名古屋・椙山女学園大で映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』イベント 原作者汐見夏衛先生・西麻美プロデューサーがトーク
12月8日(金)より全国公開となる映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』はSNSを中心に話題を集め、累計発行部数60万部を突破した汐見夏衛さんによるベストセラー同名小説を原作に福原遥さんと水上恒司さんによるダブル主演で映画化した作品です。戦時中の日本にタイムスリップした女子高生・百合と特攻隊員の彰を中心に「命の大切さ」や「相手を愛しく思う気持ち」をテーマに、時空を超えた恋を描いた切ないラブストーリーです。
愛知県名古屋市にある椙山女学園大学で映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』トーク付特別試写会イベントが行われ、愛知県在住で元高校教師の原作者・汐見夏衛先生と西麻美プロデューサーが登場しました。椙山女学園大学・国際コミュニケーション学部の高橋麻織准教授が様々な質問を投げかけ、制作秘話などが披露されました。(取材日:2023年12月1日)
新着情報
映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』原作者の汐見夏衛先生が椙山女学園大学でトーク
映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』は愛知県在住の元高校教師・汐見夏衛さんによるベストセラー同名小説が原作で、NHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」を始め主演作が相次ぐ福原遥さんとTBSドラマ「中学聖日記」での鮮烈なデビュー後、話題作への出演が続く水上恒司さんがダブル主演しています。福原さんは現代から戦時中の日本にタイムスリップし、そこで出会った特攻隊員・彰に恋をする女子高生・加納百合を演じ、水上さんは百合と出会い、自由にものを言う姿に驚きながらも惹かれていく、特攻隊員・佐久間彰を演じています。
https://www.youtube.com/watch?v=op-4vT2s6Ok
公開1週間前に名古屋市内の椙山女学園大学で映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』トーク付特別試写会イベントが行われ、映画の上映前に愛知県在住で元高校教師の原作者・汐見夏衛先生と西麻美プロデューサーが登場し、同大学・国際コミュニケーション学部の高橋麻織准教授とトークを繰り広げました。一足早く、映画を鑑賞したという高橋教授が映画の感想として、俳優の演技と百合の花の映像が印象的だったと伝えました。原作小説を執筆したきっかけを聞くと、汐見先生は高校の国語教師をしていた時に教材として戦時中の話を扱ったことを振り返り「若い子たちにとって戦争の話は“遠い時代の話”“教科書の中の話”になっている」と感じたことや「怖くて目を背けたくなる」という子の気持ちも理解できるとし「小説という形でフィクションにすれば、今の若い子にとっても読みやすく、心に入っていきやすいんじゃないか」と考えて戦争の時代をテーマにした小説を書いたことを明かしました。
映画化のきっかけを聞かれた西プロデューサーは夏休みに長崎に住む祖父母の家に行った際に戦時中の話を聞いたり、戦争映画を観ていた祖父の影響を受けたことを話し「いつか自分が思う戦争映画を作りたいと思っていました」と話し、3年半前に汐見先生の小説と出会ったことを教えてくれました。
高橋准教授から『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』の「現代の女子高校生が戦時中の日本へ迷い込んでしまうという設定」の意図を聞かれると、汐見先生は「若い子たちに知ってほしいという思いがあったのですが、戦時中の10代の女の子を主人公にした話」では読んでもらいにくいと感じていたようで「現代の少女が過去を知るという形であれば、ちょっと読んでみようかなと思ってもらえるんじゃないかと」と話しました。また、汐見先生が小中学生が主なユーザーである小説サイトで執筆をしていたことから、少女漫画的な世界観の作品が多く、恋愛ものが望まれていたことから「現代の女の子が戦時中という時代・場所で恋愛をするという形なら、興味を持っていただけるのではないかと考えました」と答えました。
高橋准教授が映画化にあたり原作小説の主人公の設定を女子中学生から女子高校生に変化させている点について質問すると、西プロデューサーが「14歳の女の子と20歳の男の人との恋愛を活字や漫画ではあまり違和感を感じなくても、生身の人が演じる場合には少し違和感を感じるのでは」と考えたことと、“百合役に福原遥さん”という前提があったことも明かし、「汐見先生にご相談の上、高校生にさせていただきました」と答えました。他にも原作からの変更として、百合の父親の存在や死の理由、母親の仕事などもあげ「お父さんの姿が人のために死んでいく特攻隊と少し重なり、百合の「(人を助けても)自分が死んだら意味がない」という怒りに繋がっていくような設定にしました」と話しました。
映画の中で印象的だったシーンとして、高橋准教授が“百合が警官に発言を問い質される場面”への思い入れについて聞くと「ここは絶対入れたいと思っていた場面です」と西プロデューサーが答えました。「現代の常識と、当時の常識がどれほど違うか」ということがポイントだったことを話し「当時の軍国教育で育まれた考え方はその時代では仕方のないもので、国のためを思う気持ちが強い警官と現代の価値観(の違い)で、命をかける戦争を正しいとは考えられない百合が衝突する場面は、その象徴として入れたかったんです」と熱く語りました。
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汐見夏衛先生が撮影現場で福原遥さんに伝えたこと 現場スタッフも泣いてしまうシーンとは?
