「この作品で残せてうれしかった」浜野佐知監督が吉行和子さんの出演シーンを語る「あいち国際女性映画祭2025」合同記者会見
9月11日(木)から15日(月・祝)までの5日間の日程で開催される「あいち国際女性映画祭2025」は、今年で30回になる国内唯一の女性映画祭です。会場は名古屋市東区にある愛知県女性総合センター(ウィルあいち)、名古屋駅付近のミッドランドスクエアシネマで、世界各国・地域の女性監督による作品、女性に着目した作品の上映や、国内外の女性監督によるフィルムコンペティションが行われます。三島有紀子監督がアンバサダーに就任し、30 周年にふさわしく国内外から素敵なゲストの方々を招いて開催されます。

「あいち国際女性映画祭2025」開幕前日に、アンバサダーの三島有紀子監督、ハ・ミョンミ監督、浜野佐知監督、熊谷博子監督、谷口未央監督、ヤン・ヨンヒプロデューサー、俳優の菜葉菜さん、キム・ヒャンギさんら、映画監督・出演者が合同記者会見にのぞみ、意気込みや作品への想いなどを語りました。11日(木)10時からのオープニング作品として上映される映画『金子文子 何が私をこうさせたのか』には、今月2日に肺炎のため亡くなった吉行和子さんが菜葉菜さん演じる文子の祖母役を気迫をもって演じています。浜野佐知監督が吉行さんの撮影時の様子や吉行さんの言葉によって力を得ていることなどを語りました。(取材日:2025年9月10日)
【プログラム紹介】9/11(木)~15(月/祝)「あいち国際女性映画祭2025」30回目 アンバサダーに三島有紀子監督 充実のプログラムで5日間開催
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アンバサダーの三島有紀子監督「女性映画祭の必要性を浮き彫りにしている」要請を受けた当初の気持ちを語る
あいち国際女性映画祭が今年2025年で30周年を迎えるということで、愛知県知事の大村秀章さんが激励のため登壇しました。大村知事は「振り返ってみると、国際女性映画祭は日本で愛知だけの開催になってしまいました。私は何事もしつこく続けていくことが大事だと思っているので、本日ご登壇の監督方、しつこく しつこくお付き合い願いたいと思います!」としつこく挨拶し、登壇した監督方の笑顔を引き出しました。「今回は周年なので皆様には大いに盛り上げて貰えたら」と登壇者はじめ、記者、ボランティアスタッフに声をかける様子から、大村知事自身も楽しみにしている雰囲気がうかがえました。

アンバサダーに就任した三島有紀子監督は、アンバサダーの要請を受けた当初の気持ちを「もともと女性監督と言われるのに抵抗がありモヤモヤしていたので、うーん、女性映画祭…と思いながらお話をうかがった」と明かしました。「パンデミックの時に作ったドキュメンタリー映画『東京組曲2020』と映画『一月の声に歓びを刻め』をこちらの映画祭で上映していただきました。その時に感じたことと、この30回目のプログラムを見て感じたことが、おそらく女性映画祭というものが必要であるということを非常に浮き彫りにしているだろうなと思いました」とアンバサダーを引き受けた経緯を話しました。

上映される作品について「女性たちが世界でどんなことを考えて、どのような関係の中を生きているのか具に感じていただきたいと思います」とアピールしました。また、今、映画が消耗品になろうとしている危機を感じていると言い、「映画を消耗品にさせないよう、我々も丁寧に作り、丁寧に観ていただける、そして100年後も残るような作品を作って行けたら良いなと思います。女性たちが映画界でやっていくのはとても大変です。愛知県の皆様に応援していただいて、映画祭だけでなく女性たちも応援していただけたら」と熱く語りました。
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11日(木)上映作品のハ・ミョンミ監督、熊谷博子監督、谷口未央監督が熱い想いを語る
合同会見では11日(木)に上映される作品の監督・出演者たちが順にマイクを繋いでいきました。11日(木)13:50からウィルホール、13日(土)18:20からミッドランドスクエアシネマで上映される映画『済州島四・三事件 ハラン』からハ・ミョンミ監督、ヤン・ヨンヒプロデューサー、主演したキム・ヒャンギさんが登壇。

