「東京じゃ絶対できない」撮影を振り返る 岡田准一さん、綾野剛さん、藤井道人監督が“名古屋まで行く”映画『最後まで行く』舞台挨拶
5月19日(金)より公開中の映画『最後まで行く』は岡田准一さん演じる刑事・工藤と綾野剛さん演じる県警本部のエリート監察官・矢崎が繰り広げる96時間の逃走劇で、藤井道人さんが監督をつとめています。予測不可能な展開は手に汗握らずにはいられない作品で、公開からまもなく2週間、ノンストップエンタテインメントの面白さが大きな話題となっています。映画『最後まで行く』は東海地方(愛知、三重、岐阜の各所)で撮影が行われていて、「岡田准一&綾野剛が〇〇まで行くキャンペーン」と題し、岡田准一さんと綾野剛さんに来て欲しい場所を募集した結果、「名古屋&岐阜に行く」ことが決定しました。
名古屋駅前のミッドランドスクエアシネマでの映画の上映後に岡田准一さん、綾野剛さん、藤井道人監督が登場し、ロケ地である東海地区での思い出をたくさん話してくれました。藤井監督の話に興味津々の様子の岡田さんと綾野さん、寒い時期の撮影で「〇〇がなかったら最後まで行け(撮影でき)なかった」話や綾野さんの“やりすぎでテイク2”となったシーンのエピソードなど、公開後&上映後だからこそできる様々なトークが繰り広げられた舞台挨拶の様子をご紹介します。(取材日:2023年5月30日)
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東海地方でのロケを振り返る「東京じゃ絶対できない」「撮影に優しいのはありがたい」
岡田准一さんは上映後の観客の笑顔をみて嬉しそうな表情を浮かべながら「こうして皆さんに挨拶できることを嬉しく思ってます!僕は先ほど、みんなと一緒にひつまぶしを食べたので、元気いっぱいです!」と元気に挨拶。東海地方オールロケの映画として、名古屋で話題になっている本作、綾野剛さんは「見たことがある景色もあったのでは?」と問いかけながら「ロケ地でもある愛知・名古屋に戻って来られてとても嬉しいです」と伝えました。また藤井監督は「撮影のときはたくさん愛知県の皆様にご協力していただいて、たくさん魅力的なシーンを撮ることができました!今日はこうやって皆さんに面と向かってお礼を言えて本当にうれしいです!」と名古屋での舞台挨拶を喜んでいました。
今回の舞台挨拶が決定した経緯について、司会者から「岡田准一&綾野剛が〇〇まで行く」という企画を行ったところロケ地である東海地方から多くの応募があったことが紹介されると、岡田さんが「撮影のことも思い出しますし、地元に帰ってきたみたいな感じでとても嬉しいです」と話しました。岡田さんが名古屋・愛知での撮影に決めた理由を尋ねると藤井監督が「埃のある工場地帯と矢崎がいる都心の両方がある場所を探していたところ東海地区を紹介してもらって、三重の工場地帯と愛知の都心をあわせて使いました」と答えました。
東海地区での撮影について「道を封鎖したり、橋を貸し切ったり、結構ありましたよね」と岡田さん。綾野さんが「しん、しん、しん・・・」と新舞子ファインブリッジの名前がなかなか出てこない可愛らしい一面も見せながら、岡田さんは「検問所のシーンも封鎖して撮影させてくれて、東京じゃ絶対できないので、撮影に優しいのはありがたいですね」と東海地区での撮影の感想を話してくれました。
綾野さんが「あと墓場もそうですよね」と切り出し、岡田さんが「墓場は監督が見つけてきたんですよね?」と質問。藤井監督が「はい。ググって!」と答えると会場に笑いが起こり、岡田さんと綾野さんが2人して「どういうこと??」と食い気味で聞き「“愛知”“お墓”“変わってる”って(検索)したら出てきて、ここ凄くない?って思って許可を取ってもらったんですよ」と答えました。「“変わってる”って入れたんですか?」と藤井監督の検索ワードに興味深々の様子の2人が撮影が行われた愛知県豊田市の妙楽寺について「すごくいい場所でしたよね~」と感想を伝える中、藤井監督が「あそこは無縁仏というか、もう使わなくなったお墓を置いているんです」と異様な雰囲気のあるロケ地を説明しました。
