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2023-06-09

刈谷市出身の前田直樹監督と豊川市出身の渡辺いっけいさんが登壇 映画『マリッジカウンセラー』刈谷日劇で舞台挨拶


 

刈谷日劇で再上映されている映画『マリッジカウンセラー』は不動産会社から結婚相談所に出向した中年男性が、勝手が分からないなかで仲人として奮闘するヒューマン・コメディです。昭和オヤジを具現化したような赤羽を豊川市出身の渡辺いっけいさんが生き生きと演じています。宮崎美子さん、松本若菜さん、青山倫子さん、坂口涼太郎さんなどが共演しています。

映画『マリッジカウンセラー』は豊川市・岡崎市・蒲郡市・豊田市と西三河で撮影されており、見知った場所がスクリーンに映し出される楽しみも味わえます。結婚相談所の舞台裏を覗きながら、人生の教訓を得たような、温かな気持ちになる映画です。口コミでの高評価で、まだまだ上映館のすそ野が広がっている映画『マリッジカウンセラー』を監督したのは、刈谷市出身の前田直樹さんです。監督・主演が三河出身という”ご縁”で刈谷日劇で舞台挨拶が行われました。前田監督のインタビューと盛り上がりをみせた舞台挨拶の模様をお伝えします。(取材日:2023年6月4日)

「僕らは作ったものに自信を持っていたので、徐々に広がるだろうと思っていた」前田直樹監督にインタビュー

 映画『マリッジカウンセラー』はセクハラやパワハラを自覚していない”昭和オヤジ”を絵に描いたような男が、不動産会社から結婚相談所に出向させられての奮闘が描かれた物語です。不動産営業マンから結婚相談員へのジョブチェンジ。主人公(渡辺いっけいさん)がどのように変わっていくのか、また「婚活」中の会員たちが無事に”ご縁”を結べるのか…ドキドキする作品です。舞台挨拶前に、映画『マリッジカウンセラー』の前田直樹監督がインタビューに応えてくれました。前田監督は刈谷市出身。現在刈谷市広報大使を務めています。先行上映が2022年9月、2023年1月13日に全国公開された映画『マリッジカウンセラー』が全国的に上映され続けている現状について伺うと、前田監督は「小規模作品なので、一気にドーンという公開は無いだろうと思っていました。でも僕らは作ったものに自信を持っていたので、徐々に広がるだろうと…観た方の評価が高いので嬉しいです」と笑顔を見せました。

寄せられている感想の中で特に印象的だったものについて聞くと、前田監督は「僕のことをよく知っている人にも知らない人にも、”監督の人柄がとても分かる映画でした”という言葉を頂きました。具体的な感想ではなく、まさか人柄を言われるとは…意外でした」と話しました。そして、「僕はこうしてくださいという演出スタイルじゃなくて、スタッフや俳優さんと相談しながら作ります。自分が前面に出るより、皆で作ってきたという気持ちが強いから、そのような感想に繋がったのかもしれませんね」とまとめました。

前田監督は三河を舞台にした経緯について「今、アマゾンプライムで本作の3年前を描いた『マリッジカウンセラー結衣の決意』という短編が配信されています。その時の撮影場所が神奈川でした。今回は冒頭と最後に出てくるぺデストリー(広場の機能も併せ持ち合わせる高架がたの歩道)が重要でしたが、理想的なぺデストリーが神奈川には無かった。探していたら名古屋市・岡崎市のフィルムコミッションから名古屋駅や岡崎駅を紹介頂きました。駅からお見合いするスペースに繋がることが必要だったので、結婚式場のララシャンスさんがぴったりで岡崎駅…愛知県の三河で撮影すると決まりました」と述べました。劇中の結婚相談所「とわえもあ」を豊川市の古民家で撮影したことから、豊川での合宿が長かったそうです。豊川でのグルメについて前田監督は「本家は蒲郡らしいのですが、深海魚のメヒカリの唐揚げがおいしかったです。面白いのは、鰻が関東風と関西風の両方があるんですよ」と教えてくれました。

