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2025-02-28

愛知県江南市のある家族の実話を基にした青春物語 映画『春の香り』主演の美咲姫さん、堀ともこプロデューサーにインタビュー


 

3月7日(金)から東海3県先行公開、3月14日(金)から全国公開される映画『春の香り』は、悪性脳腫瘍を患いながら漫画家を目指し、18歳で亡くなった坂野春香さんの闘病と介護の記録を父母の視点から綴った江南市の坂野夫妻共著の闘病記『春の香り~脳腫瘍と闘い、十八歳で逝ってしまった最愛の娘へ~』(文芸社)を原案に、フィクションを交えて紡がれた家族愛と主人公ハルカの青春の物語です。女子高生のハルカが通信制高校に転入し、そこで出会ったタクミに初めての恋心を抱き変化していく…という青春の日々を満喫するなか、悪性脳腫瘍が再発。病に苦しみながらも過酷な運命を受け入れ、命の限り前向きに生き抜く姿が描かれています。主演はオーディションで選ばれた美咲姫さん、初恋相手のタクミを佐藤新さん(IMP.)とフレッシュな顔合わせです。また櫻井淳子さん、元AKB48の篠崎彩奈さん、江南市出身の松田一輝さん、平松賢人さん(BOYS AND MEN)、笠井信輔さんなどが出演しています。

公開を前に映画『春の香り』の主演の美咲姫さんと堀ともこプロデューサーが名古屋でインタビューに答えてくれました。ロケをした江南市の印象、撮影秘話、作品への思いなどを話しました。(取材日:2025年2月10日)

1000人以上の中から選ばれた美咲姫さん「江南市は地元(鹿児島市)の雰囲気と似ていて安心する」

映画『春の香り』は、愛知県江南市のある家族の実話を基にした作品で、ほぼ全編が愛知県江南市内で撮影されています。また、江南市出身の松田一輝さん、BOYS AND NENの平松賢人さん、ZIP-FMナビゲーターオーディション2024にてグランプリに輝いたレディーナナさん(映画『春の香り』広報大使)など東海エリアにかかわるキャストが出演しています。主人公ハルカを演じる美咲姫さんは約1000人の中からオーディションで選ばれました。堀プロデューサーは、「私のハルカ像は、はかなげで…要領がよくないイメージがありました。そして選ぶ際にはまだあまり作品に出ていない俳優さんで、色でいえば白を望んでいました」とハルカ役の決め手を語ると、美咲姫さんは「1000人以上の中から選ばれたことは、クランクアップしてから知りました」と笑顔を見せました。美咲姫さんは映画『しまねこ』(2024年公開)のメインキャストとして出演していますが、これから期待される俳優さんです。

2週間ほど江南市を中心に撮影された映画『春の香り』には東海地区の方々にとって身近な場所がスクリーンに登場します。美咲姫さんに江南市の第一印象を尋ねると、「私は鹿児島県出身なんです。江南市は地元の雰囲気と似ていて安心しました。身近なところに川があるところとか…」と素直な気持ちを述べました。そして「愛知県といえば名古屋のイメージがあって”都会にいく!”と意気込んでいたら、江南市は時間がゆったり流れて、なんだか落ち着く街でした」と話しました。現場ではエキストラの方やボランティアスタッフの方の温かさに触れたようです。

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ハルカの初恋の行方は…佐藤新さんとの出会いのシーン 緊張しすぎて「ガッチガチ」

マンガ家を目指すハルカは転入した高校で、自作のマンガのキャラクターと同じ名前のタクミと出会います。イケメンで話しやすい巧に心奪われるハルカというマンガのような出会いから、ハルカとタクミの関係が進展していく様子は青春グラフィティとして胸がキュンキュンしてしまいます。巧を演じるのはアイドルグループのIMP.のメンバーの佐藤新さんです。過去の傷を背負いつつも夢に向かって歩む芯の強い青年を好演しています。

