加藤雅也さん還暦記念のロックンロールムービー『KYロック!』前田多美監督に名古屋でインタビュー
4月19日(土)から4月25日(金)にシネマスコーレで上映される映画『KYロック!』は俳優の加藤雅也さんが撮影時に60歳を迎える年であることから「還暦記念」として制作が進行した作品です。ロケ地である広島のミュージシャン:ミカカさん始め、音楽担当の久保モリソンさん、THE東南西北の大池茂文さん・久保田洋司さん、ROLLYさんなどロッカー達の出演も胸アツです。70 年代の名曲から撮影地、広島で生まれた知る人ぞ知る音楽まで、あの手この手で聴かせてくるサウンドトラックも魅 力の“ボーダレス”ロックンロールムービーです。
メガホンを握ったのは、2021年、映画『犬ころたちの唄』で監督として劇場公開デビュー した前田多美さんです。”還暦記念作品ならば、芸歴初挑戦の事柄に挑んでいる姿を捉えたい”という監督 の想いから、主演の加藤雅也さんがロックバンドのボーカリストとしてライブシーンに初挑戦!また、50代終盤になって迷い込んだ葛藤の中で、新しい一歩を踏み出せるのか…という主人公を体現しています。大塚寧々さん、國武綾さん、長江健次さん(友情出演)など素敵な方々も出演し、ナチュラルな空気感を醸し出しています。
公開前に前田多美監督に名古屋でインタビューしました。加藤雅也さん、ミカカさんと監督との縁、撮影の様子、音楽についてたっぷり語りました。(取材日:2025年3月25日)
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加藤雅也さんからの運命の電話!歌わずにはいられない”オッサン”たちの恋と友情物語
映画『KYロック!』は早期退職した孝祐(加藤雅也さん)が仲間たちとのロックバンドの活動に本腰を入れて還暦ライブを行おうとする矢先に、唯一無二の親友:豊(ミカカさん)が突然、孝祐を拒絶してバンド脱退を宣言。孝祐が迷い込んだ葛藤からどう踏み出すのか「人生はまだ終われない」とあがく姿が青春時代のように描かれています。
作品のキャンペーンで長野から名古屋に移動した前田多美監督は人懐こい笑顔を見せて「”特急しなの”に初めて乗ってきました」と話し始めました。前田監督に、映画『KYロック!』の制作経緯を伺うと「前作の『犬ころたちの唄』を加藤雅也さんが観て下さっていて直接ご本人から連絡がきました」と電話が掛かってきたと答え、その内容について、「すごく良かったので、次回僕と一緒にやりませんかと。そしてミカカさんの芝居が面白かったから一緒にやってみたい」と加藤さんが熱くリクエストしてくれたと嬉しそうに話しました。
当時、会社員をしながら映画制作をしてきた前田監督。奇しくも会社をクビになった翌日に、まもなく還暦になる加藤さんから電話がかかり、自身もある意味”節目”である40歳を迎える点で思うところがあったそうです。その時の率直な気持ちを聞くと「大ベテランの方から電話が掛かってきて、どうしよう…と怖くて一瞬、泣きました」と話し、「それでミカカさんに相談したら『迷っていてやらないという意味が分からない』って言われて腹がくくれました!そしてミカカさんに、そこまで言うなら次回作に出て貰えますかとお願いしました」と笑顔でその運命的なエピソードを語りました。
40歳という節目について前田監督は「だんだん体力的なことなど、今まで通りにできないことに直面してきて、年齢を重ねるのが怖くなってきました」と吐露しました。加えて「だから雅也さんにチャレンジする姿、先輩の後ろ姿を見せて欲しいという気持ちになりましたし、制作をやり遂げることが自分の中のチャレンジでした」と強い思いで取り組んだと述べました。前田監督が加藤さんに求めた“後ろ姿”の内容とは何かと質問すると「芸歴初挑戦のことをやって欲しいという相談をして、ライブシーンの撮影を行うことになりました」と答えました。「歌うこと自体が雅也さんはコンプレックスだったらしいのですが、練習を重ねて下さったんです」と苦手なことを克服した加藤さんの雄姿を称えました。また、映画などの映像に残る仕事で、まる1曲をバンドセットで歌うのは加藤さんにとって初めてのことで、かなりのプレッシャーだったようだと話し「久保田洋司さんと一緒に練習を重ねて挑んでくれました」とクライマックスのライブシーンを紹介しました。
脚本を執筆する上で苦労したことを聞くと、前田監督は自分より20歳上の男性を描くことに不安があったと答えました。そこで還暦あたりの年代の男性たちに取材をした中で、”14歳から変わんねえよ”という意見に触れたそうです。前田監督は「年上の方と接してみると、未来がどれくらい残っているのかという寂しさが混じりますが、14歳から言っていること・やっていることが変わらないかも…と俯瞰的に感じました」と話し、手ごたえを持って執筆できたと言いました。こうして、歌わずにはいられないロックな”オッサン”たちの友情と恋の物語が紡ぎ出されたそうです。
オール広島市ロケ 俳優×ミュージシャンの化学反応に注目 ミカカさんとの掛け合いは異種格闘技!?