日本初公開ということと、韓国では118分で編集していた内容を128分に再編した作品で上映できること、加えてあいち国際女性映画祭の30周年で上映できることの喜びを語りました。1948年に起きた済州島の赤狩りと称した武力鎮圧を題材にしたテーマの作品ですが主演のキム・ヒャンギさんは「歴史を扱っていますが、難しく考えずに心で感じていただければと思います。気楽に観て欲しいです」とはにかみながら話しました。

11日(木)10時から大会議室で世界初公開される映画『日々 福島のルワンダカフェから』から熊谷博子監督が登壇しました。ルワンダの内戦を生き延び、東日本大震災を経験したマリールイズさんが、自身が難民だった経験から”ルワンダカフェ”と称して仮設住宅でお茶会を始めた様子を描いています。熊谷監督は「東日本大震災は来年で15年になる。私は2013年から福島県の第一原発の近くにある浪江町に通うようになりました」と今も撮影し続けていると明かしました。そして本作について「福島だけでなくルワンダも入ることで、避難とは何か、ウクライナもそうですが世界中に避難しなければならない、故郷を追われた人々が増え続けている。そういうことも含めてこの映画を観て感じて下さったらいいなと思います」と声を強めました。

また、熊谷監督のもう一つの作品『日本初の女性映画監督坂根田鶴子を追って』(12日(金)13:50~大会議室)も上映されます。「戦前の女性に選挙権もなかった時代に女性が映画監督になるとはどういうことかを考えていただければと思っていますので是非2作品見ていただいていろんな思いを共有していけたらと思います」と話しました。
続いて11日(木)16:50から大会議室で上映される映画『長浜』から谷口未央監督が登壇しました。谷口監督はコンペティション部門で2回参加しています。谷口監督は「あいち国際女性映画祭に育んでいただいた映画監督の中の一人だと思っています。帰ってこられて嬉しいです」と挨拶しました。滋賀県の長浜曳山祭りという400年以上続く歴史のあるお祭を題材にした作品ということで「名古屋で上映できるのはご縁があると思います。名古屋で生まれた秀吉が初めて城を持ったのが長浜城。その城下町で秀吉が作った祭りとして400年以上、今も豪華絢爛な祭りとして開催されています」と説明しました。

そして「この作品は祭りを作りあげていく過程を含めてみていただくようなドラマです。祭りは伝統行事なので多様性とは真逆の方向性です。でも令和の時代に映画を作るにあたり、伝統文化と多様性との邂逅…今の時代に受け入れられるのか反発されるのかをこの映画の中で描きたいと思いました」と制作意図を話しました。
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世界初公開!映画『金子文子 何が私をこうさせたのか』菜葉菜さん主演、浜野佐知監督の盟友:吉行和子さんが主人公の祖母役で出演
11日(木)10時からウィルホールでオープニング作品として上映される映画『金子文子 何が私をこうさせたのか』から浜野佐知監督と主演の菜葉菜さんが登壇しました。浜野監督は「私はこの映画祭には5回目の参加です。知事が先ほど続けることが大事だとおっしゃいましたが、私たち女性監督も撮り続けて行くことが一番大事だと思います。日本に一つしかないこの映画祭がいつまでも頑張って40年、50年と迎えて下さったら、私は100歳越えてしまいますが、死ぬまで映画監督として作品を撮り続けたいと思います」と情熱いっぱいに話しました。また本作について「あいち国際女性映画祭がワールドプレミアです。全国公開は来年2026年が文子没後100年になるので、それに先駆けての公開となります」と嬉しそうに言いました。