“ヨーイ!マジック”で震えを止められる岡田准一さんと綾野剛さん 世界の山で戦えるインナーがなかったら「最後まで行けなかった」
岡田さんと綾野さんが「すごく寒かった記憶があります」「雪もめっちゃ降っていました」などと撮影が行われた2022年1月~2月を振り返り、藤井監督が「クランクインして5日間くらい、岡田さんはずっとずぶ濡れで撮影していました」と話すと岡田さんが「1月の深夜5日間、朝まで連日ずぶ濡れの気持ち、わかりますか?」と観客を笑わせました。
岡田さんと綾野さんは“衣装以外のものを身につけず、できるだけ衣装のままで居たいタイプの俳優”だと話し、岡田さんは「そんな僕らがめちゃくちゃインナーを着こみましたね」と言うと、「僕はもうウエットスーツを着ていました」と綾野さん。過酷な環境での撮影で、あまりの寒さに“命を守る隊です!”というスタッフが出てきたことも伝え、「あまりの寒さに震えているんですが、僕らって“ヨーイ!”って声がかかると震えが止まるんですよ」と言う岡田さんに、綾野さんが「特技ですよね」と被せると、岡田さんは「特技っていうか、“ヨーイ!マジック”っていうのがあって、ヨーイって言われたら(震えを)消せるんですけど結構しんどくて、お墓のシーンは寒すぎて、僕の山の知識をフル活用して、世界のトップの登山家が高山で戦えるインナーを使いました」と話しました。
綾野さんも「めちゃくちゃあったかくて、あれがなかったら最後まで行けませんでしたよね」とインナーのおかげて撮影が最後まで完遂できたことを紹介しました。岡田さんは「過酷は過酷だったんですけど、楽しくて希望がありました」と話し、綾野さんは「特に後半は、いろいろなシーンを撮っていくうちに完成が想像できて、観ている人の楽しんでいる様子が感じられて、早く届けたかったです。そういう気持ちになれる作品ってあまりないので、稀有な時間だったなと思います」と撮影中から作品の面白さに自信があったことを語りました。
綾野剛さんの「感動した」はテイク2だった!「その顔が全シーンを喰っちゃいそうだった」と藤井道人監督
山田真歩さん演じる矢崎の婚約者が手紙を読み綾野さん演じる矢崎が「感動した」と答えるシーンについて、「感動した」というセリフが綾野さんのアドリブだったという話が話題になると「あそこ、実はテイク2なんですよね」と藤井監督。公に話すのはこれが初めてとなるそうですが、テイク1で綾野さんは磯村勇斗さん演じる尾田に対してムカつきすぎて泣きながら「感動した」と言ったそうで、藤井監督は「その顔が全シーンを喰っちゃいそうで、もう少し泣かないでもらって・・・」とテイク2になった経緯を説明。綾野さんが「山田さんの渾身のお芝居が凄くて、織田に対してムカついている涙が違う繋がり方をしたら面白いなとふと思って、イラつきすぎて泣いて、泣きながら感動したって(やりました)」と話すと、岡田さんが「そのバージョンも観てみたかった」と伝えました。綾野さんは「(テイク1は)やりすぎっていうかムードが違ったので(テイク2になりました)。とにかく(監督が)選択できるように、どれを使っていただいてもいいので」と俳優としての姿勢を語りました。
予告編などにもある、岡田さん演じる工藤の目の前で、車にドラム缶が落ちてくるシーンについて綾野さんが「あのドラム缶はどこで見つけてきたんですか?」と気になっていたことを藤井監督に質問すると「美術部に聞いたら、どこかから見つけてきたらしくて」と話すと「作ったわけじゃないんだ」と驚いた様子。岡田さんは「CGじゃなくて、実際にやろうと言うのが凄いですよね。一大イベントとして、落とす部門のスタッフの方の気合や現場の士気が変わってきますし」と当時の様子を振り返り、一発撮りだったことで「みんなが失敗できない状況はヒリヒリしますよね。いろんなプレッシャーがかかるんですよ」と撮影現場の緊張感を伝えました。岡田さんが「どういう気持ちなんですか?」と撮影時の監督の気持ちを訊ねると「ワクワクしていますよ!行け行け行け!早く落とせ~って」と答えた藤井監督。「今日、宣伝部さんにメイキングの動画を渡しておいたので、いつか出るかもしれません」と話していたので、メイキングが見られるのが楽しみですね。
