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2025-01-20

「(坂東龍汰さんは)尊敬できる同志」飛騨高山で撮影した映画『君の忘れ方』作道雄監督にインタビュー

 

1月17日(金)より公開中の映画『君の忘れ方』は坂東龍汰さんが主演し、大切な人を亡くした悲しみとの向き合い方をテーマに岐阜県飛騨高山で撮影した作品です。結婚間近の婚約者を事故で亡くした青年がグリーフケアと出会い、自らと向き合う姿を描いた物語で、婚約者役で西野七瀬さんが出演しています。
本作は一条真也さんの『愛する人を亡くした人へ』を原案としつつも、ストーリーとしてはオリジナル脚本で、脚本・監督の作道雄さんが公開直前に名古屋を訪れ、インタビューに応えてくれました。

主演の坂東さんとの出会いや撮影現場での様子や現在の関係性、脚本を書き上げるまでの苦労やグリーフケアの描き方に対する考えについてなどを聞きました。(取材日:2025年1月16日)

グリーフケアの描き方の最適解と映画ファンとしての挑戦を織り込んだオリジナルストーリー

映画『君の忘れ方』は“死別の悲しみとどう向き合うか”をテーマに、恋人を亡くした構成作家の青年が、悲嘆の状態にある人に、さりげなく寄り添う「グリーフケア」と出会い、自らと向き合う姿を描いた作品です。主人公の青年を演じるのは、ドラマや映画など多くの話題作への出演が続く坂東龍汰さんで、坂東さんにとって単独での初主演映画となります。ヒロインをつとめるのは西野七瀬さん、主人公の母親役で南果歩さん、津田寛治さん、岡田義徳さん、風間杜夫さんらも出演しています。脚本・監督をつとめたのは、『ALIVEHOON アライブフーン』(2022年公開)、『いのちスケッチ』(2019年公開)などの脚本を担当している作道雄さん。本作は作道監督によるオリジナルストーリーとなります。

作道監督に本作のスタートについて聞くと「飛騨高山でグリーフケアを題材に映画を撮らないかという話をもらいました」と答え「幻想的で神秘的な雰囲気を感じました」と飛騨高山に対する印象を話しました。撮影で印象に残っている場所を聞くと、特に安峰山の展望台からの景色が素晴らしかったそうで「朝霧、雲海が出るんです。神秘的で間違いなく良かったです!」と語りました。

本作の原案となっている一条真也さんの『愛する人を亡くした人へ』を読んで、グリーフケアについての見識を深めていったそうですが「自身の経験上、グリーフケアに対して懐疑的な部分がありました」と発言し、脚本を考えていく中で「色々なタイプの悲しみがあって、1つに絞ることができないと感じました」と述べました。本作では主人公の青年以外にも様々な人物が登場するのですが、作道監督は「できる限り一つのテーマに沿いながらも、いろんな悲しみを抱えた人を出して、最終的にそれが肯定されてるっていうことが最適解じゃないと思いました」と自身の考えを伝えました。

また、グリーフケアを題材にしながらも、サスペンス要素が含まれている本作のストーリーについて「映画ファンとして、自分の中で新しさを加えたくて、勝負をしたかったんだと思います」と力強く話しました。作道監督自身は「サスペンスやホラーが好きなんです」とこれまで脚本を担当してきた作品のイメージとは異なるジャンルを挙げ「サスペンスやホラーも話の軸、エネルギーになっているのは“死”なので、実は相性がいいのでは?と思いました」とオリジナル脚本として魅力ある作品にしようと挑戦したことを教えてくれました。

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主演の坂東龍汰さんは「想像以上に愛想がよくて、愛くるしい人」「尊敬できる同志」

映画『君の忘れ方』が単独での初主演作となる坂東龍汰さんとの出会いについて聞くと「2021年頃から注目して作品を観ていました」と答え、坂東さんが出演していたドラマ『この初恋はフィクションです』の演出を担当していた友人から薦められたことがきっかけだったと教えてくれました。

現場での坂東さんの様子について「普段から明るい性格で、周りを明るく楽しくしてくれて、チームの結束力が高まりました」と話し「暗いシーンも多くてかなり自分を追い込んで気持ちを作って演じてくれますが、気持ちの切り替え方が見事でした」と気持ちを引きずりすぎることなかったそうで「監督として、とても助かりました」と坂東さんの俳優としての強さに助けられたことを明かしました。作道監督は「想像以上に愛想がよくて、愛くるしい人でした」と坂東さんの様子を話し「僕の中で大きな存在の俳優です。尊敬できる同志です」と笑顔で話しました。

主人公の母親役について作道監督は「重大な秘密を抱えていて、人間らしい、二面性のある人をイメージして」と南果歩さんに依頼することに迷いはなかったと話しました。撮影時の様子を聞くと「イメージ通りというか想像を超えたお芝居を見せてくれて、鳥肌が立ちました」と、とても幸せな時間だったそうですが「素晴らしいお芝居を逃さずカメラで押さえないと!と緊張します。毎回、真剣勝負です。僕が見て感動しただけではダメなんで」と茶目っ気たっぷりに笑いました。

また作道監督はジョン・カサヴェテスの『こわれゆく女』『ラヴ・ストリームス』などのジーナ・ローランズの演技が好きで、南さんに共通するものを感じていたそうで「南さんが日本のジーナだと思っていました」と話し「実は、南さんもジーナを大好きだと聞いて、2人でハイタッチしました」と嬉しそうに教えてくれました。

名古屋駅前のミッドランドスクエアシネマでは映画『君の忘れ方』の衣装やパネル展示のコーナーが作られています。劇場での映画鑑賞とあわせて、こちらのコーナーもぜひチェックしてくださいね!

作品概要

映画『君の忘れ方』

2025年1月17日(金)よりミッドランドスクエアシネマほかで公開

監督:作道雄

脚本:作道雄、伊藤元晴

原案:「愛する人を亡くした人へ」(一条真也・現代書林)

出演:坂東龍汰、西野七瀬、円井わん、小久保寿人、森優作、秋本奈緒美、彩凪翔、ジャン・裕一、みつき愛、早咲、山本修夢、井上奈々、深川澄雄、伊藤修子、山﨑翠佳、津田寛治、岡田義徳、風間杜夫 南 果歩

配給:ラビットハウス

©2024『君の忘れ方』製作委員会

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