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2024-10-15

名古屋・一宮で撮影した映画『BISHU~世界でいちばん優しい服~』名古屋出身の服部樹咲さんと岡崎紗絵さん、吉田栄作さん、西川達郎監督が登壇


 

10月11日(金)より先行公開、10月18日(金)より全国公開の映画『BISHU~世界でいちばん優しい服~』は尾州地方を舞台に、幾多の壁にぶつかりながらも夢に挑戦する高校生の史織と、その周囲の人々の葛藤や成長を紡いだヒューマンドラマです。主人公の史織を演じるのは映画『ミッドナイトスワン』で日本アカデミー賞新人賞に輝いた服部樹咲さん、主人公の姉を岡崎紗絵さんが演じます。姉妹役がともに名古屋出身ということで応援したくなる人も多いのではないでしょうか。また吉田栄作さん、長澤樹さん、黒川想矢さん、知花くららさん、清水美砂さんなども出演しています。

先行公開3日目、ミッドランドクスエアシネマで公開記念舞台挨拶が行われ、西川拓郎監督、主演の服部樹咲さん、岡崎紗絵さん、吉田栄作さんが登壇しました。愛知・名古屋のこと、撮影秘話など和気あいあいとトークする模様と、観客からの質問に答えるQ&Aの様子をレポートします。(取材日:2024年10月13日)

主演の服部樹咲さんは主題歌も歌唱「喋っている声と全然違う」 岡崎紗絵さん名古屋での舞台挨拶に「感慨深い」

映画『BISHU~世界でいちばん優しい服~』は世界三大毛織物の産地尾州を舞台に、発達しょう害をもつ主人公が周りに支えられながら織物とファッションデザインの道を見つけていく成長の物語であり、主人公を見守る家族や友人の愛情や、織物産業の後継者不足の問題などが織り込まれた感動のオリジナルストーリーです。エンドロール直後に温かい拍手が起き、余韻にひたる観客の前に朝から木曽川・各務原・一宮での舞台挨拶巡りというハードスケジュールを過ごしてきたとは思えないほど輝く笑顔を浮かべる主演の服部樹咲さん、岡崎紗絵さん、吉田栄作さん、西川達郎監督が登壇しました。

西川監督は「約一年前に撮ったこの作品を皆様の元に届けられたことをとても幸せに感じています」と挨拶しました。主人公の父親役の吉田さんは舞台挨拶の他に一宮でミニライブをしてきたことが伝えられると、「この舞台挨拶のあとも、納屋橋でライブがあります。お父さん、がんばります!」と笑顔でアピールしました。歌に関連して映画『BISHU~世界でいちばん優しい服~』の主題歌の話になり、主演の服部さんが歌唱していることが明かされました。エンドロールでアーティスト名を見て気づいた方もいたようですが、改めて観客は驚きの表情。服部さんは「喋っている声と歌っている声が全然違うとよく言われます」と話すと客席の皆さんは大きく頷いて反応しました。優しく沁みる素敵な歌声は必聴です。

名古屋出身の岡崎さんは「名古屋でこうやってスクリーンの前に立つのは本当に感慨深いですね。学生時代の自分に『頑張っているよ』って言いたいです。嬉しいです」と率直な言葉で喜びを伝えました。西川監督は「名古屋には縁がありまして、子どものころ藤が丘っていう東山線の…あの商店街のところに住んでいました」と話し、「学生時代に、とよはし映画祭でグランプリを貰ったりとか本当に色んなご縁が愛知にはあります」と愛知色が強まるエピソードを加えました。

吉田さんはこれまでの歌手活動で名古屋に多く訪れているためか、名古屋のグルメ情報を良く知っているそうです。服部さんが「おいしいご飯のお店を教えてください」とおねだりすると、吉田さんは笑って「名古屋のおいしい店、たくさん知っています。何でも聞いて下さい」と胸を張り「イタリアンだったら…」と色々なお店を紹介。次から次へと紹介する吉田さんと笑顔でやり取りする服部さんと岡崎さんの姿がまるで家族のようで客席がほっこりしました。撮影時や今日の楽屋でも和やかな語らいがあったことが伝わってきます。

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撮影は名古屋や一宮で行われた本作。噴水広場や、一宮高校、真清田神社など見知った場所が登場します。特に劇中で大きな意味を持つBISHU FES.は実際に一宮駅や本町商店街などを会場にファッションショーや若手が製作した生地・商品の展示や販売などのイベントが行われており、舞台挨拶の13日も華やかに実施されました。吉田さんはそのフェスでミニライブをしたようです。作品の話になり主人公の史織の姉を演じた岡崎さんは印象に残ったシーンについて、距離があるように感じている父と最後にグッと縮まる場面を挙げ「吉田さんの包み込む力を借りてできました」と語りました。そして「史織の噴水のシーンが大好きです。妹に対して複雑な思いを持つ姉ですが、史織が開放的になっていて動きがダンスみたいな感じで!」と嬉しそうに話しました。史織役の服部さんは映画『ミッドナイトスワン』でバレリーナを目指す少女、『六人の唄う女』では植物のシダをイメージした役をしなやかな動きで演じていました。その服部さんの身体表現の魅力が詰まったシーンを一押しする岡崎さん、姉のような眼差しで服部さんを見つめていたことが分かります。

吉田さんは印象的なシーンについて「夜の工場で、史織が初めて自分の意志を伝えるところです。いちばん苦戦しました」と話しました。服部さんは「すごく難しいシーンで前日まで悩みました。当日は本当に何度も何度もトライさせて頂きました」と言うと、吉田さんは「何度も諦めずにトライする娘を、僕は父のように待ち続ける。本当にリアルでしたね。僕は涙が止まらなくなっちゃって。でもその涙のところを監督がバサっと全部カットした」と恨み節。

