「不器用で空回り、タモツと似ている」宮沢氷魚さん 映画『佐藤さんと佐藤さん』岸井ゆきのさん、天野千尋監督と共に伏見ミリオン座の先行上映会に登壇
11月28日(金)から公開となる映画『佐藤さんと佐藤さん』は同じ“佐藤”という姓を持つ2人が出会ってカップルになり、夫婦として共に生活をするなかで徐々にすれ違っていき、別離するまでの15年間を描くヒューマンドラマです。活発でアウトドア派なサチを岸井ゆきのさん、真面目でインドア派のタモツを宮沢氷魚さんが演じます。2人の身長差もあいまって性格も正反対で「大好きなのに、愛しているのに、ぐらっぐら」な夫婦をリアルに演じます。日常の些細な言葉や出来事、育児の大変さから大切な相手との関係が指から砂がこぼれ落ちるように崩れていく様子はドキュメンタリーのようにリアリティに溢れ、高い共感を抱く人も多いのではないでしょうか。

映画『佐藤さんと佐藤さん』公開前に、伏見ミリオン座で舞台挨拶付き特別先行上映会が行われ、W主演の宮沢氷魚さん、岸井ゆきのさん、愛知県出身の天野千尋監督が登壇しました。上映前の舞台挨拶のため、話し過ぎないよう気をつけながらも和気あいあいとトークを弾ませました。和やかな舞台挨拶の模様をレポートします。(取材日:2025年11月5日)
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「みなさんの表情がとてもよく見えます」観客席との距離の近さに笑顔 宮沢氷魚さんと岸井ゆきのさん、天野千尋監督そろって登壇
映画『佐藤さんと佐藤さん』は佐藤という同姓のカップルの交際から別れに至るまでの15年間をリアルに描いた人間ドラマです。楽観的で活発なサチを岸井ゆきのさんが演じ、真面目で内向的なタモツを宮沢氷魚さんが演じます。伏見ミリオン座での特別先行上映会のチケットは販売スタート直後に即完売となり、注目度の高さがうかがえました。開場時間が近づくと映画館の前でポスターと写真を撮る方、「楽しみだね」と会場に向かう方など、ロビーに多くの人が溢れ、賑やかになりました。

開場とともに席が埋まり、期待が高まったところにメ~テレの佐藤裕二アナウンサーが登場。「映画『佐藤さんと佐藤さん』と言うことで、わたくし佐藤裕二がメーテレ宣伝大使を拝命したしまして、この時間を迎えています」と同姓繋がりをアピールしながら挨拶しました。

佐藤アナウンサーが岸井ゆきのさん、宮沢氷魚さん、天野千尋監督を呼び込むと客席から大きな拍手が贈られました。観客に向かって手を振る宮沢さんと岸井さんはリラックスした雰囲気です。岸井さんは、雨の中集まってくれた観客に感謝を述べ、続いて宮沢さんは「(観客との)距離が近くて、みなさんの表情がとてもよく見えて嬉しいです!名古屋の皆さまとお会いできるのをとても楽しみにしてました」と話しました。

観客との距離が近いという話に岸井さんも大きく頷いて笑顔を見せました。天野千尋監督が「この作品は、私の小さな日常から生まれた映画で、今日3人でこの場所に立てて嬉しいです」と話しました。
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「物語の余白を想像したくなる役に心が惹かれ」と宮沢氷魚さん 「(夫婦の些細なケンカに)私にとってはドラマチック」と岸井ゆきのさん
心がヒリヒリしたり、心が温まったりとリアルな”パートナーあるある”が詰まった『佐藤さんと佐藤さん』の脚本を読んだ際の感想を岸井さんは、「血が繋がっていない人間同士で生活したことが無かったので、些細なことで喧嘩をするタモツとサチが私にとってはドラマチックに思えたんです」と率直に答えました。そして「でも天野監督に夫婦の日常の話を聞いて、他の人と生きるってこういうことか…と思って一刻も早くこの世界に入りたいと感じました」と答えました。すかさず天野監督は「うちはこんな感じでイライラしているよ、とか”今朝の喧嘩はね~”とか具体的なことを話しましたね」と付け加えました。

宮沢さんは脚本の第一印象を「出会ってからの15年が丁寧に描かれていて、物語が終わった後のさらに15年20年後はどういう時間を過ごしているんだろうと凄く興味が湧いてきたんですよ」と話し、物語の余白を想像したくなる役に心が惹かれてオファーに応えたと明かしました。そして「タモツという人生を1分でも長く生きたいという思いがありました」と話しました。

天野監督は脚本を書いた経緯について「10年くらい前に結婚して子育てが始まってからパートナーとの喧嘩が増えたんです。タモツみたいに、私が家事育児をワンオペで引き受けて、夫の稼ぎに頼って生きる状態になった時に閉塞感がありました。外で働く夫に恨めしい気持ちを持ってしまい、そのストレスを夫にぶつけてしまったことも」と語りました。

さらに天野監督は「そのあと映画の仕事に復帰して、サチのように家事育児を夫に任せるみたいな日も出てきました。そうしたら家で待っていた夫がかつての私のように恨めしそうに私を見るんです。その経験から性差の問題でなく、立場によって感じることが変わると実感しました。そこからサチとタモツのキャラクターが生まれました」と語りました。会場内の皆さんも監督の話を聞きながら首を縦に振って共感を示していました。
初共演の宮沢氷魚さんと岸井ゆきのさん「緊張感が…ゼロ」「どこかで会ったことがある」「穏やかでハッピーな現場」
宮沢氷魚さんと岸井ゆきのさんは初共演ということで、初めて会ったときの印象について問われると岸井さんは宮沢さんに対して「すごく優しくて穏やかで、緊張感が…ゼロ!」とお茶目な口調で言いました。雑談もすぐにできるほどの雰囲気だったと振り返りました。宮沢さんは「嬉しいです!ゆきのちゃんの場合は”どこかで会ったことがある”と感じました。撮影に入るのが楽しみになりました」とお互いに好印象だったことが伺えました。

