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2025-08-16

大垣西高校や柳ヶ瀬商店街、飛騨市など岐阜で撮影の映画『僕の中に咲く花火』岐阜県出身 24歳の清水友翔監督にインタビュー


 

8月22日(金)から愛知・岐阜で先行公開、30日から全国公開される映画『僕の中に咲く花火』は高校生の少年のひと夏が描かれるビターテイストな青春物語です。脚本・監督を務めたのは岐阜県出身、現在24歳の清水友翔さんです。ロケ地は自身が通った学校など、ほとんどを岐阜で撮影し、登場人物達はご当地の言葉で会話をしています。主演は現在放送中のドラマ「DOCTOR PRICE」(ytv)に出演している安部伊織さんで、複雑な背景を持つ主人公を体現しています。出演者は映画『タイムマシンガール』(2025年1月公開)で主演した葵うたのさん、角心菜さん、佐藤菜奈子さん、愛知出身の渡辺哲さん、主人公の父親として加藤雅也さんとフレッシュな面々といぶし銀の役者が揃っています。

公開前に清水友翔監督がオンラインでインタビューに応じてくれました。ご自身のこと、撮影中に感じたこと、出演者とのやり取りや撮影後の交流について語りました。愛知・岐阜での先行公開にあわせて行われる舞台挨拶の情報なども紹介します。(取材日:2025年8月1日)

清水友翔監督「“居場所のなさ”を描きたかった」高校生のひと夏の出来事をギュッと凝縮

映画『僕の中に咲く花火』は岐阜県の田舎町を舞台に、10年前に母親を亡くした高校生の大倉稔(安部伊織さん)が死後の世界への好奇心を募らせ非行に足を踏み入れていくなか、母の死以降から不在がちな父:剛(加藤雅也さん)と家に引きこもる妹:鈴(角心菜さん)の存在に悩む様子、東京から帰郷した年上女性の朱里(葵うたのさん)と出会い交流を深めることで心が和らいでいく模様、不幸な事件に直面した稔が死への恐怖・喪失感と向き合い、今を生きることを決意するまでの過程を繊細に描いたヒューマンドラマです。

映画『僕の中に咲く花火』の脚本・監督を務めたのは岐阜県安八郡神戸町出身の清水友翔監督です。大垣西高校を中退し、単身でアメリカ・ロサンゼルスに渡って映画学を学び、20歳の時に監督した短編ホラー『The Soloist』(21)がJapan Film Festival Los Angeles 2022 のBest J.horror Awardを獲得、ハリウッドと日本の懸け橋になるであろう若手クリエーターで、この作品で初長編監督に挑戦しました。清水監督と同じようにアメリカで映画を学んだ経験を持つ落合賢さん(2013年公開された映画『太秦ライムライト』、2022年公開の映画『ストレンジ』では監督)がプロデューサーを務めています。

オンラインインタビューに応じる清水友翔監督

清水監督は自身の体験をもとにビターな脚本を執筆したとは思えない、穏やかな雰囲気を感じさせる方です。そんな清水監督に脚本の執筆について伺うと「実際には劇中のような妹の存在や、年上の女性との交流はなくて…その辺りはフィクションです」と明かし、「ただ父子家庭で、父と話しづらかった当時の距離感や、祖母についての部分は実体験を思い出しながら描きました。やはり、父と息子の関係には強い想いがありましたね」とこだわりを見せました。公開前の関係者試写会で本作を観た方の感想はいかがでしたかと尋ねると「若い人は主人公に共感し、年齢を重ねた方は加藤雅也さんが演じた父親に気持ちに共感すると二極化していました。この作品は父子、どちらの物語でもあるのかなと思いました」とその際に得た気づきを述べました。

清水監督は「僕は高校を中退しているのですが、高校生当時は思春期さながらの“居場所のなさ”を感じていて、主人公の気持ちに近いものがあったと思います。地方の田舎の中高生だと、基本的に学校と部活しか家庭以外のコミュニティがないから、そこに溶け込めなければ“居場所がない”ってなってしまう。それを描きたかったのかな」と語りました。主人公がひと夏のうちに様々な経験を重ねていくことについて「ちょっと詰め込みすぎたかな」と清水監督は言いつつ、どこか満足そうな表情を見せました。

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母校の大垣西高校や柳ヶ瀬商店街など、ほぼ岐阜で撮影 初日に台風!自転車通学シーンからスタート

