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2022-09-21

「原作を何度も読み込んで」撮影に挑んだ松井玲奈さん 映画『よだかの片想い』公開前に名古屋でインタビュー


 

9月16日より公開となる映画『よだかの片想い』は島本理生さんの傑作恋愛小説が原作で、安川有果監督、城定秀夫さんの脚本、松井玲奈さん主演で映画化された作品です。顔の左側にアザがあることから恋や遊びに消極的な理系女子大生のアイコが映画監督の飛坂と出会い、不器用に距離を縮めていく様子や恋愛に不慣れで相手に対して疑心暗鬼になるなど、恋の行方が描かれています。原作にほれ込み、長年映像化を熱望していたという松井さんが名古屋で行われた先行上映会の舞台挨拶に登壇し、舞台挨拶後にインタビューに応じました。原作を読み込んで撮影に挑んだ気持ち、安川監督や共演者と共に作り上げたアイコのキャラクターについて、原作小説の魅力も語ってくれました。(取材日:2022年9月11日)

アイコの恋を感情豊かに表現「自分でも想像していなかった感情があふれてきました」

映画『よだかの片想い』は2018年に『ファーストラヴ』で第159回直木三十五賞を受賞した島本理生さんの恋愛小説『よだかの片想い』が原作で、顔の左側にアザがあることから恋や遊びに消極的な理系女子大生のアイコを松井玲奈さん、アイコをモデルに映画を撮りたい映画監督の飛坂を中島歩さんが演じています。初めは映画化を断っていたアイコですが、徐々に彼の人柄に惹かれていき、飛坂への片想いを自覚して不器用に距離を縮めていきます。

松井さんは「アザのある女性を演じるという意識ではなく、コンプレックスを持っている女性が恋をしたときにどういう気持ちになって、どういう風に向き合うのかを大切にしたいと思って演じました」と話し「原作を読んだ時にも“アイコの恋の物語”だと受け取っていました」と振り返りました。原作の大ファンであり、映像化を熱望していたという松井さんは「原作を何度も読み込んで、どういう状態にいるのか、どういう経験をしてきたのか、どういう感情でいるのかを確認したのは初めてです」と原作を大切にしながらも、原作にとらわれ過ぎずにお芝居を楽しんだことを教えてくれました。監督をつとめた安川有果監督について松井さんは「私が準備していたものを安川さんが尊重してくれて、お互いに話し合ったりしていきました」と話し、「共演者の空気感に応えていく中で、アイコというキャラクターが豊かになっていきました」と撮影を振り返りました。松井さんは「わからないことをわからないままやってみる経験もしました。台本にも書かれていない、自分でも想像していなかった感情があふれてきました」と撮影時の様子を話し「人に委ねる、決め過ぎずにやってみる柔軟性も大切なんだと感じました」と本作の撮影を通して経験したことを話しました。

原作との髪型の違いについて聞くと「原作のアイコはおかっぱ、ショートボブで、『うつむくと隠れる』という描写もありました」と話し「エクステをつけることもできたのですが、絶妙に隠れそうで隠れない前髪の感じが彼女の強さを出せる髪型なんじゃないかと安川監督とも話して、この髪型でやることになりました」と映画でのアイコの髪型が決まった経緯を語りました。また劇中でのアイコの姿勢の良さが話題になると「芯のある自立した女性であろうとしたので、アザがあることを姿勢を崩すことで隠すよりも、地に足を付けて立っているところを表現したくて自然と姿勢を正していたのだと思います」と答えました。

映像化を熱望「原作に触れることで幅を広げて楽しむことができる」

島本理生さんの小説の魅力について「登場人物の感情の積み重ねがとても豊かで、物語の中で大きく舵をきる登場人物の決断が突然に感じないんです。ひとつひとつの決断に納得できる、共感できるところが素晴らしいと思います」と話した松井さん。本作の原作小説「よだかの片想い」には飛坂の生い立ちやアイコの両親が彼女とどう向き合っていたか、飛坂がアイコに強くひかれた理由なども綴られていることを話し、原作を読んだことがない人に向けて「映画を観た後や観る前に原作に触れることで、この作品を幅を広げて楽しむことができると思います」と原作ファンならではの視点で、映画と小説の楽しみ方を伝えてくれました。

事あるごとに「おススメの一冊」として「よだかの片想い」を挙げていた松井さんは「映画になったのは嬉しいです」と原作ファンとして、主演女優として、映画の公開を楽しみにしている様子でした。『よだかの片想い』は『勝手にふるえてろ』『寝ても覚めても』『愛がなんだ』『本気のしるし』を手掛けたメ〜テレが制作会社ダブとタッグを組み、“へたくそだけど私らしく生きる”、等身大の女性のリアルをつむぐ映画シリーズ「(not) HEROINE movies」第二弾として制作されました。次世代を担う映画監督と俳優たちを組み合わせ、それぞれの感覚と才能を思う存分発揮できる場を生み出し輩出するこのプロジェクトについて、松井さんは「俳優も監督もこれからの人たちにメ〜テレさんが力を貸してくれて、チャレンジングな経験をさせていただきました。これから先も、どういうヒロインや物語が生まれていくのか一映画ファンとして楽しみにしていきたいと思います」とメ〜テレシネマへの熱いメッセージを伝えてくれました。

作品ごとに様々な役に挑戦している松井さんは「30代になったので、母親役に挑戦してみたいです」と思いを口にし「子供はその場で起きたことに柔軟に反応して感情豊かなお芝居をしてくれて楽しいです。母親という立場で子供たちに接してみたいです」と今後の展望についても話してくれました。

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作品概要

映画『よだかの片想い』

9月16日(金)より伏見ミリオン座ほか全国公開

出演:松井玲奈、中島歩 藤井美菜、織田梨沙、青木柚、手島実優、池田良、中澤梓佐 三宅弘城

原作:島本理生『よだかの片想い』(集英社文庫刊)

監督:安川有果

脚本:城定秀夫

主題歌:角銅真実「夜だか」(ユニバーサル ミュージック)

音楽:AMIKO

企画協力:グリック、SPOTTED PRODUCTIONS

制作プロダクション:ダブ

配給:ラビットハウス

公式Twitter:https://twitter.com/NotHeroineM

公式Instagram:https://www.instagram.com/notheroinem/

©島本理生/集英社 ©2021映画「よだかの片想い」製作委員会

 

 

 

 


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