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渡辺いっけいさんへの主演オファーやキャスティングを語る

渡辺いっけいさんに主演オファーしたことについて前田監督は「愛知出身ということとは関係無く、プロデューサーと脚本家と僕とで話していて”渡辺いっけいさんがやったら面白いのではないか”と台本を送りました」と明かしました。いっけいさんは台本を読んで、冒頭の昭和オヤジのレパートリーのような主人公に不安を感じていたそうです。前田監督は「一緒に台本を読んで、最終的に嫌なオヤジのまま終わりたくないよね、可愛く見えたらいいよねと話して、狙いに行きました」と話しました。前田監督はいっけいさんの好演について「ステレオタイプな昭和男なんでしょうけれど、”ご縁”の中で変わっていく、人の幸せのために頑張る姿にちょっと憧れを感じさせるみたいなところが映し出せました」と感謝しました。

昭和オヤジを具現化するような主人公のテーマカラーは赤色。役名の赤羽ではなく、撮影当時パワフルで、押しが強いタイプだったトランプ大統領をイメージしたそうです。鼻につく昭和オヤジ、仲人として会員のデートを『〇〇物語』のようないで立ちで尾行する姿を楽しそうに演じるいっけいさん、見ごたえあります。前田監督は「いっけいさんは、映像だけでなく舞台もやる俳優さんなので、映画とは言えフレームに収まるお芝居はして欲しくないと思いました。だからカメラマンと、本当に一緒に追っかけました」と、映画終盤の走るシーンに含みを持たせました。

キャスティングは、先述のようにスタッフの相談で決まる場合と、役者に応募をかけたり、オーディションで決めたりするそうです。前田監督は「今回、この役をやりたいと来てくれた俳優さんが多くて、いい感じの組み合わせができました」とニッコリ。特に印象深いのは仲人仲間の男性役と幼馴染の居酒屋の女将さん役で、二人とも渡辺いっけいさんと舞台時代からの付き合いがある役者仲間だったと教えてくれました。「僕、役者さんに”楽しんでください”とお願いしました。僕は経歴が浅い人間なので、俳優部の皆さんに僕の想像を超える演技をしていただいて、いい所を切り取らせてもらいました」と前田監督はできばえに自信を見せました。

前田直樹監督と渡辺いっけいさん舞台挨拶「地元の良さを改めて感じました」地元での撮影を語る

 上映後の余韻冷めやらぬなか、満員の客席を前に、前田直樹監督と主演の渡辺いっけいさんが登壇しました。2度以上『マリッジカウンセラー』を鑑賞した方が挙手でアピールすると前田監督は手をかざして客席を嬉しそうに眺めていました。主演のいっけいさんについて前田監督は「映画のフレームに収まらないお芝居をしてくださいとお願いしました。僕やカメラがいっけいさんを追いかけて撮ればすごいエネルギーになると思って」と全幅の信頼を寄せていたと明かしました。

褒められて照れくさそうに一瞬下を向いてから、いっけいさんは「役者として主人公の赤羽役は危険だなと。強烈なキャラクターだった」と話すと客席からクスクス。そして、いっけいさんが「台本がよくできていて、最終的にはハートフルな方向に行きますけど、そうなる前にお客さんが帰ってしまうんじゃないかと本当に心配でした!僕、愛される顔じゃないんです。笑顔をなくすと怒っていると思われてしまうんで、現場でも気をつけました」と語ると、先ほど以上の笑い声が起こりました。

映画終盤の走るシーンが印象的だったと言われて、いっけいさんは「撮影したのは2年前で、当時50歳後半。豊川で宿泊していたので、毎朝、豊川稲荷までウオーキングして足をなまらせないようにしました。コロナの間ウオーキングにハマっていたので付け焼刃じゃないですよ」と述べると、すかさず前田監督が「今、配信している『マリッジカウンセラー』の短編を撮影時にいっけいさんに見ていただいたら、”監督は走るのが好きなんですね”と言われました。地元のエキストラさんにも同じことを言われたんです」と話しました。いっけいさんは「その走るシーンでアクシデントを起こしちゃいけないっていう自分への注意換気も兼ねました」とまとめました。

