toggle
2023-08-02

9/15から開幕!「あいち国際女性映画祭2023」国内外からゲストが来場ミッドランドスクエア シネマでの上映も多数!!


 

2023年9月15日(金)から18日(月・祝)までの4日間の日程で開催される「あいち国際女性映画祭」は、今年で28回になる国内唯一の女性映画祭です。会場は名古屋市東区にある愛知県女性総合センター(ウィルあいち)、名古屋駅付近のミッドランドスクエア シネマで、世界各国・地域の女性監督による作品、女性に着目した作品の上映や、国内外の女性監督によるフィルムコンペティションが行われます。今年は海外からのゲストが4年ぶりに来場。上映に合わせてクァク・ウンミ監督、三島有紀子監督が来場するほか、国内外のゲスト来場やトークイベント、海外ゲストのオンライントークが行われます。

映画上映後のトークイベントやゲストとの交流の機会が持てるなど、映画鑑賞だけにとどまらない楽しみ方ができる「あいち国際女性映画祭」の記者会見を取材しました。今年の注目ラインナップをご紹介します。(取材日:2023年7月12日)

「世界から万遍なく」「いろいろな問題が表現された作品」奥田瑛二さん・三島有紀子監督が来場

 「あいち国際女性映画祭」は1996年(平成8年)に名古屋市東区にある愛知女性総合センター(ウィルあいち)のオープニングイベントとして始まりました。この映画祭が好評を博し、それ以降毎年開催され、今年で28回目となりました。9月15日(金)から9月18日 (月・祝)の4日間で開催され、女性監督の作品と女性の活躍をテーマとした作品の上映や、国内外の女性監督によるフィルムコンペティションなどが行われるなど、充実したプログラムとなっています。今年2023年は世界初公開が1作品、日本初公開作品が4作品、愛知初公開9作品、22の招待作品など全37作品が上映されます。

会場は名古屋市東区の愛知県女性総合センター(ウィルあいち)と名古屋駅前のミッドランドスクエア シネマ2です。例年、ミッドランドスクエア シネマでの上映は夜のみでしたが、今回は昼からも上映することが決まりました。また、フィルムコンペティションの審査委員長に俳優であり映画監督である奥田瑛二さんが続投することが発表され、合わせて9月17日(日)に奥田さんが監督した映画『少女~an adolescent』(2001年公開)の特別上映とトークイベントが開催されることも発表されました。

三島有紀子監督の『東京組曲2020』は緊急事態宣言下の2020年、自身の誕生日である4月22日に「このコロナ禍で何を感じているのかが忘れ去られる前に映像に残して、記録しよう」と三島監督が企画。20名の役者たちが賛同し各自で日常を撮影したものを三島監督が群像劇に仕上げたドキュメンタリー作品です。『しあわせのパン』『ぶどうのなみだ』でも有名な三島監督の来場が予定されています。(9/16・13時~ミッドランドスクエア シネマ)

『東京組曲2020』 ©「東京組曲2020」フィルム パートナーズ

あいち国際女性映画祭2023上映スケジュール

”あいち国際女性映画祭”の木全純治ディレクターは「今回の映画祭は、世界から万遍なく作品を取り揃えました」と胸を張りました。また「どれだけ新作が上映できるかが、映画祭の注目度に関わってくると思います。今年は愛知初上映が9本もありまして、非常に嬉しく思います」と二コリ。

海外の招待作品として映画祭のオープニングを飾るのは韓国のクァク・ウンミ監督による『ツアーガイド』です。韓国に亡命した脱北者の主人公は中国で身につけた語学を活かして通訳ガイドの仕事に就きます。新しい環境に慣れ、仕事に対して自信がついてきますが、弟と連絡が取れなくなってしまったり、韓国と中国の関係が悪化して観光客が激減したりと様々な苦難に直面する…というストーリーです。木全さんは「2014年韓国がTHAADを配備したことによって、中国と韓国との関係が悪化しました。それで観光客が少なくなって、職業を失ってしまうという厳しい現実が描かれていますね」とコメントしました。本作は日本初公開という点でも注目です。映画『ツアーガイド』のオープニング上映後にクァク・ウンミ監督のトークイベントが予定されています。(9/15・10時~ミッドランドスクエア シネマ、9/18・10時~ウィルあいち大会議室)

