toggle
2024-06-08

「エルメス(HERMES)のネクタイ」は「平泉のHのつもり!」映画『明日を綴る写真館』名古屋舞台挨拶に平泉成さん、佐野晶哉さん、秋山純監督さんが登壇


 

6月7日(金)から全国公開となった映画『明日を綴る写真館』は、キャリア60年にして映画初主演の平泉成さんが、故郷の岡崎で写真館を営む鮫島を演じる作品です。Aぇ! groupの佐野晶哉さんが演じる気鋭カメラマン・太一が鮫島に弟子入りし振り回されながらも成長していく姿と、鮫島やその家族の“想い残し”にまつわるドラマなど、悔いのない未来のために登場人物たちが前進していく様子を描く、美しくて優しい物語です。佐藤浩市さん、黒木瞳さん、市毛良枝さんなどのベテランから嘉島陸さん、咲貴さん、田中洸希さん、吉田玲さん、愛知出身の林田岬優さんなど魅力的なキャストが出演し、映画『明日を綴る写真館』の世界を膨らませています。

公開2日目に名古屋駅前のミッドランドスクエアシネマで公開記念舞台挨拶が行われ、平泉成さん、佐野晶哉さん、秋山純監督さんが登壇しました。岡崎での撮影時のエピソードや、平泉さんから見た“俳優・佐野晶哉”の印象など、たっぷりとトークをが繰り広げられた上映後の舞台挨拶の様子を紹介します。(取材日:2024年6月8日)

「4回?すごい!ありがとうございます!!」平泉成さん、佐野晶哉さん、秋山純監督が名古屋に!

公開2日目となったこの日、名古屋駅前のミッドランドスクエアシネマで公開を記念した舞台挨拶が行われ、上映後のスクリーンの前に平泉成さん、佐野晶哉さん、秋山純監督が登壇しました。盛大な拍手で迎えられた平泉さんは「平泉成です!今日はお越しいただいてありがとうございます」と喋りながら登壇し、佐野さんも「ありがとうございます!!」と元気に挨拶。映画を観終えたばかりの観客の拍手に応えるように、手を振るなどしながら、笑顔で客席を見渡していました。

平泉さんは「映画はどうでした?」と客席に問いかけ、大きな拍手が返ってくると「温かい涙をいっぱい流してくれたと思います」と語り掛け「俳優になって60年、ずっと脇役ばかりを続けてきましたけれども、80歳で生まれて初めての映画の主役をやらせていただきました」と挨拶。「”継続は力なり”という昔からの言葉がありますけれども、やっぱ続けてみるものですね。どんなことでも続けていれば、何かいいことがあるはずなんです」と感じた気持ちを言葉にし「嬉しいですね」と笑顔で話しました。

佐野さんは「この映画を観るの今日、この回が初めてだよ~という人」と問いかけ「おーーすごい!ありがとうござます」と反応。続いて「2回目だよという人」と問いかけ、手を挙げた観客の数に「えーーー!」と喜びの声、さらに「3回目以上だよという人」と問いかけ「えっーー!!」と驚きの声、少し恐る恐るといった様子で「4回目以上だよという人」と聞くと、まだ手が挙がり「えぇぇぇ!!」と驚きながら「1人?1人になった・・何回目ですか?4回?すごい!ありがとうございます。公開2日目でこんなにたくさんの人に見ていただけて本当に幸せです。(平泉)成さんの初主演映画が末永く愛していただけるように頑張っていきます」と笑顔で挨拶しました。

秋山監督は満員の客席を見渡して「本当に感無量です」と口を開き、隣に立つ平泉さんに向けて感謝の言葉をかけ「(平泉)成さんのポリシーとして、主役はやらない決めて、若いときからずっとやってきて60年。半年前に成さんに電話して『主役をやりませんか?』って言って、脚本を読んでくださって『お前が言うならやるよ』って言ってくださった時も本当嬉しかったんですけど」と企画のスタート時を振り返り「それから半年、こんなにたくさんの方に見ていただけて本当は感無量です。本当にありがとうございます」と語りました。

〈関連記事〉

【インタビュー】平泉成さんがキャリア60年で映画初主演 故郷の岡崎で撮影した映画『明日を綴る写真館』名古屋でインタビュー

佐野晶哉さんから平泉成さんへ「エルメス(HERMES)の素敵なネクタイ」のプレゼント「これは平泉のHのつもり!」

出身地である愛知での満席での舞台挨拶の感想を改めて聞かれた平泉さんは「本当に嬉しいですね。こんな日が来るとは夢にも思っていませんでした」と言い、続けて喋ろうとするのですが、感極まったのか佐野さんにパスを回しました。佐野さんは「こんなにガッツリ長期間滞在させてもらったのは初めてでした」と岡崎での撮影を振り返り「岡崎、めちゃめちゃいい場所でした。岡崎城が綺麗でした」と話しました。撮影が終わった後の夜中に、助監督と2人でカメラを持って散歩をしたと話し「カメラの修行がてら岡崎の夜景などを撮りながら歩き回って、どこを切り取っても画になる街で素敵でした」と話してくれました。