映画『僕の中に咲く花火』は青春期の危うさを孕む稔の姿が岐阜の風景と共に収められています。主人公の稔が田園風景の中、を自転車通学をしている姿に懐かしさを感じる人も少なくないのでは、と尋ねると清水監督は「僕も自転車通学で、主人公が通っている高校も母校の大垣西高校なんです。自転車って同じ道なのに慣れると早く行けるようになるんですよね。今となってはあの距離をよく通ったなと思います」と懐かしそうな表情を見せました。

撮影初日は2023年8月15日、奇しくも台風が上陸。清水監督は「脚本では晴天の下、田園風景の中を自転車が通る予定でした。でも台風が主人公の心模様と結果的に重なったし、周りのスタッフが『狙ってもこんな映像は撮れない、天気が味方してくれた』と言ってくれて、絵的に成功したと思います」と話しました。そして「風もすごく強くて撮影が無事にできるか不安でした。落合プロデューサーが『責任は僕がとるから!』と後押ししてくれて撮影できたんですよ」と付け加えて「雨風のなか、びしょ濡れで自転車を漕ぐ姿は10代、青春っぽい感じになりました」とアピールしました。

また高校での撮影について清水監督は「50人くらいの在校生がエキストラに参加してくれました。演劇部と生徒会の学生と希望者かな…みんな真面目で、目がキラキラしていていました」と話し、できるだけ皆が映るように気を配ったと語りました。そして「撮影が2年前だから、彼らはもう大学生になっているかな」と目を細めました。小学校のシーンも母校(南平野小学校)で撮影とのことで在校生にエキストラをお願いしたそうです。また公園で遊ぶ子どもたちのシーンについて、「30~40人ほどの子どもが参加してくれました。段取りなどして、いざ撮影になると『アイス食べたーい』とか言い出して大変でした」と笑って教えてくれました。賑やかな現場が目に浮かぶようです。

学校以外のロケ地について伺うと、清水監督は「岐阜市の柳ヶ瀬商店街で撮影しました。岐阜市から補助金をいただいていたのに、ドラッグの取引の場面で…と心配でしたが、観光課の方々が快く了承してくれました」と大らかな対応だったと感謝しました。加えて、「エンディングの川辺は、ロケハンで一目ぼれした飛騨市の古川町です。飛騨市で試写会をした際に、『悩み事などがあると、あの川辺で景色を見ていたよね』っていう声を古川町に住む幅広い年齢層の方々から聞いて、地元有数の“想いに耽る場所”なんだなと感じました」と述べました。スクリーンで見るべき素晴らしい映像だったと感想を伝えると、清水監督は「ありがとうございます!実は、先に普通の夕陽で一通り撮り終えて、そのまま休憩に入ろうとしていたんです」と言葉を溜め、「そのあと曇り出して夕陽が表情を変えていったんです。その時にベテランカメラオペレータの山崎裕典さんが『もう一度やってみたら』とアイデアをくれて、みんなで一丸になって撮り直して、あの映像が撮れたんです」とスタッフ最年少だった清水監督をスタッフの皆で支える姿が想像できるエピソードを教えてくれました。岐阜を舞台にした理由を尋ねると「岐阜はエリアによって景色がちがうので、いろんな景色を撮りたいという思いと、飛騨市が映画に対するサポートが篤くて製作的にも助かったという面があります」と率直に話し、行政が映画製作に積極的であったことを追い風に地元の岐阜で撮影できたとまとめました。

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お喋り好きな加藤雅也さんと7時間話し込む 主演の安部伊織さんとの初共演シーンに注目

主人公の父親を演じた加藤雅也さんについて清水監督は「加藤雅也さんにご挨拶した時に演技プランについて話して、その後も3軒くらい喫茶店をめぐって合計7時間ほどお話ししたっていう衝撃的なエピソードがあります。それくらい熱い方です」と評しました。そして「現場では僕を立てて下さりつつ、役の気持ちについて意見をくれたり低予算の現場の時の知恵を教えてくれたりとありがたかったですね」と実感を込めて話しました。ベテランの加藤雅也さんや渡辺哲さんに対して、主人公を演じる安部伊織さんや主人公と交流する年上女性を演じる葵うたのさんといったフレッシュで魅力的な若手俳優も本作の注目ポイントです。

