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2023-02-07

「圧倒的な色気がある人」「闇夜に潜む黒豹」と絶賛された豊川悦司さん 映画『仕掛人・藤枝梅安』名古屋で舞台挨拶に登壇


 

2月3日(金)から全国公開となった映画『仕掛人・藤枝梅安』は池波正太郎さんが描いた人気時代小説を原作とした作品です。豊川悦司さんが腕のいい鍼医者と、裏で殺しの依頼も引き受ける“仕掛人”の両面を持つダークヒーロー・藤枝梅安を演じます。生きていても為にならない奴等を“仕掛人”として始末するとともに、殺しの仕事から離れたときの日常生活や心の襞(ひだ)までじっくりと描かれたハードボイルドだけでない、世話物の顔を持つ本格的時代劇です。片岡愛之助さんが相棒の彦次郎を演じ、菅野美穂さん、小野了さん、高畑淳子さん、早乙女太一さん、柳葉敏郎さん、天海祐希さんなど魅力的なキャストが集結し、大人のエンターテイメントにふさわしい重厚な世界観を作り上げています。

映画『仕掛人・藤枝梅安』第一作の公開を記念し、名古屋駅近くのミッドランドスクエア2で舞台挨拶つき上映が開催され、上演後、満席となった会場に豊川さん、河毛俊作監督、宮川朋之プロデューサーが登場しました。名古屋や東海エリアについての話したり、レアな裏話、豊川さんの役作りなどのトークを繰り広げました。フォトセッションで観客との交流もあった舞台挨拶の様子をレポートします。(取材日:2023年2月5日)

舞台挨拶ラストの地は名古屋 豊川悦司さん「世界の山ちゃん」「長島温泉」を楽しみに?!

「仕掛人・藤枝梅安」は累計発行部数600万部超えのベストセラーで、これまで何度も映像化されてきた時代小説です。作者は『「剣客商売」「鬼平犯科帳」「真田太平記」など戦国・江戸時代を舞台とした時代小説・歴史小説を次々に発表した池波正太郎さんです。今年は池波正太郎さんの生誕100周年という節目の年。記念作品として新たに制作された映画『仕掛人・藤枝梅安』の第一作が2月3日から公開されました。表稼業の裏で“仕掛人”を行う藤枝梅安と相棒の彦次郎の暗躍と共に、人間味あふれる日常のやり取り、登場人物たちの内面がじっくり描かれた大人の時代劇です。

映画『仕掛人・藤枝梅安』の上映後、余韻に浸る観客の前に主演の豊川悦司さん、河毛俊作監督、宮川朋之プロデューサーが登壇しました。豊川さんは「上映後の舞台挨拶は緊張します。入場してくるときに、皆さんの表情を拝見して…大丈夫そうですね?」と観客に問いかけると客席から大きな拍手が起こりました。うれしそうに微笑んだのち「今日はプロモーションの旅も最後ということで、スタッフの中で一番偉いプロデューサーが出てきました。レアな話ができると思います」と豊川さんから紹介された宮川プロデューサーは「今日は舞台挨拶させていただけるということで、梅安カットにしてきました」とおどけ、河毛監督が「いつもそれじゃん」と息のあった掛け合いをして客席の笑顔を引き出していました。客席には“梅安ぬいぐるみ”を持参したファンもいて、とても温かなムードでトークがスタートしました。

河毛監督は「僕、小学4年から6年まで父親の仕事の関係で春日井市に住んでいました」と明かし、「名古屋に来たのも久しぶりで、懐かしくて。名古屋がプロモーションの最後の地になったことが、やっぱり運命だなと…嬉しいです」と愛知で舞台挨拶する喜びをかみ締めるように語りました。豊川さんは「世界の山ちゃんを楽しみにしています」と話し、手羽先が大好きと答えると会場から大きな拍手が起きました。また映画の中で桑名宿・伊勢参りが描かれることから東海地方で行ってみたいところについて聞かれ「実家が大阪にあるので、大阪と東京の中間の名古屋で新幹線を降りて、そこからレンタカーを借りてよく長島温泉に行くんですよ」と意外なエピソードを話しました。“長島温泉でトヨエツに会えるかも”と像する観客も多かったのではないでしょうか。そして豊川さんは「ジブリパークも楽しみにしています」と答えました。

