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2023-08-03

綾瀬はるかさんが華麗なガンアクションで魅せる!映画『リボルバー・リリー』行定勲監督に名古屋でインタビュー


8月11日に公開となる映画『リボルバー・リリー』は大正時代の東京を舞台に、少年を守るため陰謀の渦に身を投じる元スパイ:小曾根百合の戦いを描いたアクション&ヒューマンドラマです。主人公の百合を演じるのは老若男女問わず絶大な人気を誇る綾瀬はるかさんです。圧倒的な存在感と身体能力を武器に、リボルバーを携え“映画史上最強のダークヒロイン”という新境地に挑みました。20年ぶりの行定勲監督とのタッグも注目です。

原作はスリリングかつエキサイティングな展開から“これぞノンストップアクション”と呼び声も高いハードボイルド作家・長浦京による第19回大藪春彦受賞作『リボルバー・リリー』。映像美はもちろん、汗握るアクションと重層的な人間ドラマの両面を味わえる新たなエンターテインメント大作を作り上げた行定監督が名古屋でインタビューに応じました。自身にとって大きな挑戦となった最新作について、熱い気持ちを語ってくれました。(取材日:2023年7月11日)

「説得力を持って小曾根百合を演じられる女優は他にいない」行定勲監督と綾瀬はるかさん20年ぶりのタッグ

映画『リボルバー・リリー』は、綾瀬はるかさんが主演し、長谷川博己さん、羽村仁成さん(Go!Go!kids/ジャニーズJr.)、シシド・カフカさん、古川琴音さん、清水尋也さん、ジェシーさん(SixTONES)、佐藤二朗さん、吹越満さん、内田朝陽さん、板尾創路さん、橋爪功さん、石橋蓮司さん、阿部サダヲさん、野村萬斎さん、豊川悦司さんら豪華キャストが出演するド派手なアクションと人間ドラマ、そして映像美も楽しめるエンターテイントメントです。ハードボイルド作家の長浦京さんによる第19回大藪春彦受賞作『リボルバー・リリー』の実写化。大正時代末期の東京を舞台に、元スパイの小曾根百合(綾瀬はるかさん)が、少年(羽村仁成さん:Go!Go!kids/ジャニーズJr.)を守るために陸軍兵士達と戦う姿が描かれます。原作とは少し違う部分もありますが、原作を読んだ方にも、読んでいない方にも楽しめる作品となっています。

『世界の中心で、愛をさけぶ』(2004年公開)や『ナラタージュ』(2017年公開)などのラブストーリー、『劇場』『窮鼠はチーズの夢を見る』など様々な映画作品を生み出し続けている行定勲に、これまでのテイストとは異なるジャンル、アクション映画を撮影したきっかけを聞くと「今、実写の邦画がどれくらいの人たちに届き、求められているのか懐疑的になってしまうときがありました。何を打ち出そうかと考えたときに、このアクション映画の話が来たんです。日本にもアクション映画はありますが、どうせなら今まで観たことのない映画を撮りたい!と挑んだ感じはありましたね」と語りました。

主人公の小曾根百合を演じるのは綾瀬はるかさんです。行定監督と綾瀬さんが『JUSTICE』(ショート・フィルム集『Jam Films』の1本)以来、20年ぶりのタッグということについて「最初にお会いしたのが、綾瀬さんにとってのデビュー作。お芝居が全く分からない中で必死にやっている状況でしたが、今回は別人でした」と述べ、「20年間、連ドラをやり、主演であり続けてきたのはとんでもないスキルです。その経験を携えて真ん中にいる主演として非常に頼もしかったです」と振り返りました。また「頭で考えるのではなく、肉体で小曾根百合を作りあげているから、全部に応えられる力強さがあったし、何よりもあの説得力を持って小曾根百合を演じられる女優は他にいないと思います」と絶賛しました。

行定監督は百合の衣装について「小曾根百合がどんな衣装で戦うのかにはこだわりました。当時は、民間人に紛れ込んでいるなら和装でいるはずなんです。でも百合がかつて愛した相手から“どんな状況でも、身だしなみは大事だよ”と言われて、その人と別れた後もエレガントな服を着続けているんです。そんな彼女が、百合の花が赤く染まったように浮き彫りになった白いドレスでラストを迎えるのは非常に映画的だと思います」と手ごたえを見せました。綾瀬さんが着こなすモガ(大正時代のモダン・ガール)ファッションは、溜息ものの美しさです。ユリの模様が入った和服姿も見られ、和洋ともに当時のレトロな雰囲気を堪能できます。

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 意外性のあるキャスティング ジェシーさんと清水尋也さんが、ヒロインに立ちふさがる

 映画『リボルバー・リリー』の見どころの一つは、綾瀬はるかさん演じる小曾根百合と軍人たちとの対決シーンです。豪華キャストが勢揃いする中で、ヒロインと直接対決する相手としてジェシーさん(SixTONES)と清水尋也さんが出演しています。ジェシーさんについて行定監督は「綾瀬さんが女性としては大きく、しっかりした体つきをしているので、敵対する相手はさらに大きい人が良いと思いました。ジェシーさんは原作のハーフの設定に合っていましたし、踊れるし、柄も大きくていいなぁと思いました」と起用した理由を述べました。バラエティー番組でのお茶目なジェシーさんの姿を封印して、上官の命令を遂行しようとする、ある意味“憎らしい”陸軍大尉を体現しています。綾瀬さんと対峙するアクションシーンは見ごたえ充分。息をすることを忘れてしまいそうです。

