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2021-12-28

イギリスの映画祭で爆笑?世界でも高評価の堤幸彦監督50作品目&初めてのインディーズ映画『truth~姦しき弔いの果て~』名古屋でインタビュー


 

2022年1月7日(金)よりセンチュリーシネマなどで公開される映画『truth~姦しき弔いの果て~』は堤幸彦監督の50本目のメモリアル作品かつ、初めてのインディーズ映画です。突然亡くなった恋人の葬儀に参列したあと、愛する彼の部屋に立ち寄った女性3人が鉢合わせし“我こそ彼に最も愛された女”だとマウントを取り合う喜劇で、ラストまで息せき切らない展開となっています。映画の公開に向けて堤監督が故郷の名古屋でインタビューに応じてくれました。

映画作成の経緯や、3人の女優たちの高い熱量と撮影秘話、本作に忖度出演している愛知県出身の俳優・佐藤二朗さんの魅力についても話してくれました。(取材日:2021年12月21日)

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「3人の女優たちの体当たりの熱量にやられて、リクルートされちゃいました」 自身を初期化する一里塚となる作品

来年1月に公開される映画『truth~姦しき弔いの果て~』は3人の女性によるマウント合戦…本音バトルが炸裂する喜劇で、堤幸彦監督にとって初のインディーズ映画であり、50作目のメモリアル作品です。堤監督は「僕は22歳から映像の仕事を始めてコロナまで仕事が途切れることはなかったんですが、まあ見事に0になって」と新型コロナ感染拡大の影響を語り「笑っちゃうくらいシュールな時代を見させてもらっています」と表しました。

コロナ禍で表現の場を失った広山詞葉さん、福宮あやのさん、河野知美さんの3人の俳優が映像作品を作りたいと立ち上がって始まった本作について、堤監督は「怒るでも愚痴を言うのでもなく、文化庁から助成金を得て作品を作りましょうと、あっけらかんと言う彼女たちのとてつもない熱量の体当たりにやられて…リクルートされちゃった」と監督を引き受けたいきさつを笑顔で教えてくれました。

また、初めてのインディーズ作品の監督をつとめたことについて「製作委員会などがあると、その数だけチェックが入るので自ずと作品が丸くなりますが、気兼ねなくズケズケとやれたと言いうことで面白おかしくできました」と手ごたえを見せました。「自分の物づくりの姿勢として制限なしに作ることが本来の創作の第一歩であり、大きなお金が動くからと自主規制していた自分に対する戒めをコロナ禍の偶然かも知れないが気づかされました。インディーズ映画は自分を初期化する一里塚なのだという意識を持てたという意味で、とてもいいことだったと思います」と熱く語りました。

三人三様の女性たちによる壮絶なマウント合戦の舞台裏 随所で光る監督の「思いつき」演出

作中の3人の女性は、広山さん演じる“自分が1番でないと生きていけない美貌の受付嬢”、福宮さんが演じる“元ヤンのシングルマザー”、河野さん演じる“セレブの女医”と三者三様です。物語が進むにつれて、3人の女性がそれぞれの立場で女性特有の満たされなさを抱えていることが明らかになり、“我こそ彼に最も愛された女”だとマウントを取り合う姿は見応えがあります。堤監督は「登場する3人に女性の多面的なキャラクターが散りばめられていると良いなという思いがありました。脚本の三浦(有為子)さんがあまり話したことのない3人なのに“当て書き”のように書ける神通力があって驚きましたし、それぞれの女優さんたちにピタリとハマりました」と自信を見せました。演出面では「いつもの思いつきでね。随所随所で役者の顔を見ていると思いつくことがあって、たくさん盛り込みました」と話し、リハーサルや撮影中も台詞変更が頻繁だったことも教えてくれました。

女医を演じた河野さんには、英語が達者であることを活かし、ある人物のモノマネもやってもらったそうです。インタビュー中に堤監督がモノマネの様子を実演してくれ、撮影中の舞台裏が見えるようで、「上手くいったと思う」と太鼓判を押していました。また、撮影スケジュールについて堤監督は「撮影時に福宮さんが妊婦でしたので無理させられない。撮影自体は2日間でしたが、舞台稽古のような4日間のリハーサルや、ZOOMでも芝居を固めて現場に臨んだので効率よくできました」と話しました。見事にハードルをクリアした女優たちによる丁々発止、壮絶で赤裸々なマウント合戦をスクリーンでお楽しみください。

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3人の女性を愛し、愛される男として・・・忖度出演!?「佐藤二朗の顔しか浮かばなかったです」

映画『truth~姦しき弔いの果て~』は1人の男性が同時進行で交際していた3人の女性たちが一堂に会し「自分こそが一番彼に愛された女だ」とマウント合戦を繰り広げるコメディです。その3人の女性に愛される男性は“多趣味で、資産家、絵描きとしても達者”な人物として描かれます。堤監督は脚本を見たときに、「佐藤二朗の顔しか浮かばなかった」と断言しました。「同郷のある種、同志みたいなものはあるけれど、彼の持つカリスマ性とイケメンでは醸し出せないミステリアスさもあって」と決め手を明かしました。佐藤さんのテレビデビューを堤監督が作った経緯があり「彼は今も律儀に恩義を感じていて…そういう意味で忖度出演です(笑)」と教えてくれました。

本作は諸外国で最高賞・ベストコメディ賞など7つの賞を受賞しています。先だってのイギリスの映画祭で上映されたときの様子を「佐藤二朗が登場した瞬間に、爆笑でした」と堤監督が語るほど好評だったそうで「世界に通じる笑える顔なんですかね?キャスティングしてよかったです」と満足そうに述べました。本作のポスターでは、3人の女性たちの後ろに大きな佐藤二朗さんのお顔が確認できますが、映画本編の中での意外な登場の仕方は劇場でお確かめください。

堤監督は「インディーズとは言え世界の方々に評価をされました。もう一回立ち上がっていくことを3人の女優たちから教えてもらいました。コロナを経て、表現の基盤も含めて一から再構築して、前に進むための気づきがありました」と話しました。そして「来年1月、まだ明るみにできませんが何らかのニュースがあるかも知れません」と含みを持たせてインタビューを締めくくりました。これから堤監督がどんな面白いことを仕掛けてくれるのか、楽しみですね!

作品概要

映画『truth~姦しき弔いの果て~』

2022年1月7日よりセンチュリーシネマで公開

監督&原案:堤幸彦

脚本:三浦有為子

出演:広山詞葉 福宮あやの 河野知美

忖度出演:佐藤二朗

配給:ラビットハウス

2022年/日本/カラー/72分/ビスタサイズ/ステレオ/

(c)2021映画「truth~姦しき弔いの果て~」パートナーズ

 


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