天野監督は主演の二人をニコニコと眺めながら「1週間くらいリハーサルの期間があって、3人で一緒にいました。初日は3人で雑談して…みたいな」と教えてくれました。天野監督自身が岸井さんと宮沢さんの空気を掴めて、サチとタモツとお二人の空気感をカチッとはめ込めたと語り、「みんなが安心して現場に入れる感覚になったかなと思います」と明かしました。加えて「ゆきのちゃんがタイのお茶を入れてくれたんだよね」と振り返り、「一緒にご飯を食べに行ったりもしました」と微笑む姿から環境づくりを大事にしたことが伝わってきました。

宮沢さんは岸井さんについて「いろんな魅力があって、役に対するプロフェッショナルなアプローチだったり、真摯に向き合っていく姿は僕や監督だけじゃなくて現場にいるスタッフみんなが感じていたので、穏やかでハッピーな現場でした。いい緊張感で撮影できたのは、ゆきのちゃんのおかげです」と賞賛。岸井さんは照れくさそうな表情を見せました。
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「不器用で空回り、タモツと似ている」と宮沢氷魚さん 「ちょっと情けなくて弱い部分を晒す役を演じたら面白い」と天野千尋監督
キャスティングについて天野監督は「脚本のときからサチはバイタリティがあって、芯の強いイメージだったので、岸井さんにオファーしました。そして実際にサチを演じたら想像以上に力強いサチでした」と言うと岸井さんは、チャーングにアハハと笑い「良かったです!でもサチを引っ張って行ってくれたのは監督です」と答えました。

天野監督は「岸井さん、自転車に乗るのがそんなに上手じゃないよね?」と最初に見たとき、フラフラした運転だったと言いながら岸井さんに尋ねました。岸井さんが「はい」と小さい声で言うと会場がわっと湧きました。続けて天野監督は「でも自転車もダンスのシーンも、本番で完璧にされるんですよ。すごいと思いました」と手放しで感嘆すると宮沢さんも「うんうん」と相槌を打ちました。岸井さんは「自転車は…下手で、しかもウネリのある道路での長回しのシーンもありました」と振り返りました。「車で追って私を撮影する形だったので、”負けないぞ”という気持ちが沸いて、サチのその時の心情と重なったのがよかったかもしれない」と練習の成果が出てよかったと微笑みました。

宮沢氷魚さんをタモツ役にキャスティングした理由を天野監督は「宮沢さんはこれまでクールな役が多いなと感じていて、実はちょっと情けなくて弱い部分を晒す役を演じたら面白いのではないかと目論みました」とニヤリ。実際に宮沢さんの誠実さがタモツのキャラクターに滲み出ていたと話しました。また「誠実でクールなビジュアルなのに、情けないというのが、現場でも思わず応援したくなる愛おしさがあってスタッフみんながタモツを応援していました」と現場の様子も振り返りました。

宮沢さんは「僕はふだん不器用で空回りとかするので、タモツと似ているなと感じることがけっこうありました」というと天野監督は「え?そうなんですか」と驚きの表情を見せました。岸井さんは「タモツ側の気持ちに私自身が似ているので、私もタモツ側の気持ちがとても分かる」と共感しました。宮沢さんは「いろんなところで共感できるポイントが多いんですよ。共感できないところも含めて一緒にいる人との関係って”みんな違うんだな”って気づいたんです。それぞれの幸せを見つけるために自分たちの形を見つけて欲しいなと、自分を見つめなおすきっかけになった作品です」と語りました。岸井さんは「サチを演じているときはサチの正義でタモツに対していましたが、作品を改めて観ると、こんなに痛くお互いがすり減っていくこともあるんだ…と思いましたし、自分を見つめ直してみようと思える映画になりました」と述べました。天野監督は二人の言葉に「”自分ごと”としてとらえてもらって嬉しい」としみじみした声音で話しました。

最後に宮沢さんは「鑑賞後にお友達や家族と感想や意見を話し合って、自分のうちに秘めているものをさらけ出せるような機会になったらいいなと思います」とアピールしました。岸井さんは「この映画は、見終わったときに誰かと話したくなる映画です。たくさんの人に見ていただき、応援していただけたら嬉しいです。本日はありがとうございました」と笑顔を見せました。結びに天野監督は「私は愛知県出身で、愛知の大学に通っているときに映画研究会に入って初めて映画を製作しました。そこから映画作りがスタートしているので、素敵な俳優さん方と一緒に作った映画をここに持ってきて上映できることが嬉しいです。ぜひ楽しんでください」と挨拶しました。
作品概要
2025年11月28日(金)全国ロードショー
監督:天野千尋
脚本:熊谷まどか、天野千尋
出演:岸井ゆきの、宮沢氷魚、藤原さくら、三浦獠太、田村健太郎、前原滉、山本浩司、八木亜希子、中島歩、佐々木希、田島令子、ベンガル
配給:ポニーキャニオン
©2025「佐藤さんと佐藤さん」製作委員会
映画公式HP︓g-men-movie.com





















