「(両親から)『一番、龍汰に近い』と言われました」映画『若武者』名古屋・センチュリーシネマ舞台挨拶に坂東龍汰さん、髙橋里恩さん、清水尚弥さん、二ノ宮隆太郎監督が登壇
6月14日(金)より名古屋・センチュリーシネマで公開中の映画『若武者』は前作『逃げきれた夢』(2023年6月公開)が昨年のカンヌ国際映画祭ACID部門に入選した注目の映画監督・ニノ宮隆太郎さんの最新作で、坂東龍汰さん、髙橋里恩さん、清水尚弥さんが演じる3人の若者を主人公に描く青春群像劇です。
名古屋での公開を記念して舞台挨拶が行われ、坂東龍汰さん、髙橋里恩さん、清水尚弥さん、ニノ宮隆太郎監督が登壇しました。撮影中のエピソードを話したり、観客からの質問に応じる時間もあり、映画を観終えたばかりの観客との時間を楽しんでいました。舞台挨拶の様子をご紹介します。(取材日:2024年6月16日)
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「今までの僕の役の中で『一番、龍汰に近い』と言われました」坂東龍汰さんが両親からの感想を披露
映画『若武者』は5月25日(土)より東京・渋谷のユーロスペースをメインに、全国各地で公開中で、ニューヨーク・ロンドンなど世界でも同時期に公開される注目の作品です。坂東龍汰さん演じる工場に勤める寡黙な渉、髙橋里恩さん演じる血の気の多い飲食店員の英治、清水尚弥さん演じる一見温厚そうに見える介護士の光則は互いに幼馴染の3人。暇を持て余して街を歩きながら会話を交わし、彼らは“世直し”と称して街の人間たちの些細な違反や差別に対して無軌道に牙を剥いていきます。
名古屋での公開を記念した舞台挨拶がセンチュリーシネマで行われ、上映後のスクリーンの前に坂東龍汰さん、髙橋里恩さん、清水尚弥さん、ニノ宮隆太郎監督が登壇しました。それぞれに観客への感謝の気持ちを伝え、髙橋さんが「初めて、名古屋に来られました。若武者のおかげです」と話し、坂東さんが「皆さんの顔がよく見えますね!」と客席がスクリーンに向かって円形に広がり傾斜もあるセンチュリーシネマの感想も話していました。
坂東さんが演じた渉は寡黙で内に秘めたキャラクターで、普段の坂東さんとのギャップを感じる方も多いのでは?と話を振られると坂東さんは「パブリックイメージとは真逆だと思うんですが、昨日、父親と母親に会って、『若武者』を観たそうで、中学生の頃は反抗期で鬱屈としていたので、当時の僕を見ているようだと言われました」と前日に両親から伝えられたことを教えてくれました。坂東さんの話を受けてニノ宮監督は「見抜いていました」とニヤリとしながら、普段の坂東さんとは真逆の部分をあてがきしたそうです。さらに坂東さんは「今までの僕の役の中で『一番、龍汰に近い』と言われました」と前日の両親とのエピソードを重ね「かなり複雑ですけど、親だからこそわかる側面があったのかと思いました。昨日、聞けたので、今日、ここで話せました」と貴重な話を聞かせてくれました。「ここまでセリフのない役は初めてで苦労しました」と寡黙なキャラクターを演じた苦労も吐露していました。
髙橋さんが演じた英治は膨大なセリフ量の役柄です。どうやって覚えたのかと聞かれ、髙橋さんは「公園でぶらぶらしながら、中学時代に行っていた場所に行ってみたり、昔の自分と英治を馴染ませる作業をしました」と答え、公園や商店街を歩きながら覚えていたことを話しました。
幼馴染の3人の1人である光則を演じた清水さんは「(坂東さんと髙橋さんの)2人は長い関係性があって、僕はそこに混ぜてもらう形でした。2人が僕を迎え入れてくれたから、僕の居場所ができあがりました」と坂東さんと髙橋さんと共演できたことを良かったと振り返りました。寡黙な渉とよく喋る英治、光則は?と聞かれると「2人をただ見ているだけじゃなくて、三角形になれるように考えました」と3人のバランスを「支点・力点・作用点みたいな感じ」と話していたことなども明かしていました。
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義父役の豊原功補さんとの緊迫シーンの撮影を振り返り「怖かったです」「ほとんど記憶がないです」
