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2022-03-16

「“フツーの役もできるんだ”って言われてます」映画『リング・ワンダリング』愛知県出身の笠松将さん 金子雅和監督と共に舞台挨拶に登壇


 

3月11日よりセンチュリーシネマで公開となった映画『リング・ワンダリング』は愛知県出身の笠松将さんが演じる漫画家を目指す若者・草介が主人公です。絶滅した二ホンオオカミを題材にした作品を描いているものの、肝心のオオカミが上手く描けずにいた草介が不思議な空間に迷い込み、二ホンオオカミを見たという少年に会ったり、若い女性やその家族と交流したりすることで、自身の作品に深みが与えられ、またその土地で過去に起きたことを知ることになる…という幻想的なストーリーです。笠松将さん、阿部純子さん、安田顕さん、片岡礼子さん、長谷川初範さん、田中要次さん、品川徹さんなど魅力的なキャストが物語を彩ります。映画『リング・ワンダリング』の名古屋での公開2日目に主演の笠松さん、金子雅和監督が登壇しました。

映画を観終えたばかりの観客に向けて、作品への思いや役作り、撮影中のエピソードなどを真面目に、時に笑顔で語りました。(取材日:2022年3月12日)

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「おかえりなさい」の声に笑顔の笠松将さん「節目になる作品になった」

映画『リング・ワンダリング』は現在と過去、現実と幻想が入り交ざる世界観を切なく美しく描いた物語です。自然と人間の関係性を描いてきた金子雅和監督が、初めて東京を舞台に町や人々の記憶と対峙した作品でもあります。主人公の草介を演じるのは、昨年の大河ドラマ『晴天を衝け』で渋沢栄一の孫役やNHK『岸辺露伴は動かない』の4話「ザ・ラン」での肉体改造に取りつかれる陽馬役の好演で注目を集めた笠松将さんです。笠松さんは愛知県出身ということで「おかえりなさい」の声に一礼し、はにかんだ笑顔を見せました。

笠松さんは「地元で舞台挨拶できることが光栄ですし、嬉しいです」と述べ、映画少年ではなかったけれど『ポケモン』などは映画館で見ていたエピソードを話してくれました。金子監督は「この作品、地方での舞台挨拶は名古屋が初めてです。この場に立てて嬉しく思います」と挨拶しました。

映画『リング・ワンダリング』の主人公について金子監督は「草介は非常にアーティスティックで何かにこだわっていて、同時に2020年を生きている普通の若者という部分が必要でした。そして漫画を書いている役で…キャスティングが難しかったです」と述べました。3か月ほど草介役の俳優を探し、笠松さんの初主演映画『花と雨』(2020年)を見て「”この人だ!”ってパズルのピースがはまったように感じました」とオファーを決めた経緯を明かしました。
笠松さんは「お話を頂いて、金子監督の作品を拝見しました。作品から優しい印象を持ちましたし、撮影中もあったかくて丁寧に、僕たちを包んでくれました」と初タッグを組んだ感想を話しました。「でも、まったく譲らないところは10回でも20回でもやらされました。こだわりぬく感じがすごいです。撮影中はよく分からなかったんですが、完成した作品を見たときに上質なエンタメだと思いました!」と金子監督の製作姿勢を絶賛しました。

笠松さんは「撮影中、この作品は興味深いけれどエンターテイメントしてどうなのか…と自分の中で引っかかっていて、監督とも話をさせて頂きました。監督はずっと大丈夫だとおっしゃってくれました」と打ち明け「撮影中、初号試写、宣伝をしながら監督と作品を振り返っていく行程で、僕とこの作品との関係性がどんどん変わっていることを感じています。今までは撮影したら作品との関係は終わりだと思っていましたが、撮って終わりじゃないと思うようになりました」と概念が大きく変化したことを語りました。そして笠松さんは「節目になる作品になったと思います。ありがたく思っています」と金子監督に頭を下げると、金子監督も同時にペコリとしてお互い笑い合う姿が印象的でした。また、金子監督は「この作品を見て、2回3回と観る中で変化して行くというか、毎回違った側面の発見があるんじゃないかと思います」とアピールしました。

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キャラクターと自分の共通点をリンクさせる役作り 国内外の反響は?!