監督は思わず岡崎さんの後ろに隠れるようなしぐさを見せ、その姿に登壇者はアハハと笑い、つられて会場にも笑い声が起こりました。「最後まで観たらわかると思いますけど、あの場面で泣くよりも…そこは演出としてカットしました、すいませんでした!」と西川監督は吉田さんに謝りつつ、自分の思いも述べました。

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観客とのQ&Aでは「(糸結びを)どっちが早くできるか競争」服部樹咲さんは「暗記が得意」で早口セリフをスラスラ披露

客席に質問を投げかけると、たくさんの手が挙がりました。織物機械を操作する場面で主人公が糸結びをすることについて「あの糸結びのことを知っていましたか?なかなかできるものじゃないので」と最初の質問者が問いかけました。服部さんは「糸結びは、撮影の日にレクチャーを受けてやりましたが、本当に難しかったです」と答えると質問者は「私は(産業の関係者で)糸結びなどしてきたので分かりますが、こういった細かい所までやっていることに感心しました」と賞賛しました。吉田さんは「撮影に入った時はものすごい上手になっていて、僕は苦戦したんですよ。空き時間に一緒にどっちが早くできるか競争したりしました」と撮影中のエピソードを紹介しました。

次に尾州出身で岡崎紗絵さんのファンという方が「噴水のシーン以外で姉妹の場面で好きな所はどこですか」と尋ねると、岡崎さんは迷いに迷う様子を見せました。西川監督が「僕は『諦めんなよ』のところが好き」と助け舟を出すと、岡崎さんは服部さんを見ながら「けっこう喝をいれるシーンが多くて、史織の部屋で『お父さんとぶつかってきな』っていうシーンがすごく好きですね」と答えました。服部さんは「そこ、私も好きなシーンです。印象に残っているシーンで言うと…うどん。姉が作ってくれるんですけど、あまり美味しくなさそうに食べているっていう…皆さん気づきました?」といたずらっ子のような表情を見せました。岡崎さんが「いつもの味じゃないなっていうね」と頷きながら大きく笑いました。

舞台挨拶で岡崎さんが来ると知って、もともと予約していた映画館ではなくミッドに来たという方が「不純な動機で拝見してすいません」と話すと岡崎さんも会場もクスクスと和やかなムード。「いろんな要素が散りばめられたいい映画でした。監督がこの作品で訴えたかったことは何でしょう」と質問しました。西川監督は「色んなことが詰まっている作品です。一宮の機織りの工場のことや、跡継ぎ問題があるとかありますが、やはり史織の物語として描いています。生きづらい状況であっても夢を諦めずに頑張る姿をみて勇気づけられる、そういったものを映画として描きたかった」と熱を込めて答えました。

最後の質問は「専門用語が結構あったのですが、特に難しかった台詞はありましたか」というものでした。服部さんは「私は早口の台詞が多くて、本番中に何度か嚙んだんですけど、でも暗記が得意な方なので台本を読んでいる段階でけっこう覚えていました」と言い、台詞の一部をスラスラと披露。あまりの見事さに劇場は驚きに包まれました。「凄い」と登壇者にも言われて誇らしそうな服部さんの表情が印象的でした。Q&Aコーナーの後は観客の皆様によるフォトセッションが行われました。

吉田さんは「史織の成長の物語ですが、父親もいくつになっても成長できるっていうメッセージも入っています。色んな世代の方に見ていただきたいです」と話しました。岡崎さんは「この作品、登場する人がみんな優しいんです。本当に温かい、温かい映画です。大切な人とまた劇場に足を運んで下さると嬉しいです」と笑顔と共に語りました。最後に服部さんが「背中を押してもらえる映画かなと思います。本当に幅広いかたちに届いてほしいと心の底から思っています。尾州地域の温かい風景であるとか、史織のピュアな魅力に癒されるのではないかとも思っています。本日はありがとうございました」とアピールして舞台挨拶が締めくくられました。

作品概要

映画『BISHU~世界でいちばん優しい服~』

2024年10月11日(金曜日)先行公開、2024年10月18日(金曜日)拡大公開

あらすじ:高校生の史織(しおり)(服部樹咲(はっとりみさき))は、明るく誰に対しても優しい性格だが、生活習慣へのこだわりが強く苦手なことも多い。ある日、史織が描いた服のデザインを見た親友の真理子の提案で、一宮市のファッションショーに出品することに……、史織の服作りが始まるが、それを知った姉の布美(ふみ)(岡崎紗絵(おかざきさえ))は、応援したい気持ちと背中を押せない気持ちの板挟みになり、父(吉田栄作(よしだえいさく))は史織が傷つくことを恐れ猛反対するのだった…。

出演:服部樹咲、岡崎紗絵、長澤樹、黒川想矢、知花くらら、田中俊介、山口智充、近藤芳正、吉澤健、清水美砂、吉田栄作

監督:西川達郎

脚本:鈴木史子、西川達郎、義井優

⾳楽:小山絵里奈

製作総指揮:神谷哲治

プロデューサー:森谷雄、竹田太郎

製作:「BISHU 世界でいちばん優しい服」製作委員会

(神谷商会、フォワード、ケイ・クリエイト、イオンエンターテイメント、TK事業開発研究所)

製作幹事:フォワード

制作プロダクション:アットムービー

配給:イオンエンターテイメント

公式サイト:https://bishu-movie.com/

©2024映画「BISHU 世界でいちばん優しい服」製作委員会

 


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