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2021-01-15

我慢の限界を超えて声をあげた女性たちの群像劇 映画『大コメ騒動』本木克英監督と神戸浩さんに名古屋でインタビュー


 

1月8日に全国公開した映画『大コメ騒動』は約100年前に富山で起こった「米騒動」の史実に基づき、そこで活躍した女性たちにスポットを当て描いたエンタテインメント作品です。富山県出身の本木克英さんがメガホンを取り、家族の暮らしを守るために行動を起こす真っ黒に日焼けした貧しい漁師町のお母さんを井上真央さんが演じています。主人公だけでなく、米騒動の原動力となった女性たちの想いが胸に響く内容となっており、群像劇としての魅力もあります。

本木監督と本作で多くの女性たちと共演した名古屋出身、名古屋在住の俳優・神戸浩さんが名古屋でインタビューに応じてくれました。作品の魅力や撮影現場の様子を話してくれました。(取材日:2020年1月7日)

米騒動の原動力となった女性たちの群像劇

映画『大コメ騒動』は約100年前に富山で起こった「米騒動」を題材に、富山県出身の本木克英さんが原案、監督をつとめるエンタテインメント作品です。本木監督は「デビュー作から応援してくれた岩波ホールの総支配人だった高野悦子さんとの雑談の中で、米騒動を映画化したら面白いんじゃないかと言われていたことがきっかけです」と20年ほど前のエピソードを教えてくれました。映画『大コメ騒動』には主人公以外にも様々な女性の生き方や考え方が伝わってくる台詞が多数あり、胸にグッとくるドラマとしての要素があります。脚本をつとめた谷本佳織さんについて本木監督は「おかかの視点を中心に描いてほしいと依頼しました。人物の描き分けがよくできていて、群像劇として前に進められると思ました」と脚本第一稿の感想を話しました。

主人公は貧しい漁師町で暮らす3人の子供を抱えるお母さんで、井上真央さんが真っ黒に日焼けして重い米俵を浜まで運び、家族の暮らしを守るために奮闘する姿を演じています。本木監督は「(米騒動は)社会を変えようと頭で考えた行動ではなくて、家族に食べさせるお米を理不尽に奪われたくないという気持ちで動いたものだと思って、極めて人間的な行動だと思ったので映画になるなと思いました」と主人公を中心として米騒動の原動力になった女性たちを描いた理由を語りました。主演の井上さんは本広監督の2008年の『ゲゲゲの鬼太郎』に出演していて、12~3年ぶりとなった井上さんの撮影現場での様子を聞くと「撮影現場では本質的にはあまり変わっていないんですが、やはり地に足のついた演技をされるから言葉を発しなくても気持ちが伝わる表現力があって主役として最適だなと思いました」と答えました。

映画『大コメ騒動』の撮影について本木監督は「2019年10月末から11月にかけての16日間で、諸事情により短期間で撮影することになり、まぁよくできたと思います」とかなりタイトなスケジュールだったことを振り返りました。映画の撮影時には現在のコロナ禍は予想もしていなかったと話し、103年前の米の高騰と昨今のマスクやトイレットペーパーの品薄や高騰が話題になると「103年前から人間は進歩していないっていうことがわかるなぁ」と語りました。コロナ禍の映画公開について「富山では1月1日から公開していて、かなりの方々に盛り上げてもらっているので、監督からすると厳しい環境のスタートではありますが細く長く続いてもらいたいと願うばかりです」と素直な気持ちを吐露し「103年前に女性が社会を動かした事実に興味を持って、多くの女性が舵取りに参加して、声を上げて欲しいなと思います!」と映画の魅力をアピールしました。

名古屋在住の俳優・神戸浩さんが撮影現場で愛される理由

たくさんの女性たちに囲まれる浜の青物屋として出演している神戸浩さんについて、本木監督は「神戸さんは女性たちから人気がありましたね」「神戸さんが現場に来る日はスタッフがみんな楽しそうなんですよ!現場の空気が一変して、和やかにしてくれる存在です」と話しました。神戸さんは本木監督の作品への参加は5作目で、これまで『ドラッグストア・ガール』『ゲゲゲの鬼太郎』『超高速!参勤交代』『超高速! 参勤交代 リターンズ』に参加されています。神戸さんは「助監督時代も知ってますからね」と長いお付き合いがあることを話しました。

撮影現場の様子を聞くと本木監督は「緊迫したシーンが多くて、大声出したり怒鳴ったりしてました」と話し、神戸さんは「真央ちゃんがモニターをチェックしに来て、監督のそばでモニターを見ながら監督のお腹をツンツンつついてね。33歳の女優のオモチャですよ、監督は(笑)」と神戸さんだけでなく、本木監督のお腹も撮影現場を和ませる存在となっていたことを明かしました。

神戸さんは愛知県名古屋出身で、現在も名古屋で暮らしています。1993年公開の『学校』以降、山田洋次監督の作品には起用が続いていて、『学校II』では日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞しています。武内英樹監督の『テルマエ・ロマエ』や『翔んで埼玉』、山崎貴監督の『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズにも出演していて、出演作品は50作品近くになり、名前のない役も多いのですが、独特のしゃべり方や風貌をスクリーンの中で見つけるとなんだか嬉しい気持ちになる存在です。神戸さんが名古屋で暮らし続けている理由として「京都も東京も車で両方行けるのでちょうど良い場所かもしれないです」と話し、映画『大コメ騒動』の撮影中についても「富山(撮影中は)は名古屋に帰らしてくれなかったけど、京都は車で3往復位しましたね」と教えてくれました。

作品概要

映画『大コメ騒動』

監督:本木克英(「超高速!参勤交代」「空飛ぶタイヤ」ほか)

出演:井上真央、室井 滋、夏木マリ、立川志の輔、工藤 遥 他

2021年1月8日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開

配 給 :ラビットハウス、エレファントハウス

©︎2021「大コメ騒動」製作委員会

https://daikomesodo.com


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