映画『KYロック!』はオール広島市で撮影したそうです。前田監督に詳しく伺うと「横川シネマ界隈が4割くらいで、あとは広島駅近辺や平和公園の近くなどです。映っていませんが、加藤さんとミカカさんが自転車に乗っているシーンの画面の外側に原爆ドームがあって、広島市で一番有名な橋でも撮っています」と答えました。大阪出身の前田監督はいま広島で暮らしています。「よそ者だからこそ広島の良さを発見できる部分もあるし、住むことで体をなじませて撮るので町の良さが映っていると『犬ころ』のときから言ってもらえます」とニッコリ。また、ミカカさんが実際に立ち飲み屋をやっているお店でロケをしたことで、観客がキャストに気軽に会いに行けるとアピールしました。パンフレットにロケ地マップがあるそうなので、要チェックですね。
映画『KYロック!』の見どころの一つは加藤雅也さんとミカカさんとの共演です。前田監督は「雅也さんは『相手役が俳優だったら俳優同士の芝居になるけれど、ミカカさんが相手だとファイターが現れた感じでエキサイティングだった』と話していましたし、そこを楽しみながらお芝居されていましたね」と振り返りました。そして「ミカカさんは普段ミュージシャンなので、感情で出てしまったことや、言い辛いこととかを気にしないで流れでやってもらいたいと、自然なお芝居を出せるように環境を作りました」と話しました。
加藤さん演じる孝祐と、ミカカさん演じる豊を長らく見てきた智絵里を演じるのは大塚寧々さんです。大塚さんもミカカさんとのシーンが多く、俳優とミュージシャンの異種格闘技のような現場を味わった一人です。監督は「台本に囚われなくていいと言ったことで、みんなの話が逸れてしまったりしても、大塚さんのターンになると脚本にある内容に戻って来るんです。全然違うことを言われても、スッとその筋に戻してくれる安心感がありました」と俳優の力に感嘆したと語りました。そして「皆さんナチュラルな感じのお芝居になっていたかなと思います」と自信を見せました。また、友情出演している長江健次さんと久保田洋司さんは、主演の加藤雅也さんの長年の友人とのことで、芝居を感じさせない自然な佇まいで溶け込んでいます。
劇中、特に印象深い河原で花火をするシーンの舞台裏について尋ねると、前田監督は「ハードなスケジュールになってしまい、撮影計画が全然できなかったんです。スタッフたちに怒られてしまったりもしたんですが…」と振り返りつつ、キャスト陣が花火を持って楽しそうに演じていたと微笑みました。「寧々さんとか雅也さんとかも含めて、そのリプレイをみてゲラゲラ笑ってみんな楽しそうでした」と良い雰囲気で撮影できたとまとめました。
70年代の楽曲がロックンロールに…チューリップファンの方必見?!メジャーとインディーズが混ざり合ったサントラCDも完成
映画『KYロック!』の魅力の一つとして音楽が挙げられます。前田監督は「(加藤)雅也さんと同じ年代の話として割とリアルに描きたかったんです。雅也さんの青春時代は70年代の後半から80年代の初頭かなと思って、70年代の楽曲を中心にYouTubeなどで探して聞きました」と述べました。心に残った楽曲について伺うと「聞いてきた中で、チューリップの『私の小さな人生』が自分の描きたい今回のテーマにピッタリ来るなと思いました」と振り返りました。劇中の『私の小さな人生』はオリジナルとは全く違う風合いであることに対して監督は「財津和夫さんに、ものすごいロックにアレンジする想定ですが良いですか…と連絡しました」と明かしました。また、先行上映した広島や、公開済みの東京などでチューリップファンの方々が『KYロック!』を観てファンコミュニティで広めてくれたと話しました。チューリップファンの方、必見ですね。
