toggle
2023-04-03

「当て書きどころか坂口さんから生まれた映画です」映画『サイド バイ サイド 隣にいる人』坂口健太郎さん、伊藤ちひろ監督が名古屋舞台挨拶付き先行上映会に登壇


 

4月14日(金)より公開となる映画『サイド バイ サイド 隣にいる人』は、『世界の中心で、愛をさけぶ』(04)をはじめ、行定勲監督と数々の作品を作り出してき脚本家の伊藤ちひろさんが監督を務めた作品です。伊藤監督自らオリジナル脚本を書き下ろし、美術・装飾スタッフ出身である監督ならではの感性が光る詩的な映像世界が堪能できる作品となっています。物語の主人公で不思議な力を持ち、傷ついた人を癒す青年・未山を坂口健太郎さんが柔らかくも神秘的に演じます。また、ある事件がきっかけで未山の前から姿を消していた元恋人・莉子を、乃木坂46からの卒業発表後初の映画出演となる齋藤飛鳥さんが演じます。その他にも、未山と共に生活を共にしている看護師の恋人・詩織に市川実日子さん、高校時代の後輩であり、ミュージシャンとして活動している草鹿に浅香航大さん、詩織の娘・美々(みみ)を磯村アメリさんが演じるなど、個性的なキャストが名を連ね物語を彩ります。

映画『サイド バイ サイド 隣にいる人』の公開に先立ち、名古屋のミッドランドスクエアシネマでは舞台挨拶付き先行上映会が開催され、上映後のスクリーン前に主演の坂口健太郎さんと伊藤ちひろ監督が登壇しました。ファンとの時間を楽しみながら、作品の見どころはもちろん、坂口さんが「難しかった」と話す伊藤監督からのリクエストや共演者との撮影エピソードを語ってくれました。坂口さんがニコっと微笑むたびに席を埋め尽くしたファンもつられて笑顔になってしまう、終始やわらかな空気に包まれた舞台挨拶の様子をレポートします。(取材日:2023年4月1日)

伊藤ちひろ監督「坂口さんは特殊能力の持ち主」「当て書きどころか坂口さんから生まれた映画です」

映画『サイド バイ サイド 隣にいる人』は、そこに存在しない“誰かの想い”が見える青年・未山が、その不思議な力で身体の不調に悩む人や、トラウマを 抱えた人を癒やし、周囲と寄り添いながら、自分自身の過去と向き合う姿を描いた作品です。公開に先立ち名古屋のミッドランドスクエアシネマで開催された舞台挨拶付き先行上映会が開催されました。

映画の余韻が漂う中、客席からの大きな拍手に迎えられた坂口さんと伊藤監督。坂口さんは「さきほど名古屋に着いて“天むす”を食べました」と話し、集まった観客に「今日、とっても天気が良くて、こういう気持ちのいい日に、こういう作品を選んでくれて有難いです」と感謝の気持ちを伝えました。続けて「不思議な感覚を持つ映画で、不思議な映画体験だったかなと思うんですが、この作品の魅力を伝えられたらと思います」と挨拶しました。一方、伊藤監督は3月10日に公開された初監督作品・映画『ひとりぼっちじゃない』の舞台挨拶で来名されたばかりでしたが、「美味しいです、名古屋のごはん。天むすも好きだし、矢場とんの味噌カツも美味しかったし、中華も食べたいし(笑)」と名古屋メシ愛をつぶやきつつ「天気のいい日に映画館に入って観てくださってありがとうございます」と挨拶しました。

伊藤監督自ら書き下ろしたオリジナル脚本で制作された今作ですが、坂口さんは伊藤監督から「坂口くんで映像を撮ろうと思っているんだよね」と、タイトルも決まっていない、“未山”というキャラクターも作られていない段階からオファーを受けていたことを明かしました。「(坂口さんに)当て書きということで、お話しするうちに未山像ができあがったんですか?」という司会者からの質問に監督は「当て書きどころか坂口さんから生まれた映画です」と話しました。

すると、すかさず「いや、でも僕は未山とぜんぜん違いますからね(笑)」と返す坂口さん。伊藤監督は「まっ、(未山と)似ている部分がいくつかあると思います…。特殊能力を持っているところとか…」とゆっくり答えました。坂口さんは少し誇らしげに?「やっぱりすぐ分かるんですね。ありますあります(笑)」と答え、お茶目な部分を覗かせました。更に「どんな能力?」と司会者から尋ねられると、「えっと…」と言葉を濁しながら少しごまかすような笑顔を見せる坂口さんに会場からも笑い声が聞こえていました。そして、一番最初に伊藤監督が書いた未山というキャラクターを読んだときに「監督は(僕のことを)こういうふうに見える瞬間があるんだなとか、こういう一部分が僕の中にあると思ってるんだと、最初はビックリしました」と感じたことを教えてくれました。「共演者やロケ場所に囲まれたときに想定とは違ってくる。未山は現場で生まれたみたいなことが多かったかもしれないですね」と話す坂口さんに監督も「そうかもしれない」と深く頷いていました。

