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2022-05-02

「榛村大和の雰囲気とシンクロする部分」映画『死刑にいたる病』阿部サダヲさん・白石和彌監督に名古屋でインタビュー


 

5月6日に公開となる映画『死刑にいたる病』は阿部サダヲさんと岡田健史さんがダブル主演、『凶悪』『彼女がその名を知らない鳥たち』『孤狼の血』などの白石和彌監督の最新作となる作品で、作家・櫛木理宇さんによる小説が原作です。阿部さんが24人もの若者を殺し、世間を震撼させた稀代の連続殺人事件の犯人・榛村大和を演じ、岡田さんが榛村から依頼され事件を独自に調べることになる大学生・筧井雅也を演じています。榛村の犯行手口や凄惨な殺害描写など、観ていくうちに榛村の恐ろしさにゾクゾクし、先の想像が全くできない物語の展開に引き込まれていく驚愕のサイコサスペンス作品です。

阿部サダヲさん、白石和彌監督が名古屋でインタビューに応じました。得体の知れないシリアルキラーを演じた阿部さんは撮影時の様子や被害者役の若い俳優たち、白石監督の様々なアイディアが盛り込まれた榛村のセリフについて話してくれました。白石監督は凄惨なシーンの撮影が行われた榛村の燻製小屋のセットへのこだわりも教えてもらいました。(取材日:2022年4月16日)

圧迫感のある空間で撮影した凄惨なシーン

映画『死刑にいたる病』で阿部サダヲさんは24人もの若者を殺し、世間を震撼させた稀代の連続殺人事件の犯人・榛村大和を演じています。劇中には榛村の犯行の様子が詳らかに映し出されていて、目を覆いたくなるような凄惨なシーンもあります。白石和彌監督は「こういう描写が好きなわけではないのですが、さじ加減はマヒしています」と笑いながら話し、映像化するにあたって原作から削った部分もあることを明かしました。

阿部さんは撮影中の苦労はさほどなかったそうで「被害者の方のほうが大変だったと思います。いろいろ武器があるんですよ。監督のアイディアが面白いなぁと思って演じていました」と万力、ペンチ、スパナなど様々な武器が用意されていた撮影現場の様子を振り返りました。被害者役の若い俳優たちも撮影を楽しんでいた様子で「『こういう役なかなかできないので、光栄です!』って言いながら楽しんで帰っていきました」と撮影後に記念写真なども撮っていたことを教えてくれました。

榛村が若者たちを殺害する小さな燻製小屋の圧迫感ある雰囲気は、スクリーンを通して囚われた被害者たちの恐怖心を体感させてくれます。白石監督は美術監督の今村力さんから教えてもらったこととして「狭いところを狭く作り込んで、カメラの置き場所にも困りながら撮ることで、ごちゃごちゃした感じが画に映るので、狭い中で撮る方法を日々考えています」と話し、作りこんだ燻製小屋のセットに自信をのぞかせました。

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「BLTOって言ってごらん」白石和彌監督のアイディアが盛り込まれたセリフ

阿部さんは得体の知れないシリアルキラーを演じるにあたって特にプランは立てなかったそうで「普通に見えた方がよくて、オマケで殺しているくらいが良いのかなと思っていました」と話しました。榛村は昼間はパン屋の店主として働き、ターゲットとなる若者と信頼関係を築いた後に犯行に及びます。

「BLTOって言ってごらん」という榛村のセリフは岡田健史さん演じる筧井雅也が中学生の頃にパン屋で言われたものです。犯行に直接関係するセリフではないのですが、何気ない会話やセリフの端々から榛村というキャラクターの恐ろしさを感じたことを伝えると、阿部さんと白石監督は大笑い。元々このセリフは台本にはなかったそうですが、撮影中のハプニングから白石監督が思いついてやってみたそうです。阿部さんは「(榛村と)看守との会話もその場で監督が思いついて、やってみました。リアリティがありますよね」と話し、様々なシーンで白石監督のアイディアが盛り込まれていることを教えてくれました。

白石監督は2017年公開の『彼女がその名を知らない鳥たち』で阿部さんに「5分前に人を殺した目」をして下さい、とお願いして演じてくれた目が忘れられず、本作のオファーをしたそうですが「まあまあいつも、その目をしていました」と本作での阿部さんの様子を明かしました。白石監督は「撮っても撮っても阿部さんを掴み取れない感じは、榛村大和の雰囲気とシンクロする部分があります。それがとんでもない魅力で、いろんな監督が仕事したいと思う理由なのでは」と俳優としての阿部さんの魅力も語りました。

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作品詳細

映画『死刑にいたる病』

5月6日(金) ミッドランドスクエア シネマ ほか にてロードショー

理想とは程遠いランクの大学に通い、鬱屈した日々を送る雅也(岡田健史)の元にある日届いた1通の手紙。それは世間を震撼させた稀代の連続殺人事件の犯人・榛村(阿部サダヲ)からのものだった。24件の殺人容疑で逮捕され、そのうちの最後の事件で立件・起訴、死刑判決を受けた榛村は、犯行を行っていた当時、雅也の地元でパン屋を営んでおり、中学生だった雅也もよくそこに通っていた。「罪は認めるが、最後の事件は冤罪だ。犯人は他にいることを証明してほしい」。榛村の願いを聞き入れ、雅也は事件を独自に調べ始める。そこには想像を超える残酷な事件の真相があった――

出演:阿部サダヲ 岡田健史 岩田剛典 宮﨑優 鈴木卓爾 佐藤玲 赤ペン瀧川 大下ヒロト 吉澤健 音尾琢真 中山美穂

監督:白石和彌

脚本:高田亮

原作: 櫛木理宇「死刑にいたる病」(ハヤカワ文庫刊)

配給:クロックワークス

©2022 映画「死刑にいたる病」製作委員会

HP:siy-movie.com

twitter:@SIYmovie


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