志田彩良さんが伏見ミリオン座で主演映画『かそけきサンカヨウ』舞台挨拶レポート&インタビュー
10月15日に公開した映画『かそけきサンカヨウ』は窪美澄さんの短編小説を原作に今泉力哉監督が映画化した作品で、志田彩良さんが主演をつとめています。幼い頃に両親が離婚し、井浦新さん演じる父親と2人で暮らしてきた主人公が父親の再婚によって、幼い娘を連れた新しい母親と家族として暮らすことになり、戸惑い悩みながらも成長していく姿が描かれています。
名古屋の伏見ミリオン座で10月22日から公開されたことを記念して、舞台挨拶付き上映が行われ、主演の志田さんが映画上映前の舞台挨拶に登壇しました。本作のオファーを受けたときの気持ちや今泉監督や共演者について話してくれました。また、舞台挨拶後にインタビューに応じてくれ、名古屋に初めて来たという志田さんに名古屋メシを紹介しながら、映画の話やこれから挑戦してみたい役柄についてなどを聞きました。(取材日:2021年10月23日)
新着情報
今泉力哉監督作品3作目で主演に抜擢!「すごくうれしくて、ありがたかったです」
映画『かそけきサンカヨウ』は幼い頃から父親と2人で暮らしてきたことで早く大人にならざるを得なかった高校生・陽の葛藤と成長が描かれています。陽を演じるのは「ドラゴン桜」への出演で注目の女優・志田彩良さんで、2019年の『愛がなんだ』のヒット以降、『アイネクライネナハトムジーク』『his』など話題作を制作し、今年は『あの頃。』『街の上で』が公開された今泉力哉さんが監督をつとめています。志田さんは今泉監督の『パンとバスと2度目のハツコイ』や『mellow』にも出演していて、今作では主演に抜擢されました。
名古屋の伏見ミリオン座での公開を記念して行われた舞台挨拶付き上映に主演の志田さんが黒のロングドレスで登場し、多くの観客からあたたかな拍手で迎えられました。客席近くの入場口に現れた時もスクリーンの前に立った時も、美しい姿勢で深々とお辞儀をする姿からは、来場者への心からの感謝の気持ちが伝わってきました。
司会者から本作へのオファーを受けたときの気持ちを聞かれると「今泉監督の作品で主演をさせてもらることがすごくうれしくて、ありがたかったです」と答え、原作を先に読んでいた志田さんは「台本を読ませていただいて温かい温度感の作品に今泉監督の色が加わって、さらに素敵な作品になっていて、現場が楽しみになりました」と振り返りました。
今泉監督の印象について「現場と普段とでは印象が違う方で、普段はすごくお喋りなんですけど、現場ではどこにいるのかわからないくらい隅っこのほうで丸くなっていますね」と話し「猫背が印象的なので、監督みたいに丸まっている置物を見つけてプレゼントしました」と笑顔で教えてくれました。また志田さんは「(今泉監督は)すごく信頼している監督です。現場も今泉組でお世話になっている方がたくさんいたので、すごく安心感がありました」と撮影時の様子を語りました。
父親役で共演した井浦さんについて「いつかご一緒させていただけたらなと思っていた俳優さんのおひとりで、親子という形でご一緒できて光栄でした」と話し「現場でもあたたかい言葉をかけていただいて、役者さんとしても素晴らしい方ですけど、人としても丁寧で素敵な方なんだなと間近で感じました」と感想を述べました。また井浦さんの出演作で印象に残っている作品を聞かれると「『ピンポン』をかなり前に観て、すごいカッコいい方だなっていう印象でした」と意外な作品が飛び出しました。
志田さんは同級生役の鈴鹿央士さんとドラマ『ドラゴン桜』でも共演をしているのですが、本作の撮影のほうが先だったそうで「撮影に入る前に絵の練習をするときに初めてお会いして、お互いなかなか話せなくて、鈴鹿さんが『志田さん、絵お上手ですね』と小声ていってくださって、私も『鈴鹿さんもお上手だと思います』って、よそよそしい会話をしていました。その距離感だからこそ、劇中の2人の距離感ができたのかなと思いました」と教えてくれました。