現在・過去・漫画世界をつなぐ水先案内人のような主人公を演じる笠松さんは、役作りについて「他人になりきるのでなく、自分のある部分とキャラクターと共通する部分をリンクさせていく感じで演じました。草介と自分は近いな…とスッと役に入れましたし、監督が環境を用意してくださったので演じやすかったです」と話しました。東京では公開から4週間に渡って上映されていることに触れ「同業者や友達からたくさん連絡を貰っています。“フツーの役もできるんだ”って言われてますね」と笑わせ、反響が大きいことに嬉しさを滲ませていました。

金子監督は「自分は映像(絵)で画面を演出していくタイプです。映っているものが登場人物だと考えているので人間だけでなく木や石、空気や風も撮りたいと思っています。でも役者さんというか生きている人間の強さがないと、ただキレイなだけの絵になってしまうので、今回そこが自分にとってのチャレンジでした」と語りました。また、金子監督は「僕は東京出身で、今も暮らしています。自分のルーツというか東京を舞台にして映画を作りたいと思い、2017年くらいから企画がスタートしました」と映画製作の経緯を述べ、並々ならぬ思いがあったことを語りました。現在と過去の東京が重なる世界観と、主人公をめぐる人々の邂逅の意味を知るとき、あなたはどのような気持ちになるのでしょうか。

本作はアジア最大級の映画祭、第52回インド国際映画祭(ゴア)で最高賞である金孔雀賞を受賞しています。海外での反応を金子監督は「安田顕さんや片岡礼子さんが出てくるあたりでクスクスと笑いが起きます。日本人は真面目に見るけど、もっと笑って欲しいな」と冗談めかして話しました。そして「自分にとって大切なものを丁寧に描いたつもりです。息長くずっと上映している状況が続けば必ずいろんな人に届くと思うので、面白かったら、ご友人におすすめください」とメッセージを残しました。笠松さんは「『花と雨』という作品の時、お客さんが半分くらいでしたが、今回このコロナ禍に席が埋まっていることが嬉しいです。次回はここ(栄)から蟹江まで並ぶくらいだったらいいな」と笑いをとり「この場を共有できて嬉しいですし感謝しています」と結びました。

最後に金子監督が「あと、1つだけ!過去作品の上映がシアターカフェで行われますので、よろしかったらご参加ください。そして『リング・ワンダリング』を2回見るとオオカミのバッジが貰えますよ」と耳よりな情報も教えてくれました。映画『リング・ワンダリング』ぜひ劇場でご覧ください。

シアターカフェで『リング・ワンダリング』 公開記念!金子雅和監督特集上映

名古屋市東区白壁にある映画鑑賞やカフェを楽しめるスペース「Theater Cafe(シアターカフェ)」では、4月9日(土)~17日(日)の7日間に、映画『リング・ワンダリング』の公開を記念して、金子雅和監督の特集上映が開催されます。金子監督が『リング・ワンダリング』とあわせて動物四部作と位置付ける『アルビノの木』短編『水の足跡』『逢瀬』、そして初期の16ミリフィルム作品『ショウタロウの涙』を上映します。一貫した幻想美と独自の物語世界をぜひ体験してください。

シアターカフェ『リング・ワンダリング』 公開記念!金子雅和監督特集上映の詳細はこちら

シアターカフェ

住所:愛知県名古屋市東区白壁4-9

電話:052-908-3187

愛知県名古屋市東区白壁4-9

作品概要

映画『リング・ワンダリング』

3月11日(金)からセンチュリーシネマにて絶賛上映中

出演:笠松将 阿部純子 片岡礼子 品川徹 安田顕 田中要次 長谷川初範

監督:金子雅和

製作:リング・ワンダリング製作委員会

2021年 日本 カラー 5・1ch/1:1.85/DCP/103分/


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