平泉さんが「全く関係ないですけど、これ、昨日、佐野くんが80歳の誕生日祝いということでくれたんです」と唐突にネクタイを紹介。6月2日に80歳の誕生日を迎えた平泉さんに司会者と佐野さんが「おめでとうございます」と言うと、会場から大きな拍手が起きました。

佐野さんは「脈略がなさすぎます(笑)」とつっこむと、平泉さんが「何カラーって言うんでしたっけ?」と佐野さんに聞き、佐野さんが「もう覚えたでしょ!昨日も言ったし、なんちゃらカラー」と平泉さんの記憶をチェック。平泉さんが「セリフも覚えられなくなってきて・・」と言うと、佐野さんから「メンバー」とヒントをもらい、平泉さんが「メンバーカラーね!!」と思い出し、2人で「メンカラね!!」と笑顔になりました。佐野さんは「僕のメンカラの緑のネクタイをプレゼントさせていただいて、昨日も今日もつけていただいて、ありがとうございます」と感謝の気持ちを伝えていました。平泉さんは「エルメス(HERMES)の素敵なネクタイでね」とネクタイのブランドを紹介すると、佐野さんはすぐに「これは平泉のHのつもりなんで!!」という素晴らしい切り返しに、平泉さんは「まぁ、本当に気遣いのある、素敵な人ですよね」と2人の関係性が伝わるやり取りを見ることができました。

「(平泉)成さんの趣味から生まれた企画です」映画『20歳のソウル』から続く縁

佐野さんは撮影中に「成さんのストイックさ」に刺激を受けたと話しました。冒頭のシーンの撮影前日にフィルムカメラを手にした平泉さんが少し動かしにくさを感じたようで、カメラを持って部屋に帰ったことを明かし「夜の10時過ぎに解散して、次の日の朝6時の集合の時には、すごいプロの手つきになっていました。僕よりも58年も先輩の成さんがこんなストイックな生活されてるんだと、勉強でしたし、衝撃でした」と一晩でカメラの操作を習得した平泉さんのエピソードを披露。平泉さんは「昔のカメラはフィルムを1回ずつ巻いて、ピントともきちっと合わせて、それから(シャッターを)押さないといけない。これが大変な作業なんです。プロカメラマンの役ということで、これを瞬時にできるように必死になって練習して、なんとかなりました」と笑顔で話しました。

平泉さんはカメラが趣味で、普段からたくさんの写真を撮っているのですが、秋山監督は自身が監督をつとめた映画『20歳のソウル』(2022年公開)で平泉さんが神尾楓珠さんが演じる主人公の祖父で写真館の親父役を演じていたこと振り返り「撮影中に成さんのカメラの話が止まらない様子を見て、成さん主役で写真館の親父の話を探して、原作に出会いました。成さんの趣味から生まれた企画です」と企画の成り立ちを話しました。

映画『20歳のソウル』には佐野さんも主人公の親友役で出演していて、映画『明日を綴る写真館』の話は秋山監督から「カメラマンの役がある」と撮影に入る半年ほど前にメールを貰っていたと話しました。また「秋山監督から連絡が来る1ヶ月ほど前に“Nikon Zfc”というカメラを買って、プライベートで出かける時に持っていっていました」と出演が決まる前から「カメラに趣味がなりつつあった」と明かし、出演が決まった後に「五十嵐太一(佐野さんの役)のメインカメラが“Nikon Zf”という僕が持ってるのとほぼ同じ機種で、ミラクルですよね!カラーもインディゴブルーっていうほぼ一緒でね」と興奮気味に教えてくれました。カメラについては「この作品で完全に趣味になりました」と述べると、秋山監督は「エンディングには佐野くんが撮った写真を使ってるんですよ!けっこういっぱい使っています」と紹介しました。黒木瞳さんの写真も佐野さんの撮っていて、佐野さんは「撮り直しがきかないワンテイクの中で、絶対にピントをあわせて1枚を撮らないといけない、お芝居とは違う部分のドキドキがありました」と振り返りました。

「自然なスタイルがいい芝居を生んでいる」「師匠に恵まれすぎている」

平泉さんは俳優としての佐野さんについて聞かれると「豊かな感受性と、やっぱこのリラックス感がいいですね。自然なスタイルがいい芝居を生んでいるんです」と答え「相手が芝居を変えて投げてきても、すっと受けていけるんですよ。佐野くんは役者としては素晴らしいものがありますよ」と明言しました。平泉さんの言葉に重なるように大きな拍手が起き、佐野さんは「わぁ、嬉しい!!嬉しい!!」とはちきれんばかりの笑顔で、両手でイイね!ポーズをしながら喜んでいました。平泉さんは「ご覧になっていただいたらわかると思いますが、よかったでしょう」と問いかけると、客席からは大きな賛同の拍手が返ってきました。