前田監督・いっけいさんの出身地、愛知ですべてロケしたことについて、いっけいさんは「やりやすかったです。でもコロナで、同級生に見に来てくれよって声をかけられなくて、水臭いなと言われました」とぽつり。そして「実家にも帰らないと決めていたんですが、宮崎美子さんに”それは、どうなの?”と言われて撮影がない日に自転車を借りて実家近くのお墓で墓参りしました。それから実家を覗いてみたんです。90歳近い父が屋根の上のゴミを脚立に乗って取ろうとしていて…僕がやってあげました。あれ、ご先祖さんが””危ないぞ、お前帰れ”って言っていたのかな」というと客席も笑いつつ頷きを見せました。

地元の撮影について、いっけいさんは「朝焼けがとても綺麗で、実家にいた18歳位までには感じなかった自然の良さを改めて感じました。夜、星がめちゃめちゃ見えるとか、いいところに住んでいたんだな…と。若いころは気づかなかったな」と実感を込めました。

共演者の松本若菜さんについて前田監督は「若菜さんは、結構冷静に”私はこう思いますが、監督はいかがですか”みたいな感じで相談しながら進めていました。でも、いっけいさんのお芝居を見てどんどん色々なことをやっていたように思います」と振り返りました。いっけいさんは「若菜さんは器用なんですよ、苦労してますからね。長いこと色々やってきたので自分のアピールより相手を活かすことを考えてます。そして、僕の役が強烈な奴だから綺麗な人が隣にいてくれてバランスが取れたんじゃないでしょうか」と笑いました。

宮崎美子さんとの共演について、いっけいさんは「宮崎さんね、割と”ご縁”があるんです。テレビやる前の舞台でうちのカミさんとも一緒に出ているんです。節目ごとにドラマなどで共演していて、この『マリッジカウンセラー』のあとも、今度テレビで放送予定のドラマ『シッコウ!!~いぬと私と執行官』も一緒です」と話しました。

お客さんからの質問タイムが大盛り上がり 劇中のハーブティーの味は?!

前田直樹監督と渡辺いっけいさんのトークを楽しんだあと、観客からの質問タイムと進みました。アドリブシーンの有無が尋ねられると、いっけいさんは「事前の打ち合わせは一応やってます。キャンプ場で歌うシーンがあって、もともと台本に監督が考えた歌詞があったのですが、自分の言葉にしたいなと。そのシーンで一緒に歌うのがインディーズ時代からの演劇仲間で、彼と一緒に考えて監督にメールで送って確認を取りました」と明かしました。前田監督は「歌詞が5番くらいまであって…」と苦笑いし「1番でお腹いっぱいでしたね」と言いました。「クレープの行列シーンの店員とのやり取りはほぼ現場で作りました」といっけいさんが話すと、前田監督は「台本通りに行かないなら、こうしようとアレンジしていただきました」とつけ加えました。

結婚相談所の取材について質問されると、前田監督は「仲人さんたち、すごいユニークな方ばかりで、いろんな方にお話を聞きました。話の中で面白いエピソード…デート代を徴収するケースなどは脚本に反映させました。仲人の情報交換会で映っている方がたは本物のアドバイザーの方なんですよ」と話しました。いっけいさんは「僕は撮影の待ち時間などに、いろんな仲人さんからお話をきいて、役者に近いなと思いました。本当に個性的で会員に対するアプローチが一人一人違うんですよ。一番感心したのが、上手くいかなくてもネガティブにとらえないで”ご縁”が無かっただけと、他に相手が必ずいるというふうに考えています。非常に健康的でいいなと思いました」と述べました。

