toggle
2023-05-15

「すごく楽しそうに桜と戯れてくれました」映画『はざまに生きる、春』宮沢氷魚さんと葛里華監督にインタビュー


 

5月26日(金)に公開となる映画『はざまに生きる、春』は宮沢氷魚さんが主演し、発達障がいの特性を持つ画家・透と、出版社に勤務する編集者・春の恋模様を描くラブストーリーです。恋をしたときに感じるすれ違いの切なさやもどかしさ、好きな人と分かり合いたいとただ願う気持ちが丁寧に描かれていて、“人を好きになる”ことへの希望に満ちた物語です。宮沢さんが所属するレプロエンタテインメントが募集したプロジェクト“感動シネマアワード”で大賞を受賞し、制作が決定した本作。監督・脚本をつとめたのは本作が商業長編映画デビューとなる葛里華さんです。

公開に先立ち、名古屋でインタビューに応じた宮沢氷魚さんと葛里華監督。プロジェクトへの応募から決定までの経緯や宮沢さんが葛監督の作品を選んだ理由、2人の関係性をうかがわせる様々なエピソードを話してくれました。宮沢さんの高校時代の美術経験や家での掃除や洗濯に関する話、ポスタービジュアルになっている桜のシーンの撮影の様子や編集時に葛監督が感じたことなども教えてくれました。(取材日:2023年4月10日)

「役や作品を愛している人を僕は一番信頼できる」宮沢氷魚さんが葛里華監督の作品を選んだ理由

映画『はざまに生きる、春』は『レジェンド&バタフライ』『エゴイスト』など話題作への出演が続く宮沢氷魚さんが発達障がいの特性を持つ画家・屋内透を演じ、映画『初恋』などの小西桜子さんが空気を読みながら生きてきた編集者・小向春を演じるラブストーリーです。相手の気持ちを汲み取るのが苦手な透に惹かれながらも、彼に振り回されて、思い悩む春。好きな人のことを知りたい、分かり合いたい思う気持ち、相手の気持ちがわからずに不安になる気持ちなどが丁寧に描かれていて、2人の恋の行方を見守りながら“人を好きになる”ことへの希望を感じさせる作品です。

映画『はざまに生きる、春』は “感動シネマアワード”で大賞を受賞し、制作が決定した作品です。葛監督は「『his』を観て、宮沢さんの透明感や柔らかい雰囲気、いつか消えてしまいそうなはかなさなど、繊細なものを画面から感じました」と答え「宮沢さんの持つ雰囲気をイメージしながら、透くんのキャラクターを作っていきました」と本作の企画や脚本の段階について話しました。

候補作の中から『はざまに生きる、春』を選んだ宮沢さんは「葛監督が登場人物の透くんと春ちゃんのことをすごく好きなんだなっていうのが伝わってきて、そういう作品を書かれる人、役や作品を愛している人を僕は一番信頼できるんです」と話し「ぜひこの人とこの作品を映画にしたい」と当時感じた気持ちを改めて口にすると、宮沢さんの言葉を隣で聞いていた葛監督は照れながら嬉しそうな表情を浮かべていました。

【名古屋舞台挨拶レポート】「大谷選手にも負けない二刀流ですね」宮沢氷魚さんが商業映画デビューの葛里華監督を紹介 映画『はざまに生きる、春』名古屋先行上映会舞台挨拶

ラストを宮沢氷魚さんに相談した葛里華監督「一緒に作っている感じがありました」

宮沢さんと葛監督の2人が初めて会った時のことを聞くと「決定の前にリモートで最終面談がありました」と振り返り、宮沢さんが「その後に、実際にお会いして打ち合わせしましたよね」と葛監督に確認すると「最初は今と全く違うラストだったんですけど、ラストのことを宮沢さんに相談したり、意見をいただいたりする機会を頂きました」とラストに悩んで、何度も直していたことを明かしました。また葛監督は「発達障がいの当事者の方と会う勉強会などでも、宮沢さんはすごく真摯に役に向き合ってくださっていました」と作品に向き合う宮沢さんの姿勢を紹介し「一緒に作っている感じがありました」と主演俳優と監督の間にできた強い絆を感じさせてくれました。