エンディング曲の『たどりついたらいつも雨ふり』について監督は「劇中、例えば河原で花火をしているシーンなんかは『ポンヌフの恋人』みたいにやろうと、何かから影響を受けて新しいものを紡ぎ出した感じです。ミュージシャンも同じように、表現のバトンタッチがあるのではないかと思うと、エンドロールのところでROLLYさんがさらに年上の吉田拓郎さんの歌をカバーする形でしめるのがいいと考えました」と述べ、映画『KYロック!』の隠れたテーマが”バトンタッチ”だと話しました。前田監督は70年代の楽曲をロックにアレンジするということで、ROLLYさんのアルバム『ROLLY’S ROCK CIRCUS』に出会い、楽曲使用のみならず出演をオファーしてみたそうです。監督は「ROLLYさんが快諾してくださって、今回のキャスティングに繋がりました。現場でもワンシーンワンシーン楽しんでいる感じでした。衣装も自前で用意してくださいました」と感謝を述べ、アクシデントがあり待ち時間が出来てしまった際には率先して、ROLLYさんが行動を起こしてくれたと救世主ぶりを明かしました。
広島オールロケということで、広島のインディーズのミュージシャンたちの音も楽しめる本作。強烈な歌声を持つミカカさんを始め、魅力的な音楽・ミュージシャンとの出会いのきっかけになることでしょう。『KYロック!』のサントラが劇場で販売されるそうなので、そちらもお楽しみに!CDのジャケットは漫画家の大橋裕之さんがイラストを担当。KYロックトレーナも大橋さんのイラストです。前田監督は「加藤雅也さんも気に入って”自分の出演作のグッズを着て歩くの初めてや”と言って、寧々さんも買ってくれて」と大好評だと笑顔を見せました。
KYロックの意味とは?!『KYロック!』舞台挨拶情報
最後にタイトルの『KYロック!』の意味を尋ねると、前田監督は観客の方からさまざまな考察を貰うと含み笑いをしました。そして「久保モリソンさんや、ミカカさんはロックという言葉を使うことをダサいと嫌がっていましたが、ロックが好きだけど演奏しない側の私からしたらロックって慣れ親しんだ言葉なので、いいんじゃないかと」とあっけらかんと話しました。そして「『君と出会えて良かった、ロックンロール』と私が監督として最終的に思いました」とまとめました。あなたはタイトルにどんな意味を見出すのでしょうか。
公開期間中に3日間の舞台挨拶&LIVEの開催が予定されています。4月19日(土)は前田多美監督とミカカさんの舞台挨拶、ミカカさんのミニライブ(2Fインディーズスペースにて:別料金)が行われ、4月20日(日)、25日(金)は前田監督が登壇する舞台挨拶が予定されています。関連イベントも続々と決まっていますので、ぜひこの機会に参加してみてくださいね。 映画『KYロック!』舞台挨拶詳細(シネマスコーレ)
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2週間〜〜‼️
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ロックシンガー・ZIP-FMナビゲーターの岡本隆根さん
前田多美監督のトークLIVE
🤗KYロック!物販あり〼… pic.twitter.com/fxEA9mf4ku— 映画『KYロック!』公式 (@KYrock2024) April 5, 2025
作品概要
4月19日(土)から4月25日(金)にシネマスコーレで上映
出演: 加藤雅也 ミカカ 國武綾 大池茂文(The 東南西北) 久保モリソン 松尾潤 柴田雄一郎 ムカイダー・メイ 政成潤哉 長江健次(友情出演) 久保田洋司(The東南西北 友情出演) ROLLY 大塚寧々、他
監督・脚本:前田多美 撮影:西井昌哉 照明:村地英樹 録音:清水良樹
監督補:宮川博至 編集:村松正浩 整音:バッチグー・山本 音楽:久保モリソン
公式サイト https://kyrock-movie.com/
公式SNS X:https://twitter.com/KYrock2024 Instagram:https://www.instagram.com/kyk.movie/
製作:映画『KYロック!』プロジェクト 配給:Donuts Films 配給協力:モクカ
2024年/日本/カラー/16:9/ステレオ/DCP/99分 ©映画『KYロック!』プロジェクト