映画『若武者』に関するインタビューの中で「自分の中の闇を三分割して託した」と話していたニノ宮監督は「自分の中の綺麗事にしたくない思いを3人に込めた感じです」と本作に込めた想いを話し、闇を描きたいと思った理由として「闇というより、キラキラしているものだけじゃ人間の物語は描けないという思いがありました。ちょっと闇過ぎましたかね?」と投げかけると坂東さんは「最初は面食らっちゃうかもしれないけど、観ていくうちに笑えるところもあったりして」と答えました。3人とも「闇を三分割」という話は完成後に聞いたそうで、撮影時は「特に意識することはなかった」そうですが「監督の過去作を見させてもらうと、感じる部分はありました」と話すなど、ニノ宮監督の想いはしっかりと伝わっていたようです。
ニノ宮監督は「言葉が拙いので脚本で自分の想いを3人に伝えて、お芝居してもらったんです」と話し、アドリブは全くなく、セリフや間など、細かな部分まで脚本に書かれていたことが明かされ、撮影現場では間の長さの指示もあったそうで「そうですね。映画のリズムがあって」とニノ宮監督のこだわりが詰まった作品になっていることが伝わってきました。ニノ宮監督の脚本を読んだ時の感想として、3人は口々に「面白かった」と言い、読み物としても演じる上でも「どっちの意味でも面白かった」と絶賛すると、ニノ宮監督は「本当に一緒に作れてよかった!」とニコニコしながら答えました。また、坂東さん、髙橋さん、清水さんの3人での撮影は楽しかったようで「こういう話だけど面白くて」「『若武者』の現場がベストに面白かった」などと話していました。
坂東さんは渉の義父役の豊原功補さんとの共演シーンについて聞かれると「若いチームは和気あいあいだったんですが、あの日は冷や汗が止まらなかったですよ」と張り詰めた空気だったことを振り返りました。渉が義父と対峙する緊迫したシーンの撮影はクランクインから間もない3日目だったそうです。段取りが終わった後、坂東さんは豊原さんと2人で小さな控室で弁当を食べることになり「一言も喋らなかったです。どういう表情で食べればいいんだろうと。スタッフさんが1人、居てくださったんですが、あまりにも(2人の空気が)張り詰めていたので途中で出て行ってしまって、(小道具の)包丁だけ持って出て行って…でも箸を持っていたので、怖かったです」と撮影本番に向けて本気で作品に取り組んでいる豊原さんと一緒に過ごした控室での様子を話しました。
撮影について坂東さんは「時間帯も遅かったですし、ほとんど記憶がないです」と話しながら「撮影が終わった後に、豊原さんが一緒にコンビニに行こうって誘ってくれて、温かいコーヒーを買ってくれて」と話し、乾杯をするようなポーズを取りながら「イェェーーーイって。別人!?って思いました」と撮影後には優しく接してくれたエピソードを教えてくれました。3人が集まる喫茶店のマスター役で出演している岩松了さんについてニノ宮監督は、本作の映画を作るきっかけになった人だと言い「あの役は岩松さんじゃないとダメで、岩松さんでなければセリフが変わっていたかも」と話すなど、重要な役割を果たしていることを伝えました。
観客からの質問も募り、ラストシーンの解釈について出演者それぞれが考えを話し、観客の考えも聞くなど、観終えたばかりの映画について語り合う充実した時間となりました。影響を受けた映画や俳優に関する質問にも苦慮しながら答えるなどの一幕もありました。坂東さんは「観終わった後に誰かと意見を交わしたくなる映画だと思います」とメッセージを伝え、登壇者はそれぞれに観客に感謝の気持ちを伝え、舞台挨拶は幕を閉じました。
作品概要
2024年5月25日(土)ユーロスペース、ロンドン、ニューヨークほかにて世界同時期公開
【名古屋】2024年6月14日(金)よりセンチュリーシネマで公開
出演:坂東龍汰、髙橋里恩、清水尚弥、木越明、冴木柚葉、大友律、坂口征夫、宮下今日子、木野花、豊原功補、岩松了
監督・脚本:⼆ノ宮隆太郎
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