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2020-01-27

あの大物俳優もモトーラ世理奈さんのお芝居に注目!映画『風の電話』諏訪敦彦監督と共に名古屋市内で舞台挨拶!


 

1月24日より公開となった映画『風の電話』は、岩手県大槌町に実在する“風の電話”をモチーフにした初めての映像作品です。監督は『M/OTHER』や『不完全な二人』でメガホンを取り、フランスをはじめヨーロッパで圧倒的な評価を受ける諏訪敦彦さんが務め、大槌町で東日本大震災に遭った高校生のハルを注目の女優モトーラ世理奈さんが演じます。即興芝居を信条とする諏訪監督の手法の中、熱演を披露するモトーラさんを西島秀俊さん、西田敏行さん、三浦友和さんが温かく包みます。

公開3日目に、名古屋市内で行われた舞台挨拶に諏訪監督とモトーラさんが登壇し、ハル役のオーディション秘話や共演者との撮影エピソードなどを教えてくれました。(取材日:2020年1月26日)

モトーラ世理奈さん、オーディションに行きたくなかった理由とは?

映画『風の電話』は、岩手県大槌町に実在する“風の電話”をモチーフにした初めての映像作品です。電話線は繋がっておらず“風が声を届けてくれる”というその電話は、2011年に岩手県大槌町在住のガーデンデザイナー・佐々木格さんが死別した従兄弟ともう一度話したいという思いから自宅の庭に設置し、「天国に繋がる電話」として人々に広まり、東日本大震災以降、3万人を超える人々が訪れています。“風の電話”は新聞やネットの報道、ドキュメンタリー番組でも取り上げられ、その報道に感銘を受けた今作の企画プロデューサーが佐々木さんの元に何度も足を運び許諾をもらい映画化が実現しました。

大槌町で東日本大震災に遭った高校生のハル役をオーディションで射止めたのは、雑誌「装苑」でモデルデビューを果たし、“RADWIMPS”のアルバム「人間開花」のジャケット写真に起用され大きな話題をさらったモトーラ世理奈さんです。2018年には映画「少女邂逅」で華やかに女優デビューを果たし、今後の活躍が期待される注目の新人女優です。

モトーラさんが演じたハルは言葉少なめの静かな高校生。諏訪監督がキャスティングの際に「彼女を撮れば映画ができる」と思われたように、この日、名古屋駅前のミッドランドスクエアシネマで行われた舞台挨拶でも言葉は少なめですが、ゆっくり丁寧に話すモトーラさんの姿がありました。モトーラさんが言葉を探す“間”は、まるで映画の一コマのようにゆっくり時間が流れ、終始、和やかな雰囲気の舞台挨拶となりました。

公開3日目を迎え周りの反響を聞かれると「そうですねぇ・・・」と一言発したあと、視線を上に向け言葉をゆっくり探しはじめるモトーラさんの姿に会場はあたたかい笑い声に包まれました。すかさず諏訪監督が「実は初日にこっそり観ていたらしいんですよ」と言うと、モトーラさんは「(公開初日)24日の新宿のピカデリーでソワソワしながら観ていました。周りの人がどんなふうに観るのかずっとドキドキしていました」と緊張の公開初日を迎えていたことを教えてくれました。

そして、ハル役のオーディションを振り返り「小さい頃から絵本などでも家族が亡くなる話は辛くて、この話をいただいて、初めて台本を読んだ時に悲しくなっちゃって・・・。本当はやりたくないって思っていました」と話すと、監督から「オーディションに行きたくなかったんだもんね(笑)」と明かされる場面も。その気持ちも2回に渡って行われたオーディションを経験し変化があったそうで「1回目のオーディションは自分の悲しい、辛い気持ちが出てきてしまって何もできなかった。たぶんダメだろう(落ちた)と思っていました。2回目で初めて即興芝居をやったら、自然にハルという役に入れて相手を感じてお芝居することができました。その時に、もっとハルを演じたいと思いました!」とハル役を射止めるまでに心の変化があったことを教えてくれました。

一方、即興芝居を信条とする諏訪監督は1回目のオーディションからモトーラさんに決めていたそうです。「実は、2回目に呼んだ人はほとんどいないんですよ!即興芝居にどう対応してもらえるか知りたかったし、それも素晴らしかったので、もう彼女で決まりでした!」と絶賛し「ハルがそこにいるような感じがした。この人を撮っていけば映画ができると思いました」と話しました。

モトーラ世理奈さん出演の映画『ブラック校則』Sexy Zoneの佐藤勝利さんとKing & Princeの高橋海人さんが名古屋で

諏訪監督、役者が驚くモトーラさんの存在感を絶賛!