劇中に登場するハーブティーがどんな味がするのかという問いかけに前田監督は「事前に飲んでみたら相当きつくて、本番用はマイルドにしてあります…がそれでも意外とスパイシーな味です」と明かしました。いっけいさんも「個性的な味がしました。ちょっと刺激がある感じの味で味で、若菜さんのあの表情が引き出されています」とニヤリ。前田監督も「絶妙な顔ですよね!」と同意しました。そして「こういう味・色にしてくださいって提供して頂いた所に相談して作って頂きました」と話し「奥三河蒸留所×kiocoイオンモール豊川店で販売されています」と紹介しました。

次にエキストラとして、ハイライトシーンに出演した方が「私、映画を観た友人にちょっと図々しいくらい映っていると言われました」と話すと前田監督は「いえいえ、面白いシーンでしたよね」と答えました。エキストラの方が「自分が出演したシーンがハイライトということもあり、感動するのですが、お二人にとっての一番印象に残るシーンは?」と尋ねました。前田監督は「たくさんありますが、いっけいさんと若菜さんがハイタッチするシーンですね。可愛らしいシーンだなと」と答えました。いっけいさんは「僕からはあんな若いことは出来ないから、確か若菜さんがリハーサルでしてきた」と補足しました。

いっけいさんの印象に残るシーンは「キャンプ場の橋のシーンです。実はあまり危険じゃなくて低い橋なんです。カメラマンが工夫してくれて、設定も少し変えて上手く撮れたから、監督の手柄になったと思います」と笑いました。撮影方法について前田監督は「ほぼ順番通り撮影しましたね」と答えると、いっけいさんは「以前2時間ドラマとかで、撮影初日にラストシーンを撮るなんてことがあったんです。役者として面白がって、自分で計算して演じるみたいな方法もありますが、映画は順撮りがありがたいですね」と頷きました。居酒屋でのシーンは1日仕事で撮影したそうで、いっけいさんは「あの女将役の人は20代からよく知っています。彼女とだからこその呼吸で、面白くできました」と手ごたえを見せました。盛り上がった質問タイムがあっという間に終了。たくさんの質問に気持ちよく答えてくれた前田監督と渡辺いっけいさんは、写真撮影タイムも快くポーズをとってくれました。

最後に前田監督は「全員野球でみんなで作った映画だと思います。今日はご覧いただき、ありがとうございます。あの~刈谷市のいい所を今後も映像でお伝えできたらと思います。応援よろしくお願いします」と刈谷市広報大使としても挨拶しました。いっけいさんは「今日、僕喋ってますが口下手で…なかなか広報の仕事が出来ませんでした。この映画は豊川を中心に撮った映画なので、とよかわ広報大使として、役場の人たちに喜んで頂けたのがよかったなと、思い出深い映画です」と地元への気持ちを込めて話しました。加えて「この映画を上映してくれる劇場が全国にあります。どこまでいけるか分かりませんが応援していただけると嬉しいです。お見合いとか、ちょっと尻込みしている方とかがこの映画を見て”ちょっとやってみようかな”と言う流れになればいいなと思います」と結ぶと大きな拍手が送られました。

刈谷日劇

Address:愛知愛三ビル5F県刈谷市御幸町4-208

愛知県刈谷市御幸町4-208

作品概要

映画『マリッジカウンセラー』

6月2日(金)から刈谷日劇で再上映 ※上映時間:6/9(金)~15(木) 19:30 – 21:20

監督:前田直樹   脚本:松井香奈

出演:渡辺いっけい、松本若菜、宮崎美子、青木倫子、永山たかし、坂口涼太郎ほか

製作年:2022年  製作国:日本

配給:スタジオレヴォ  上映時間:110分

製作会社:「マリッジカウンセラー」フィルムパートナーズ(企画:スタジオレヴォ)

[c]2022「マリッジカウンセラー」フィルムパートナーズ [c]キネマ旬報社

 

 

 

 

 

 


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