安田顕さんが悍ましくピュアな男に 映画『愛しのアイリーン』吉田恵輔監督に名古屋でインタビュー

9月14日に公開となる映画『愛しのアイリーン』は20年以上前に『ビッグコミックスピリッツ』で連載されていた新井英樹さんの同名マンガが原作です。閉鎖的な雪国の田舎の実家に暮らす42歳の童貞男が突然フィリピン人と結婚し、年老いた母親との関係がさらに拗れて波乱が起こる物語です。13年前の映画監督デビュー以来、ずっと映画化を望んていた吉田恵輔監督が名古屋でインタビューに応じてくれました。主演の安田顕さんやフィリピンオーディションで見つけた女優のナッツ・シトイさんについて、雪山での撮影の苦労なども話してくれました。
映画『愛しのアイリーン』の原作は『宮本から君へ』『ザ・ワールドイズ・マイン』と並ぶ新井英樹さんの代表作とされる傑作マンガで1995年に連載が始まりました。吉田恵輔監督は原作マンガを始めて読んだときに「母性に号泣した。漫画の描写に切なさや痛みを感じて涙が止まらなかった。自分の中でここまで感情を揺さぶられたものがなかった。」と語り、13年前の映画監督デビューからずっと映画化の機会を探していたけれど、なかなか実らなかったことを教えてくれました。

昨年12月に映画会社に持ち掛けたところ企画が通り、すぐに脚本を制作し、その後、今年2月に公開された映画『犬猿』の撮影が終わった5月にフィリピンオーディションと映画化が決まってからはものすごいスピードで進んでいったことを話していました。

吉田監督は今年1月に名古屋で映画『犬猿』のインタビューに応じてくれましたが、この直前にフィリピンでの撮影を行い、翌日にはロケハンのために新潟県長岡市の雪山に行くなど、大変なスケジュールだったことを振り返っていました。
主人公の岩男は閉鎖的な雪国の田舎の実家に暮らす42歳の童貞男で、原作では2メートルを超える大男なのですが、映画化にあたりプロデューサーから「岩男役に安田顕さん」という提案を受けた吉田監督は「安田さんを超える人は見つからない」と感じたそうです。現場での安田さん様子を訊ねると「しっかりと考えて、理解して役を作ってきて、常に役のままでいるので人が近寄れないくらいの雰囲気でした。」と話していました。
また、岩男が憧れの女性とのデートが決まって喜ぶシーンで吉田監督から安田さんに「別のパターン何かあります?」とリテイクをお願いしたところ「誰も予想しない動きをされてその発想力が可笑しいと思って、自由にやってもらいました。」と笑いながら話していました。岩男が女性の寝顔を見ながら自慰行為をするシーンについて話が及ぶと「悍ましいですよね。前の夜からどんな表情をしようと考えていたのかと思うと気持ち悪い。」と笑わせつつ、岩男の「悍ましさ」と「こぼれ落ちたピュアさ」を演じていることについて「(安田さんは)奥深い役者さんですよね。」と役者としての表現の面白さを賞賛していました。
岩男と結婚するフィリピン人女性を演じたナッツ・シトイさんとの出会いについて「(オーディションの)部屋に入ってきた瞬間に、漫画から飛び出してきたような明るさがあり、芝居も圧倒的に素晴らしくて、見つかった瞬間に、勝ったと思った!」と語りました。オーディションのタイミングがクランクインの2ヶ月前だったため「アイリーンがいない可能性もあるなと思っていた。」と当時の不安な気持ちを振り返りつつ、原作とシンクロするようなナッツさんの表情についても「(原作に似せようと)意識していないけれど、彼女が持っていたもので、彼女は特別なことをしていない。」とアイリーンを演じたナッツさんを発見できたことを野球に例えて「前の回で仲間が10点入れてくれたピッチャーが投げるような感じ。」とこの作品の成功を確信したことを明かしました。