豊川悦司さんと片岡愛之助さんとのバディ感も魅力「(料理も)一人の出演者」

映画『仕掛人・藤枝梅安』の楽しみの一つに、豊川さん演じる藤枝梅安と片岡愛之助さん演じる相棒の彦次郎との日常のやり取りがあります。仕掛けのハラハラドキドキ感はもちろん、食事や日常の会話など心の襞に触れる二人のバディ感がとても魅力的です。豊川さんは「河毛監督や、宮川プロデューサーからお話をいただいて、相棒役として真っ先に頭に浮かんだのが片岡愛之助さんでした。歌舞伎俳優として時代劇や世話物のプロフェッショナルであると同時に、現代劇での映像経験が豊かです。愛之助さんならきっと頼もしい相棒になってくれるんじゃないかと思いました」と熱く語りました。

宮川プロデューサーは「(お互いを呼び合う)お二人の声がとても良くて!僕、何度も見ているんですがね」と熱烈ファンの顔つきで述べ、「豊川さんと愛之助さんで、あの雰囲気を出していただけたのは良かったと思いますし、監督も非常に丁寧に演出していただけた」とまとめました。河毛俊作監督は「何も喋らずとも、気持ちが通じ合う感じ。二人で居て、そこに何か満たされていくような空気感がお二人、素晴らしい」と絶賛しました。

池波正太郎さんは、美食家としても有名な人物で、小説の中でも料理の描写が丁寧に記されています。映画『仕掛人・藤枝梅安』の中にも美味しそうな料理が登場します。そのお料理は、料理割烹「分けとく山」総料理長の野﨑洋光さんが現場で実際に作っていたそうです。豊川さんは「スタジオの中で料理の匂いが広がっていくと、池波先生の原作の世界に連れていかれるような感覚があって、芝居の味方になってくれました。野﨑さんはスクリーンに映らないところの料理も全部作って下さって、一人の出演者になってくれていると思います」と感謝を表しました。豊川さんが賞賛するお料理にもご注目ください。

映画『仕掛人・藤枝梅安』の公式YouTubeチャンネルで劇中に登場する料理のレシピ動画が公開されています。

豊川悦司さんの「鍼を持つ指」の美しさと撮影現場の様子を語る宮川プロデューサー

『仕掛人・藤枝梅安』の舞台が江戸時代ということで、河毛監督は撮影前に和室の光の入り方について資料を読み返したそうです。河毛監督は「なるべく江戸時代の人が見ていたであろう景色を、想像の中ですが再現できました。物語上、文学的な意味でも“光と影”が自分の中でもテーマで、常に意識していました」と照明部と相談して作り上げた世界観に自信を見せ、「二時間の非日常・別世界にトリップして、その世界の登場人物として楽しんでいただきたい。映画館に来ていただきたいという気持ちを込めて作りました」と声を大きくすると拍手が起こりました。スクリーンで見るからこそ味わえる世界観、和の灯りを堪能した観客からの熱いレスポンスに監督はにっこり。

そして河毛監督は「時代劇って言えば剣が当たり前だというイメージがあります。剣って明瞭な感じで“光”なんですよね。対して鍼はやっぱり“影”だと思います。侍と町人、剣術を鍛錬している武士が権力の象徴なら、鍼はどこか反権力側のイメージです。ダークヒーローの武器としての鍼は、池波正太郎先生の発明だと思います」と語りました。鍼という言葉に反応して宮川プロデューサーは「豊川さんが鍼を持つ指が綺麗で、女性スタッフたちが“キャー”って言っていました」と撮影裏のエピソードを教えてくれました。

鍼医者を演じるにあたり、豊川さんは“きちっとやりたい”と鍼を打つ手さばきを指導の先生に付いて練習したそうです。豊川さんは「免許がないと人に鍼が打てませんが、撮影では手元だけそのまま演じました。でも鍼を抜くのは本当に僕がやっていて、やっぱり緊張しますよね。女優さんだと、もう本当に…」とこぼすと、河毛監督が「ぬいぐるみに鍼を刺したんだよね」と驚きの事実を明かしました。豊川さんが「うちにあるぬいぐるみは、ほとんハリネズミみたいな」と大きくうなずくと会場に大きな笑い声が響きました。役作りの一端を窺い知れたひと時でした。

