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2022-04-19

「50/50」を脳内再生?映画『死刑にいたる病』阿部サダヲさん、白石和彌監督が名古屋先行上映会舞台挨拶に登壇


 

5月6日に公開となる映画『死刑にいたる病』は阿部サダヲさんと岡田健史さんがダブル主演、『凶悪』『彼女がその名を知らない鳥たち』『孤狼の血』などの白石和彌監督の最新作となる作品で、作家・櫛木理宇さんによる小説が原作です。阿部さんが24人もの若者を殺し、世間を震撼させた稀代の連続殺人事件の犯人・榛村大和を演じ、岡田さんが榛村から依頼され事件を独自に調べることになる大学生・筧井雅也を演じています。榛村の犯行手口や凄惨な殺害描写など、観ていくうちに榛村の恐ろしさにゾクゾクし、先の想像が全くできない物語の展開に引き込まれていく驚愕のサイコサスペンス作品です。

映画『死刑にいたる病』の先行上映が名古屋駅前のミッドランドスクエアシネマで行われ、阿部サダヲさん、白石和彌監督が上映前の舞台挨拶に登壇しました。上映前の舞台挨拶なので、内容に触れすぎないように注意しながら、白石監督が映画化を決めた出来事や岡田さんや岩田剛典さん、中山美穂さんなどの出演者について、撮影中のエピソードを話してくれました。2017年公開の映画『彼女がその名を知らない鳥たち』以来の白石和彌監督作品への出演となった阿部さんは、白石監督作品に出演していた松坂桃李さんや竹野内豊さんに対して複雑な思いだったことを明かしたり、阿部さんが中山さんとの共演シーンで「50/50」を脳内再生していたことや緊張からか「やっと会えたね」と言いそうになっていたことなど、たくさんの笑いを交えながら繰り広げられた舞台挨拶の様子をご紹介します。(取材日:2022年4月16日)

阿部サダヲさんが松坂桃李さんや竹野内豊さんへの嫉妬心?を吐露

映画『死刑にいたる病』の先行上映会が名古屋駅前のミッドランドスクエアシネマで行われ、上映前の舞台挨拶に阿部サダヲさん、白石和彌監督が登壇しました。映画を楽しみにしている満員の観客の大きな拍手に迎えられた阿部さんは「こんにちは!阿部サダヲです。天気の良い日に集まっていただいてうれしいです」と挨拶し、声を出すことができない観客が手を振っているのに気が付き、大きく手を振り返して応えていました。

白石監督は原作の印象について「榛村大和という連続殺人鬼の造形が本当に面白くて、物語もどこに行くのか全然わからない小説で、これをなんとか映画化したいと思いました」と明かしました。さらに白石監督は『彼女がその名を知らない鳥たち』で阿部さんに「5分前に人を殺してきた目で見てくださいという演出をした」と話し「その時の目が本当に人を殺しているなと思った」「阿部さんが暗い目をしている瞬間が記憶にこびりついていて、あの目の榛村大和をもう1回見たい、阿部さんともう1回仕事をしたいというのがこの映画を作る原動力です」と力強く語りました。

「5分前に人を殺してきた目」という演出について阿部さんは「わからないですよね~5分前に人を殺した人ってどんな人なんだろうって悩んでいた顔なんでしょうね。それで死んだ目のようになっていたのかもしれませんね」と笑いながら振り返りました。また連続殺人鬼役のオファーについて「なかなかこんなオファー来ないじゃないですか!役者だったら、一度は手を出してみるべきなんじゃないかと思いました」と挑戦する気持ちだったことを明かしました。阿部さんが演じた連続殺人鬼・榛村大和は昼前は人当たりの良いパン屋の主人、夜になると狙いを定めたターゲットを殺していきます。白石監督は「パンを作っているのと同じ感じで人を殺します。普段はすごくいい人で、優しくて、人の感情にも無頓着じゃなくて、たまたまそういうことをしちゃうのが残念な人。人を魅了する力もあって、殺人さえ犯さなければ、まあまあ阿部さんに近いっていうか」と榛村大和というキャラクターについて話しました。

白石監督の作品への出演が2017年公開の『彼女がその名を知らない鳥たち』以来となる阿部さんは「白石監督とまたご一緒したい!と思っていました」と話し「(白石監督は)毎年すごい本数撮っていて、全部観てますよ。『孤狼の血』に松坂桃李が出てるのに、竹野内豊も出てるのに…」と自身の出演がないことを気にしていた様子で「松坂桃李はチェックしますよ!」とも発言して、会場を沸かせていました。

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岡田健史さん、岩田剛典さん、中山美穂さんとの共演エピソード 「50/50」が脳内再生?

