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2017-09-16

映画『彼らが本気で編むときは、』シーン・ボイスガイド付き鑑賞体験レポート


近年、映画館ではバリアフリー上映に対する取り組みが積極的に行われています。2017年9月10日に閉幕した「あいち国際女性映画祭2017」に取材に行った際に、シーン・ボイスガイドという視覚に障がいのある方に映画を楽しんでもらうための ”音声案内 (=ボイス・ガイド)”の体験をすることができました。

映画『彼らが本気で編むときは、』上映会レポートはこちら

あいち国際女性映画祭『彼らが本気で編むときは、』トークイベントに荻上直子監督とはるな愛さん登壇

この記事にも書いたように「あいち国際女性映画祭2017」で上映された『彼らが本気で編むときは、』は聴覚や視覚に障がいがある方にも映画を楽しんでもらえるように日本語の字幕がついていて、シーン・ボイスガイドという音声ガイドを聴きながら映画が観られる携帯ラジオの貸出も行っていました。

9月23日に名古屋市内で行われる『ナミヤ雑貨店の奇蹟』のシーン・ボイスガイドによる音声ガイドと字幕付きの上映の詳細情報もご紹介します。

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シーン・ボイスガイドとは

シーン・ボイスガイドとは、映画のスクリーンが見えない・見えにくい方のために、映画本編の音声だけでは理解しきれないスクリーンに映っている情景、情報を言葉で捕捉するナレーション解説です。『彼らが本気で編むときは、』の上映でシーン・ボイスガイドを提供していたのはNPO法人シーン・ボイスガイドの皆さん。名古屋を活動拠点とするNPO法人で、団体の設立から15年の歴史があるそうです。

シーン・ボイスガイドには映画の音声や効果音と一緒に場内に流すオープン方式と別の部屋でマイクに向かってガイドを行い、FM電波を客席に送信するクローズ方式があります。

「あいち国際女性映画祭2017」での『彼らが本気で編むときは、』の上映のシーン・ボイスガイドはクローズ方式で、会場の扉前でイヤホン付きのFM受信機の貸出を行なっていました。

シーン・ボイスガイドは事前に収録しているわけではなく、上映当日にスクリーンを観ながら、生でガイドをするそうです。映画のセリフや重要な効果音に重ならないように考え抜かれた台本を事前に作り、入念な練習やリハーサルを経て本番を迎えます。

この日、シーン・ボイスガイドを担当するスタッフさんは会場の客席が見えるようになっている部屋で、マイクに向かって準備をされていました。

『彼らが本気で編むときは、』のシーンボイス・ガイド

シーン・ボイスガイドを聞きながらの映画鑑賞を始めて体験したのですが、情景を描写する言葉チョイスやガイドを入れるタイミングなどが見事でした。実際のシーンよりガイドが先になることもあったのですが、セリフや効果音にガイドが重ならないようにするための配慮のようです。感情を込めずに淡々と描写し、間の作り方やガイドのスピードなど、相当の訓練が必要な技術だと感じました。

映画『彼らが本気で編むときは、』の中で生田斗真さん演じるリンコと桐谷健太さん演じるマキオ、柿原りんかさん演じるトモの3人が懸命に編んで作った大量の“あるもの”を投げ合うシーンがあるのですが、そのシーンの描写が秀逸でした。映画を観たことがある方にしかわからないかもしれませんが、“あるもの”をなんと表現しているのか、機会があったらシーン・ボイスガイドを聞いてみてください。

『ナミヤ雑貨店の奇蹟』をシーン・ボイスガイドで!

9月23日(祝)に名古屋市視覚障害者協会の主催で、シーン・ボイスガイド映画の上映が行われます。上映作品は『ナミヤ雑貨店の奇蹟』です。東野圭吾さんのベストセラー小説を実写映画化したもので、「Hey! Say! JUMP」の山田涼介さんと名優・西田敏行さんの共演が話題になっている作品です。新作映画を公開初日にシーン・ボイスガイド付きで楽しめるチャンスです!

上映会の詳細は以下の通りです。

上映作品『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(シーン・ボイスガイド映画)

日時:平成29年9月23日(祝・土)8:30開場予定 9:00上映開始

場所:ミッドランドスクエア シネマ2 スクリーン9

住所:名古屋市中村区名駅4丁目11番27号 シンフォニー豊田ビル2階

料金:1000円(視覚障碍者及び付添1名500円の補助あり)

定員:150名(全席予約制)

予約・問合せ:名視協 新井美千代 090-7956-1070 araimicy@ybb.ne.jp

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