埃に見える何かは“きな粉”の匂い ラストシーンの撮影はクリスマス
映画『最後まで行く』の中で印象的なモチーフとなっているのが“埃(ほこり)”です。藤井監督は「工藤と矢崎が持っているちっぽけな誇り(プライド)が、最後、雪に溶け合って、何もなくというのが元々のイメージにありました」と話し、「僕が思いついてしまったばっかりに、お二人に埃まみれの中で殴り合ってもらったり、ご迷惑をおかけました」と岡田さんと綾野さんにお詫びの気持ちを伝えました。岡田さんが「コロナ禍時代に埃まみれにね」と言いつつ「埃っぽいのを作ってもらっているん全然大丈夫です。はったい粉とか、きな粉の匂いでした」と実際には「埃ではない何か」だったと裏話を披露。綾野さんも「殴り合っている時に“はったい粉”が凄い舞うんですけど、煙の中から出てきた瞬間、准一さんが真っ白いお化けみたいになるんですよ。埃じゃないんですよ。思い出したら笑っちゃいました」と振り返りました。
またコロナ禍で10ヶ月の撮影中断があった本作、撮影が再開されたのは2022年12月。岡田さんが「病院のシーンと最後の橋のシーンを(再開後に)撮影しましたね。10ヶ月くらい空いて、クリスマスの朝に撮影しました」と話すと、藤井監督が「12月24日、25日、26日に初日の出を待ちながら」と当時の状況を説明しました。綾野さんは「24日に雪が降ってしまって、確か准一さんが撮った後にもう撮れなくて、25日にさらに撮影したという感じで、24日も現場には行きましたけど」などと話しているうちにいろいろなことを思い出した様子。岡田さんも24日に撮ったシーンと25日に撮ったシーンの詳細を「世の中、クリスマスな感じの中で撮ってました」と10ヶ月間のブランクがあった撮影再開の様子も話しました。
岡田さんが「まだまだ公開が続いていますので、ぜひ最後までこの作品を観て、愛してもらって、どんどんどんどん広げてもらって、面白かったら面白かったよと、たくさんの人に薦めていただければ嬉しいなと思います」「名古屋・愛知という場所で撮影できて、ここに帰ってこられて、自信が持てる作品を届けられていることを誇りに思います」と観客に想いを伝え、舞台挨拶を締めくくりました。
最後に観客と一緒に写真撮影が行われることになり、客席内の通路に“名”“古”“屋”という3つの文字パネルが置かれ、客席の前に岡田さん、綾野さん、藤井監督の3人が登場。たくさんのカメラの撮影に応える3人の背中を見つめながら、観客は大きく手を振るなどして、撮影に参加していました。
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作品概要
5月19日(金)全国東宝系にて公開
〈ストーリー〉
12月29日。刑事・工藤(岡田准一)は、危篤の母のもとへ急ごうと雨の中で車を飛ばしていた。そのとき、スマートフォンに署長から着信が入り、署内での裏金作りへの関与を問われた直後、妻からの電話で母の死を知らされた彼は動揺し、車の前に現れた男をひいてしまう。工藤は男の死体を車のトランクに入れて葬儀場に向かい、母親ともに焼こうとする。そこへ「お前は人を殺した。知っているぞ」とのメッセージが届く。送信主は県警本部の監察官・矢崎(綾野剛)で、工藤がひいた男と深い関わりがあった。
出演: 岡田准一 綾野剛 広末涼子 磯村勇斗 駿河太郎 山中崇 黒羽麻璃央 駒木根隆介 山田真歩 清水くるみ 杉本哲太/柄本明
監督: 藤井道人
脚本: 平田研也 藤井道人
音楽: 大間々昂
配給:東宝
© 2023映画「最後まで行く」製作委員会