佐藤新さんとの撮影について伺うと美咲姫さんは「クランクインしてから、何日かまとめて撮影しました。初日は勝手が分からず本当に緊張しすぎていて、覚えていないんです」と初々しく話しました。丹野雅仁監督からはハルカと巧の出会いのシーンだったので、その緊張した雰囲気が良いと言われたそうで、美咲姫さんいわく「ガッチガチ」のシーンが出来上がったと明かしました。

劇中のハルカとタクミと同様に、美咲姫さんと佐藤さんの距離が縮まるように順撮りのスケジュールを監督が組んだことを堀プロデューサーが明かしてくれました。ハルカと巧の学校でのやりとり、駅のプラットフォームでのひととき、ライン会話などで2人の距離が近づいていく様子は、観る人に初恋のときめきや切なさを思い出させてくれるのではないでしょうか。些細な日常がハルカの生涯にとってキラキラ輝く宝物だったと伝わってきます。

丹野監督について美咲姫さんは「出演が決まってから撮影に入るまで3,4か月の間に何度もお会いして役作りの話などの話をしました。普段は優しくて親しみやすいのですが、監督はスイッチが入ると過剰に褒めたりせず、役の感情が自然に出てくるのを待つ感じです」と監督への厳しさと信頼を滲ませました。そしてハルカの発作シーンがとてもハードであることに触れ、事前に美咲姫さんがどれだけの声・力を出せるかのチェックを何回もした大変なシーンだったと振り返りました。丹野監督を信じて美咲姫さんが体当たりで演じたというシーンにご注目下さい。

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専業主婦から映画のプロデューサーになった⁉10年の下積み、縁でつながった映画制作

前作の映画『いちばん逢いたいひと』(2023年)がプロデュース1作目で、本作『春の香り』が2作目となる堀ともこプロデューサーに経歴を尋ねてみました。すると堀プロデューサーは「専業主婦でした」と意外な答えが返ってきました。詳しく伺うと、ご自身の娘さんが白血病を患い適合するドナーの方がいてくださったおかげで助かったことと、時期を同じくして適合するドナーの方が見つからなくて命を落としたお子さんを目の当たりにしたことを経験されて「一人でも多くドナー登録者を増やすことができたらという想いで、骨髄バンクをみんなに知ってもらうために映画を作りたいと思ったんです」と映画製作にかかわったきっかけについて語りました。

堀プロデューサーは「映画の作り方を知りたくて、放送局や映画製作会社に行きましたが門前払いですよ」と笑いました。それでも熱量高く行動していた堀さんは次第に映像界隈で噂になったそうで、「『そんなに映画作りを知りたかったら自分のマネージャーをやりなさい』と瀬川昌治監督が誘って下さって、制作現場にも連れて行って貰いました」と映画界に足がかりができた経緯を話しました。瀬川監督はテレビドラマ「赤いシリーズ」や『スチュワーデス物語』、『HOTEL』など多くの作品に携わっています。瀬川監督のマネージャーとして業界に入り、骨髄バンクをもっと知ってもらえる映画を作りたいという情熱を抱きながら10年以上が経過して、映画『いちばん逢いたいひと』の初プロデュースができたそうです。この作品の脚本・監督・出演をしているのは丈さん(小野寺丈)です。瀬川監督のワークショップで講師として教えていた丈さんとの出会いがきっかけで一緒に作品を制作することになったと堀プロデューサーは振り返りました。

堀プロデューサーはマネージャー時代に、本作の脚本を担当したカマチさんのマネージメント補佐をしていたそうです。いろいろ経緯はありますがカマチさんの脚本が採用されて映画化されたのが丹野監督の『メイド・イン・ヘヴン』(2021年)でした」と本作『春の香り』に大きく関わる丹野監督、脚本のカマチさんとの縁を明かしました。命を扱う映画だからこそ、丹野監督もカマチさんも並々ならない覚悟で臨んだそうです。

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堀プロデューサー「助かってしまった人が映画を作るべきだったのか」と苦悩も