秋山監督も佐野さんについて聞かれると「郷土の後輩でもあって、デビュー前から注目していました」と話し、映画『20歳のソウル』の撮影で最初にお芝居をしたのが佐藤浩市さんとのシーンでかなり緊張感があり「佐野くんに(演技に関する)本をプレゼントしたら、その日に2回読んできて、次からどんどん良くなるんですよ」と佐野さんの変化を振り返りました。秋山監督は「(佐藤)浩市さんが第一師匠で、平泉成さんが次の大師匠で、師匠に恵まれすぎているので上手くならないわけがないんですよ」と話すと、佐野さんは「師匠と呼ばせていただいてる方々が大先輩すぎて緊張しますけど、本当にたくさんのことを学ばせていただいてます」と答えました。

佐藤浩市さんは映画『明日を綴る写真館』にも出演していて、佐野さんに佐藤さんとの共演について聞くと「浩市さんとのシーンが一番ホッとしていました。初めましての大ベテランの方々が多くて緊張していたんですが、浩市さんとは『20歳のソウル』で共演していて、その後、食事にも行かせてもらっていて、たくさんお話できていたので、浩市さんとのシーンはリラックスしてありのままで撮影できたと思います」と話していました。

「奇跡のようなメンバーが集まって撮れた映画」「素敵なチームだから撮れる、優しい涙が流せる映画」

犬の吾朗さんの話題になると佐野さんが「大画面の吾朗さん可愛かったでしょ!!」と観客に呼びかけると大きな拍手が起きる中、平泉さんが「僕、正直言うと、犬は苦手で」と告白し「犬と戯れるシーンがある役で断ったことがある」と話しました。秋山監督は「知らなかったです。最初に言わなくてよかった」とこぼしていました。佐野さんが「あんなに大きいけど2歳か3歳なので、集中力が長く続かなくて。ちゃんとお座りしていられるのは最初の5分ぐらいだけで、はしゃぎたい放題で、成さんも振り回されて大変でしたね」と話し、平泉さんも「ドーンと来ておられたときは、ビックリしましたね」と慣れない犬との共演を懐かしんでいました。また佐野さんは「最初の方は太一が殻に閉じこもってるけど、吾朗さんにだけは他の人には見せないような笑顔を見せる感じを引き出してくれました。最高の俳優さんでした」と紹介していました。

もう一度観る時に注目してほしいポイントとして佐野さんはラストの結婚式のシーンをあげ「ファインダーをのぞく成さんのあの顔ですね」と話しました。結婚式のシーンは撮影の最終日近くに行われていたこともあり「そこまでの歴史も込めてを成さんを見てるだけで涙が出てくるような」と話し出し「“想い残し”をやっとそこで叶えて、台本にもない、あんなに熱を持って白熱しながら撮ってる成さんを見たら、本当に涙が出てくるので、ぜひもう一回、注目しながら観てほしいですね」と観客に伝えました。

舞台挨拶の最後に秋山監督は「成さんの80歳という大切な時、佐野くんのデビューという一生に一度のタイミングに、奇跡のようなメンバーが集まって撮れた映画です」と作品に込めた想いを語りました。佐野さんは平泉さんとの共演を「本当に幸せでした」と振り返り「この作品の温かさは十分伝わってると思うけど、その温かさは成さんが一番前を走っていて、成さんの為ならと友情出演の豪華な大先輩の俳優さん、女優さん、成さんの背中が大好きでついていく若手の面々とか、成さん主演で撮りたいという愛情深い秋山監督とか素敵なチームだから撮れる、優しい涙が流せる映画です」と何度も味わってほしい作品であると伝え「観終わった後に、皆さんの“想い残し”について話すタイミングになれば幸せです」と伝えました。平泉さんは「秋山純監督の映画に対する情熱と愛情がこんなにも温かくて優しい映画を作ってくれました。私も愛知県出身ですから、こうして観ていただけたこと、本当に嬉しく思います。ありがとうございました」と深い感謝の気持ちを伝えました。

作品概要

映画『明日を綴る写真館』

出演:平泉成 佐野晶哉(Aぇ! group) 嘉島陸 咲貴 田中洸希 吉田玲 林田岬優 佐藤浩市 吉瀬美智子 高橋克典 田中健 美保純 赤井英和 黒木 瞳 / 市毛良枝

原作:あるた梨沙『明日を綴る写真館』(BRIDGE COMICS / KADOKAWA刊)

企画・監督・プロデュース:秋山 純

脚本:中井由梨子

企画協力:PPM製作:ジュン・秋山クリエイティブ

配給:アスミック・エース

公式サイト:https://ashita-shashinkan-movie.asmik-ace.co.jp/

©2024「明日を綴る写真館」製作委員会 ©あるた梨沙/KADOKAWAv

 


関連記事