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2020-05-27

26席のミニシアターとしてリスタート!名古屋駅西口のシネマスコーレが営業再開


 

名古屋駅西口の裏通りにあるミニシアター・シネマスコーレは1983年2月に故・若松孝二監督が立ち上げ、37年の歴史があります。シネコンとは異なり、アジア映画、日本映画、インディーズ映画など個性的な作品を次々に上映し、多数の舞台挨拶やイベント上映を行うなどして、名古屋の映画ファンが集う場所となっています。

愛知県の休業要請を受けて4月13日から期間を定めずに休館してから40日、5月23日に営業を再開しました。再開初日の様子を取材し、副支配人である坪井篤史さんにインタビューを行いました。感染予防対策を行っている映画館の様子、今後のシネマスコーレの動向、様々な支援の方法などをご紹介します。(取材日:2020年5月23日)

『音楽』×シネマスコーレTシャツを着たファンの行列

シネマスコーレが営業を再開した5月23日の朝10時前、入場券売場の前には10名強の行列ができていました。

多くの方が着ていた白地のTシャツは休館前のシネマスコーレで1月からロングラン上映されていたアニメ映画『音楽』の岩井澤健治監督が原作の大橋裕之さんに協力を依頼し、スコーレ応援グッズとして製作されたものです。送料込みで1枚3000円(税込)で通販を行い、休館している期間中も毎日、発送作業に追われるほど、何度も完売していて、すでに1500枚も売れているそうです。劇場では送料がかからないため2500円(税込)で販売しています。

Tシャツはこちらからお買い求めいただけます!

このTシャツについて坪井さんは「岩井澤さんと大橋さんから急に電話がかかってきて、作りましたのでと半ば強引に(Tシャツを販売することになりました)。休館中でも(僕らが)劇場に来る仕事を作家が与えてくれたのには驚きました」と話し、映画館としての仕事がない中でもTシャツの発送作業の為にほぼ毎日、劇場に来ていたことを話しました。また宛名を手書きしていたことについて「超アナログで、楽をしちゃいけないという想いもあり、考えるより先に体を動かしていました」と笑っていました。

オープン時間になると坪井さんが長く閉ざされていた入場券売場の戸のカギを開け窓口がオープンしました。開場時間になるとスタッフの大浦奈都子さんが大きな声で入場時の注意を呼びかけ、入場されるお客様ひとりひとりの手に消毒液を吹きかけていました。

26席のミニシアターとして再スタート

シネマスコーレの座席数は51席、これまでは補助席や立ち見を含めて80名程度が入ることもありましたが、営業再開後は着席できる座席を1席ずつ空けるようにし、26席で満席となります。「こちらの座席はご使用いただけません」という手書きの文字とイラストの紙が座席に貼られています。

入場券売場には新型コロナウィルス対策とお客様へのお願いとマスク着用のお願いの貼り紙がありました。映画鑑賞中も常時マスク着用を基本とし、食事とアルコールは不可となります。

また作品の入れ替えごとに換気や消毒をする時間を確保するため、開場は上映開始の5分前となります。パンフレットなどの物販の見本を手に取る際にも手指のアルコールをお願いするなどの対応もされています。

休館の決定から復館までの間、様々な気持ちの揺れや迷いもあったそうですが、坪井さんは「ガイドラインを守って営業していくことはかなりの足枷になるけれど、マスクや消毒が入館の為のルールとして普通のことで26席のミニシアター、新しい映画館が今日オープンする、新装開店という気持ちです」と話しました。

坪井さんの「新装開店」という発信によって、シネマスコーレに縁のある女優であり映像作家である柳英里紗さんや制作会社からスタンド花が届いていました。坪井さんは「ある種のシャレに付き合ってくれる作家や制作会社がいることが嬉しくて、(新装開店風の)花を贈ってもらえたことで、それ(新装開店)でいいんだと気持ちが楽になりました」と笑顔をみせました。

7月中旬には舞台挨拶も!作家たちの発想に「逆境は強みになる!」

これまで多数の作品で監督や俳優たちによる舞台挨拶を行ってきたシネマスコーレでの舞台挨拶の再開時期について坪井さんに聞いてみると「6月中は様子を見て、7月中旬くらいが勝負だと思っています」と展望を語りました。「配信での舞台挨拶も考えてはみたけれど、生の作家の声を聴かせることができるのがスコーレっぽいと感じています」と話し、ゲストについても思い描いていることがある様子で「色々なガイドラインはあるけど、前のスコーレみたいなことをルールを守って、問題を起こさずに以前のような満足感でやれているという指針を作りたいんです」思いを明かました。