『ツアーガイド』

映画祭を締めくくるのは、台湾のフー・ティエンユー監督による『本日公休』です。常連客を大切にし、昔ながらの理髪店を40年営むアールイ。遠方に住む顧客の一人が病床にあることを知って店に「本日公休」の札を下げ、道具を持って車で自らそこに出向こうとするが…という内容です。台湾の名優、ルー・シャオフェンさんが脚本を気に入り、約20年ぶりに映画への復帰を果たしました。木全さんは「母の生き方と、子どもたちの生き方が対照的に描かれています。今の台湾のあり方が良く分かる作品になっています」と述べました。上映後に、フー・ティエンユー監督のオンライントークイベントが予定されています。(9/18・14時~ミッドランドスクエア シネマ)

『本日公休』©2023 Bole Film Co., Ltd. ASOBI Production Co., Ltd. All Rights Reserved

韓国のキム・スイン監督による『毒親(ドクチン)』は、集団自殺した3人の中の一人で模範的な生徒とされた高校生のユリがなぜ死んだのかを描いたドラマです。警察は死因を自殺とみますが、ユリの母親ヘヨンはそれを認めず、さらにユリに関わる友人や教師に原因があるのではないかと思い込みます。それによって捜査が難航しますが、後に意外な真実が明らかになっていくというストーリーです。上映後にキム・スイン監督と出演者のチャン・ソヒさん、カン・アンナさんを迎えてのトークイベントが予定されています。(9/16・10時~ミッドランドスクエア シネマ)

『毒親(ドクチン)』 ©2023, Mystery Pictures, ALL RIGHTS RESERVED

中国のシェン・ユー監督による『兎たちの暴走』は、中国の工業都市を舞台に母娘の絡み合う感情が描かれている作品です。継母に冷たく当たられ、強い疎外感を感じている高校生のシュイ・チン。ある日、幼いころに自分を捨てた母が町に戻ってきたことでシュイ・チンの生活が一変します。都会的な母に魅了され少しずつ母との距離を縮めていく中で、次第にその華やかさの裏に秘められた闇に飲み込まれていく様子が描かれます。木全さんは「今、中国で観るべき作品が少ない中、中国が抱えている問題点を引き込んだ作品です。2020年の作品で、ずっと本作を上映したかったんです。やっと上映できる」と語りました。(9/17・16時30分~ミッドランドスクエア シネマ)

『兎たちの暴走』

あいち国際女性映画祭2023上映スケジュール

国内招待作品は4作品です。木庭撫子監督の『骨なし灯籠』は妻を亡くし、死に場所を求めていた男が豊前街道の町・山鹿で祭りのポスターに描かれた”灯籠娘”に妻のゆかりの面影を見たことをきっかけに灯籠師のもとで働きはじめます。ある日、妻の双子の妹と不意に出会い…という物語です。本作は日本初公開で、木庭撫子監督の来場が予定されています。木全さんは「熊本、地方発の映画です。地方映画は今、良く作られている中でも優れた作品です。非常に不思議な展開を見せます」と話しました。(9/18・12時30分~ウィルあいち大会議室)

吉田夕日監督の『1%の風景』は99%のお産が医療施設で行われている日本で、助産所や自宅での出産を希望する女性達…1%の選択をした4人の女性のお産と、それを支える開業助産師の日々を記録したドキュメンタリー作品です。本作は世界初公開!上映後に吉田夕日監督のトークイベントが予定されています。木全さんは「監督が第二子を出産した経験を元に作られています。助産師さんと妊婦さんのコミュニケーションや、ちょっとビックリする出産の形が映し出されています。助産師さんも、すごくいいものなのだなということを思わせる作品です」とコメントしました。

