toggle
2023-02-28

外山文治監督、岬ミレホさん、楠部知子さん、長島悠子さん登壇 映画『茶飲友達』名演小劇場で舞台挨拶


 

2月17日(金)より名古屋の名演小劇場で公開となった映画『茶飲友達』は高齢者専門の売春クラブ「茶飲友達(ティー・フレンド)」を運営する若者たちと65歳以上のコールガール、様々な事情を抱えたシニア男性客たちの姿から若者の孤独や高齢者の性問題を描いた作品です。2月4日(土)に渋谷のミニシアター・ユーロスペース1館のみで公開した本作は多くの回が満席となって話題が広がり、2月17日(金)から名古屋で、2月25日(土)から大阪のシネ・ヌーヴォで上映が始まり、3月3日(金)からはTOHOシネマズシャンテでの上映も決まっているほか、全国42館での公開が決まっています。

名古屋での公開を記念して、外山文治監督、岬ミレホさん、楠部知子さん、長島悠子さんが上映後の舞台挨拶に登壇しました。舞台挨拶前に外山監督にお聞きしたお話も交えて、ご紹介します。(取材日:2023年2月25日)

外山文治監督と出演者による舞台挨拶で名演小劇場の思い出も語る

映画『茶飲友達』は2018年に公開され大きな話題となった映画『カメラを止めるな!』と同じ、注目の監督と世に出たい俳優たちが集まり、ワークショップを経て映画製作を行うENBUゼミナール“シネマプロジェクト”の第10弾作品です。物語の舞台は高齢者専門の売春クラブで、運営する若者、所属する高齢のコールガール、顧客であるシニア男性の姿から現代社会に横たわる閉塞感や、高齢者・若者どちらにも共通する「寂しさ」を映し出す社会派群像劇です。

監督・脚本の外山文治監督、「茶飲友達(ティー・フレンド)」のコールガール役で出演している岬ミレホさん、楠部知子さん、長島悠子さんが名演小劇場での上映後のスクリーン前に登場し、市橋浩治プロデューサーの進行で、トークが繰り広げられた。外山監督は2013年公開の『燦々ーさんさんー』で名演小劇場に来館したことを振り返り、感慨深げな様子で挨拶。

岬さんは名古屋出身で1998年に名演小劇場で上演された舞台に出演した思い出を語り「休館前の最後の作品として連れてきていただけて、監督に感謝しています」と、楠部さんも名古屋出身で「懐かしい場所です」と話しました。長島さんは名古屋に縁はないものの、BE:FIRSTの推しメンバーについて話し「彼の出身地を観たいと思って参りました」と会場を沸かせました。

実際の事件から考えた「シニアの憩いの場所がなくなることへの戸惑い」

外山文治監督は高齢者の婚活をテーマに描いた映画『燦々ーさんさんー』(2013年公開)や老老介護の厳しい現実を描いた短編映画『此の岸のこと』(2010年)など、高齢者にスポットを当てた作品を作ってきました。本作の成り立ちについて、外山監督は映画『燦々ーさんさんー』の公開直前に高齢者売春クラブが警視庁に摘発された事件があったことを話し「映画よりも現実の方がはるか先を行っていて、ショックを受けました」伝えました。高齢者の映画を撮ってきた外山監督は事件の報道を目にするうちに「(売春クラブに登録していた)1350人の会員は摘発後に自分の憩いの場がなくなってしまう。この人達は一体どこへ行けばいいんだろうというところに思いをはせました」と語りました。舞台挨拶前のインタビューでも「行き場がないと言われているシニアの憩いの場所がなくなることへの戸惑いみたいなことを感じて、果たして正義とは何なのだろうと自分自身の価値観が揺らぎ、これは映画化したいと思いました」と映画の成り立ちについて話していました。

