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2023-03-17

「この話は初めてですね」映画『ひとりぼっちじゃない』井口理さんと伊藤ちひろ監督が名古屋センチュリーシネマで舞台挨拶に登壇


 

3月10日(金)公開の映画『ひとりぼっちじゃない』はKing Gnu(キングヌー)井口理さんの初主演、『世界の中心で、愛をさけぶ』『スカイ・クロラ』などの脚本家・伊藤ちひろさんの初監督作品です。井口さん演じる不器用でコミュニケーションがうまくとれない歯科医師・ススメが馬場ふみかさん演じる謎の多い女性・宮子に恋をして、変化していく感情や姿を描いた物語です。

公開を記念した舞台挨拶が名古屋PARCO東館8階のセンチュリ―シネマで行われ、映画の上映後に主演の井口理さんと伊藤ちひろ監督が登壇しました。舞台挨拶も3日目で少し疲れた様子もありながら、客席とステージの近さに驚き、映画のキーに関わる宮子の部屋の“あるモノ”についても話していました。上映後だからこその観客とのコミュニケーションを大切にしたいと、緊張しながらも丁寧に言葉を伝えていました。(取材日:2023年3月12日)

客席との距離の近さに圧倒される井口理さんと伊藤ちひろ監督 味噌カツを堪能

‪映画『ひとりぼっちじゃない』は不器用でコミュニケーションがうまくとれない歯科医師・ススメの日記形式で展開していき、ススメが謎の多き女性・宮子に恋をすることで、歪み狂っていく姿が描かれています。主人公のススメを演じるのは、本作が映画初主演となるKing Gnuの井口理さん。部屋に鍵をかけず、突如連絡が取れなくなったりする、つかみどころがない女性・宮子役で馬場ふみかさん、宮子の友人でありながら、ススメを惑わせる蓉子役で河合優実さんが出演しています。『世界の中心で、愛をさけぶ』『スカイ・クロラ』などの名作を送り出してきた脚本家・伊藤ちひろさんが自身による同名小説を原作に、『GO』『ナラタージュ』の行定勲による企画・プロデュースのもと、脚本だけでなく初監督をつとめました。

名古屋での公開記念舞台挨拶がセンチュリ―シネマで行われ、上映後のスクリーンの前に主演の井口理さんと伊藤ちひろ監督が登壇しました。井口さんは開口一番に「近い!」とステージと客席の近さに驚いている様子で、伊藤監督も「初めての光景で・・」と傾斜のついた客席に圧倒されていました。映画の公開を祝う客席からの大きな拍手を受けて、井口さんは「はじめまして。はじめまして?はじめましてじゃないですね」と客席を見回しながら挨拶。公開初日の東京での舞台挨拶から、2日目の仙台・宇都宮、3日目のこの日は大阪での舞台挨拶を終えて名古屋に来てくれました。体調を尋ねると「疲れています」と正直に答えつつ「たくさん話してきたので、脳みそが焼き切れるような感覚があるんですけど、頑張ります!」と映画を観終えた観客の皆さんが映画への理解を深められる時間にしたい思いが伝わってきました。

井口さんは「昨日、大阪の舞台挨拶を追えて、新幹線できたんですけど・・」と話し出し、「今日、大阪から来たんですよね」と確認されると「自分がどこにいるのか」とかなりお疲れの様子。「昨日、凄く疲れていたんですけど、お弁当をいただいてスタミナ抜群の味噌カツを堪能してきました」と名古屋に来る前に名古屋メシを楽しんだことも教えてくれました。

「この話は初めてですね」映画のキーに関わる宮子の部屋の“あるモノ”

伊藤監督は「宮子の部屋ってドアに鍵がかかっていなくて、外よりも外、外と地続きになっているんです。小説の中で宮子を表現するときに”植物に囲まれた人”とあるんですが、映画での表現はちょっと違う意味もあります。この映画の英語タイトルが『In Her Room』で、宮子という名前も“宮”という漢字を使っている意味とか」と幻想的で不思議な雰囲気の部屋について語りました。井口さんに宮子の部屋を見た時の感想を聞くと「異様だなと思いましたね」と答え、「他の小道具についても意味がちゃんとあるんですよ。セリフで説明していない部分を理解してもらえたら」と客席に話しかけました。

小道具の話題になったところで、ススメが宮子の部屋で引き出しを開けるシーンで、引き出しの中の“あるモノ”がスクリーンではちゃんと映っていなかったことを聞くと、伊藤監督は「(引き出しの中にあるのかないのか)どっちだったと思いますか?」と質問され、井口さんは「見つけたというつもりでした」と答えました。

伊藤監督は「この話は初めてですね。インタビューでも舞台挨拶でもしたことないです」と言い「あれは割とキーになっています」と話し始めました。「蓉子の言っている言葉をススメが信じるかどうかというのがこの映画のキーになっていて、信じたいことと信じたくない事があって、登場人物が本当のことを言っているかどうかもよくわからなくて、それをビジュアルで表現しているんです」と映像に様々な意味を持たせていることを伝えました。引き出しの中の“あるモノ”については撮影時の裏話も話してくれました。

「(SNSは)めっちゃ、見ています!」「緊張しますけど、是非とも!」

伊藤監督は「自分の人間関係やコミュニケーションから生まれる恥部がいっぱい出てくる映画で、一番コミュニケーションで行き詰ったり恥ずかしさを感じたりするのが恋愛なので、恋愛映画として見てもらえたら」と想いを伝えました。井口さんは「この映画は隠されている暗喩が多くて、これは何の暗喩なのかを考えたり、疑ったりしながら観てほしいです」と伝えました。

映画が公開されてから伊藤監督と井口さんはSNSの投稿をよく見ているそうで、伊藤監督は「すごい読解力だなと思う人がいて、それが正解というわけではないんですが、わたしもそれが正解だったらと思わされることもありました。これからも皆さんの感想を見ていきたいです」と話しました。井口さんも「(SNSは)めっちゃ、見ています!こういう解釈もあるのかというのが面白くて」と言い、映画を観た方の感想を見るのは「緊張しますけど、是非とも!」と感想投稿を呼びかけていました。

舞台挨拶の最初に井口さんは、映画を観終えたばかりの観客を目の前にして「怖いですよね~」と話していましたが、最後には「会場の雰囲気が変わっていくのを感じています」と、映画を通して観客とコミュニケーションが取れたことを喜んでいる様子で「今後に生かしていきたいと思っています」と話しました。伊藤監督は来場者に感謝の気持ちを伝えながら、次回作の『サイド バイ サイド 隣にいる人』(4月14日公開)について「井口さんも出演しているし、ススメもちょっと出ているんです」と話してくれました。

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作品概要

映画『ひとりぼっちじゃない』

3月10日(金)よりセンチュリーシネマほか公開

出演:井口理、馬場ふみか、河合優実、相島一之、高良健吾、浅香航大、長塚健斗、じろう、盛隆二、森下創、千葉雅子、峯村リエ

監督・脚本:伊藤ちひろ

エグゼクティブプロデューサー:古賀俊輔、倉田奏補、吉村和文、吉永弥生

企画・プロデュース:行定勲

原作:伊藤ちひろ「ひとりぼっちじゃない」(KADOKAWA刊)

©2023「ひとりぼっちじゃない」製作委員会


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