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2020-01-21

男子校時代の思い出も語る宮沢氷魚さん 映画『his』藤原季節さんと共に名古屋でインタビュー


 

1月24日より公開中となる映画『his』はお互いを想いあっていた男性同士のカップルが8年の時間を経て再会し、恋愛の先にある様々な障壁にぶつかったり、葛藤する姿が描かれている作品です。話題沸騰中の若手俳優・宮沢氷魚さんが映画初主演し、相手役で元恋人役を藤原季節さんが演じています。監督をつとめたのは『愛がなんだ』でメガホンをとった恋愛映画の旗手、今泉力哉さんです。宮沢さんと藤原さんが名古屋でインタビューに応じてくれました。

岐阜県白川町での撮影の様子や作品を通じてLGBTQについて考えたこと、宮沢さんの男子校時代の友達についても慎重に言葉を選びながら答えてくれました。(取材日:2020年1月16日)

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ドラマから映画へ 公開前の今、オファー時よりも大きな不安

映画『his』は2019年4月、5月に名古屋の放送局メ〜テレが制作、放送したテレビドラマ「his 〜恋するつもりなんてなかった〜」の13年後を描いた物語です。ドラマは名古屋出身の迅が江の島で渚と出会い、2人の間に芽生えた友情が、やがて愛に発展していく不安や困惑、葛藤を描いた青春ドラマです。映画の冒頭はドラマの5年後、渚が迅に別れを告げるシーンで、別れから8年後の物語へと続いていきます。

本作が映画初主演となる宮沢氷魚さんは2019年7月期に放送された杏さん主演の「偽装不倫」で主人公の相手役を演じ、注目度が高まりました。宮沢さんは「クランクインする前にドラマは観ていないです。脚本は読んでいますが、演じる人も違うし、年月も経っていて、世界観が狭まるのも怖くて」と話しながら「僕たちなりに迅と渚の世界を作っていきたい」と想いを語りました。

本作で迅役の出演オファーを受ける決心をした理由として「男子校で(LGBTQが)当たり前の環境でした。でも社会に出ると差別の目で見られている友達をみて、何かしてあげたい、自分のためにもこの現状を変えたいと思いがありました。それがようやくできるかもしれないという希望があって、全てのプレッシャーを忘れさせてくれました」と話しました。

公開前の今の気持ちを聞くと宮沢さんは「今の方がプレッシャーを感じているかもしれないです。いろいろな意見がぶつかり合ってくれる作品になってほしいです。何も残らない、話題にもならないことが不安です」と口にしました。渚を演じた藤原さんも「今感じているプレッシャーは作品に入る前よりも大きいかもしれない」と同調し「観てもらった人の人生を豊かにできるか」と当事者の方々の反応が気になっているようでした。藤原さんは「自分がまだ古い価値観の中にいて、迅と渚が聞いたら傷つくようなことを普段の生活の中で言っていないか敏感になっています」とインタビューでの言葉選びにも慎重になっている様子でした。

宮沢氷魚さんも出演していた映画『賭ケグルイ』浜辺美波さんと森川葵さんが名古屋で話した〇〇

思っていたよりも遥かに生きづらい

渚は迅と別れた後に女性と結婚し、女の子が生まれています。本作ではゲイである彼らと関わる様々な人々の考えや悩み、葛藤も描かれていています。ゲイに対する理解も人ぞれぞれで、現実の世界にかなり近いものがあるのではないかと感じました。

周囲に同性愛者が多いという宮沢さんは「自分が演じてみると思っていたよりも遥かに生きづらいと感じて、(当事者の方は)それと毎日直面しているんだと思うとしんどかったです」と話しました。また藤原さんは撮影中に精神的にかなり追い込まれた状況だったようで、切迫した心理状態の演技について「迅のことが好きという渚の心情に近いものがあったかもしれないです」と東京での撮影についても語りました。

