒロインをつとめることが決まり、外山監督はさらに驚いたそうです。

芳根さんが演じるのは父親が心の病にかかり、大学進学をあきらめて休業中の実家の寿司屋を継ぐことを決めた女子高生です。高校の先生や離婚して家を出た母親は彼女に進学をすすめます。苦境に立たされた彼女はかつて所属していた少年野球チームの監督と再会し、あるお願いをします。

冬の飛騨高山に佇む制服姿の芳根さんの凛とした美しさ、まっすぐな眼差し、進路に悩む姿、家族への想い、たくさんの魅力が詰まった作品です。登場人物のセリフがとても自然で、特に芳根さんの瑞々しさ、富田靖子さん演じる主人公の母親との微妙な関係性などにも注目してほしいです。

監督は富田さんに主人公の母親役での出演を依頼するために、篠原哲雄監督の『洗濯機は俺にまかせろ』のトークイベントで出待ちをして、直接、企画書や作品集を渡したそうです。ほぼ同時に出演が決まった芳根さんと予想以上にお顔が似ていたことに、監督自身、驚いたとお話されていました。

また、外山監督はいつも登場人物ついての考えを原稿用紙10枚くらい書いていくそうです。あまりの量に役者さんには読んでもらえないこともあるそうなのですが、富田さんとは衣装合わせの際に役について話をしたときに、監督以上に深く人物の作り込みをされていたため「一緒に役を作っていけたのがとても嬉しかった。その時間は幸せだった。」と当時を振り返っていました。

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震災前の熊本の桜を撮影した『春なれや』

外山監督は吉行和子さん主演でシルバー世代の婚活を描いた長編映画『燦燦ーさんさんー』(2013年公開)を撮っています。吉行さんに短編『春なれや』の企画を提案したところ快諾してくださったそうです。

吉行さん演じる小春は、生活している老人ホームからたびたび抜け出して徘徊し、交番のお世話になっています。60年ほど前に植えたソメイヨシノがまだ花を咲かせているのかを見に行きたいと村上虹郎さん演じる青年に思い出の場所に連れて行ってもらうという物語。

柔らかな春の日差しや美しいソメイヨシノ、桜の花びらが舞い落ちる様子、小春の表情、美しい映像の連続に自然と涙がこぼれてきました。

この作品は桜が重要な要素となっており、外山監督は「桜の綺麗な場所を探していたら熊本菊池市が日本一の桜の街を目指して一生懸命ソメイヨシノを植えていることを知った。市長と知り合うきっかけがあり、桜の話を撮りたいといったところ協力してもらえることになった。」と話していました。撮影が行われたのは2016年4月、撮影終了から10日後に熊本地震が起き、外山監督は大変ショックを受けられたそうです。熊本の状況を心配しながらも映画を完成させ、10月に菊池市で無料上映会を開くことができ「600名近くの方に観ていただいた。元気だったころの故郷が映っていると言ってくださって、意味のある作品になった。」と教えてくれました。

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世界各地で上映され絶賛された『此の岸のこと』

『此の岸のこと』はモナコ国際映画祭2011 短編部門にて最優秀作品賞をはじめ五冠を受賞し、海外の映画祭でも多数上映されました。

重い認知症の妻と妻の介護に疲れ果てた夫の高齢夫婦の日常が描かれており、ある日、2人は思い出の湖に出掛けて手漕ぎボートに乗ります。この作品にはセリフが一切ありません。老々介護の出口の見えない日々には悲壮感が漂い、今後の生活を憂うような事実を目の前にした夫が妻を連れて湖に向かいます。美しい映像と2人の表情に、涙せずにはいられない作品です。

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外山文治監督の想いと行動力

外山監督は福岡の高校を卒業後、映画監督を目指して日本映画学校へ進み、19歳からテレビの助監督を経験した後、脚本家を目指し23歳で一旦福岡に戻ったそうです。24歳の時に書いた『星屑夜曲』が伊参スタジオ映画祭2005シナリオ大賞でグランプリを受賞し、再び上京し制作した短編映画『星屑夜曲』はSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2007短編部門で奨励賞を受賞しています。