司会をつとめた市橋プロデューサーが本作のワークショップへの100名を超える参加者の半数以上がシニアの方だったと話し、外山監督は「シニアの方を募集して本当に来てくれるのかが不安な所だったんですが、アクティブに活動していきたいと思っているシニアの方が実はたくさんいて、そのエネルギーを間近に受けて非常に新鮮でしたね」とワークショップ参加者との出会いを振り返りました。ワークショップに参加した岬さんは「この映画はシニアの方が前に出て、ちゃんと自分の立ち位置があって、何かを表現していかなければいけないという大きなチャンスを得られたと思っています」と本企画に参加できた感謝の気持ちを伝えました。楠部さんは「この『茶飲友達』は「60代以上、奮ってご応募ください」と書いてあって。その広告を見て東京まで飛んで行きました」と話し、長島さん「現場に入りましたら同じような年配の方が本当にたくさんいて、待ち時間が楽しい撮影現場でした」とシニアを中心とした撮影現場の様子を教えてくれました。

外山監督は若手の役者とシニアの役者の間でSNSの使い方を教え合ったり、人生相談をするなどの交流もあったそうで「世代をまたいだ交流も魅力の、アットホームな現場でした」と話しました。

〈関連記事〉

「映画監督外山文治短編作品集」外山文治監督に名古屋でインタビュー(取材日:2017年11月5日)

「シニアを一括りにしないで一人ひとりを丁寧に描いた」

高齢者の性について外山監督は「高齢化社会を迎えて人生100年時代になっていく中で当たり前のように語られていくことが大事で、映画をきっかけに、もはやタブーではないということを広く認知していただきたいです」と伝えました。「物語を作るということは一人一人の人間を見つめていくことなんです」と話し、映画を作る際に気を付けたこととして「シニアを一括りにしない。シニアの問題と言っても一人ひとり、生きている環境も抱えている問題も違う。一人ひとり生きているということを丁寧に描いていったつもりです」と語りました。

インタビューでは、劇中のコールガールが高齢者施設に入っていくシーンを実際の高齢者施設で撮影を行ったことを話し、外山監督は撮影許可を得るのは難しいと考えていたそうですが「(高齢者の性について)本当にもっともっと知ってほしいから、ぜひ協力しますと言っていただいて、介護、医療に従事している人たちも、この問題が世に広まってくれることを望んでいるのだと感じました」と映画の製作過程で感じたことを教えてくれました。

公開規模拡大中の映画『茶飲友達』「若者の映画だと思っています」

映画『茶飲友達』は、2月4日(土)に渋谷のミニシアター・ユーロスペース1館のみで公開し、2月17日(金)から名古屋で、2月25日(土)から大阪のシネ・ヌーヴォで上映が始まり、3月3日(金)からはTOHOシネマズシャンテでの上映も決まっているほか、全国42館での公開が決まっています。公開館がどんどん増えていることについて外山監督は「予想以上の反響ですよね。正直驚いているといったところです」と率直な感想を述べました。

本作の内容について「シニアの性が描かれていて、若者の生きづらさ、寂しさと孤独が描かれているので、こういった映画を世間が求めてくれるだろうかというところの不安があったんです」と公開前までの不安を吐露し、公開後の反響を受けて「これこそ今の時代に求められていたテーマなんだろうなと思います」と答えました。さらに「介護の問題であったり、シニアの孤独や、老老介護の問題などの延長にあるので、高齢者売春という入口はセンセーショナルですけれども、それ以上のものを持って帰ってもらえるはずだと思っています」と語りました。

映画『茶飲友達』は高齢者の問題だけでなく、売春クラブ「茶飲友達(ティー・フレンド)」を運営する若者たちの閉塞感も丁寧に描かれています。外山監督は「『茶飲友達』は若者の映画だと思っています。生きづらさを抱えて、明日が見えない人たちが必死に藻掻いている姿があります。シニアの生活の実態を知るだけでなく、等身大の自分たち自身が映っていると思います」と若者にもぜひ観てもらいたいと強く伝えていました。

作品概要

映画『茶飲友達』

2月17日(金)より名演小劇場で公開

監督・脚本:外⼭⽂治(「ソワレ」「燦燦」「海辺の途中」「春なれや」「わさび」「此の岸のこと」)

出演:岡本玲、磯⻄真喜、瀧マキ、岬ミレホ、⻑島悠⼦、百元夏繪、クイン加藤、海江⽥眞⼸、楠部知⼦、海沼未⽻、中⼭求⼀郎、アサヌマ理紗、鈴⽊武、佐野弘樹、光永聖、中村莉久、牧亮佑、渡辺哲

配給:イーチタイム

公式サイト:http://teafriend.jp/

©2022 茶飲友達フィルムパートナーズ


関連記事