「圧倒的な色気と身長」藤枝梅安役のオファーに悩む豊川悦司さんを後押ししたのは・・・

宮川プロデューサーは「この映画の企画は混迷というか答えが出にくい世の中で、どこか影を持ったダークヒーローのほうが、この時代に映画として作るには面白いんじゃないかと思っていたところに“藤枝梅安”という作品に巡り合いました。奇しくも今年は池波先生の生誕100年ということで、メモリアルの年に作ろうと進めました」と企画か5年がかりだったことも明かしました。梅安のキャスティングについて宮川プロデューサーは「原作に6尺(181センチ)の大男とあります。江戸時代の男性の平均身長は158センチ。その中で6尺というのはモンスターのような感じですね。そして圧倒的な色気、色気がダダ漏れするような、ね。身長と色気と、本当に光と闇という両面を持った難しい芝居が要求されるので、それに応えていただける人となると豊川悦司さんしかいないということでお願いしました」と語りました。

演出した河毛監督は「僕の梅安のイメージは闇夜に潜む黒豹という感じだったんです。本当にイメージ通りでした。豊川さんのアクションって、ある時点まで間合いを取っておいて、瞬間にパッと行くコンテンポラリーダンスみたいな、日本人には難しいアクションでした」と満足顔。「海外ファンも取り込めるのでは?」と聞かれると「そうですね。外国の方が見て言葉がわからなくても、筋が何となく分かると思います。でも、例えば豊川さんのスペイン語の吹き替えも面白いかな」とイタズラっぽい顔を見せました。

河毛監督、宮川プロデューサーの絶賛を受けた豊川さんは照れた表情を見せながらも「オファーを受けたとき、名だたる先輩方が演じてこられた役なので、自分がそのラインナップに加わっていいものかと自問自答する時間がありました」と振り返り、子供のころ見ていた緒方拳さんの梅安が大好きだったことも話しました。「オファーのちょっと前に、緒方拳さんの追悼イベントのトークゲストとして呼ばれていたんですけど、もしかした緒方さんが“豊川やれよ”と言ってくれているのかなと思いましたし、緒方さんの元マネージャーさんに連絡して相談したら“絶対、緒方が喜ぶから“と言っていただいて、すごい後押しなりました」と緒方拳さんが、梅安役を引き受ける一因であったと打ち明けました。

また豊川さんは「河毛監督の独特な個性っていうのかな、それが梅安の世界観にマッチするぞという勘が働いて、面白いことが起こるのは間違いないというのもありました」と話すと河毛監督がニッコリ破顔一笑。河毛監督は「悪い奴をやっつけても、梅安は嬉しそうじゃない。自分こそ命を削ってやっている。もちろん人を殺すことは悪いことなんですが、自分のその行為によって誰かが救われたり失われた魂が報われたりしたらいいなという小さな願いだけを持って生きている人が僕は好きなんです」と梅安の魅力を語りました。

結びに豊川さんが「今日、この映画は僕らの手を離れて皆さんのものになったと思います。これからは、皆さんが映画のスタッフまたは応援団として“梅安、面白かったよ”とお声がけしてくれるとそれに勝る喜びはありません」と述べ、河毛監督が「春日井市立鳥居松小学校にいた僕が、今回のプロモーションの最後の地が名古屋で幸せでした。この作品を皆さんで育てていただけて、かわいがってくれれば本当に嬉しいです」と挨拶しました。観客とのフォトセッションでは、登壇したお三方はリラックスした様子でカメラに目線を向けていました。観客は生の「トヨエツ」に夢中な様子でシャッターを切っていました。

映画『仕掛人・藤枝梅安』をぜひ劇場で、なおエンドロールは最後まで席を立たずにご覧ください。また、映画『仕掛人・藤枝梅安(二)』は4月7日から公開されます。まずは一作目をお楽しみください!

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作品概要

映画『仕掛人・藤枝梅安』

第一作 2023 年 2 月 3 日(金)/第二作 4 月 7 日(金)より全国公開

出演:豊川悦司 片岡愛之助 菅野美穂 小野了 高畑淳子 小林薫

第一作ゲスト:早乙女太一 柳葉敏郎 天海祐希

第二作ゲスト:一ノ瀬颯 椎名桔平 佐藤浩市

原作:池波正太郎『仕掛人・藤枝梅安』(講談社文庫刊)

監督:河毛俊作

脚本:大森寿美男

音楽:川井憲次

上映時間 第一作:134 分/第二作:119 分

配給:イオンエンターテイメント

映画公式サイト:baian-movie.com

ⓒ「仕掛人・藤枝梅安」時代劇パートナーズ42社


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