若手監督の仲間入りをしたものの、映像業界が求めることと自分のやりたいことの差を感じ、7年ほど前から高齢者に向けて作品をつくるようになったそうです。きっかけとなったのは、街で多くの高齢者の姿を見たこと。孤独死や消えた年金、行き場をなくした高齢者があふれ出したといわれていた時代で、高齢者の方に楽しんでもらえる作品を作りたいという想いが強くなり、若手であることを捨てて『此の岸のこと』『燦燦ーさんさんー』を作ったそうです。

監督の作られた短編は映画会社にもって行っても成立しにくいテーマでスポンサーもつきにくいタイプの作品と話し、「それでもどうしても撮りたいのであれば、自分で動くしかない。」と配給や宣伝までも自身で行ってきました。8月に東京・渋谷のユーロスペースで上映され、レイトショーながら多くのお客さんが来場されました。今回の名古屋での上映も外山監督が直接シネマスコーレに問合せをして上映が決まったそうです。

豪華すぎるキャストが上映の機会や商品化も決まっていない作品への出演をしている今回の短編集、この時を逃したら見られる機会がないかもしれません。監督自身も「なかなか類のないもの」と話し「名古屋の方、必見でお願いしたい」「自分の人生を照らし合わせて、何か突き刺さる作品が3作のうち1つはある」ともと話していました。

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「映画監督外山文治短編作品集」はシネマスコーレで上映

「映画監督外山文治短編作品集」は名古屋駅のシネマスコーレで2週間に渡って上映されます。上映期間、上映時間は以下の通りです。

上映スケジュールと上映時間

12月2日(土)~12月8日(金)17:10上映
12月9日(土)~12月16日(金)19:15上映

シネマスコーレ

Address:名古屋市中村区椿町8-12 アートビル1階

Tel:052-452-6036

Map:

名古屋市中村区椿町8-12
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作品情報

「映画監督外山文治短編作品集」

『此の岸のこと』

http://konokishinokoto.com/
出演:遠山陽一(さいたまゴールド・シアター所属)、百元夏繪(さいたまゴールド・シアター所属)
製作・監督・脚本:外山文治
撮影:上野彰吾
照明:渡辺厚人 録音:宋 普瑞
音楽:松本あすか 編集:阿部史嗣
2010年/30min

『わさび』

http://haru-wasabi.com

出演:芳根京子、杉本凌士、中田裕一、藤澤志帆、松角洋平、後藤和歌奈、下條アトム、富田靖子
製作・監督・脚本:外山文治
音楽プロデューサー:亀井登志夫・亀井知永子 音楽:朝岡さやか
撮影:池田直矢 照明:疋田淳 録音:宋晋瑞
美術:寺尾淳  ヘアメイク・衣裳:平林純子
特殊メイク指導:北落香奈子 編集:加藤ひとみ
音響効果:勝亦さくら スチール:大柳玲於 助監督:大塚玲未
制作担当:上原三由樹 応援プロデューサー:江川智
協力:飛騨市・高山市 飛騨高山『わさび』の会 ALFABETTI INC
HD / シネマスコープ / 30min

 

『春なれや』

http://haru-wasabi.com
出演:吉行和子、村上虹郎、篠原篤、石崎なつみ、辻井彰太
主題歌:「Time」Cocco
製作・脚本・監督:外山文治
プロデューサー:山本晃久 アソシエイト・プロデューサー:岩間舞
スーパーバイジング・プロデューサー:亀井知永子
撮影:岩永洋 録音:山本タカアキ 衣裳:岡澤喜子 メイク:清水惇子 助監督:石井将
編集:加藤ひとみ 音響効果:勝亦さくら VFX:浅野亜弥 スチール:moco
制作担当:甲斐恵美理 制作進行:松井亜也子
音楽:亀井登志夫 ピアノ・音楽:朝岡さやか
協力:熊本県菊池市 キクチノ和 ALFABETTI INC. 「春なれや」サポーターの皆様
制作:C&Iエンタテインメント
製作:外山文治
HD / 20min

「映画監督外山文治短編作品集」

©外山文治

 

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