映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』に出演しているのは、主演の福原遥さん、水上恒司さんに加え、佐久間と同じ隊に所属する隊員役で伊藤健太郎さん、嶋﨑斗亜さん(Lil かんさい/関西ジャニーズJr.)、上川周作さん、小野塚勇人さん(劇団EXILE)などの若手俳優、百合と共に特攻隊員と交流する女学生役の出口夏希さんも出演しています。特攻隊員の面々は故郷に婚約者がいたり、妻や生まれたばかりの子供がいる隊員もいれば、陸軍家系に生まれたことから、家の名誉のため特攻に行くしかないと信じている隊員もいる中で、伊藤さんが演じた佐久間の親友の石丸は死に向かう恐怖を表に出すことなく、いつも底抜けに明るく振る舞っている難しい役どころです。
西プロデューサーは「脚本制作にあたって、役に合った方をキャスティングをしていて、役者さんが決まってから当て書きしたものもあります」と話し、嶋﨑さんが演じた板倉が原作では福岡出身だったのを、大阪出身の嶋﨑さんにあわせて関西弁に直すなどしていたことを明かしました。「伊藤さんはご本人のネアカな部分がよく出ていると思います。ネタバレになるので詳しくは言えませんが、石丸と千代とのシーンは現場スタッフが泣いてしまうくらいは本当に素晴らしくて良いシーンなので、ぜひ楽しみにしていてください」とこれから映画を観る参加者に向けてアピールしました。
汐見先生は「福原さんとは撮影現場で長い間お話をしました」と答え「原作と設定変更されている部分で思い悩んでくださって」と福原さんと過ごした時間を振り返りました。お芝居をしている福原さんを見たという汐見先生は「立っているだけで百合に見えました」と話し、「タイムスリップする前と後で、どれくらい成長して変化しているのかという部分を大切にしていることを伝え、福原さんの演技に何よりも説得力があると思いましたので、思うように演じてくださって大丈夫ですとお伝えしました」と話しました。福原さんが原作も現場に持ち込んで何度も読み返していたことを紹介し「そこまで大事にしていただけるだけで、原作者としては幸せで、そんな風に役作りを考えてくださっていることに感激しました」と述べました。
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作品概要
12月8日(金)全国公開
原作:汐見夏衛『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』(スターツ出版文庫)
主演:福原遥、水上恒司
出演:伊藤健太郎、嶋﨑斗亜、上川周作、小野塚勇人、出口夏希 坪倉由幸、津田寛治、天寿光希、中嶋朋子 / 松坂慶子
主題歌:「想望」福山雅治(アミューズ/Polydor Records)
監督:成田洋一
脚本:山浦雅大 成田洋一
音楽:ノグチリョウ
製作:映画「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」製作委員会
配給:松竹
公式サイト:https://movies.shochiku.co.jp/ano-hana-movie/
公式X: @ano_hana_movie
© 2023映画「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」製作委員会