家事をテキパキこなす役を演じることになった志田さんは、撮影前に洗濯や料理などに積極的に取り組んでいたそうで「料理も毎日、家族の分も献立から考えて作っていました。日常的に作っているのとたまに作るのは手際が変わってくるのかなと思って、毎日作っていました」と話していました。
舞台挨拶の最後に「対面で顔と顔をあわせて話をしたり、気持ちを伝えることが減ってきていると思うのですが、相手を許す強さや直接気持ちを伝える大切さが伝わったらいいなと思っています」とこれから映画を観るお客さんに感謝の気持ちとともに想いを伝えました。また伏見ミリオン座のロビーに掲出されている映画『かそけきサンカヨウ』のポスターにサインと一緒に書いたあて名が「伏見ミリオン‟ザ”さま」となっていて、ウッカリなのかお茶目なミスなのか、いずれにしても可愛らしい志田さんでした。
映画『愛がなんだ』岸井ゆきのさん、今泉力哉監督 名古屋での公開初日舞台挨拶&インタビュー
原作にはない「今」という視点にこだわった 映画『アイネクライネナハトムジーク』今泉力哉監督に名古屋でインタビュー
男子校時代の思い出も語る宮沢氷魚さん 映画『his』藤原季節さんと共に名古屋でインタビュー
若葉竜也さんの朝ドラ出演を予言? 映画『街の上で』名古屋舞台挨拶に今泉力哉監督が登壇
「撮影の時まで感情を溜めておきたい」大切なシーンだからこそ慣れないように
舞台挨拶後に控室でインタビューに応じてくれた志田さんは「名古屋に来たのは人生初です」と話し「名古屋は美味しいものがたくさんあるイメージです」と笑顔で答えてくれました。おすすめの名古屋メシを紹介していたら「お土産でいただいた‟くりきんとん”が美味しすぎて忘れられません。やっと名古屋に来れたので、絶対買って帰ります」と話してくれるなど食べ物の話が尽きなかったのですが、ちゃんと映画の話も聞けました。
映画終盤で志田さんと井浦さんが父と娘として実の母親について話をするシーンについて「原作を読んだ時に涙が止まらなくなってしまって、台本で読んでまた泣いてしまって」と話してくれました。とても大切なシーンであると感じていた志田さんは「このシーンに慣れてしまったら怖いなと思って、撮影中も(台本の)そのページだけは開かないようにしていて、セリフだけ頭に入れて現場に行きました。撮影の時まで感情を溜めておきたいなと思ったのです」と自然なお芝居ができるように工夫していたことを教えてくれました。撮影の様子を聞くと「元々は長回し撮影の予定ではなかったのですが、テストで一度、井浦さんとお芝居をしたときに、今泉監督が『これは切れないな』とおっしゃって、長回し撮影で1回で行こうということになって、約15分のシーンを1発で撮りました」と重要なシーンの裏話も話してくれました。
志田さんは現在22歳ですが、実際の年齢よりも若い役柄が続いていることについて「オファーを頂ける限りは、まだ学生役を演じたいです」と答えつつも「今までのイメージを覆せる役柄にも挑戦したいです。狂気的な役やサイコパスの役なども挑戦したいです」と答えてくれました。今後の活躍も楽しみにしたいですね!
志田彩良さん初主演映画『ひかりのたび』名古屋舞台挨拶に高川裕也さんと澤田サンダー監督が登壇
作品概要
伏見ミリオン座ほかにて公開中
監督:今泉力哉
原作:窪美澄『水やりはいつも深夜だけど』所収「かそけきサンカヨウ」
脚本:澤井香織、今泉力哉
出演:志田彩良、鈴鹿央士、中井友望、鎌田らい樹、遠藤雄斗、石川恋、鈴木咲、古屋隆太、芹澤興人、海沼未羽、鷺坂陽菜、和宥、辻凪子、佐藤凛月、菊池亜希子、梅沢昌代、西田尚美、石田ひかり、井浦新
音楽:ゲイリー芦屋
配給:イオンエンターテイメント
©2020 映画「かそけきサンカヨウ」製作委員会