伊藤監督が脚本をつとめた行定勲監督映画『ナラタージュ』で坂口さんも出演していることから、年月的には長い付き合いがある坂口さんと伊藤監督。当時、『ナラタージュ』の“小野”というキャラクターを誰に演じてもらいたいか?と周りに聞かれた際にも「坂口健太郎さんにやってもらいたい」と答えたことを明かしました。坂口さんも「小野君ねー。僕、小野君、けっこう好きなんですよ」と少し脱線しながらも、坂口さんと伊藤監督の関係性や歴史を感じさせるエピソードを聞かせてくれました。

坂口さん演じる“未山”の眠るシーンに伊藤監督から出されたリクエストとは?

映画『サイド バイ サイド 隣にいる人』で印象に残るシーンとして、坂口さん演じる未山が眠っている場面があげられます。坂口さんは監督からのリクエストで難しかったこととして「生と死の狭間にいるような感じで寝てください」と言われたことを挙げ、「あ、分かりましたー。やってみますーって言って、ただ目をつぶっただけだったかもしれないんですけど(笑)」と撮影中のエピソードを教えてくれました。伊藤監督は「未山ってどこか生と死の狭間をユラユラしているような存在なんですよね。もしかしたら目覚めないかもしれないって思うような寝顔をしていて欲しかった」とリクエストの理由を話しました。「でも、出来ていましたよね?」という伊藤監督の投げかけに会場からも拍手が起こっていました。

〈関連記事〉

「この話は初めてですね」映画『ひとりぼっちじゃない』井口理さんと伊藤ちひろ監督が名古屋センチュリーシネマで舞台挨拶に登壇

「ファンの人の頭を刈りたい!」映画『あの頃、君を追いかけた』名古屋先行上映舞台挨拶に山田裕貴さん、齋藤飛鳥さん、長谷川康夫監督が登壇

映画『あの頃、君を追いかけた』山田裕貴さん、齋藤飛鳥さん(乃木坂46)、長谷川康夫監督に名古屋でインタビュー

感動の実話を映画化『劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』坂口健太郎さん、佐久間由衣さんに名古屋でインタビュー

市川実日子さん、齋藤飛鳥さん、浅香航大さん、井口理さん(King Gnu)ら共演者の話題も!

映画『サイド バイ サイド 隣にいる人』では物語の主人公・未山を取り巻く登場人物たちも個性的で心に残るキャラクターばかりなところも見どころのひとつです。中でも、伊藤監督の初監督作品となった映画『ひとりぼっちじゃない』にも出演していた浅香航大さんや井口理さん(King Gnu)が今作にも登場していることが既に話題になっています。浅香さんは未山の高校時代の後輩で、遠く離れた東京で活躍するミュージシャン・草鹿を演じています。井口さんの登場シーンについても、上映後の舞台挨拶ということで話題に出ましたが、これから鑑賞される方には、劇中のどの場面でどんな風に登場するのか、映画館で確認していただきたい部分ですので、あえて紹介せずにおきますね!どうぞ、お見逃しなく。

また、未山の恋人で看護師の詩織(市川実日子さん)の娘・美々を演じた磯村アメリちゃんの話題になると、伊藤監督は「(アメリちゃんが)熱心な子だったので、芝居をしすぎないように、現場でみんなで見守っていました」と話しました。坂口さんも「みんなで遊んでいる時に監督が静かにカメラを回し始めたりとか。僕もカメラが回り始めたら、なんとなーく坂口健太郎から未山になっていくっていうことはあったかもしれないです」と撮影の裏側を教えてくれました。「みんなの子供になってたね。未山くんと美々の時間がかわいく撮れて、私自身が癒されていました」と撮影を振り返る監督と坂口さんが一段と優しい表情で話す姿が印象的でした。

また、坂口さんは市川実日子さんや未山の元恋人・莉子を演じた齋藤飛鳥さんについて「今作で実日子さんは陽の部分を請け負ってくれて、飛鳥ちゃんは陰の部分を請け負ってくれていて。未山ももちろんそうなんですけど、お互いが居てはじめて成立するというか、どこか欠けている部分がある。その部分を彼女たちが埋めてくれるような感覚がありました」と二人の印象を語ってくれました。また、監督から「相対する役者さんによってどんどん変わっていってほしい。未山の変化はあっていい男の子だから」とアドバイスをもらったことから、クランクイン時に作っていた未山像を一度手放したことを明かし「詩織さんといる未山になるし、莉子といる未山になるし」と色々な未山を演じ分けたことを教えてくれました。

