名古屋・一宮でオールロケ 清水尋也さん・高杉真宙さんW主演の映画『オアシス』名古屋出身の岩屋拓郎監督にインタビュー
11月15日(金)から公開の映画『オアシス』は裏社会で絶望と一瞬の幸福を味わう若者たちの葛藤と暴走を描いた”バイオレンス青春映画”です。清水尋也さんと高杉真宙さんのW主演のバディもので、伊藤万理華さんがヒロインを務めます。そのほか小木茂光さん、津田寛治さん、窪塚俊介さん、松浦慎一郎さん、青柳翔さんなどスパイスのきいた面々が出演し、ダークでハードな世界を彩っています。
自ら手がけたオリジナルストーリーの映画『オアシス』で長編作品デビューを飾ったのは名古屋市出身の岩屋拓郎監督です。地元の名古屋・一宮でオールロケを敢行し、容赦ないバイオレンス描写、独特の映像美でヒリヒリした世界観を生み出しました。そんな岩屋拓郎監督が作品公開前にインタビューに応えてくれました。盟友の清水尋也さんのこと、ロケ地のこと、撮影秘話などを語りました。(取材日:2024年11月6日)
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名古屋出身の岩屋拓郎監督「この企画は尋也と二人で歩きだした」「高杉君と尋也のバディでやっていこう」
映画『オアシス』は地元の愛知で撮影されたバイオレンス青春映画で、名古屋出身の岩屋拓郎監督の長編デビュー作です。ある事件をきっかけに別々の道を歩むことになった幼馴染の二人が、時にぶつかり合いながら居場所と存在を求めて葛藤する姿が描かれており、W主演の清水尋也さんと高杉真宙さん、2人の心の拠り所であるヒロインを伊藤万理華さんが好演しています。
岩屋拓郎監督は「去年の5月の撮影以来…名古屋は久しぶりです。1年くらいバタバタしていました」と人懐こい笑顔を見せました。主演の清水尋也さんについて伺うと、岩屋監督は「山戸結希監督の『ホットギミック』(2019年)という映画で出会いました。尋也はかなり売れていて、逆に僕は助監督の3番手という全然違う立ち位置でした」と話し、「一人の人として付き合ってくれたのがすごく嬉しかったです。現場の大変さを冗談を言い合って、ノリが近いというかフィーリングが合ったんだと思います。シンプルに尋也という人間が好きです」と話しました。
10月の映画完成試写会で、清水さん発案で観客や登壇キャストから拍手を送られたことについて伺うと岩屋監督は「この企画は尋也と2人で歩きだしたみたいな感覚だから、僕の初監督作品を一緒に作れたということを嬉しく思ってくれていると感じました」としみじみした表情を浮かべました。そして「最初に台本を見せたのはコロナ禍がちょっと落ち着いた4年くらい前でした。話の流れは改定を重ねていますが、バイオレンスとかバディものとかは固まっていました」と明かしました。主演の一人は清水さんで決定ですが、もう一人はどのように決まったのかを聞くと岩屋監督は「尋也に”相方は誰がいい?”と聞いたら、真っ先に高杉君の名前があがって、高杉君と尋也のバディでやっていこうと進みだしました」と答えました。
『渇き。』『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編-運命-/-決戦-』などの過去作で数多く共演し、公私ともに交流のある高杉真宙さんと清水尋也さん。映像からにじむバディの絆のリアリティにご期待ください。
