高校時代を振り返り「お芝居やこの世界に救われました」映画『ブルーピリオド』名古屋試写会に眞栄田郷敦さんと萩原健太郎監督が登壇
8月9日(金)より公開となる映画『ブルーピリオド』は「マンガ大賞2020」受賞した山口つばささんによる人気漫画を原作に、眞栄田郷敦さん主演で実写映画化した作品です。主人公の矢口八虎は成績もよく、友人との付き合いも円滑で、夜遊びも楽しむなど、何事に対しても器用にこなせるものの、夢中になれることがなく虚無感を感じている高校生。映画は彼が1枚の絵をきっかけに絵を描くことの楽しさに目覚め、美術の世界を志し、芸術大学の最高峰「東京藝術大学」合格を目指す物語。
公開を1週間後に控え、名古屋市内の109シネマズ名古屋で特別試写会が行われ、上映前の舞台挨拶に眞栄田郷敦さんと萩原健太郎監督が登壇しました。愛知県でも撮影が行われた本作、名古屋で食べた美味しいモノの話、撮影時のエピソードを振り返ったり、眞栄田さんが高校時代に夢中になっていたことや虚無感を感じた出来事についてなど、様々なトークが繰り広げられました。舞台挨拶の前に萩原監督にインタビューに応じてくれ、漫画の実写映画化についての考えや眞栄田さんの印象、眞栄田さんが演じた矢口八虎のキャラクターについて話してくれました。(取材日:2024年8月3日)
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「名古屋はご飯が美味しい印象ありますね」名古屋造形大学での真夏の撮影を振り返る
映画『ブルーピリオド』の特別試写会が109シネマズ名古屋で行われました。劇場のもぎりからスクリーンまで続く通路には映画『ブルーピリオド』のポスターやバナーがたくさん飾られていて、試写会に参加する観客たちは「郷敦だらけじゃ~ん」とテンションが上がっている様子。舞台挨拶付きの試写会とあって、この後の登壇を心から楽しみにしていることが伝わってきました。
映画上映前に眞栄田郷敦さんと萩原健太郎監督が登場すると、満席の客席から大きな拍手が起きました。観客への挨拶の際に眞栄田さんは「なんかマイクの響きが変な感じするんですけど」と不安そうな様子を見せる中、萩原監督が「たくさんの方に集まっていただけて嬉しいです」と挨拶し、2人で満席の客席を嬉しそうに眺めていました。
映画公開1週間前の気持ちを聞かれた眞栄田さんは「撮影でもやれることをやって、宣伝でもやれることはやりました。あとは公開するだけなので、楽しみでもありますが少しドキドキしています」と話し、前日には大阪で舞台挨拶に登壇するなど忙しく過ごしていることについて「この3日間はバタバタしていましたけど、楽しいですよ」と答えました。萩原監督は「ちょうど去年の6~7月に愛知県を含めて撮影をしていたんですが、ようやく公開までたどり着いたんだなと実感が湧いてきました」と感慨深そうに話しました。
名古屋の印象を聞かれた眞栄田さんが「ひつまぶしですね~」と美味しい名古屋メシの話をしようとすると、ついにマイクの音が出なくなってしまうトラブルもありましたが、司会者のマイクを借りて事なきを得ました。引き続き、名古屋で食べた美味しいモノの話題が続き「この間もバラエティ番組で名古屋に来て、美味しいものをいっぱい食べたので」と話し「焼き・・」と放送前の番組内容をしゃべりそうになり「これヤバいね。焼いたヤツです」と慌てた様子で「ご飯が美味しい印象ありますね」とごまかしていました。眞栄田さんが話していたバラエティ番組は8月4日放送の「バナナマンのせっかくグルメ!!」ですね。放送では名古屋で“とんかつオゼキの焼きとんかつ”と“善左衛門咖喱のキーマカレー”をおいしそうに食べていましたが、萩原監督が「今日はうな重食べて、さっき楽屋で手羽先を食べました。山ちゃんの手羽先が置いてあって」とこの日も名古屋メシを満喫した様子でした。
愛知で撮影が行われたシーンについての話題になり、萩原監督は「東京芸術大学のキャンパスとして名古屋造形大の古いキャンパスが小牧にあって、そこで撮影をしました」と紹介。眞栄田さんは「クーラーがなくて、電気もなくて、7月末くらいの撮影で暑くて」と名古屋造形大学の旧キャンパスでの過酷だった撮影を「受験シーズン(のシーン)なので、冬服だし、みんな汗だくで・・・それも含めて楽しい撮影でしたけどね」と振り返り「アクション(撮影開始)まで、直前まで衣装を脱いで、みんながファンを当ててくれて、ありがたかったです」とスタッフに支えられたエピソードを披露しました。
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4年前のリベンジについて「嬉しくて(雑誌の記事を)写メしちゃった!」と萩原健太郎監督
眞栄田さんが演じた主人公の矢口八虎と自身との共通点を聞かれると「原作を知っていたので、(矢口)八虎は自分を見ているかのように似ているなと思いました」と答え「高校生の時にそれなりにヤンチャもしつつ、テストの点数もそれなりにとって、運動もそれなりにやって、人間関係もそれなりにやって、全部それなりって感じだったので、よくわかるなと思ってました」と高校時代の話をし「でも1個、自分の好きなこと、やると決めたことを見つけた時にトコトン努力ができるのも、僕はそういうタイプの人間なので、すごく共感できる部分が多かったですね」と似ている部分について語ってくれました。
