2017-10-07

映画『レミングスの夏』（名古屋シネマスコーレで上映）五藤利弘監督にインタビュー

10月7日より名古屋シネマスコーレで公開中の映画『レミングスの夏』は前田旺志郎さん主演で、中学生の少年少女が大人たちを相手に人生を賭けたある計画を実行していく物語です。監督と脚本をつとめた五藤利弘監督が名古屋に来られた際にインタビューをすることができました。(取材日：2017年10月5日)

Contents

茨城県取手市が舞台の映画『レミングスの夏』誕生のきっかけ
若い俳優たちの昨夏の頑張り
茨城の皆さんに協力いただいた撮影
五藤監督の今後の活動と名古屋との縁
- 作品情報

茨城県取手市が舞台の映画『レミングスの夏』誕生のきっかけ

五藤監督は2014年に公開となった映画『花蓮　かれん』の撮影を茨城で行ったことをきっかけに、茨城県取手市在住の作家・竹吉優輔さんと出会い、互いに共鳴するものがあったそうです。竹吉さんは『襲名犯』で第59回江戸川乱歩賞を受賞し、2014年秋に刊行されたばかりの竹吉さんの小説「レミングスの夏」を五藤監督が読むことになり、ぜひ映画化できないかと盛り上がり話が進んだと教えてくれました。

若い俳優たちの昨夏の頑張り

映画『レミングスの夏』の出演者の皆さんは撮影当時14歳前後の若い俳優さんが多く、オーディションで原作のイメージにあう方を選んだそうです。最初に決まったのがナギ役の前田旺志郎さん、是枝裕和監督の『奇跡』で兄の航基さんとW主演をしていて、是枝監督の『海街ダイアリー』では広瀬すずさん演じる四女・すずのサッカーチーム仲間を演じていました。今作では初の単独主演を務め、ある計画を実行するチーム“レミングス”の中心人物でありリーダー的な存在を演じています。語り手となるアキラ役に菅原麗央さん、主人公が結成するチームの仲間として、遠藤史人さん、瑚々さん、桃果さん、平塚麗奈さんが出演しています。そのほか、モロ師岡さん、中村ゆりさん、田中要次さん、渡辺裕之さん、さらに、出演と音楽提供でスネオヘアーさんが参加しています。

2016年7月〜8月に10日間ほどの日程で撮影が行われたのですが、前田さんを以外の主要キャストの中にはこの作品で初演技の方もいたとか。ストーリー的に重めの内容のシーンもあり、撮影環境が厳しかったところもあり、出演者の皆さんはかなり頑張ってくれて、フラフラになりながら撮影に臨んでくれたと話していました。

世の中の不条理や理不尽なことに本気で立ち向かおうとする少年少女ならではの真っ直ぐさ、仲間と一緒に目標に向かって突き進む姿がしっかりと心に響く作品になっているのは、過酷な撮影に臨んだキャストの皆さんの頑張りと彼らをまとめた五藤監督の手腕だと思います。

茨城の皆さんに協力いただいた撮影

映画『レミングスの夏』の撮影はすべて茨城県内で行われ、7割近くが原作の舞台であり、原作者の竹吉さんが住んでいる取手市で行われたそうです。

取手市内の住宅をお借りして撮影場所として使わせてもらったり、地域の皆さんに炊き出しや食事の用意をしていただいたり、エキストラ出演もしてもらったそうです。エキストラオーディションには200名近くの応募があったそうです。また、原作の竹吉さんが司書として働かれている茨城の図書館でも撮影が行われました。

五藤監督の今後の活動と名古屋との縁

映画監督として活動する一方で、テレビのドキュメンタリー番組の制作をしていた五藤監督は所属していた会社の株主だった故・若松孝二さんと生前にお会いする機会があったそうで、名古屋のシネマスコーレに来られたことを感慨深く感じている様子でした。

五藤監督は2009年に民放のドキュメンタリー番組の取材で原爆に遭った「被爆ピアノ」のコンサートを全国各地で開催している被爆２世の調律師である矢川光則さんと知り合い、現在、この活動をドキュメンタリー映画にする予定で動いています。撮影が来年の夏から秋にかけてということなので、まだ少し先になりますが、こちらも完成が楽しみですね。