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血と暴力シーンにキュン?!やりたいことを詰め込んだ作品『オアシス』岩屋拓郎監督のこれまでの歩み
映画『オアシス』はヤクザ組織や犯罪グループという裏社会が舞台となるダークな世界観の中で繰り広げられる人間模様が描かれています。岩屋監督に、影響を受けた映像作品について聞くと「現実世界の暴力や犯罪を肯定するつもりはありませんが、映画を観て僕がキュンとするポイントが血や暴力…その瞬間にしか出せない表情だったり感情みたいなものです。すごく好きです」と独特の表現で答えました。「ナ・ホンジン監督の『チェイサー』(2009年)は、ワンカット、ワンカット本当に残っていますね」と好みの作品を挙げ、「バイオレンス映画だから好きなのでなくて、中途半端なものはちょっと…カレーは辛いほうがいいよねっていう感じです」とスパイシーな映画への嗜好性を示しました。映画『オアシス』の中に、そのエッセンスがふんだんに振りかけられており、岩屋監督は「予算など色んな都合がありましたが、できるだけ、やりたいことを詰め込んだつもりです」と満足そうに話しました。
アクションシーンについて「入念に打ち合わせして臨んだので、”もう現場でやるのみ”という感覚だったので迷わずに、スムーズにできました」と述べました。見た人がアッと驚く描写について伺うと、岩屋監督は「本当にこだわっていて、絶対編集で削れないところ」と熱を込めました。「今回、そのシーンはCGでなく基本的に特殊メイクでやっています。青年時代の僕に鮮明に刺さった作品があって、今回はそれを絶対やるって決めていました」とキュンとしながら撮影したのだろうなと思わせる岩屋監督の表情が印象的でした。
これまでにどのような道のりを歩んできたのかと岩屋監督に尋ねると、「小さいときから映画か車を作りたいと思っていました。それで車の方が現実的だろうと高校卒業後は車の方向に進んで、名古屋を出て岡崎の車の工場の寮に入りました」と意外な経歴を話しました。「3年働いて車の作り方が分かったので、次は映画を作ろうと。それで経験を積もうとインドでバックパッカーをしたり、リゾートバイトをしてお金を貯めたりしました」と興味深いエピソードを加えました。伊豆で住み込みのアルバイトをしていたとき、映画界への足掛かりを掴もうと3日間の休みを利用して東京に来たそうです。「複数の映画会社にアポなしで訪問して…最初は全然見当違いのところに行っているんですよ」と当時を振り返りました。自分の好きな映画を手掛けた映画制作会社にメールしたところ、すぐに返信が来て面接につながり、現場の仕事を紹介してくれる幸運を手に入れたとのことです。「大変な現場でしたが、僕からすると全部新鮮な気持ちで臨めました。現場を楽しんでいるのは俺しかいないって、周りからも言われていましたし、全くの素人で『絶対、やめる』と思われていたのに最後まで残っていたので褒められました」と二コリ。衝撃的な初の現場体験を「いい体験になっていた」と捉え、その後は様々な監督の下で助監督として礎を築いてきたそうです。淡々と語る岩屋監督のニュートラルな佇まいの奥に、強い情熱と高い行動力、意外なタフさがうかがえました。静かながら熱を帯びる岩屋監督と同様に映画『オアシス』も高カロリーな作品なのも頷ける瞬間でした。
「本当に名古屋でなきゃ撮れなかった」足で探したロケ地の数々 秘密基地のシーンはどこ?
