「インドのタージ・マハルの前で”孤独カット”をやりたいなぁ」『劇映画 孤独のグルメ』松重豊さんが名古屋で舞台挨拶
1月10日(金)から公開中の『劇映画 孤独のグルメ』は、2012年にスタートし、season10まで制作されたテレビドラマ「孤独のグルメ」の劇場版です。貿易商として商談で赴いた各土地で、たまたま出会った飲食店での料理を味わうことを至上の喜びとしている井之頭五郎の表情や姿が楽しめるのはドラマ版と同じですが、日本を飛び出してパリや韓国などへも行き、各地の料理とあわせてロードムービーのような展開と物語を大きな画面で観られる作品となっています。また内田有紀さん、磯村勇斗さん、杏さん、塩見三省さん、オダギリジョーさん、ユ・ジェミョンさんなどの出演者も魅力的です。そして松重豊さんが監督をつとめている点も注目です。
ドラマ「孤独のグルメ」ファンの方はもちろん、初めての方にも楽しめ、どんな旅や料理が待っているのか…「腹が、減った」と井之頭五郎と共に各地を辿っている気持ちになり、鑑賞後は美味しいごはんが食べたくなります。公開から2週間、まだまだ熱が冷めないタイミングで『劇映画 孤独のグルメ』の監督・脚本・主演の松重豊さんが名古屋駅前のミッドランドスクエアシネマで舞台挨拶に登壇しました。またティーチインの時間では観客からの多くの質問に答え、今後の「孤独のグルメ」への夢を語りました。(取材日:2025年1月25日)
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「とにかくこの映画、観ている人がお腹が空くようになってます」名古屋での思い出の味は山田裕貴さん紹介の鬼まんじゅう
映画『劇映画 孤独のグルメ』は貿易商の井之頭五郎がパリ、長崎県五島列島、韓国で食事を心の底から楽しむ姿と人間模様が描かれた作品で、パリで依頼された”スープの食材探し”の旅が長崎県五島列島、韓国へと広がっていきます。『劇映画 孤独のグルメ』のエンドロールの後には観客から自然と拍手が起こり、上映後の余韻・興奮が冷めやらぬ中、監督・脚本・主演を務めた松重豊さんが登壇し舞台挨拶がスタートしました。松重さんはNHK大河ドラマ『どうする家康』の撮影を振り返って「名古屋でずっと撮っていたんですけど、共演者の山田裕貴くんが鬼まんじゅうをよく差し入れしてくれて、それを思い出しました」と話し、「今日は鬼まんじゅうとコンパルのエビフライサンドを食べてきました。幸せな気持ちです」と笑顔を見せました。
松重さんが「聞くところによると、ここ(ミッドランドスクエアシネマ)ではポップコーンと唐揚げとポテトがついた満腹セットを持ち込むことができるんですってね。満腹セットを購入された方?」と客席に呼びかけると、ぱらぱらと手が挙がりました。「その方は1時間50分耐えられたと思います。そのほかの方は、これ終わってから美味しいところに食べに行かれたらな、と思います」と話すと、客席の皆さんも笑いつつ頷いていました。
劇中に登場するオニオングラタンスープ、ラーメンの話から、松重さんは「この建物の4階に文化洋食店っていうのがあるね。僕は食べていないけれど、そこのオニオンスープは凄い有名らしいですよ」と紹介し、「劇中のラーメン店のオダギリジョー君が着ている服は、一風堂ニューヨーク店の店員さんのユニフォームなんです。それでその店員さんの服を借りるのと同時に、ラーメン監修をしていただきました。ですから皆さん、駅の向こうにある一風堂さんで食べて帰られたらいかがですか?」と商売上手なトークで観客を沸かせました。そして飄々とした語り口で「とにかく、この映画、観ている人がお腹が空くようになってます」とまとめました。
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”井之頭五郎名刺”が貰えるチャンスに多くの挙手が 松重さん「興収10億円いかないと…」と応援を呼びかける
観客からの質問に答えるティーチインの時間になり、松重さんが「質問コーナーで挙手して当たった方には、井之頭五郎のお名刺を差し上げます」と紹介すると多くの手が挙がり、大盛り上がりのティーチインがスタート。
次はどこの国で撮影したいかという質問が飛ぶと松重さんは「ドラマの『孤独のグルメ』はビックリするくらい韓国と中国と台湾で人気があって、それで図に乗って映画を撮ってしまったんです」と企画の経緯を語り「世界中のどこに行っても成立する話だと思うんですよ。それこそ映画『南極料理人』とコラボしてもいいくらい。イタリア、スペインも行ってみたいし、どこでもアリなんでアイデア募集中でございます」と答えました。
主人公の五郎が食事するお店は松重さんが選んだそうで「交渉なども自分で行いました。そのやり取りの中で心の交流が出来るんです。だから僕が相手ですし、自然なやり取りを撮ろうと思ったら3人とも見事な女優ぶりを発揮していただけました」と満足そうな顔を見せました。劇中に登場するお店は、身近なところだと迷惑がかかるという懸念から松重さん曰く「美味しいんですよ。でも行きにくい場所です。でも本当に素敵なお店なんです」という場所をセレクトしたそうです。
ティーチインでは、少しでもお客様の近くで答えようとステージを降りて答え、質問した方のところまで出向き、直に井之頭五郎の名刺を渡していました。質問に答える中で本作の脚本を書き始めた頃とは内容が変わったことを明かし「パリのエッフェル塔の前で五郎のカットを撮らないと面白くならないと、ワガママを言ったんです」と本作でパリが登場する理由を話しました。JALのタイアップが叶ったことで機内食の件ができたと言い「次回作はどうなるか分かりませんし、ここで言うのも何ですけど、興行収入が10億円いかないと私、降板します。とにかく皆さんの力に掛かっていますのでお願いします!」とアピールしました。
「インドのタージ・マハルの前で”孤独カット”をやりたいなぁ」次回はスパイスを巡る旅!?
