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2017-10-11

映画『三度目の殺人』の撮影地・名古屋市役所に行ってみました(極秘撮影の理由と撮影地決定の経緯)


 

9月9日に公開した映画『三度目の殺人』は公開から1ヶ月が経った今でも多くの観客が劇場に駆けつけており、全国での累計動員は100万人を突破したそうです。映画の公開前に名古屋市役所で行われた主演の福山雅治さんと是枝裕和監督の記者会見のニュースを見て、名古屋市役所で撮影されていたことを知り驚いた方も多かったことと思います。私もその1人です。
『三度目の殺人』の撮影が行われた名古屋市役所に実際に行ってみて、撮影を影で支えた“なごや・ロケーション・ナビ”の三宅友里さんにお話を聞いてきました。(取材日:2017年9月25日)

映画『三度目の殺人』

映画『三度目の殺人』は2013年公開の『そして父になる』の是枝裕和監督と福山雅治さんが再びタッグを組んだ、是枝監督のオリジナル脚本による法廷心理ドラマです。「勝ち」にこだわる弁護士の重盛(福山雅治さん)が30年前にも殺人の前科がある三隅(役所広司さん)の弁護を担当することになります。三隅は解雇された工場の社長を殺し、死体に火をつけた容疑で起訴されています。犯行も自供し、このままだと死刑はまぬかれず、はじめから「負け」が決まったような裁判でしたが、三隅との接見を繰り返す度に三隅の証言は変わっていき、重盛の中で確信が揺らいでいきます。被害者の娘・咲江(広瀬すずさん)は物語の鍵を握っています。映画を観ながら重盛と一緒に何が真実なのか混乱し、日本の裁判制度のあり方について考えさせられる一面もあります。
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極秘で行われた名古屋市役所での撮影

『三度目の殺人』の名古屋市役所での撮影は2017年2月、3月の土日4日間に渡って行われました。市役所の職員が登庁してこない土日のみの撮影であり、8月30日の記者会見が行われるまで、ごくごく限られた職員以外は撮影が行われていることはおろか、記者会見が行われることさえも知らされていなかったそうです。この厳格な情報統制は撮影スタッフや役者さんたちが映画の撮影に集中できる環境をつくり、記者会見を混乱なく遂行するための配慮だったとか。確かに、記者会見をニュースで見たとき、名古屋で撮影してるなら見たかった〜なんてミーハーな気持ちになってしまいましたが、そんな人がたくさん市役所に詰めかけたら、撮影の妨げになってしまいますよね(反省)。徹底した情報管理をやり遂げた“なごや・ロケーション・ナビ”(以下:なごやロケナビ)の三宅さんは「撮影しやすい環境を整えることで信頼してもらえ、また名古屋で撮影しようと思ってもらえる」「歴代の先輩たちが積み重ねてきた信頼に傷をつけることのないようにしている」と話されていて設立15年のフィルムコミッションとしてのプロ意識の高さを感じました。

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名古屋市役所での撮影が決まった経緯

映画『三度目の殺人』の劇中で名古屋市役所は横浜地方裁判所という設定で登場します。建物の外観だけでなく、中央の階段や廊下、休憩室など、法廷内以外の裁判所シーンは、ほとんどが名古屋市役所で撮影されたようです。記者会見で主演の福山さんが「撮影する場所が持つ空気感で、芝居が触発される。市役所の空気感がその気にさせてくれた。」と話していました。1933年に建設された鉄筋コンクリートの庁舎は「重要文化財」に指定されていて、福山さんが「重厚感漂う建物で絵になると思った。」と話すのも納得するほど名古屋の自慢の建物だと思います。
実は名古屋市役所はこれまでにも様々な映画の撮影に使用されています。2011年公開の三谷幸喜監督の映画『ステキな金縛り』では深津絵里さん演じる主人公の弁護士が幽霊を証人に前代未聞の裁判をするのですが、その裁判所として名古屋市役所が使われています。
正面玄関前と中央階段奥の通路で撮影が行われ、市役所の雰囲気を気に入った三谷監督は市役所の大理石やタイルなどの質感を元に東京のスタジオで法廷のセット組み立てたそうです。『ステキな金縛り』の法廷シーンはセットですが、所々に名古屋市役所の建物に似た雰囲気があります。
そして『ステキな金縛り』で美術を担当していた方が『三度目の殺人』の裁判所の撮影場所を探していた是枝監督に名古屋市役所を推薦されたそうで、実際に市役所を見に来られた監督はほぼ即決で撮影場所として決めてくださったそうです。
なごやロケナビの方々がこれまで様々な映画撮影スタッフさんとの良好な関係を維持し、信頼を積み重ねてきたことが今回の『三度目の殺人』での名古屋市役所ロケに繋がったんですね。
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『三度目の殺人』名古屋市役所での撮影スポット

映画『三度目の殺人』で横浜地方裁判所として使われている名古屋市役所の外観は、弁護士の重盛(福山さん)、摂津(吉田鋼太郎さん)、川島(満島真之介さん)の3人が裁判所に出入りするシーンでくり返し登場します。裁判所のシーンは法廷内以外はほとんど名古屋市役所で撮影されているので、映画の中でしっかりと名古屋市役所を確認できると思います。
正面から入ってすぐの大理石の柱や手すりが重厚な建物の印象を与える階段は弁護士の3人と広瀬ずずさん演じる咲江が昇り降りし、ガラス扉に「御休憩室」と書かれている部屋はそのまま裁判所の休憩室として撮影に使われました。職員や来庁者の方のための休憩室なので、誰でも中にはいることができます。(この日の撮影が昼時だったため利用されている方が多く、休憩室の中の撮影はあまりできませんでした。)
この休憩室のレトロな雰囲気はとても絵になると評判で、2012年公開の周防正行監督の映画『終の信託』でも東京地方裁判所の待合室として撮影に使われています。同じ場所のはずなのですが、なごやロケナビの三宅さんによると『三度目の殺人』で観た時とは印象が異なるようです。監督によって様々な表情を見せる名古屋市役所の御休憩室、実物と作品とで見比べてみるのも面白いかもしれません。
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名古屋市役所は見学可能

名古屋市役所本庁舎は、平日の開庁日であれば自由に庁舎内の廊下や階段等の共用部分を見学することが可能です。(正庁や貴賓室の内部は見学できません。)大きな音を立てたり騒いだりすることは禁止されています。あまり大人数で見学するのは業務に支障をきたしてしまう可能性があるので控えたほうがよいと思います。見学のための駐車場はないので、必ず公共交通機関で行くようにしてください。見学の際の注意事項は名古屋市役所のホームページに掲載されているので、こちらを確認してから見学に行くことをお勧めします。
映画『三度目の殺人』のあのシーンやこのシーンで使われた場所に、映画を観てから実際に行ってみると感慨もひとしおですよ。

名古屋市役所

Address:名古屋市中区三の丸三丁目1番1号

地下鉄名城線「市役所」駅から徒歩1分/市バス・基幹バス「市役所」から徒歩1分/名鉄瀬戸線「東大手」駅から徒歩5分

Map:

名古屋市中区三の丸三丁目1番1号



作品概要

『三度目の殺人』(2017年9月9日公開)
監督・脚本:是枝裕和
出演:福山雅治/役所広司/広瀬すず/吉田鋼太郎/斉藤由貴/満島真之介/市川実日子/橋爪功
製作:フジテレビジョン アミューズ ギャガ
配給:東宝・ギャガ

(C)2017フジテレビジョン アミューズ ギャガ

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