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2019-02-21

「倍賞(美津子)さんと出会えてよかった」映画『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』大森立嗣監督に名古屋でインタビュー


2月22日(金)に公開となる映画『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』は宮川サトシさんのエッセイ漫画が原作で、安田顕さんが主人公、母親役を倍賞美津子さんが演じています。
監督・脚本をつとめた大森立嗣さんが名古屋でインタビューに応じてくれました。岐阜県の大垣市を中心にロケが行われた本作について、安田さんや倍賞さんの現場での様子や「死」の受け止め方についての考えなどを語ってくれました。(取材日:2019年2月4日)

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一人称エッセイの映画化で主人公以外の登場人物の想いを描く

映画『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』の原作は一人称のエッセイです。脚本の苦労は少なかったと語る大森立嗣監督は「お母さんががんを告知されてから亡くなるまで、どうやって見届けるかということ、亡くなった後にそれをどうやって受け止めていくかという2つのパートで構成されています」と話しました。

一人称のエッセイを映画化するにあたって「お母さんが思っていることをちゃんと描いたり、周りにちゃんと他者がいるということを描けば映画になるのではないかなと思いました」と述べ、死んでいく人の想いと父親や兄など主人公以外の登場人物も描くことで、主人公が全てではないという映画にしたと語りました。映画『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』は、死は人生の終わりではなく、死が日常の延長線上にあって、誰もがそれを経験しなければならないんだと感じる作品です。

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主演の安田顕さんへのリクエストと母親役の倍賞美津子さんの様子

主人公は幼い頃から様々な場面でパワフルな母親に助けられてきていて、母親への強い愛情を持っているキャラクターです。クランクインの前に大森監督は主演の安田さんに「あまり準備をし過ぎずに、現場で感じることを優先してください」と伝えたそうで「安田さんは『僕が今までやってきたアプローチとは全然違いますが、やってみます』と言っていました」と教えてくれました。

撮影現場の様子を聞くと「(安田さんは)少し泣くことを抑制していた感じはありました」と話し、「お客さんの気持ちがついてきていない時に主人公が泣いてしまうと冷めてしまうかもしれないので、気にしながら演じていました」と感情の出し方を調整していたことを明かしました。

母親役の倍賞さんは主人公の幼少期から最期の時までを演じています。大森監督は「賠償さんと仕事がしたいという思いがあって、この作品で出会えてよかったなと思いました」と感想を述べました。

「(倍賞さんは)ありのままを見て欲しいと言うタイプの俳優さんです」と話し、病に侵されてからの姿もメイクなどで作りこむことなく演じ切っています。大森監督は「倍賞さんのシーンの撮影が終わっても撮影現場に戻ってきて『みんなが終わるまで見ている』と言っていたりする様子を見て、どんどん好きになりました」と撮影以外の時間にも倍賞さんのチャーミングさを感じていたと教えてくれました。

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「死」との向き合い方を考えるきっかけになる映画

映画『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』には「死」を迎える人と「死」を見送る人、両方の想いが描かれています。大森監督は「日本の今の社会で『死』をどうやって受け止めるかは大きな課題だと思います」と話し、大きな宗教のない日本では各個人がそれぞれに考える必要があるため「(死の受け止め方として)具体的な1つの例として考えるきっかけになればいいんじゃないかな」と作品の位置付けを語りました。

大森監督に「死」についての考え方を聞くと「『死』は生の延長線上にあって、かけ離れた遠くにあるものではないとずっと思っています」と話し、高齢化社会の日本について、「ただ長生きすることが本当に幸せなのか、生活の質を考えることや若い人への負担などについても考えなければいけない時期に来ていますよね」と自身の考えを語りました。



作品概要

映画『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』

2月22日(金)よりミッドランドスクエアシネマ他にて全国ロードショー!

 

【STORY】

頼りないが優しい息子・サトシと明るくてパワフルな母・明子。平凡でユーモラスな宮川一家の日常は、母が突然ガンを宣告されたことによって変化していく。サトシは恋人の真里に励まされながら母のために奔走し、家族は戸惑いながらも支えていく。そして…母と別れて1年後、やっと家族それぞれが新たな人生へのスタートをきった頃、サトシの元に突然、母からプレゼントが届く。それは、想像をはるかに超えた特別な贈り物だった――。

出演:安田 顕 松下奈緒 村上 淳 石橋蓮司 倍賞美津子

監督・脚本:大森立嗣

原作:宮川サトシ「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。」 (新潮社刊)

音楽:大友良英

主題歌:BEGIN「君の歌はワルツ」(テイチクエンタテインメント/インペリアルレコード)

配給:アスミック・エース

製作:「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。」製作委員会

助成:文化庁文化芸術振興費補助金

©宮川サトシ/新潮社 ©2019「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。」製作委員会

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