行定監督は、清水尋也さんについて「彼に演じてもらったのは、纏わりつくような気持ち悪さのある…死神のような存在。黄泉の世界を彷徨っているような人なので、清水さんなら良いのではないかと考えました」と述べ、その口ぶりから清水さんの独特な雰囲気に期待を寄せていたことが察せられました。行定監督の狙い通り、主人公の小曽根百合を幻惑する「謎の男」を清水さんが好演し、劇中のスパイスとなっています。百合と清水さん演じる「謎の男」が深い霧の中で対決する場面について、行定監督は「現世と黄泉を行き来する2人の戦いが、霧の中で行われるのは幻想的でいいかなと思いました」と述べました。「それにヒロインが、何千人もの相手と戦う場合、霧が出ていたら相撃ちとかあって、まだ勝ち目があると考えました。原作はダイナマイトをバンバン爆発させて前に突き進んでいく…小説の場合はそれでもリアリティーがあるけれど、映画でやったら『ダイナマイト・リリー』になっちゃいますから」といたずらっぽくクスリ。「ダイナマイトではない戦いを必死で作りあげました」とまとめました。

『リボルバー・リリー』というタイトルから想起できるように、主人公の百合の武器はS&W M1917 リボルバーです。百合の仲間のカフェー従業員(シシド・カフカさん、古川琴音さん)はモーゼルC96・ウィンチェスターM1894ライフル・水平二連散弾銃、「謎の男」の南部十四年式拳銃など、それぞれのキャラクターの武器いも注目、“魂で撃つ”ガンアクションにご期待ください。

「小曾根百合と山本五十六が向き合うシーンは2023年に直結する」気になるラストシーンは?

撮影の準備中にロシア・ウクライナ間で戦争が起こったことの影響について行定監督は「実際に戦争が起こっているときに、ただヒーローが強い・ヒロインが強いっていう映画にはしたくなかったんです。たとえヒロインが人を殺めたことがある人間であっても、観客が寄り添えないものにしてはいけないと思いました」と力を込めました。「戦争が目前にあって、自分も戦わなきゃいけないときに、“自分はどうするんだろう”と真剣に考えました」と語り、「2023年に生きている人たちに、大正時代の戦いの話を自分のこととして受け止めてもらうにはどうしたらいいかと思案しました」と重ねて話しました。劇中で豊川悦司さん、長谷川博己さん、阿部サダヲさんなどが役を通して語る想いに、行定監督からのメッセージを感じるのではないでしょうか。

映画『リボルバー・リリー』には歴史に名を残す山本五十六が登場し、その役を阿部サダヲさんが演じます。小曾根百合を助ける弁護士(長谷川博己さん)の海軍時代の先輩という役柄です。行定監督は「山本五十六は第二次世界大戦下にいた人で、国葬された、英雄視された人なんです。調べてみると、彼は軍人だから戦わないとは言わず、“戦争を回避する”という言い方をするんだと…戦争を止めようとは言っていないんですね。いろいろなことを真剣に考えたとき、あの山本五十六と最後に向き合うヒロインというのは非常に重要だと思いました。フィクションがノンフィクションの歴史にちょっとだけ触れるという感覚で、小曾根百合と実在した英雄:山本五十六が向き合うシーンを作りました。この五十六の姿は2023年に直結するんじゃないかと思っています」と力を込めました。

印象的なラストシーンについて聞くと「あれはエンターテイントメントとしてのウインクみたいなものですね。『リボルバー・リリー』は第1章にして大いなる序章で、本筋はその先にあります。綾瀬さんがやり切った小曾根百合が、戦いの後にどういう活躍をしたのか…観た人が想像できたらめちゃくちゃ面白いと思います」と含みを持たせました。これは、劇場で確認するしかなさそうです。最後に行定監督は「2023年の観客が観て、何かを感じ取れる物語にアクションが必然としてあるような映画を目指しました。主人公の小曾根百合がある少年を守り、送り届けるまでの話を、映画のマジックを使って描いたので、ぜひ音響のいい劇場の、大きなスクリーンでご覧ください」とアピールしました。

作品概要

映画『リボルバー・リリー』

2023年8月11日(金)全国公開

監督:⾏定勲

脚本:小林達夫、⾏定勲

出演:綾瀬はるか、長谷川博己、羽村仁成、シシド・カフカ、古川琴音、清水尋也、ジェシー、佐藤二朗、吹越満、内田朝陽、板尾創路、橋爪功、石橋蓮司、阿部サダヲ、野村萬斎、豊川悦司

企画プロデュース:紀伊宗之

原作:⻑浦京『リボルバー・リリー』(講談社⽂庫)

配給:東映

©2023「リボルバー・リリー」フィルムパートナーズ

 

 


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