パリのエレベーター事情についての問いかけに対して松重さんは「フランスは築100年以上経つ建物が多いんです。外枠や階段の作りなどは同じですが、エレベータースペースは当時は作られていないので狭いエレベーターっていうのが結構いろいろな建物にあるんです」と述べ、「撮影したのは凱旋門付近のフランス料理店 Pages(パージュ)の手塚シェフのご自宅を使わせていただきました」と教えてくれました。また、「ロケハンで泊まったホテルがオペラ座の近くにあるのに、なぜかホテルロンドンっていう名前で、そこのエレベーターは劇中のよりもっと狭くてスーツケースの大きさによっては人が入れないくらい」とエピソードを加えました。
映画を企画したきっかけを質問されると「今、テレビがいい環境でドラマ作りができることは難しいんですよね。頑張っている若い人たちがテレビの世界で面白い未来が描けなくなったという現実があって」と寂しそうな表情を見せ「作品を作りたい人たちの、夢を持てる場所にしたいという想いがあって、大風呂敷を広げて映画にしようという試みです」と話しました。また「映画とテレビのスタッフを繋げて上手く共同作業ができるように、僕はそのパイプとなって何とか上映に持って来られればと思ったら、意外と大変な道のりが今日まで続いているんですけどね」とおどけつつ、制作への熱い気持ちをにじませました。それぞれの質問者は松重さんから直接、サイン入りの名刺を受け取って握手もするなどし、嬉しそうな顔を見せていました。五郎団扇を作って持ってきている人もいて井之頭五郎が愛されていることが伝わってきました。
最後に「もし続編が作れたら何を食べますか」という質問に対して、松重さんは「10億円という僕に課せられたノルマがあるので、それを達成出来たら次のことを考えられるんですけど…達成できなかったら僕はもうこのシリーズから身を引くと決めています」と言いつつ「面白いと思っているのは、最初の”孤独カット”をインドのタージ・マハルの前でやりたいな。インド音楽が掛かってスパイスをめぐる旅っていうの、結構面白いと思うんだよね」とノリノリで答え「これ、今日初めて言いましたからね」とニッコリしました。井之頭五郎が「腹が減った」と言ってカメラがだんだん引いていく印象的な”孤独カット”、本作ではパリのエッフェル塔前での”孤独カット”がありますが、インドのタージ・マハール前での”孤独カット”はぜひ、観てみたいですね!!松重さんの突然の発言にスタッフも驚いている様子でしたが、実現を待ち望んでいるファンが多くいるに違いありません。大盛況のティーチインタイムが終了し、松重さんはフォトセッション・記念撮影などで時間いっぱい観客との交流を楽しみました。
さて、「孤独のグルメ」ではseason4で愛知県日間賀島のシラスの天婦羅とタコ飯、2018年の大晦日スペシャルでは名古屋の台湾ラーメンが取り上げられていました。熱いファンからの支持を受けて、これからもドラマや映画で続いてほしい「孤独のグルメ」シリーズ、まずは『劇映画 孤独のグルメ』をぜひ大きなスクリーンでご覧ください。
作品概要
2025年1月10日(金)より全国公開
監督:松重豊
脚本:松重豊、田口佳宏
出演:松重豊、内田有紀、磯村勇斗、村田雄浩、塩見三省、杏、オダギリジョー、ユ・ジェミョン
©2025「劇映画 孤独のグルメ」製作委員会