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2022-12-13

今泉力哉監督がたくさんのエピソードを語る 名古屋・シネマスコーレで映画『アイネクライネナハトムジーク』トークショー


 

12月10日(土)から16日(金)まで名古屋駅西口にあるミニシアター・シネマスコーレで2019年公開の映画『アイネクライネナハトムジーク』が1週間限定で上映されます。映画『アイネクライネナハトムジーク』は三浦春馬さん演じる主人公「佐藤」の偶然の出会いから始まる10年越しのラブストーリーを中心とした「出会い」をテーマにした群像劇。伊坂幸太郎さんと斉藤和義さんとの交流から生まれたの連作短編集が原作です。

初日と2日目に今泉力哉監督による舞台挨拶とトークショーが開催されました。スコーレインディーズスペースで行われたトークショーは「『アイネクライネナハトムジーク』と今泉力哉の世界」と「今泉力哉と映画と恋愛について」の2回があり、1回目のトークショーの様子を取材しました。シネマスコーレ副支配人の坪井篤史さんが今泉監督と約1時間にわたり様々なトークを繰り広げ、改めて映画『アイネクライネナハトムジーク』を観たくなるエピソードをたくさん披露してくれました。お客様からの質問にも答え、ここだけの話も飛び出すなど、ミニシアターだからこそ実現できる特別な時間となったトークショーの一部分をご紹介します。(取材日:2022年12月10日)

トークショーも舞台挨拶も満席に!映画『アイネクライネナハトムジーク』上映は12/16(金)まで!

名古屋駅西口にあるシネマスコーレは、1983年にオープンした座席数51席のミニシアターで、アジア映画やインディーズ映画などを中心に上映し、映画の作り手と観客の交流の場として舞台挨拶やトークショー、サイン会などを積極的に行っています。シネマスコーレの2階に2022年1月にオープンしたスコーレインディーズスペースは観客の休憩スペースや映画トークショーのイベントスペースとして活用されています。

シネマスコーレ2階にオープンした「スコーレインディースペース」待合利用やトークイベント会場に

シネマスコーレで12月10日(土)から16日(金)まで映画『アイネクライネナハトムジーク』が上映され、12月10日に行われた「『アイネクライネナハトムジーク』と今泉力哉の世界」と「今泉力哉と映画と恋愛について」の2回のトークショー、12月10日と11日の舞台挨拶付き上映はすべてが満席となりました。

シネマスコーレには映画の上映と今泉力哉監督のトークを楽しみに多くのお客さんが来場していました。1回目のトークショーは今泉監督が予定時間までに会場に到着できないハプニングもありましたが、シネマスコーレ副支配人の坪井篤史さんが今泉監督と約1時間にわたり様々なトークを繰り広げたり、お客様からの質問にも答えてくれました。

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今泉力哉監督が語る『アイネクライネナハトムジーク』の思い出

トークショーの中で今泉監督は映画『アイネクライネナハトムジーク』の撮影が2018年4月~5月だったことを振り返り、撮影の3年程前、小説が発表される前から映画化に向けて準備が始まっていたことを明かしました。後々できあがった原作は、小説でしかできない映像化が難しいものだったと言い、映画について「映画オリジナルの小説にはない時間もあります」と話しました。

今泉監督は「男前でイケメンなことができるだけじゃない、真面目や器用じゃない感じがしていて」と三浦さんの印象を話し、衣装合わせで三浦さんに会った時について「この役を簡単な役じゃなくて、普通のことを演じるのは難しい、下の名前がないことの話も向こうからしてくれて、もう大丈夫かなという気がしました」と振り返りました。キャスティングについて三浦さん以外にも候補がいたことを明かしながら「三浦さんにやってもらえてよかった」と話しました。

三浦さんのクランクインのシーンを問われた今泉監督はなかなか思い出せない様子で「三浦さんのクランクインは会社か家か、ちょっとだけ落ち着いてから駅前のシーンを撮影したことは覚えています」と答えました。さらに駅前のシーンの撮影について「たくさんの人を止めてエキストラを呼んで協力していたいだいたんですけど、ハプニングが起きまくって、地下鉄が止まったり、イベントもあって、路上に人が溢れかえって…」と予定よりも撮影に時間がかかったことを思い出し「22時とか23時とか時間ごとに商業施設の照明が消えていくんですよ」と苦労が多かったことを教えてくれました。