映画『風の電話』は、ロードムービーのように広島から岩手までの道のりを移動しながら撮影されました。その旅の中でハルが出会うのが、豪雨被害にあった広島で年老いた母と暮らす公平(三浦さん)や、かつての福島の景色に思いを馳せる今田(西田さん)、道中で出会った福島の元原発作業員・森尾(西島さん)です。

日本を代表する俳優たちとの共演を振り返りモトーラさんは「今、思い返すと、西島さんや三浦さん、西田さんにお会いしたという記憶があまりなくて、それよりも“西島さん演じる森尾に会った”という思い出の方があるんです」と、初めからハルとして劇中の登場人物と出会っていたことを教えてくれました。“すごく集中して役に入り込んでいたんですね”という司会者からの言葉に「西島さんとはカメラが回ってないところでも、ほとんどお話する機会がなかったので、その距離感がそのまま(映画の中に)存在していたのかなと思います」とハニカミながら話すモトーラさんの姿が印象的でした。

その話に深く感心した様子の諏訪監督は「僕よりも周りの俳優さんのほうがモトーラさんに注目していました。西田さんは“なんでこんなに受けの芝居ができるんだ”と言っていました。周りが話しかけるけど、それに答えるわけではないんです。だけど、周りで演じている人がモトーラさんから色々なことを感じているんです。それぞれが役者として驚いていました」とモトーラさんの魅力に触れ、改めて絶賛しました。
映画『ライオンは今夜死ぬ』ジャンピエールとの出会いや映画制作中の様子など 諏訪敦彦監督に名古屋でインタビュー

「耳を澄ますように“目を澄まして”観てほしい映画です」

映画『風の電話』は、当初、西日本で生まれ育ち被災した若者が、“風の電話”の存在を知って大槌町に一人向かう・・・という本編とは違う設定だったそうですが、諏訪監督は「故郷に帰ることに意味がある」と思い今作に至ったそうです。広島から大槌町までの移動中、各地の撮影先ではご近所の方々からの炊き出しが振舞われることもあったそうです。中でも話題になったのが福島県の郷土料理“マミーすいとん”でした。諏訪監督は思い出したように話し、「劇中にも登場する料理で、名づけ親はトルシエ監督だそうです、という“マミーすいとん”が何なのかを西田さんが(撮影中に)永遠説明されたんですけど・・・。そこは使っていません(笑)」と笑顔で明かしました。ですが、劇中で西田さんが話していることは全部、西田さんの即興。西田さん演じる今田が故郷を思い歌う“新相馬節”も今作の中で特に印象的な場面になっています。

舞台挨拶では、2月20日(ドイツ現地時間)から開催される第70回ベルリン国際映画祭(ジェネレーション部門)に正式出品が決まったことが発表され、会場からは祝福の拍手が起こりました。モトーラさんは「世界中の人に観てほしい映画なので、まずはベルリンからということで、すごく楽しみです」と話しました。諏訪監督は「この映画は、ひとりの女の子の目線で進み、大きな出来事が起こるわけでもない。そういうささやかなものが僕らにとってはある種の“祈り”みたいなもので、それがベルリンに届いたことが嬉しかったです」と喜び「ベルリンの青少年たちにどう映るのかが楽しみです!」と映画祭への期待を語りました。

最後に諏訪監督はモトーラさんを指し「彼女が言葉を探している時間が好きです。ハルはこんな感じです。耳を澄ますという言葉がありますが、(この映画は)“目を澄ます”。じっと見ていると何か感じることが、みなさんそれぞれにあるんじゃないかと思います。どうぞ楽しんでください」と駆けつけたファンにメッセージを送りました。モトーラさんは「今日ここでみなさんにお会いできて嬉しいです。これからハルちゃんの旅を一緒に楽しんで、『風の電話』の空気を感じて持って帰っていただきたいです」と言葉を探しながらゆっくりと話し舞台挨拶を締めくくりました。

映画『風の電話』は、“なんで生きているのか”、“なんで自分だけ生き残ったのか”、悲しみをひとり背負い旅を続けるハルの背中をそっと押してあげたくなるような温かい物語です。舞台挨拶中、モトーラさんが言葉を探す“間”は、心地の良い“モトーラ時間”となり、観客のみなさんがモトーラさんを優しく見守る姿が映画と重なり不思議な感覚になる舞台挨拶でした。映画ノベライズ本「風の電話」(朝日文庫)も出版されています。映画と合わせてお楽しみください。

作品概要

映画『風の電話』

2020年1月24日(金) ミッドランドスクエアシネマ他にて全国公開

〈ストーリー〉

17歳の高校生ハル(モトーラ世理奈)は、東日本大震災で家族を失い、広島に住む伯母、広子(渡辺真起子)の家に身を寄せている。心に深い傷を抱えながらも、常に寄り添ってくれる広子のおかげで、日常を過ごすことができたハルだったが、ある日、学校から帰ると広子が部屋で倒れていた。自分の周りの人が全ていなくなる不安に駆られたハルは、あの日以来、一度も帰っていない故郷の大槌町へ向かう。広島から岩手までの長い旅の途中、彼女の目にはどんな景色が映っていくのだろうか。憔悴して道端に倒れていたところを助けてくれた公平(三浦友和)、今も福島に暮らし被災した時の話を聞かせてくれた今田(西田敏行)。様々な人と出会い、食事をふるまわれ、抱きしめられ、「生きろ」と励まされるハル。道中で出会った福島の元原発作業員の森尾(西島秀俊)と共に旅は続いていき…。そして、ハルは導かれるように、故郷にある<風の電話>へと歩みを進める。
家族と「もう一度、話したい」その想いを胸に―。

監督:諏訪敦彦

出演:モト―ラ世理奈、西島秀俊、西田敏行、三浦友和

配給:ブロードメディア・スタジオ

公式サイト:http://www.kazenodenwa.com/

ⓒ 2020 映画「風の電話」製作委員会


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