映画『春の香り』の企画の経緯を尋ねると、堀プロデューサーは「ちょうど『いちばん逢いたいひと』の宣伝をSNSで発信していた頃に、坂野さんからダイレクト・メッセージを頂きました。坂野さんは娘さんを脳腫瘍で亡くされ、その著書があると知らせてくれました。「私の娘は適合するドナーの方に出会えたことで命が助かったんで、他の方の命も救いたいと思い続けていたのですが、実際にお子さんを亡くされたご両親がどのような想いで本を書かれて、講演活動をしているのか気になったんです」と坂野春香さんのご両親との出会いを語りました。そして原案の著書『春の香り~脳腫瘍と闘い、十八歳で逝ってしまった最愛の娘へ~』(文芸社)を手に取ったものの、その本は春香さんの闘病と介護の記録で、つらくてなかなか読み進められなかったと明かしました。

堀プロデューサーは「娘が助かって10年以上になります。映画『いちばん逢いたいひと』を作った後もずっと、助かってしまった人が映画を作るべきだったのかと納得できない気持ちを抱えて悩んでいました」と述べつつ、自分とは逆に、病気で子どもを亡くしてしまった坂野さん夫妻のような方たちの気持ちに想いを馳せるようになったと話しました。「10年以上かかって、やっと1本しか作っていない人が『映画にしませんか』と簡単に坂野ご夫妻に言ってしまって、大丈夫かなと思いましたが、坂野さんご夫妻のご理解や、多くの方のご支援・ご協力も頂けてここまで来ました」と安堵の表情を見せました。当事者だからこそ描ける‘生き抜く’ことのリアルが映画『春の香り』に映し出されています。懸命に生きたハルカの姿からあなたは何を感じるでしょうか。

3月8日(土)に東海3県先行公開記念舞台挨拶が行われます!

映画『春の香り』の東海3県先行公開を記念して、3月8日(土)に名古屋・愛知で舞台挨拶が行われます。ミッドランドスクエア シネマ2では11:10の回上映後[舞台挨拶は13:00~13:30]、イオンシネマ ワンダーでは 13:00の回上映後[舞台挨拶は14:50~15:20]の2カ所で行われます。舞台挨拶には、美咲姫さん、篠崎彩奈さん、平松賢人さん(BOYS AND MEN)、松田一輝さんというキャストの面々が登壇するほか、丹野雅仁監督、堀ともこプロデューサー、本作の原案である『春の香り~脳腫瘍と闘い、十八歳で逝ってしまった最愛の娘へ~』の著者である坂野貴宏さん、坂野和歌子さん夫妻も登壇します。また、ミッドランドスクエアシネマ2での舞台挨拶には、劇中漫画の作画を担当した吉岡優樹さんと子役の小森咲さんも登壇予定です。舞台挨拶のMCは本作に出演し、映画『春の香り』宣伝大使を務めるレディーナナさんです。映画の舞台である愛知県江南市からほど近い映画館でのイベントです。ぜひ、足を運んでくださいね!

舞台挨拶の詳細はこちらでご確認ください。

作品概要

映画『春の香り』

3月7日(金)より、東海3県先行ロードショー 3月14日(金)全国公開

出演:美咲姫 篠崎彩奈 松田一輝 平松賢人(BOYS AND MEN) 笠井信輔(特別出
演) 佐藤新(IMP.) 櫻井淳子

監督:丹野雅仁

プロデューサー:堀ともこ

脚本:カマチ

主題歌:「ハルカ」山本雅也(テイチクエンタテインメント)

原案:「春の香り脳腫瘍と闘い、十八歳で逝ってしまった最愛の娘へ」坂野貴宏/坂野和歌子著(2022年 文芸社刊)

企画・製作:TTGlobal

製作協力:ノブレス/ブルーヒーラーズ

協賛:ニッショー

配給:ポルトレ

2024年|日本|カラー|16:9|5.1ch|日本語|102分

©TTGlobal

推薦:厚生労働省

後援:愛知県 名古屋市 江南市/愛知県教育委員会 名古屋教育委員会 江南市教育委員会/一般社団法人ハンドボール協会

 


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