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2020-06-16

舞台挨拶やトークイベントも再開へ 名古屋シネマテークは今池の街とともに


 

 

名古屋シネマテークは名古屋市千種区今池にある名古屋で最も歴史のあるミニシアターです。愛知県の休業要請を受け4月18日から32日間にわたって休館し、5月20日に営業を再開しました。営業再開から2週間後の様子を取材し、支配人の永吉直之さんにインタビューをしました。

休館中の想いや感染症対策、様々なミニシアター支援への感謝の気持ちと来場客へのお願い事、今池の街への想いなど、様々なお話をお聞きしました。(取材日:2020年6月4日)

入場者数を半数に 消毒・除菌・換気を徹底 ロビーの窓を開放

座席数40席の半数程度の入場制限を行っており、5月20日の営業開始当初は使用不可の座席の座面を取り外していましたが、2週間後の取材時には座面を元に戻し、好きな座席に座ることができるようになっていました。上映直前の薄暗いスクリーン内で座面の有無を確認すること難しい点や、来場客がそれぞれの判断で密接にならないようにソーシャルディスタンスがとれていることなどから、座面を元に戻す判断をしたそうです。名古屋シネマテークでは当日朝のオープン時より整理券を配布していて、整理番号順の自由席制となっています。

営業再開後は飛沫防止シートが貼られた受付の前で来場客の検温を行い、ロビーには消毒液が設置されています。掃除をこれまで以上に徹底し、ドアノブなどの人が手を触れるところは日に何度も除菌するようにしています。

ロビーの窓は開放されていてしっかりと換気が行われていて、スクリーン内の空調についても「消防法で定められた換気基準は窓を開け放してクーラーを入れているようなもの」と話し、さらに休憩の間はドアを開け放して換気をしたり、3月末から新たな空気清浄機も導入してます。

来場客にマスクの着用をお願いしてはいますが、元々スクリーン内での飲食ができないことから大きな変化はなく、スクリーン内はこれまで通り映画に集中できる空間でした。

たくさんの支援に感謝 来場客へのお願いは・・・

支配人の永吉直之さんは2月後半頃から影響が出始めたと振り返り「3月は(動員が)良くなくて、3月24日のオリンピック延期決定から急激に悪くなり、4月には休館したら再開できないほど動員が厳しかったです」と話しました。そんな中で再開できると思ったのは「たくさんの支援のおかげ」と言い、全国のミニシアターを支援するミニシアターエイド基金だけでなく、今池の古本屋であるシマウマ書房とON READINGが発起人となって立ち上げた「名古屋シネマテーク・エイド」について「ビックリするくらいの支援をいただいた」と話しました。当初は「どこも厳しいのにうちだけ助けてと言えない」と考えていた永吉さんですが「ミニシアターは(映画を)観る人に支えられているということがはっきりしました」と改めて、映画ファンやシネマテークファンへの感謝の想いを口にしました。

営業再開後の動員について「覚悟はしていたけど、思っていたより少ない」という状況を話してくれました。永吉さんは「休館する際に映画館で映画を観ることが忘れられていくのではないかと不安でした」と話し、配信など利用して家で自分の観たいタイミングで映画が観られる環境が進んだことで「その不安は今でも大きく変わっていないです」と吐露しました。しかし、たくさんの支援によって「すぐにじゃないけど、また映画館に行くよと言ってもらえたのだと思いました」と映画ファンの気持ちを心強く感じたそうです。

シネマテークも参加している「仮設の映画館」は映画館で映画を上映する仕組みをできるだけそのままネット上に作った取り組みです。永吉さんも「丁寧に考えられた仕組みで、とても助かっています」と話していました。まだ映画館に行くことができない方はぜひ利用してみてください。

シネマテークのオンラインシアター 【仮設の映画館】

永吉さんに来場客にお願いしたいことは?と聞くと「映画館に来られる方は、1ヶ月1本だったのを2か月で3本に少し(来館の)頻度を増やして、あとは友達を連れてきてくれるとか嬉しいです」と笑顔をのぞかせました。

またシネマテークにも貼られている「今池ハードコアは死なず」というポスターについて聞くと「今池らしい強がりなんですけど、そういうことが大事なんだと思います」と答え「今池でライブハウスがなくなったら、今池じゃない。このあたりの飲み屋がなくなったら、今池で映画館をやる意味がないんですよ!街があるから映画館は成立するんです」と今池の街自体の活気を取り戻したいという強い願いを伝えてくれました。

舞台挨拶やトークイベントも再開へ

取材時、永吉支配人は舞台挨拶やトークイベントについて「状況をみながら再開していきたい」と話していて、6月13日に京都のとある学生寮を舞台にした、等身大の青春群像を描く『ワンダーウォール』の前田悠希監督の舞台挨拶が行われました。

また6月20日には『i新聞記者 ドキュメント』の森達也監督が来名し「森達也監督スペシャルトーク」(定員満席の予約により受付締切)が行われます。

さらに7月5日には山形県の離島である飛島に住む人々を追ったドキュメンタリー『島にて』の大宮浩一監督、田中圭監督による舞台挨拶も行われます。名古屋シネマテークは映画を観るだけでなく、映画監督や作家の話を直接聞き、交流することもできる場所です。今後も感染防止に配慮しつつ、舞台挨拶やトークイベントを開催していくようです。

 

施設概要

名古屋シネマテーク(今池)

Address:名古屋市千種区今池1-6-13 今池スタービル2F

名古屋市千種区今池1-6-13

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