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2022-02-20

映画『夢みる小学校』公開記念トークショー オオタヴィン監督&ラジオDJ空木マイカさんが登壇


 

2月18日から名演小劇場で公開となった映画『夢みる小学校』はテストや宿題がなく「先生」もいない、子どもの主体性を信じ、一人ひとりの個性を尊重した「きのくに子どもの村学園」が舞台になっています。椅子や遊具を自分たちで模型から作ったり、おいしい蕎麦を作るために畑から始めたりと体験学習を通して成長していく子ども達のイキイキした表情に「こんな学校に行きたかったな」と前のめりでスクリーンに見入ってしまう作品です。本作には60年以上通知表がない伊那市立伊那小学校、校則や定期テストをやめた世田谷区立桜丘中学校の西郷孝彦前校長も登場します。公立私立を含めた教育のミライを考える“教育変革ドキュメンタリー”をオオタヴィン監督らしい、やさしい映像で届けくれます。ナレーションの吉岡秀隆さんの穏やかな語り口に癒され、ザ・ブルーハーツのエンディングソングに元気づけられることでしょう。

映画『夢みる小学校』の名古屋での公開を記念して、オオタヴィン監督を迎えたトークショーが行われました。名古屋の映画情報サイトCine@nagoya(シネアナゴヤ)では、空木マイカさんが進行した初回のトークショーを取材しました。(取材日:2022年2月19日)

通知表もなくて校則もなかったら、それだけで相当楽しいですよね

 映画上映後の余韻に包まれる会場に、トークショー司会の空木マイカさんとオオタヴィン監督が登壇し、大きな拍手で迎えられました。マイカさんに「監督は名古屋ご出身なんですよね」と振られたオオタ監督は「名古屋弁得意です!新幹線を降りてすぐにきしめんを食べましたよ」と故郷・名古屋の懐かしの味を楽しんだことを明かし会場を笑顔にしました。

初めにマイカさんが「今の学校教育に疑問があったり、時代に合っているのかなど、何かしら思いがある方、手を挙げてください」と声をかけると会場の9割ほどの観客が手を挙げました。その姿をみたオオタ監督は「疑問はありますよね~」と頷きました。そして「この映画を1年かけて撮影したんですが、半年を過ぎた頃から公立の学校の取材も始めました。そこで公立の学校でも通知表を出さない…っていう学校を見つけて、初めはウソだろって思いました」と率直な気持ちを述べました。マイカさんが「伊那市立伊那中学校は、60年以上通知表がないんですよね」と話すと、監督が「校長が変わるたびにガラッと校則が変わっていきますが、この小学校に限っては校長の申し送りで、いい伝統だから(通知表なしを)続けていこうとずっと続いている、調べてびっくりしました」と答えました。

「小学校時代に通知表がなかったら、自分はどんな風に変わっていたのだろうと考えてしまいますよね」とマイカさんが会場に語りかけると、観客の皆さんが大きく首をたてに振って反応し、監督は「本当に!通知表もなくて校則もなかったら、それだけで相当楽しいですよね。小学生の頃の僕、映画に出てくるような、いわゆる発達障害に近い…毎回通知表に落ち着きがないって書かれていた子で、好きなことしかできなかった。そういう自分だったので、理数系が不得意で自分のことバカなのかなって思っていました。昔って、みんな同じでないといけなくて」と振り返るとマイカさんも「“満遍なくできなくちゃいけません”でしたよね」と同感。監督は「マイカさんは、どういう小学校生活を送られていましたか?」と逆質問すると、マイカさんは「大人や親に褒められるような、大人の言うことをきちっと聞く優等生でした。でも、ずっと自分がやりたいことが分からずにいて…。大人のいう通りにはできるんですけど、自分からという力がなかったです」と応じ、「いま持っている私の力は社会人になって、DJとして13年間で自力で獲得してきたものなんです。だけど、好奇心を持って探求する力を小中学校・高校までに誰もが身に着けられれば、どれだけ個人の人生を豊かにできるかと、今の学校教育でもっと出来たらいいなと思いました」と話しました。

観客参加型のトークイベント 意見交流やサイン会も

トークショーには元教員の愛知県議会議員、名古屋市議会議員の方も客席から参加し、教員時代のことを織り交ぜて、映画で描かれる自然体験の重要さを話しました。また、本作にも描かれている発達障害に対する考え方について「発達障害は誰でも持っているもので、”苦手なこと”を指すと思います。障害というレッテルを張るのは違うのでは」と述べました。教育現場を長年見て、現在議員の立場で教育を考えている方々の言葉から感じることがあったようで会場内で大きくうなずく姿が多く見られました。また、生徒の親御さんからこの作品を紹介された現職の教員の方、岐阜県高山市から参加した方も感想や考えを発言し、オオタ監督も目を細めて聞き入っていました。

あっという間のトークショーが終わりに近づき、オオタ監督は「この映画ね、文部科学省選定映画なんですよ。学校の先生がたを否定したい訳でなく、この映画を見ていただいてヒントにしていただけたら最高に嬉しいですね」とアピールしました。そして「学校だけでなく、家庭でも取り組む。家に帰って取り入れてほしいです。極力、大人がギリギリまで口を出さないことですね」と語りかけました。

トークショー後にはオオタヴィン監督のサイン会が行われ、観客の一人一人との会話を楽しみ、希望者には撮影にも応じていました。2月1日に出版された監督の著作『子どもがミライだ!子どもが輝く発酵の世界』にシネアナゴヤもサインをいただきました!映画『夢みる小学校』は教育に携わる人、子ども時代を持つ大人のかた、育児中の皆様にぜひご覧いただきたい映画です。穏やかで柔らかな時間を劇場でお楽しみください。

作品概要

映画『夢みる小学校』

2月18日より名演小劇場で公開

キャスト:堀真一郎(きのくに子どもの村学園長) 茂木健一郎(脳科学者) 尾木直樹(教育評論家) 高橋源一郎(作家)他

プロデューサー・監督・撮影・編集:オオタヴィン

ナレーション:吉岡秀隆

エンディング曲:ザ・ブルーハーツ「夢」

宣伝:テレザ

配給:きろくびと

製作•著作:まほろばスタジオ

2021年/日本/91分

公式HP: https://www.dreaming-school.com/

 


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