矢口八虎役に眞栄田さんを選んだ理由を聞かれた萩原監督は「一番の理由は4年前にお仕事をさせていただいたことがあって…」と話し出しました。ある時、萩原監督は眞栄田さんの雑誌インタビュー記事を発見したそうで「僕とリベンジしたいと書いていて、嬉しくて(雑誌の記事を)写メしちゃった!」と言うと、眞栄田さんは“写メのエピソード”に驚いた様子で「それ、初めて聞いた」と笑顔になっていました。
そして萩原監督は「いつか一緒にまたやるときが来ると思っていたんですが、『ブルーピリオド』をやることになって、これだと思って」と大阪舞台挨拶でも話していた「眞栄田さんのリベンジの思いを萩原監督が知った瞬間が明かされました。4年前と今の眞栄田さんを比べて変化している部分について質問されると「4年前はまだこの仕事を始めたばかりで、割と探り探りやっていたと思うんですが、自分の中に強い芝居への確固たるものができていて4年前と違って対等に話せて、意見交換ができました」と述べました。眞栄田さんも「一緒に作っていった感じがしますね」と話しました。さらに眞栄田さんは「リベンジできたんじゃないかと思うんですが、『ヒットするまでは完全なリベンジとは言えないよね』と2人で話しているので、皆さん、よろしくお願いします」と観客に向けて頭を下げていました。
これから映画を観る観客に向けて眞栄田さんは「テンポ感がやとらの心情にあわせて変わっていたり、照明とか装飾も変化していくので、そのあたりにも注目してもらえると面白いかもしれないですね」と見所を伝えました。
サックスに情熱を注いだ高校時代 芸大不合格で虚無感を感じた眞栄田さん「お芝居やこの世界に救われました」
高校時代に情熱を注いでいたものは?と聞かれ、眞栄田さんは「サックス」を挙げ「八虎と一緒で、正解のない世界で自分と日々闘っていたので、八虎を演じる上でやりやすかったですね」と話しました。虚無感を感じていた時期も?と重ねて聞かれると「僕も芸大受験をして不合格だったんで、俺にはこれしかないと思って楽器しかしていなかったので、全部なくなったと思って虚無感を感じました」と当時について語りました。
そして眞栄田さんは「僕はそこからお芝居を始めたので、お芝居やこの世界に救われましたね」と新たに情熱を注げるものと出会ったことを伝え「情熱や好きって、いいですよね。それがあると頑張れるなと思います」とまとめました。萩原監督も「情熱は生きる原動力なんじゃないかと思います。それが武器になるってすごく強いことだし、誰でも持てるものなので」と加えました。
舞台挨拶の最後に萩原監督は「1人でも多くの人に届けたい気持ちで頑張ってきたので、今日、少しでも心に響いたら周りの方に薦めていただきたいです」と締めくくり、眞栄田さんは「言うことがありません。全部、監督がまとめてくれて」と言い「大ヒット!よろしくお願いします!」と頭を下げました。マスコミ向けのフォトセッションの後、短い時間でしたが観客も写真OKとなり、眞栄田さんと萩原監督はたくさんのシャッター音に応えていました。
萩原健太郎監督にインタビュー「郷敦は相当の努力家で勉強家」
舞台挨拶の前に萩原監督にインタビューをすることができました。人気漫画の実写化である本作について、映画化にあたって意識したことを聞くと「漫画も映画も物語はあります。漫画は画と文字で表現するメディア、映画は映像で見せていくメディア。どうやって映画的な表現を入れていくのかは考えています」と話し、本作においても表現を意識していたと話し「光を印象的に入れていて、光を求める存在だった八虎が光を描く側になる構成にしていて、画に意味を持たせるようにしています」と語りました。
八虎のキャラクターを作る上で大切にしたことを聞くと「ここに至るまでにどういう人生があって、どういう親子関係なのかは重要なことです」と答え、キャラクターのバックグラウンドについて細かく考えたそうで「お金がないのにどうしてずっと金髪でいられるのか?家で染めているのであれば、ちょっとムラがあったり、黒が入っていたり」と髪の色も漫画での金髪をそのままにというだけではなく、裏設定を考えていたことを明かしました。他のキャラクターについても「漫画原作で重要なのはビジュアルを近づけて、コスプレにならずにリアリティを持たせることだと思います」と話し、八虎は冒頭でつけていたアクセサリーが少しずつ減っていっていると言い「キャラクターの変化を見た目でも出していっています」と教えてくれました。
また萩原監督は映画の中でのすごく好きなセリフとして「僕は画を描くのが好きなんだ」という予告編映像の中にもあるセリフを挙げ「普通のセリフなのにグッとくるのは、好きなことを好きと言えない社会なんだと思いました」「誰かの正解にあわせて生きている人が多くて人に何を言われようが、自分がこれが好きと言えることは尊いですよね」と「好き」という感情を持つことの大切さを伝えました。
萩原監督は2020年公開の映画『サヨナラまでの30分』で新田真剣佑さんとも仕事をしていて、兄弟の俳優としてのタイプの違いについて質問すると「(新田さんは)圧倒的に花があって、世田介タイプ」と映画『ブルーピリオド』で板垣李光人さんが演じた驚異的な画力を持つ天才高校生を例に挙げて答えました。そして「(眞栄田)郷敦は努力家だと思います。自分に才能はないと思っているタイプで、相当の努力家で勉強家です」と八虎役にピッタリだったと紹介しました。
作品概要
2024年8月9日(金)全国公開
監督:萩原健太郎
脚本:吉田玲子
出演者:眞栄田郷敦、高橋文哉、板垣李光人、桜田ひより
音楽:小島裕規“Yaffle”
原作:山口つばさ『ブルーピリオド』(講談社「月刊アフタヌーン」連載)
©山口つばさ/講談社 ©2024 映画「ブルーピリオド」製作委員会