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2020-09-08

水川あさみさんから怒鳴られ続け「図太さがシンクロした」と濱田岳さん 映画『喜劇 愛妻物語』インタビュー


 

9月11日から公開となる映画『喜劇 愛妻物語』は濱田岳さんと水川あさみさんが売れない脚本家と家計を支えるしっかり者の超恐妻という結婚10年目の夫婦を演じるコメディ作品です。『百円の恋』『嘘八百』などの脚本家である足立紳さんが2016年に発表した自伝的小説を原作としており、脚本・監督を足立さん自身がつとめています。

若いころは夫の才能を信じて支えてきた妻ですが、今では夫の情けない姿に四六時中イライラして罵詈雑言を浴びせる日々を送っています。夫婦の掛け合いに大笑いしながらも、一体この先、どうなってしまうのかとハラハラして見守りたくなる、愛おしい夫婦の物語です。魅力ある夫婦を演じた濱田さんと、水川さんにリモートでインタビューをしました。

毒舌の恐妻を演じるために体重を5キロも増量して挑んだ水川さん、超ダメ夫とシンクロしたと語る濱田さん、娘役の新津ちせさんについてのエピソードもご紹介します。(取材日 2020年8月31日)

水川あさみさんに怒鳴られ続けた濱田岳さん「僕は豪太と図太さがシンクロしていた」

映画『喜劇 愛妻物語』は『百円の恋』で第39回日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞し、『嘘八百』や『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』などの映画で脚本を担当している足立紳さんが自身の経験をもとに2016年に発表した小説「乳房に蚊」を映画化した作品です。濱田岳さんが売れない脚本家の夫・豪太を演じ、家計を支え夫に暴言を吐く恐妻・チカを水川あさみさんが演じています。映画は脚本のための取材と夫婦の関係改善を兼ねて、四国へ家族旅行に出かける物語で、想像を超える夫婦の言動に大笑いしながら、飾らない夫婦の生活をのぞき見ているような気分になるコメディです。

水川さんは「監督ご夫妻がモデルになっていて、これを映画にしようという心意気が凄いなと思いました」と話し、濱田さんは「パンチのある夫婦だという印象はありましたが、どんなに喧嘩を繰り返していても不幸な2人ではない」と答えました。濱田さんは豪太というキャラクターについて「どんなに怒られても前を向いて生きていく図太さは人としての魅力です」と話し、水川さんは「あふれ出る罵声をどれだけ浴びせても、ヘラヘラする岳くんにイライラする循環でした」と撮影の様子を振り返りました。

お芝居とはいえ朝から晩まで怒鳴られ続ける撮影を振り返り、濱田さんは「ハートの弱い俳優だったら楽屋から出てこられなかったかもしれない」と笑いながら答え「僕は豪太と図太さがシンクロしていたようで、水川さんの暴言を『昨日よりもブラッシュアップされているな』などと冷静に受け取れるようになって、さらに水川さんを苛立たせてしまいました」と話していました。

水川あさみさんは5kg増量 自然な家族感は娘役・新津ちせさんの力

水川さんはチカを演じるにあたり5kgの増量をしたそうですがかなり苦労があったそうで「自分の中でいったことのない領域にいくのが大変で、東京で一生懸命食べていてもなかなか太らなくて、香川の美味しいうどんをたくさん食べて、いい感じに太ることができました」と教えてくれました。チカの二の腕や太もも、プニプニとしたお腹やキーアイテムとなるくたびれた赤パンツを履いて寝転がる姿は水川さんの努力と香川のうどんによって作られたものだったんですね。

2人の娘・アキ役の新津ちせさんについて濱田さんは「一人の俳優さんとしてしっかりしているので、濱田さん、水川さんと呼ぶこともできたはずなのに、カットがかかってもパパ・ママと呼び続けて家族感を生み出してくれました」と教えてくれました。また濱田さんは「ちせちゃんが不幸な表情ではなく、この夫婦のもとで可愛く気丈に育っている感じを出してくれたおかげで、僕らのやり取りを笑えるものにしてくれたと思います。ちせちゃんのおかげで喜劇になりました」と感謝の気持ちをあわらわしていました。ダメな父と冷静かつちゃっかりしたアキのやりとりや彼女の存在は、険悪な夫婦関係に癒しを与えてくれます。

「どなたが観ても笑える瞬間があるのが喜劇。笑ってください!」

2019年の東京国際映画祭で映画『喜劇 愛妻物語』が上映された際のことが話題にのぼると「観客が声を出して笑ってくれたのは涙が出そうになるくらい嬉しかったです。これを手ごたえと呼んでいいんだと感じました」「どなたでも笑える瞬間があって、喜劇と銘打った僕らの自信です」と濱田さんが答えました。

映画の中では結婚10年の現在だけでなく、大学時代の出会いなど夫婦の歴史も描かれていて、夏帆さん演じる大学時代の2人を知る友人も重要な存在として登場します。水川さんは「この夫婦はチカが操っているように見えて、実は豪太の図太く生き抜く力にチカが丸め込まれているんだと思います」とチカの心情を考えながら演じていたと語りました。

険悪になった夫婦関係の中で“もう駄目だ”とチカの気持ちが途切れ緊張で張り詰めるシーンがあります。この難局を豪太がどう乗り越えるのかぜひ劇場でご覧いただきたいのですが、濱田さんは足立監督から言われた「この危機的状況を“うやむや”にしようとしています」という説明に「衝撃的なディレクションで、言葉を失いました」と驚いたことを教えてくれました。

濱田さんは「2軒、3軒隣の夫婦をのぞき見している感覚で観ていただいて、大いに指をさして笑ってください。素敵な夫婦になるための踏み台か反面教師にでもしていただけたらと思います」と作品をアピールしました。

作品概要

映画『喜劇 愛妻物語』

9月11日よりミッドランドスクエアシネマほかにて公開

年収50万円の売れない脚本家の【超ダメ夫】豪太と、夫に罵声を浴びせながら家計や子育てを支える【超恐妻】チカは結婚10年目の倦怠期真っ只中にいる夫婦。娘のアキと三人で暮らしている。豪太は3ヶ月のセックスレスに苛まれ、日々チカの機嫌をとるがろくに稼ぎもない夫にチカは冷たい。そんななか、脚本の取材で香川県にいって企画を実現させることと、夫婦仲を取り戻そうと画策する豪太。
仕事を休んで取材旅行に付き合うチカだが、取材相手はすでに 映画化の話が進んでいた。
旅の目的が失われてしまい・・・。

原作・脚本・監督  足立紳

キャスト 濱田岳 水川あさみ 新津ちせ 夏帆 大久保佳代子他

製作『喜劇 愛妻物語』製作委員会

配給 キュー・テック/バンダイナムコアーツ

URL:http://kigeki-aisai.jp/

©2020『喜劇 愛妻物語』製作委員会


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