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2022-03-24

心を込めて作った精進料理のような映画『高津川』甲本雅裕さんと錦織良成監督が名演小劇場で舞台挨拶


 

3月18日から名演小劇場で公開中の映画『高津川』は、ゆったりとした時間が流れ、スクリーンの中に溶けてしまうかのような錯覚を覚える優しい作品です。一級河川としては珍しい、ダムが一つもない清流「高津川」を舞台に、人口流出に歯止めがかからない現実の中、歌舞伎の源流といわれる「神楽KAGURA舞」の伝承を続けながらも懸命に生きる人々の日常の営みを描いた力作です。名古屋での公開3日目となった3月20日、主演の甲本雅裕さんと錦織良成監督が舞台挨拶に名演小劇場での舞台挨拶に登壇しました。2人が17年前に初対面した場所が名古屋だったこと、奈良岡朋子さんとの共演について、撮影時の思い出などを話しました。(取材日:2022年3月20日)

17年前に名古屋で初対面の甲本雅裕さんと錦織良成監督 錦織組参加7本目で初主演

映画『高津川』は、高津川流域で牧場を経営する主人公が母校の閉校や、上流でのリゾート開発という現実を見つめて、同級生や地域の人々と協力して母校最後の運動会に日本各地に散らばった卒業生を集める…というヒューマンドラマです。NHKの「カムカムエヴリバディ」での金太役の好演が話題となった甲本雅裕さんが主演し、戸田菜穂さん、田口浩正さん、大野いとさん、高橋長英さん、奈良岡朋子さんら魅力的なキャストが脇を固めます。

名古屋での公開を記念して名演小劇場で舞台挨拶が行われ、上映後の余韻に浸る観客の前に主演の甲本雅裕さんと錦織良成監督が登壇しました。甲本さんは「待ち遠しい日々がずっと続いていましたが、公開して皆様にご覧いただけることができ、嬉しい限りです」と挨拶しました。2019年に中国地方で先行上映され、4月から全国公開だと意気込んでいた矢先のコロナ禍…公開まで2年が経過したことを振り返りました。

錦織監督は「甲本さんに同じですね。2年間、待っていました」と万感の表情で語りました。司会を担当していたプロデューサーの安田さんが「17年前に初めて甲本さんに錦織組に参加していただいて、最初の撮影場所は名古屋でしたね」と話しかけると甲本さんは「そうですね、そういう意味で名古屋に縁を感じています」と応えました。監督と甲本さんの初対面の場は居酒屋だったそうです。「奥から大きな声がするな~と思って見てて、出てきたのがこのプーさんだったんですよ」と笑いを交えて話す甲本さんに「当時はまだプーさんじゃないでしょ?」と突っ込む錦織監督は息ぴったりで会場内が笑顔いっぱいになりました。

錦織監督は「映画『ミラクルバナナ』(2005年)で名古屋に滞在、岐阜にも居させて貰いました。当時初めて甲本さんにお会いして、甲本さんはバイプレーヤーとしてご活躍でしたけど、主演して欲しいなと言ったのを思い出します。それから17年、何本もの僕の作品に出演してもらいました」と振り返りました。錦織組・7本目の映画『高津川』で甲本さんは初主演を務めました。映画『高津川』は役者生活30年で甲本さんにとって初めての主演映画です。

奈良岡朋子さんの懐の深さに感動「素敵な時間でした」 地元の方と一緒に作った作品『高津川』

母親役の奈良岡朋子さんとの芝居について甲本さんは「奈良岡さんは憧れでしたし、緊張の塊になりましたが、一緒に芝居できることは本当に幸せだからこそ、”俺の母ちゃんなんだ”と思うことに従事しました」と述べました。そして「食事中の僕のアドリブに、懐の深さですべてを受け止めて対応してくれて…素敵な時間でしたね」と嬉しそうに明かしました。

錦織監督は「実は脚本に取り掛かる前から、あの牧場を見つけていたんです。標高600メートルくらいのところで牛を飼ってお仕事されていて、”あの場所、ありだな”と。それで、牧場主さんが作業中に着ている服などを借りて衣装にしました」と語り、奈良岡さんと甲本さんのシーンはその牧場主さんのお宅であることも教えてくれました。甲本さんが「帽子も服も全部衣装は牧場主の社長さんの物なんですが、食事風景で食べている料理は、牧場の社長さんの奥さんが作ってくれたものなんです。本当にあの家で食べているものを僕が食べていたという…」と飄々と話すと観客はそれぞれ興味深そうに反応していました。

牧場主さんから借りた服について甲本さんが「身長は違ったけれど、服がピッタリ合ったんです。ちなみにぼくが着ていた衣装は今、牧場で社長が着てます」と話すと、錦織監督は「不思議だよね、ぴったりで。甲本さんの休憩中、後姿を見た牧場の人たちが”社長”って声を掛けていたもんね」と掛け合いを見せました。また、借りた衣装の中で目を引いたものとして甲本さんは「30年の年季が入ったベルトです」と明かし、「すっごい剥がれ剥がれになっていて、それを締めることで何かを感じるんですよ」と役作りに影響されたことを熱弁しました。衣装部にとっても同様で「これが、30年もののベルト!」となかなか手にできない一品として買い求めたそうです。どんなベルトなのか、関心がある方、ぜひスクリーンでお確かめください。

最後に監督は「この映画は何気ない日常を描いた物語で、スタッフ・キャストが心を込めて作った精進料理のような作品です。気に入って頂けたら、お友達ににおすすめ下さい」とアピールしました。甲本さんは「衣装とか、高津川とか、地元の方々の力が全てだったような気がします。この映画は特別な事件が起こるわけでないですがご覧いただいて、自分の周りにあるちょっとしたことに気づけたり、誰かと会話したりするきっかけになればいいなと思います」と優しく語りかけました。

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作品概要

映画『高津川』

3月18日(金)より名演小劇場にて公開

原作・脚本・監督:錦織良成

出演:甲本雅裕 戸田菜穂 大野いと 田口浩正 高橋長英 奈良岡朋子

音楽:瀬川英史

製作:映画『高津川』製作委員会


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