一緒に仕事をしてみて感じた“役者・宮沢氷魚”について聞くと、葛監督は「画面越しにその人物が纏っている空気を醸し出せる役者さんってなかなかいないと思うんですよ」と話しました。また終盤の桜のシーンについて葛監督は「すごく悲しいシーンでもあるんですけど、宮沢さんがすごく楽しそうに桜と戯れてくれました」と監督の要望に応えて演じてくれたことを振り返り「桜の匂いとか風を感じられて、風景まで映像を通して持ってこれる役者さんって本当にいないなって思って、空気感を作れるすごく魅力的な役者さんだと思います」と編集中に感じた宮沢さんの魅力を語りました。葛監督の発言に「嬉しい!その日のことはめちゃくちゃ覚えています」と宮沢さんは笑顔をみせてくれ、撮影の終盤の頃に、このシーンだけで1日かけて撮影したことを振り返っていました。

高校時代の美術経験が活きた初めての画家役 心のバロメーターに掃除機・洗濯機

初めての画家役に対して「楽しかったです」と感想を述べ「僕も高校まで美術やっていたので、久しぶりに絵具に触れたり、筆を持つ時間は懐かしさがありました」と話し、「版画や2Dアート、3Dのお皿、陶芸、キーホルダーを作ったり、型に鉄を流して削るなど様々なタイプのものをやらせてもらえる学校でした」と高校時代の美術経験を明かしました。劇中に登場する“透の描く画”を担当した日本画家の泉桐子さんが宮沢さんに筆の使い方などを指導してくれたそうで「泉さんの手さばきを見た宮沢さんはすぐに様になっていて、高校時代の経験が活きているだと思いました」と葛監督。宮沢さんは「透くんの場合は画を描くことが一番自分のことを表現できることで、何かを作ることが持っているパワーを改めて感じました」と撮影中に感じたことを教えてくれました。

映画の登場人物にちなみ、こだわりや苦手なことが話題になると「(小西桜子さん演じる春の)人の左側がダメというは私なんです」と話す葛監督は「豆乳紅茶を飲まないと寝られないとかあります」と小さなこだわりがたくさんあることを打ち明けました。横断歩道や郵便車に関するルールもあると言う葛監督の話を聞き「今の聞くと、ないなぁ」と宮沢さんは少し悩んでから「毎朝、掃除機をかけます。埃や毛が吸い込まれてゴミになるのが好きなんです。キレイ好きとは違うんですけど、いわゆるゴミと言われるものがなくなるのがスッキリするんです」と話しました。「洗濯機も(洗濯物が)キレイになっていくのを延々と見ています」と言い出し「でもそういうときは“心、大丈夫かな? ”って、心にいろいろと溜まっているのかもしれなくて、自分の心のバロメーターかもしれないです」と教えてくれました。

〈関連記事〉

男子校時代の思い出も語る宮沢氷魚さん 映画『his』藤原季節さんと共に名古屋でインタビュー

木村拓哉さんと綾瀬はるかさんによる“信長と濃姫の30年”を描く映画『レジェンド&バタフライ』“キムタク信長”がいよいよスクリーンに!

作品概要

映画『はざまに生きる、春』

5月26日(金)公開

出演:宮沢氷魚、小西桜子、細田善彦、平井亜門、葉丸あすか、芦那すみれ、田中穂先、鈴木浩文、タカハシシンノスケ、椎名香織、黒川大聖、斉藤千穂、小倉百代、渡辺潤、ボブ鈴木、戸田昌宏

監督・脚本:葛里華

エグゼクティブプロデューサー:本間憲、倉田奏補、古賀俊輔

企画・プロデュース:菊地陽介、かなりかピクチャー

プロデューサー:吉澤貴洋 新野安行 松田佳奈

2022年/日本/カラー/アメリカンビスタ/5.1ch/103 分

©2022「はざまに生きる、春」製作委員会


関連記事