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2021-04-16

若葉竜也さんの朝ドラ出演を予言? 映画『街の上で』名古屋舞台挨拶に今泉力哉監督が登壇


 

4月9日に公開となった映画『街の上で』は『愛がなんだ』や『アイネクライネナハトムジーク』『あの頃。』など監督作が多く公開されている今泉力哉監督による下北沢を舞台にした恋愛群像劇です。今泉さんとマンガ家の大橋裕之が共同で脚本を手がけたオリジナル作品で、1人の青年と4人の女性たちを中心とした物語。多くの映画作品でその存在感に注目が集まっており、朝の連続テレビ小説「おちょやん」にも出演した若葉竜也さんが主人公を演じ、穂志もえかさん、古川琴音さん、萩原みのりさん、中田青渚さんが出演、成田凌さんも友情出演しています。

名古屋のセンチュリーシネマで公開2日目に舞台挨拶が行われ、上映後のスクリーン前に今泉監督が登壇しました。大学時代を名古屋で過ごした今泉監督は地元トークを織り交ぜながら、映画制作の始まりや本作を作るうえで大切にしたこと、主演の若葉さんや共同脚本として参加した大橋さんについても教えてくれました。(取材日:2021年4月10日)

長回しの会話も1テイクで!役者さんが作り上げた空気感

映画『街の上で』は下北沢の古着屋で働く主人公と彼を取り巻く4人の女性たちの姿が描かれる恋愛群像劇です。公開2日目となったセンチュリーシネマのスクリーン1は感染予防の為に販売されていなかった最前列を除くすべての座席が完売しており、満員のお客様の拍手の中、上映後の舞台挨拶に今泉力哉監督が登壇しました。名古屋市立大学芸術工学部を卒業している今泉監督は「今池、池下、矢田とかの辺り、最寄り駅がない古出来町、ナゴヤドームのそばに住んでいました」と具体的な地名をあげながら名古屋に縁があることを話してくれました。

企画の始まりについて「司会の髭野純さんが下北沢映画祭のスタッフをされていて、2018年頃に下北沢を舞台に何か撮ってもらえないか話をもらって」と説明し「ジム・ジャームッシュ監督の『コーヒー&シガレッツ』という、カフェで2人で話している会話劇とか、アキ・カウリスマキ監督作品のような主人公が科目で恋愛も下手で、女性に惹かれたりもするけどうまくいかなくて、いろんな人に巻き込まれて痛い目にあうみたいなあたりから着想しました」と教えてくれました。

映画『街の上で』は登場人物たちの何気ない会話がとても面白く、特に主人公と出会ったばかりのある女性が夜通し話をしている長回しのシーンは予告編の冒頭にも入っているほど象徴的なシーンです。あまりにも自然な会話の流れや2人の雰囲気に、アドリブなのかとよく聞かれるそうで、今泉監督は「あれはテイクを1回しかやってなくて、2人はセリフの通りやっているんです。でも笑い声とか照れたりとか、こちらでコントロールできないことでシーンが立ってくるんです」と話していました。また「役者さんの動きで時間が埋まったので、シーンをだいぶカットしました。長回しになったのは役者さんが作り上げた空気感かなと思います」と130分という上映時間でも長く感じない作品に仕上がった理由の一つを教えてくれました。

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恋愛映画を多く撮っている今泉監督は映画『街の上で』について、変わっていく街の様子と変わらない気持ちとの対比から着想した作品であることも教えてくれました。下北沢に実際にあるお店で撮影を行ったことについて「そこに生活している人たちの映画にしたいと思っていたので、自分の知っている場所や道で作ろう意識して作っていた感じです」と観光地としてではなく、住んでいる人の視点を大切にしたことも話しました。

映画『街の上で』の出演者はワークショップオーディションで選ばれた若いこれからの俳優さんが多く、主演をつとめた若葉竜也さんについて「特別にすごいかっこいいとか、すごいオーラがありすぎるみたいなことがない人で、(俳優たちの)真ん中にいてもらえるんじゃないかという感じがありました」と話し「若葉さんがやったらすごい面白くなるだろうなと思いました」と期待感を込めてオファーしたことを明かしました。若葉さんは現在、様々な映画作品に次々出演し、朝の連続テレビ小説「おちょやん」にも出演しています。その活躍によって「1個ボケを潰されて滑ってるような感じ、もしくはおじいちゃんが予言者みたいな感じになっちゃった」と今泉監督がコメントしていましたが、このシーンもある意味では返って面白く感じられると思いますよ。

若葉さんを取り巻く、穂志もえかさん、古川琴音さん、萩原みのりさん、中田青渚さんが演じる4人の女性たちがとても魅力的ですが、それ以外の多くの名前のない登場人物も映画の重要な要素となっています。今泉監督は「現実世界では、この人と恋に落ちるかもと思った人と連絡先も交換できなかったりとか、二度と会いたくないと思う人ほど何度も出会ってしまったりとかするので」と下北沢の街で起こりうる人との出会いを作り物にならないように描いたことを教えてくれました。

共同脚本として参加している漫画家の大橋浩之さんには様々なアイディアをもらったそうで「大橋さんは1人の時間とか誰も見てない時間を作るのがうまくて」と話しました。また大橋さんは、友情出演している成田凌さんと若葉さんが初めて会うシーンを「この映画全体で一番好きなところ」と話していることも明かし「そこ?他にもあるでしょ!!」と大橋さんの感性にツッコミを入れていました。

舞台挨拶の後にはサイン会も行われ、今泉監督は感染予防を施されたテーブルで、パンフレットを持つ来場者一人ひとりに丁寧に対応していました。

作品概要

映画『街の上で』

4 月9日よりセンチュリーシネマほかで公開

監督:今泉力哉

脚本:今泉力哉、大橋裕之

出演:若葉竜也、穂志もえか、古川琴音、萩原みのり、中田青渚、村上由規乃、遠藤雄斗、上のしおり、カレン、柴崎佳佑、マヒトゥ・ザ・ピーポー(GEZAN)、左近洋⼀郎(ルノアール兄弟)、小竹原晋、廣瀬祐樹、芹澤興人、春原愛良、未羽、前原瑞樹、タカハシシンノスケ、倉悠貴、岡田和也、中尾有伽、五頭岳夫、渡辺紘文、成田凌(友情出演)

撮影:岩永洋

録音:根本飛鳥

美術:中村哲太郎

衣裳:小宮山芽以

ヘアメイク:寺沢ルミ

助監督:滝野弘仁 平波亘

スチール:木村和平 川面健吾

音楽:入江陽

主題歌:ラッキーオールドサン「街の人」(NEW FOLK/Mastard Records)

製作:遠藤日登思 K.K.リバース 坂本麻衣

プロデューサー:髭野純 諸田創

ラインプロデューサー:鈴木徳至

制作プロダクション:コギトワークス

特別協力:下北沢映画祭実行委員会、下北沢商店連合会

製作幹事:アミューズ

配給:「街の上で」フィルムパートナーズ

配給協力:SPOTTED PRODUCTIONS

(2019年/⽇本/カラー/130分/ヨーロピアン・ビスタ/モノラル)


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