加藤雅也さんと安部伊織さんの初共演は、物語終盤の父子が若干打ち解けるシーンだったそうです。ある程度、二人の関係性が出来てから撮影したかったもののスケジュール上、最初になってしまったと清水監督が明かし、「結果的に伊織さんが加藤さんに緊張して向かい合っている感じがそのまま役と重なって、本当に良かった」と話すように印象的なシーンとなっています。安部さんについて清水監督は「彼は泣く芝居でテストの時も本番もちゃんと泣いて、4テイクくらい涙のタイミングまでばっちり合わせるんですよ」と驚きを交えて話しました。安部さんはオーディションで選出されたとのことで、その決め手を伺うと「人間性です。もしかしたら役を纏ってオーディションに来たのかもしれませんが、主人公のような思春期を送ってきたかなという雰囲気を持っていました」と振り返りました。また「伊織さんは主要キャストの中で(妹役の角心菜さんを除いて)最年少で、僕もスタッフの中で最年少という共通点があって同士のような気持ちでした」と話しました。

主人公の稔を母性的に見守る朱里役の葵うたのさんもオーディションで選ばれた逸材です。清水監督は「実は昨日、伊織さんとうたのさんと3人で飲んで、今後の舞台あいさつについて話していました」とニッコリしました。「うたのさんは、スナックの雰囲気が大好きで、その昭和っぽい感じが作品にも映り込んでいたかなと思います。似た年代の女優さんで彼女が醸す渋さ、いろんなことを経験してきたような深さを出せる人は少ないと思います」と信頼をよせました。今年1月に公開された映画『タイムマシンガール』で演じたキャラクターと全く違う朱里という役を演じる葵うたのさん、安部伊織さんと共に今後が楽しみな俳優さんです。

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8/22(金)23(土)に岐阜・名古屋で先行公開!清水友翔監督、主演の安部伊織さん、葵うたのさんが揃って舞台挨拶に登壇

不器用で痛くても、心に寄り添う青春物語『僕の中に咲く花火』の岐阜・名古屋先行公開舞台挨拶が決定しました。登壇するのは清水友翔監督と、安部伊織さん、葵うたのさんが予定されています。登壇スケジュールは以下の通りです。上映後にどんなお話が聞けるのか、楽しみですね!

映画『僕の中に咲く花火』岐阜・名古屋先行公開 舞台挨拶の詳細はこちら

〈名古屋〉

日時:8月22日(金)19:30の回上映後

場所:センチュリーシネマ(名古屋栄)

〈岐阜〉

日時:8月23日(土)① 10:00の回上映後 ② 12:20の回上映後 ③ 14:40の回上映後

場所:①CINEX [シネックス] (岐阜・柳ヶ瀬)②TOHOシネマズ モレラ岐阜(岐阜県本巣市)③TOHOシネマズ 岐阜(岐阜市)

作品概要

映画『僕の中に咲く花火』

8月22日(金)より 愛知・岐阜 先行公開
(名古屋/センチュリーシネマ 岐阜/CINEX/TOHOシネマズ岐阜/TOHOシネマズモレラ岐阜/大垣コロナシネマワールド ほか先行ロードショー)

8月30日(土)よりユーロスペース ほか全国順次ロードショー

Story

小学校の頃に母親を亡くした大倉稔は、家にほとんど帰ってこない父親と不登校で引きこもっている妹に悩んでいた。母を未だ忘れられない稔は、死者と交流ができると話題の霊媒師を訪ねる。そこで「ドラッグ」が臨死体験に似た働きをすることを知り、死後の世界への好奇心から非行の道を走り始める。そんな折、東京から帰省してきたという年上の女性・朱里と出会う。朱里の優しさに触れ、稔の心の寂しさは埋まっていく。だが、稔の前で不幸な事件が起こり…。

出演:安部伊織 葵うたの 角心菜 渡辺哲 / 加藤雅也 水野千春 佐藤菜奈子 平川貴彬 米本学仁 桜木梨奈 田中遥琉 古澤花捺 國元なつき

監督・脚本:清水友翔

プロデューサー:落合賢

製作:ファイアワークス LLP

制作:フォトシンス

制作協力:Arct‘4 Film

音楽:伊藤明日香

撮影監督:有近るい

美術監督:山下修侍

2025 年/日本/ビスタ/93 分/PG12

配給: 彩プロ

©ファイアワークスLLP


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