『1%の風景』 ©2023 SUNSETFILMS

また木全ディレクターは「映画は社会の鏡。今年は特に世界のいろいろな問題が作品の中に表現されています」と話しました。特にレシア・コルドーネッツ監督の『プッシング・バウンダリー』(9/16・10時~ウィルあいち大会議室)について、「今、ウクライナで戦争が起こっていますが、2014年のクリミアを描いた作品です」と紹介。そして「シリアを舞台にした描いたスダデ・カーダン監督の『ヌズーフ/魂、水、人々の移動』(9/16・16時30分~ウィルあいち大会議室)も素晴らしいです。戦争の悲惨な状態の中での14歳の少年・少女の出会いが描かれています」と言及しました。国内外の世界情勢の中で、社会性が高いテーマ・問題に対して女性監たちが鋭い視線で切り取った作品が多いというのが2023年の特徴と言えるでしょう。

あいち国際女性映画祭2017『彼らが本気で編むときは、』トークイベントに荻上直子監督とはるな愛さん登壇

あいち国際女性映画祭2018 田中俊介さん主演の日韓合作映画『デッドエンドの思い出』特別試写会開催!

あいち国際女性映画祭2019    吉行和子さん、倍賞千恵子さん、はるな愛さんが来場!

あいち国際女性映画祭2021 映画『すばらしき世界』役所広司さん、西川美和監督が来場!

林家ペーさんが「あいち国際女性映画祭2022」に来場 映画『でくの空』ゲストトーク&インタビュー

特別企画に鉄腕アトム『ロボット競技大会』『史上最大のロボット・前編・後編』アトムの声優:清水マリさんが来場

『鉄腕アトム』のアニメが始まったのは1963年の1月1日です。今年は60周年という年であり、マンガ『鉄腕アトム』では、アトムが誕生したのは2003年4月7日に設定されているので、今年アトムは20歳であることから特別企画が開催されます。ウィルあいちの所長の小池信純さんは鉄腕アトムコレクターとしても有名で様々なメディアに出演しています。小池さんは「この記念すべき年に、当時のアニメを上映し、またアトム声優の清水マリさんにお越しいただいてトークイベントを開催できること、大変嬉しく思います」と喜びを語りました。「当時は女性声優として大変苦労されたと聞いています。その辺のお話や、当日はアトムの声を演じて頂けると思いますので私も楽しみにしています。そして私のアトムコレクションも少し飾らせていただきます。皆様、どうぞお越しください」とアピールしました。(9/17・14時~ミッドランドスクエア シネマ)

あいち国際女性映画祭2023上映スケジュール

また特別企画としてマリア・シュラーダー監督の『SHE SAID /シー・セッド その名を暴け』が上映されます。上映後には「『#MeTooに火をつけたジャーナリストたちの闘い』日本のジャーナリストたちはどう見たか?どう動いたか?」と題して、本映画祭イベントディレクターの佐藤久美さんが進行役をつとめ、ゲストにNHK名古屋放送局 コンテンツセンター 副部長 兼 解説委員の山本恵子さんを迎えて”日本のジャーナリストたちはどう見たのか?どう動いたか?”を語ります。2017年から日本でも巻き起こったMeToo運動。メディアに身を置くゲストの視点から学べることが多くありそうです。(9/18・10時~ミッドランドスクエア シネマ)

他にも、セミドキュメンタリー映画『熊野から』3部作の田中千世子監督が『修験ルネッサンス』で来場するなど、さまざまな作品の上映やコンペティション、トークイベントが予定されています。映画を鑑賞して、監督や出演者の話を聞いて、映画をより深く楽しめる「あいち国際女性映画祭」にぜひ足を運んでみてください。

基本情報

「あいち国際女性映画祭2023」

日時:2023年9月15日(金)~9月18日(月・祝)

会場:ウィルあいち、ミッドランドスクエア シネマ

チケットの詳細はこちら

 

 


関連記事