長野・上高地の美しいロケーションも見どころ。「大正池は神秘的」

当初、映画『サイド バイ サイド 隣にいる人』が伊藤監督にとって映画初監督作品となる予定でしたが、コロナの影響や監督の「自然のキレイな新緑とかが映せる時期に撮りたかった」という思いから撮影期間が変わり、映画『ひとりぼっちじゃないの』に続いて今作が2作品目の監督作品となったそうです。伊藤監督がこだわったロケーションは坂口さんが「本当に素晴らしかった。ロケーション自体もひとつの主役になってくれたような感覚がありました」と話す通り、美しい景色や風景が溢れた作品になっています。長野県の上高地で主に撮影されたことから、ロケ場所の決め手を聞かれた伊藤監督は「神秘的ですごく自然の力と共存している雰囲気がある場所だったので、どうしてもあの場所で撮りたいって思いました」と答え、劇中に登場する池の撮影地となった“大正池”について「見たことのないような景色がたくさん広がっていました」と付け加えました。

「でも、寒かった(笑)」と更に付け加えると、坂口さんも「僕はもう寒さで景色どころじゃなかった(笑)」と話し、続けて「ふぁーっていう顔してるんですけど、本当に寒かったあの日。で、監督のチョイスした未山の衣装がやっぱり薄いんですよ!」と強調し「着てないみたいなもんですから!」と訴えていました。伊藤監督は「スタッフはコート着て震えてたけど、(坂口さんは)震えることもないし鳥肌も立たないし。プロ根性だな。頑張ってもらいました!」と称賛。すると坂口さんはすぐに「いや、立ってる立ってる!立ってますよ、それは!めちゃくちゃ震えてました!」と返し、会場にも大きな笑いが起こりました。

舞台挨拶の結びに、伊藤監督は「たくさんの方に観ていただきたいと思っている映画ですので、周りの方におススメいただけれた嬉しいです。本日はありがとうございました」と観客に気持ちを届けました。そして、坂口さんは「今日、エイプリールフールじゃないですか!なんか幸せな嘘がつけたらいいなと思ったんですけど・・・。先にこれ言っちゃうとだめか(笑)」と自らツッコミをいれながらも「監督が今回挑戦している、あえて説明を省いて、みなさんに感じてもらおう、みなさんだけの『サイド バイ サイド』が出来たらいいなぁという気持ちは、今の映画界や作品作りに必要なことだと僕は思っています」と語り、「この作品のある種“奇妙さ”、ある種“面白さ”を周りのみなさんにお伝えいただければ嬉しいです。今日はありがとうございました」と思いを届け舞台挨拶を締めくくりました。

映画『サイド バイ サイド 隣にいる人』は、花が咲き、植物が芽吹き、新緑の時期を迎えようとしているこの季節にぴったりの作品です。ぜひ大切な方と一緒に映画館でお楽しみください。

作品情報

映画『サイド バイ サイド 隣にいる人』

4月14日(金)よりミッドランドスクエアシネマ他で公開

<ストーリー>

そこに存在しない“誰かの想い”が見える青年・未山(坂口健太郎)。その不思議な力で身体の不調に悩む人や、トラウマを 抱えた人を癒やし、周囲と寄り添いながら、恋人で看護師の詩織(市川実日子)とその娘・美々(磯村アメリ)と静かに暮らしていた。
そんな未山はある日、これまで体感したものとは異質の強い想いを感じ始める。
それは、高校時代の後輩で、遠く離れた東京で活躍するミュージシャン・草鹿(浅香航大)のものだった。その真意を確かめるため、彼のライブ会場に足を運び、草鹿と対面を果たす。
重い口を開いた草鹿から過去に未山と恋人・莉子(齋藤飛鳥)が遭遇した事件の顛末を明かされ、それ以来一度も会うことがなかった莉子と再会を果たすことに…。
彼女の存在によって紐解かれていく、未山の秘密。 彼は一体、どこから来た何者なのかー?

監督・脚本・原案:伊藤ちひろ

出演:坂口健太郎、齋藤飛鳥、浅香航大、磯村アメリ、市川実日子、井口理

製作:「サイド バイ サイド」製作委員会

制作プロダクション:ザフール

製作幹事・配給:ハピネットファントム・スタジオ

©2023『サイド バイ サイド』製作委員会

 


関連記事