岐阜県白川町は神秘的な雰囲気 ロッジでの共同生活で宮沢さんは〇〇を独占

映画『his』で宮沢さん演じる迅は自分がゲイであると知られることを恐れて岐阜県白川町に移住していて、藤原さん演じる娘を連れた渚がやってきて、共同生活が始まります。10日間に渡って岐阜県白川町で行われた撮影期間を振り返り、宮沢さんは「寒暖差が激しくて、昼間は太陽が直接降り注いで、太陽を直で感じました」と東京では経験できない時間だったと語りました。藤原さんは「朝、ロッジを出るとモヤがかかっていて、神秘的な雰囲気でした」と話す横顔を見ていた宮沢さんが「言葉で表せないくらい素敵な場所で、風景とかも素晴らしいんですけど、そこにいると時間の経過が遅く感じました」と教えてくれました。藤原さんは「早く歩く目的がないので、ゆっくり歩いていると普段見えなかったものがみえてきて、豊かな生き方ができる場所ですね」と振り返りました。

ひとつのロッジで共同生活を送っていたことについて聞くと、宮沢さんが「沈黙していても苦じゃなかったです」と言い、藤原さんも「心地よかったね」と返し、互いに快適に過ごしていたことを明かしました。また藤原さんは「こんなに素朴な人なんだと感じた。スター性を持ちながらも素朴で、町の人とも自然に話していて」と宮沢さんの印象を語り、一方の宮沢さんは「(季節くんは)ちょっと気難しいタイプかなと思っていたけど、そんなことなくて普通の会話ができる人でした」と笑ながら話していました。

2人とも撮影以外の時間はできるだけ演技の話をしたくないと思っていたにも関わらず、台本はずっと目に入るところに置いてあったそうで、藤原さんが「関係ない話をしていても、気になって台本をめくったりしていました」と教えてくれました。さらに藤原さんはロッジでのお互いの居場所についても「僕が窓側で氷魚くんがテレビ側で、リモコンは氷魚くんが独占っていうのは決まっていました」と話しました。

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作品概要

映画『his』

1月24日(金)よりセンチュリーシネマほかにてロードショー

井川迅は周囲にゲイだと知られることを恐れ、ひっそりと一人で田舎暮らしを送っていた。そこに、6 歳の娘・空を 連れて、元恋人の日比野渚が突然現れる。「しばらくの間、居候させて欲しい」と言う渚に戸惑いを隠せない迅だったが、 いつしか空も懐き、周囲の人々も三人を受け入れていく。そんな中、渚は妻・玲奈との間で離婚と親権の協議をしている ことを迅に打ち明ける。ある日、玲奈が空を東京に連れて戻してしまう。落ち込む渚に対して、迅は「渚と空ちゃんと 三人で一緒に生きていたい」と気持ちを伝える。しかし、離婚調停が進んでいく中で、迅たちは、玲奈の弁護士や裁判か ら心ない言葉を浴びせられ、自分たちを取り巻く環境に改めて向き合うことになっていくー。 迅を演じるのは宮沢氷魚。連続ドラマ「偽装不倫」で杏の相手役を演じ、センセーションを巻き起こした宮沢が、持ち 前の繊細さと品性を最大限に活かし、静かに葛藤する主人公を体現する。迅を振り回す渚に扮したのは、『ケンとカズ』 や『全員死刑』といったエッジの立った作品で爪痕を残してきた藤原季節。 恋愛映画の旗手・今泉力哉監督が、二人の青年の恋愛を題材に、「好きだけではどうしようもない」恋愛の‟その先”を 描いた意欲作。

出演:宮沢氷魚 / 藤原季節 松本若菜 松本穂香 / 外村紗玖良 中村久美 鈴木慶一 根岸季衣 堀部圭亮 戸田恵子

監督:今泉力哉

企画・脚本:アサダアツシ

音楽:渡邊 崇

製作プロダクション:ダブ

企画製作:メ~テレ

製作:映画「his」製作委員会

配給・宣伝:ファントム・フィルム

©2020 映画「his」製作委員会 (日本/5.1ch/カラー/127 分)

公式サイト:https://www.phantom-film.com/his-movie/


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