映画を観て確認したくなるたくさんのエピソードを披露

今泉監督は佐藤の同級生役で出演していた矢本悠馬さんについて成田凌さんから「矢本悠馬という天才がいる」と紹介してもらったと話しました。伊坂さんの原作にはキザなセリフが多く出てくるのですが、今泉監督はキザなセリフを言わせるキャラクターを絞るようにしていたことを話し「矢本が自由演技で、最初の頃は三浦さんも矢本に引っ張られちゃっている感じがあって」と裏話を披露しながら「そうめんを食べているシーンとかは芝居が大きくなっちゃっているところもあったけど、次第に馴染んで、三浦さんが落ち着いてきましたね」と撮影時の三浦さんの変化を明かしました。

プロポーズのシーンで佐藤が指輪の箱を開ける際に箱の向きを間違えてしまったことについて「脚本にはなくて現場でテストのときに三浦さんがああしたんですよ。佐藤っぽいなと思って、本番でもやってもらったんです」と言い、三浦さんが天然で間違えたのかもしれないと話しました。「ただこれ、わからないんです」と俳優さんと後々話すと「テストや段取りのときからわざとやっていました」と言われて役者さんのすごさを感じることもあるそうですが「(三浦さんの)あれは多分、失敗していて」と推察していました。今泉監督は佐藤を情けなくしていく意識があったと言い、三浦さんに自身の過去の告白エピソードを伝えていたそうで「(三浦さんが)姿勢が悪くて言い淀んでいる」のはそれを真似たのかもしれないなど、ここだけでしか聞けない話もたくさんありました。今泉監督はこの後、お客さんが映画を観る際にそのシーンで自身の告白エピソードが思い出されてしまうことを危惧していました。

終盤のバスを降りた後に多部さんと三浦さんが向き合って話すシーンについて「三浦さんにもっともっと多部さんを使ったほうがいいですよと話しました」と言い、三浦さんがその後「相手を使ってって言われたことで、その後の作品にも生かせるアドバイスをもらった」と話していたことを喜んでいる様子で「真っ直ぐで素直」と三浦さんの性格を話していました。DVD等のメイキングにも入っているラストシーンで三浦さんと多部さんが「ただいま」「おかえり」を交わし合う部分について「俺が頭を抱えていて、ここで終われるじゃんって」と良いシーンが撮影できたことを「少し前にバスのシーンを撮っていたので、明確に相手のことを受けて出ていたので、それは嬉しかったですね」と振り返りました。

原作にはない「今」という視点にこだわった 映画『アイネクライネナハトムジーク』今泉力哉監督に名古屋でインタビュー

「男前を落とせなかった演出ミスです(笑)」

今泉監督は衣装合わせの際の三浦さんが金髪だったことを振り返り「(撮影では)髪型を短くして、この作品のトーンをわかってくれて、かっこ良くなり過ぎないようにしてくれていました」と話しました。さらに「公開の時期は坊主になってて、カツラを被って取材を受けてくれていて」と作品を届けることを真剣に考えていてくれたと話しました。完成した映画を観た三浦さんが『面白かったけど、どう届けるかですね』と言っていたことを明かし「出会った時もそうだし、完成した時もそうだし、どう届けるかを考えていてくれたことを覚えていますね。この作品は三浦さん自身も気に入ってくれていたんだと思います」と語りました。

佐藤がかっこ良くなり過ぎないように注意していたという三浦さんですが、今泉監督は「夏服っぽい感じで、会社で原田さんに話しかけているシーンの三浦さんがなんでこんなに男前なんだと、あれはミスです。男前を落とせなかった。演出ミスです。超イケメンでした」と話すと会場から大きな笑いが起きていました。今泉監督は自身の演出方法について「自分が考えている正解よりも面白くなる可能性があるので、一度、現場に役者さんにお任せしています」と話しました。三浦さんも映画『アイネクライネナハトムジーク』でのお芝居を楽しんでいたのではないかと坪井さんも話していました。

シネマスコーレ

Address:名古屋市中村区椿町8-12 アートビル1階

名古屋市中村区椿町8-12

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作品概要

映画『アイネクライネナハトムジーク』

原作:伊坂幸太郎「アイネクライネナハトムジーク」(幻冬舎文庫)

監督:今泉力哉

出演:三浦春馬、多部未華子、矢本悠馬、森絵梨佳、恒松祐里、萩原利久、成田瑛基、八木優希、こだまたいち、MEGUMI、柳憂怜、濱田マリ、藤原季節、中川翼、祷キララ、伊達みきお、 富澤たけし、貫地谷しほり、原田泰造
主題歌 斉藤和義「小さな夜」

©2019「アイネクライネナハトムジーク」製作委員会


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