オール愛知ロケの映画『オアシス』で撮影された場所について聞くと岩屋監督は「8割がた名古屋です」と言いました。名古屋っぽさを感じさせない絵作りになっていますが、繁華街裏・コインランドリー・喫茶店・中華料理店など、地元の人ならピンとくる場所かもしれません。また岩屋監督は「最後のアクションシーンの工場・秘密基地と橋は一宮で撮影しました。料亭菊水さんを組の事務所に見立てました」と教えてくれました。木曽川堤防沿いの尾濃大橋が印象的に映し出されているのでお見逃しなく。
「昨年の5月に撮影だったんですが、僕はその前年10月頃から名古屋に来てロケハンしていました。人づてに、”こんな場所探しています”って広げて、情報が出てきたところを回るみたいなことを繰り返して、足で探しました」と岩屋監督はロケ地に自信を見せ、「東京で撮れないことが、名古屋に来たら180度状況が変わった」とパワーを貰えたと話し「本当に名古屋じゃなきゃ撮れなかった」と感謝しました。岩屋監督は今後も愛知・名古屋で撮影したいと述べ、「常に脚本を書いていて3-4本くらい脚本を抱えています。次は僕なりの恋愛映画を描いてみたい」と微笑みました。「でも、気づいたらバイオレンスになってしまうかも」と呟いたことはご愛敬、愛知3部作ができたらうれしいですね。
清水尋也さん・高杉真宙さん演じる幼馴染の親友同士をつなぐ、ヒロイン役のキャスティングについて聞くと、「脚本作りでヒロインの設定に迷っていたんです。設定が決まって、”あ、伊藤万理華さんだ”と浮かびました」と岩屋監督は答えました。具体的な伊藤さんの魅力を聞くと「届きそうで届かない…何か消えてしまいそうな不安定さは彼女にしか出せない雰囲気だと思います」とヒロインのキャラクターに必要なものだったと語りました。
ヒロインと主演の二人が秘密基地で過ごす場面は青春風景そのもの。その空気感をどのように撮影したのか質問すると岩屋監督は「動きだけ決めて、何も言わずに、はい、本番ってカメラマンさんにも自由にしてもらって、かれこれ30分くらいずっと回していました」と述べ、「カットを掛けたくないくらい、(劇中の)3人が救われているような感じでした。撮影最終日で自由にやっていましたね」と心が動いたと明かしました。秘密基地には幾枚かの絵があり、万理華さんと、カメラマンの池田さん、岩屋監督の絵が紛れているそうです。キャストやスタッフの一体感が秘密基地のシーンに溶け込み、青春感が醸されているのかもしれません。
出演する俳優陣のキャスティングも、映画『オアシス』の魅力の一つです。清水さん、高杉さん、伊藤さんの少年・少女期を演じる役者と本人の佇まいがそっくりで違和感がありません。岩屋監督は「狙ったわけではないのですが、骨格が似ていると声も似ているのかな。現場で、録音部の方と”3人の声いいですね”と言った記憶があります」と微笑みました。
強烈に非道な役を演じた青柳翔さんは岩屋監督が「家族みたいな感じです」と話すほど親密な仲で、今回は友情出演です。青柳さんの熱演に「すげえ嫌な奴、っていうのは最高の誉め言葉だと思います」と称賛。青柳さんの父親役:ヤクザの組長を演じる小木茂光さんについて伺うと「衣装合わせの時、撮った写真が並んでいるのを見て、小木さんと青柳さんのシルエットが似ていることに気が付きました」と言い、「青柳さんも『俺って将来こうなるのかぁ』と小木さんの写真をみてました」と裏話を明かしました。岩屋監督の図らずともピッタリの配役を引き寄せる力は才能なのかもしれません。岩屋監督が自分の撮りたいものを目いっぱい詰め込んだ長編デビュー映画『オアシス』をぜひ劇場でごらんください。
作品概要
2024年11月15日(金)ミッドランドスクエアシネマほか全国公開
出演:清水尋也 高杉真宙 伊藤万理華 松浦慎一郎 杏花 林裕太 /青柳翔(友情出演) 津田寛治 窪塚俊介 /小木茂光
監督・脚本:岩屋拓郎
製作:藤本款 前信介 直井卓俊
プロデューサー:前信介
共同プロデューサー:秋山智則 直井卓俊
アソシエイトプロデューサー:小宮誠
撮影:池田直矢
音楽:池永正二
劇中音楽:hokuto
製作:「オアシス」製作委員会 製作幹事:クロックワークス
共同幹事・制作プロダクション:グラスゴー15
配給・宣伝:SPOTTED PRODUCTIONS
©2024『オアシス』製作委員会
公式 HP: http://oasis–movie.com/
公式 X:@OASIS_MOVIE2024
(R15+)