映画監督の深田晃司さんと濱口竜介さんが発起人となって立ち上げたミニシアターエイドについて感謝の気持ちを述べつつ「作家の行動力とスピードの速さは凄いです」と話し、坪井さんと同い年だという濱口さんについて「同世代の中で『次に絶対に世界を引っ張る作家だ』と言っていたら、ミニシアターを救う動きをしてくれました」と熱く語りました。

シネマスコーレは映画上映だけでなく、ここでしか味わえないイベントやトークという付加価値によって、唯一無二の映画体験ができる映画館です。坪井さんは「こんなにも自由にやらせてくれる劇場があると監督たちの間で広まっていった」と話していて、様々な作家と一緒に常に新たな試みに挑戦してきました。坪井さん自身も身体を張って過去に行ったイベントの様子は『劇場版 シネマ狂想曲-名古屋映画館革命-』でご覧いただけます。観たことがない方は、今後の上映の機会を楽しみにしてくださいね。

『劇場版 シネマ狂想曲-名古屋映画館革命-』についてはこちらで!

6/6(土)・6/7日『劇場版 シネマ狂想曲-名古屋映画館革命-』STAY HOME MINI THEATERで上映!

上映後はシネマスコーレ坪井篤史さん×高柳明音さんによるトークも!

営業再開後、以前のようなイベントはできなくなると考えていた坪井さんですが、シネマスコーレで数々のイベント上映を行ってきた白石晃士監督からは『26席のマスク着用を逆手に取って、面白いことをやればいいじゃん』と言われたと話し、「やれない中でやれることを生み出す、逆境は強みになる!と感じました」と刺激を受けたと語りました。

また配信上映での舞台挨拶でトークする機会のあった斎藤工さんの「配信は大きな予告編で、映画館で観ることが本編だ」という発言に勇気をもらい、休館中の様々な活動の中で、遠方からシネマスコーレに行ってみたいという声があがっていることについて「作品ではなく劇場にスポットが当たってしまって」と恐縮しながらも励みにしている様子でした。

今回、全国のミニシアターと情報交換や意見交換をする中で坪井さんは「最初は暗い話をするんですけど後半には夢を語っていて、みんな死んでないなと感じたことが休館中のパワーになりましたし、お金的な部分は厳しいですけど、ミニシアターは大丈夫だな!と感じました。必ず先手を打って、またバカ事をやっているなと言われたいです」と明るい表情で話してくれました。

もう一つのシネマスコーレと新グッズの開発も

シネマスコーレは休館中にいくつかのオンライン上映に参加し、Tシャツを中心に物販にも注力していました。坪井さんは「休館中だけのつもりだった配信や物販は引き続きやっていきます」と話しました。「(スタッフの大浦さんが)劇場を救うにはどうしたらよいのかを考えている」と言い、物販において新しいアイテムを作ることも検討していると話しました。

シネマスコーレのグッズ等の購入はこちらから

配信上映について坪井さんは「これまで配信は敵視していたのに、実際にシネマスコーレに行ってみたいと思わせるきっかけになっている」と言い「休館していた期間に限ってと思っていたけれど、配信の方々が『スコーレ劇場』として来月は来月でプログラムを組みましょうと言ってもらえて、もう一つのスコーレができたと感じました」と教えてくれました。現状は以下の3つの配信が中心となり「シネマスコーレで上映したり、制作した作品を配信で観ることがそのままシネマスコーレの支援になる形です」と話しました。

仮設の映画館

鑑賞はレンタル購入から24時間以内でストリーミングのみ、ダウンロード不可。

『だってしょうがないじゃない』

Cinema Discoveries

シネマスコーレオンラインシアター

料金は1作品500円。『mama』(はるな愛監督)/『NOBIDORANDO』(宮本杜朗監督)/『アーリーサマー』(中村祐太郎監督) /『せんそうはしらない』(神保慶政監督)/『運河の伝説』(ジョン・ウィリアムズ監督)/『Canal try』(柳英里紗出演)

STAY HOME MINI THEATER

上映日時が決まっていて、5月29日~31日、6月5日~7日に10以上のプログラムの上映が行われます。映画の上映だけでなく、ミニシアターの魅力でもある上映後の監督やキャストによるトークショーも併映。5月22日と24日に『劇場版 シネマ狂想曲-映画館革命-』の配信が行われました。

6月6日と7日に『劇場版 シネマ狂想曲-映画館革命-』の再上映が決定しました。上映後はシネマスコーレ坪井篤史さん×高柳明音さんによるトークもあります。

 

施設概要

シネマスコーレ(名駅)

シネマスコーレ:新型コロナウィルス対策のご案内

Address:名古屋市中村区椿町8-12 アートビル1階

名古屋市中村区椿町8-12

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