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2021-05-27

「悲しいだけの映画ではない」映画『名も無い日』日比遊一監督、岡崎紗絵さんイオンモール熱田でトークショーとインタビュー


 

5月28日に東海3県(愛知・岐阜・三重)先行で公開となる映画『名も無い日』は、名古屋市熱田区を舞台に3兄弟に降りかかった運命を描いたヒューマンドラマです。3兄弟役の永瀬正敏さん、オダギリジョーさん、金子ノブアキさん、そのほか豪華キャストが名古屋弁で演じていおり、名古屋出身の岡崎紗絵さんが3兄弟のはとこ役で出演しています。撮影から公開まで3年、コロナ禍のさまざまな影響を乗り越えて、ようやく公開を迎えます。日比遊一監督の出身地であり、映画の撮影が行われた熱田区内にあるイオンモール熱田で日比監督と岡崎さんのトークショーが開催されました。

イベント後にはインタビューにも応じてくれ、永瀬さんや岡崎さんの様子や撮影現場の雰囲気、名古屋での撮影が必要だった理由についてなどを話してくれました。(取材日:2021年5月17日)

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「すごく勉強になりました」名古屋出身の岡崎紗絵さんは撮影のない日も見学

映画『名も無い日』は名古屋熱田区に生まれ育った日比遊一監督の実体験をもとにつくられた自伝的な作品で3兄弟の運命を切なく描いています。日比監督がモデルとなっている3兄弟の長男はカメラマンとしてニューヨークで暮らして25年、夢やキャリアを追い写真家としての日々を過ごしていましたが、次男の訃報を聞き、名古屋の実家に戻ります。次男の身に何が起きたのか痕跡を辿りながら家族との向き合い方について考える今こそ観て欲しいヒューマンドラマです。永瀬正敏さん、オダギリジョーさん、金子ノブアキさん、今井美樹さん、真木よう子さんなど名だたる俳優陣が出演しています。名古屋出身でドラマや映画で活躍中の岡崎紗絵さんは3兄弟のはとこ役にオーディでションで選ばれました。

イオンモール熱田の1階に作られた特設コーナーで行われたトークショーはCBCの元アナウンサーである小堀勝啓さんが司会をつとめ、日比監督と岡崎さんが登壇し、集まったお客さんを前に映画の魅力をたっぷりと話していました。日比監督は岡崎さんについて「名古屋出身だから選んだわけではありません!迷いなく彼女がいいなと思いました。スケジュールが合わないと言われたけど、忘れられずに事務所に3回くらい出演のお願いをしました」と岡崎さん以外に考えられなかった強い想いを打ち明け、日比監督の告白に岡崎さんは「知らなかった!」と驚きの表情を見せました。トークショーでは岡崎さんの父親と日比監督が同年代で同じ小学校出身であることが明らかになるなど、熱田にまつわるトークもあり、和気藹々とした様子でした。

岡崎さんが演じた役は重い雰囲気の劇中で明るさや希望を感じさせてくれるような存在で、イベント後のインタビューで日比監督は「彼女の持つ魂みたいなものをオーディションで感じていましたし、現場でも良くやってくれました」と岡崎さんを絶賛していました。岡崎さんは「名だたる俳優の方々とご一緒させていただいて、近くで(お芝居を)見られたというのは貴重ですし、すごく勉強になりました」と目を輝かせて語り、自身の撮影がない日も現場を訪れていたと明かしました。日比監督も「ものすごく貪欲に、毎日来ていたよね」と岡崎さんの勉強熱心な様子に感心した様子で「岡崎さんには僕の次の作品にも出て欲しいな」と話していました。

「地元への思い入れをこめた作品」ご当地映画ではない

映画『名も無い日』は日比監督が「弟の孤独死」を実際に体験したことで生まれた作品です。日比監督は「今まで自分のことだけを考えて生きてきました。弟の死を聞いて地元に帰ってきて弟の生活を知って罪悪感に苛まれました。弟に宛てた手紙など走り書きをしながら自分の根底にあるものと向き合いました」と地元に目を向け始めた経緯を話してくれました。撮影場所について考えた際に「思い入れのある熱田神宮、堀川、平和公園で撮影をする必要があって、明治神宮、神田川、青山墓地ではないのです」と実際の実家を含めて名古屋市熱田区が中心となったことを明かしました。

映画『名も無い日』はどのシーンも構図が美しくて印象に残るものが多く、カメラマンとしても活躍している日比監督ならではの魅力的な作品です。名古屋に暮らしている人でも観たことのない平和公園、熱田神宮、尚武祭など、日比監督の手によって映し出された名古屋は映画に必要な要素であり、観光名所としての名古屋は登場しません。日比監督も「ご当地映画にしようとは考えていませんでした」と話していました。

映画を観て驚くのは、出演者の名古屋弁がとても自然なことです。名古屋弁について岡崎さんは19歳まで名古屋で過ごしていたので、あまり苦労はなかったそうです。しかし愛知県出身でも三河地方生まれの大久保佳代子さんはイントネーションの違いに苦労しているようだったと日比監督がインタビューで教えてくれました。出演者の方々は地元の言葉が本作にとって大切であることを理解していて、各自で名古屋弁を練習して撮影にのぞんでくれたそうです。豪華キャストが話すナチュラルな名古屋弁をぜひ劇場でお聞きください。誰の名古屋弁が心地よいかを聞き比べるのも一興です。

「泣くシーンが全て美しい」泣くことには“清める”意味も

日比監督は「人間は“この世に生きて死んでいく”という共通項があります。大切な人を亡くすのは自分にとっては喪失。そういったプロセスが自分の中で一本の幹になってストーリになって、今回のプロジェクトに繋がりました」と映画化へのいきさつを語りました。また自身と弟とのやり取りを、永瀬さんとオダギリさんが演じる時などは感情移入しすぎないように踏ん張ってきたことも打ち明け、現場で苦しい気持ちを抱えていたことを感じさせました。日比監督がモデルとなっている長男の達也を演じた永瀬さんについて「たくさんの映画の経験があり、本番での集中力がすごいです。小野達也という役が細胞に入っていくみたいに変わるんです」と彼の素晴らしさを称えました。日比監督はアメリカでの生活が長く、日本の俳優をあまり知らなかったそうで、その人の佇まいや声を参考にしてキャスティングをしたそうです。

日比監督は「出演者の皆さんの泣くシーンが、全て美しいんです。泣くって否定的な意味もあるけれど“清める”という意味もあると思います。悲しいだけの映画ではないと思います」という熱く語りました。トークショーの最後で日比監督は「5月28日に公開を決めたのは、熱田神宮の尚武祭がこの時期に行われるからです」と話しました。昨年に続き、今年も熱田まつり(尚武祭)は花火・献灯まきわらなどの神賑奉納行事、露店が中止となっています。だからこそ日比監督は作品の中にある「尚武祭」を見て欲しいという熱い想いを持っていて、「映画を通して祭りの幻想的な目に見えないエネルギーを感じて貰って、愛が届くようなものとして感じてくれたら」と優しく語りました。

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【作品概要】

映画『名も無い日』

5月28日(金)より東海3県(愛知・岐阜・三重)先行で公開

6月11日(金)より全国公開

監督・企画・製作:日比遊一

出演:永瀬正敏、オダギリジョー、金子ノブアキ、今井美樹、 真木よう子、藤真利子、岡崎紗絵、井上順、中野英雄、大久保佳代子、木内みどり、草村礼子

配給:イオンエンターテイメント、ジジックス・スタジオ

©2021「名も無い日」製作委員会


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