映画『死刑にいたる病』は阿部サダヲさんと岡田健史さんがダブル主演していて、阿部さんが24人もの若者を殺し、世間を震撼させた稀代の連続殺人事件の犯人・榛村大和を演じ、岡田さんが彼から依頼され事件を独自に調べることになる大学生・筧井雅也を演じています。阿部さんは岡田さんとの共演シーンの感想として「面白かったですね。面会室のシーンがほぼですが、いい役者さんです。面会室に来るたびに面白い芝居をするんですよ」と話し、客席の観客に対して「岡田君と一緒の気持ちになって(映画を)観てもらうといいと思います。今日、(名古屋に)来られないのが残念だと言っていました」と教えてくれました。白石監督は「岡田さんはまっすぐで曲がったことが大嫌いで、この映画で監督は何をやりたいんですか?ってこっちに来る目をしていたので、その2人が対峙している画を取るだけで、イコール映画であるという感じがしたので、岡田さんで大正解だったというか。ぐいぐい来ますよ!あの目で。本当に熱い心を持っていて、素敵な人ですし、誰よりも芝居のことを考えています。あの若さですごいと思います」と役者としての姿勢を絶賛していました。

謎の男を演じた岩田剛典さんと初共演だったという阿部さんは「すごく可愛らしい顔立ちのイメージだったのですが、この映画は違いましたね。最初に現場に行った時に、岩田さんだとわからなかったです。それだけ、印象が違うと思います」と説明。白石監督も「岩田さんは意図を説明すれば、なんでもやってくれました」「多くしゃべらなくても表現できる肉体性ですよね。映画の中ではスター感を自在に消せる」と普段とは全く異なる雰囲気のキャラクターを演じていたため、ロケ中も気が付かないギャラリーがほとんどだったことを明かしました。阿部さんは撮影時の様子を振り返り「言いたかったですよ!岩田剛典だぞって」と茶目っ気を披露しました。

岡田さん演じる雅也の母親役で出演している中山美穂さんについて、阿部さんは「僕は小さい時から観ていたので、そういう方と一緒に出られるのはうれしくて。『(毎度)おさわがせします』ですから、お騒がせされました」と中山さんのドラマデビュー作の名前を挙げて共演した心境を明かしました。さらに阿部さんは「ずっと頭の中を回っていましたよ。(中山美穂さんの)曲が」と話すと、白石監督が驚いた様子で「ちなみに、なんの曲ですか?」と質問。阿部さんは「50/50(フィフティー・フィフティー)です」と答え、観客の笑いを誘っていました。阿部さんは「(共演シーンは)すごいシーンなんですよね。(曲が頭を回っていたのは)待ち時間とかにですよ」と実際の撮影中のエピソードではないと補足していました。白石監督は「阿部さんと同じで(中山さんは)僕にとってアイドルでしたし、いつかチャンスがあればと思っていました。筧井家のシーンは謎の緊張感があって、ぞくぞくしていました。こんな親子の会話は一生、撮ることはないだろうなと思っています。ぜひ注目して観てほしいです」とアピールしました。

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「緊張していると余計なことを喋っちゃうんですよ」「『やっと会えたね』って言いたかった」

パン屋と殺人鬼という2面性のある榛村大和を演じた阿部さんは自分自身の二面性を聞かれると「普段はほとんど喋らないですね」と答えました。白石監督も「阿部さんは普段は無口で、何かを考えているのか。時々ニヤニヤしていて、携帯を見ているわけでもないし」と舞台挨拶で楽しいトークをしている阿部さんとのギャップを教えてくれました。阿部さんは「リラックスしているから喋らないんです。緊張しているときはベラベラ喋るんです」とよく喋るときは緊張していることを明かしました。阿部さんは「中山美穂さんに会ったときにも、最初『やっと会えたね』って言いたかったですよ。シャルルドゴール空港のね、あれ言いたかったですよ」と言ったり、司会者とのやり取りの中で「殺しちゃいますよ」と言ったり、冗談とも本気ともつかなようなトークを披露。阿部さんは「緊張していると余計なことを喋っちゃうんですよ」と今も緊張しているのかもしれない、意外な一面が垣間見えた瞬間でした。

舞台挨拶中のトークで笑いが起きると、阿部さんは「今、笑っておいたほうがいいですよ」とこのあと上映される映画『死刑にいたる病』は決して笑える内容ではないことをアピール。「映画としてストーリーがすごく面白いので、怖いとかもあるかもしれませんが、すごく考えさせられる映画です。今、お昼ですが、今日1日は僕のことを忘れないでほしいな。どこかで見ているかもしれませんよ」と含みのあるコメントで舞台挨拶を締めくくりました。

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作品詳細

映画『死刑にいたる病』

5月6日(金) ミッドランドスクエア シネマ ほか にてロードショー

理想とは程遠いランクの大学に通い、鬱屈した日々を送る雅也(岡田健史)の元にある日届いた1通の手紙。それは世間を震撼させた稀代の連続殺人事件の犯人・榛村(阿部サダヲ)からのものだった。24件の殺人容疑で逮捕され、そのうちの最後の事件で立件・起訴、死刑判決を受けた榛村は、犯行を行っていた当時、雅也の地元でパン屋を営んでおり、中学生だった雅也もよくそこに通っていた。「罪は認めるが、最後の事件は冤罪だ。犯人は他にいることを証明してほしい」。榛村の願いを聞き入れ、雅也は事件を独自に調べ始める。そこには想像を超える残酷な事件の真相があった――

出演:阿部サダヲ 岡田健史 岩田剛典 宮﨑優 鈴木卓爾 佐藤玲 赤ペン瀧川 大下ヒロト 吉澤健 音尾琢真 中山美穂

監督:白石和彌

脚本:高田亮

原作: 櫛木理宇「死刑にいたる病」(ハヤカワ文庫刊)

配給:クロックワークス

©2022 映画「死刑にいたる病」製作委員会

HP:siy-movie.com

twitter:@SIYmovie


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