映画製作の経緯について「金子文子は恋人の朴烈とのセットで描かれることが多いですが、私は金子文子を一人の人間として、女性としてもう一度現代に蘇えさせたい…そういう思いで制作してきました。1923年の朝鮮人の大虐殺の時に検束されて死刑判決を受け収監されて、無期懲役に減刑された3年後の1926年に栃木女子刑務所に収監されてから自死するまでの121日間を描いています。たった一人の戦いと、思考の深まり、金子文子という人がどう生きたか、なぜ死んだのかがハッキリするといいなと思いました」と説明し、「誰も描くことができない金子文子を菜葉菜さんが、まるで金子文子が乗り移ったように演じてくれました」と菜葉菜さんに信頼を寄せました。
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主人公の祖母役 吉行和子さん 気迫の3カット 吉行さんの言葉に力を得た浜野佐知監督「私は死ぬまで映画監督として生きていきたい」
本作に出演している吉行和子さんが今月2日に肺炎のため亡くなったことを知った浜野監督は「本当にショックでした。いつまでも浜野映画に出演してくださると思っていたんですが‥。吉行さんに惹かれるところは、俳優としても人間としても女性としても一本「心(しん)」がきっちり通っている方だと思っています。現場でも、すべてに平等でいて下さる方でした」と吉行さんの人柄を振り返りました。そして「彼女と初めて出会ったのは予算が少ない戦場のような現場でした。そのとき、”この監督の現場は正直な風がビュンビュン吹いている”って言ってくださったのが一番嬉しかったです」と述べ、その言葉を吉行さんからのメッセージだと受け止めていると言いました。浜野監督の仕事ぶりを追うドキュメンタリー番組で、吉行さんがナレーターを担当したエピソードも教えてくれました。浜野監督は「その番組のラストカットで吉行さんが独特な声で『さあ、浜野監督、次は何を撮りますか?』て呼びかけてくれたんです。吉行さんの訃報を聞いて呆然としてしまいましたが、その言葉を思い出して励まされました。吉行さんの言葉を裏切らないように私は死ぬまで映画監督として生きていきたいです」と声に力を込めました。

吉行さんは映画『金子文子 何が私をこうさせたのか』で文子の祖母役は気迫をもって演じています。浜野監督は「ほぼ長野県松本で撮影したのですが、吉行さんの体調面に不安があり、都内に戻って3カットだけ撮りました」と明かしつつ、吉行さんはカメラの前に立つと体調不良な様子を封印していたと話し「文子が13歳で自殺未遂するほどまで追い込む祖母を、気迫をもって演じてくれました。3カットで菜葉菜さんが演じた金子文子のバックグランドが全部伝わる鬼のような演技をしてくださった。この作品で吉行さんを残せて本当にうれしかったです」としみじみと語りました。
主人公の金子文子を演じた菜葉菜さんは、「私はこの映画祭の参加は今回で3度目なんですが、すべて浜野監督に連れてきていただきました。明日が本作の世界初公開になるので、大変光栄に思っています」と挨拶し、「浜野監督の作品は、丁寧に誰よりも熱い思いで作られています。その思いに私も乗っかり、主演としての重圧もあるけれど、役者としてそういう作品や役に出会えて、役を託していただけるという環境はなかなか貰えない幸せなことだと思っています。今回の金子文子も全力で、皆で丁寧に熱い思いで作りました。私は堂々と金子文子を演じ切ったと言いたいと思います」と胸を張りました。

菜葉菜さんは若い方や映画に触れる機会が少ない人に特に見てほしい、どんな感想を持つのか関心があると述べました。「自分は自分でいいんだと思うと同時に、それが許されない世の中の場合、自分だったらどうするのかと問いかけてくれる映画です。だからこの作品から”自分は自分のままでいい”、‟どう生きていくのか”という問いかけに自分と向き合っていただけたらいいなと思う」とコメントしました。
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日時:2025 年9月11日(木)~9月15日(月・祝)






















