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2024-03-22

佐藤健さん、長澤まさみさん、森七菜さんが共演する映画『四月になれば彼女は』山田智和監督にインタビュー


 

3月22日(金)に公開となる映画『四月になれば彼女は』は映画『君の名は。』や『すずめの戸締まり』など数々の映画を企画・プロデュースしてきた川村元気さんによる同名の恋愛小説が原作で、佐藤健さん、長澤まさみさん、森七菜さんが初共演する実写映画作品です。

10年の歳月を経て初恋の相手から届いた手紙と、突然失踪した婚約者をめぐる切なくも壮大な愛の物語で、東京、ボリビア、チェコ、アイスランドなど世界各国を舞台に、結婚を間近に控えた一人の男性が、愛する人の姿を探し求める姿を描いています。本作のメガホンを取ったのは、米津玄師さんの「Lemon」のMVを手掛けた新進気鋭の映像作家・山田智和さんです。本作が初の長編映画となる山田監督に名古屋でインタビューをしました。(取材日:2024年3月15日)

4年前の監督オファーを振り返り「原作に囚われずに自分の感性で再解釈して自由に」

映画『四月になれば彼女は』は東京、ボリビア、チェコ、アイスランドなど世界各国を舞台に、結婚を間近に控えた一人の男性が、愛する人の姿を探し求める純愛映画です。佐藤健さん演じる精神科医の藤代の元に、森七菜さん演じる10年前に交際していた藤代の初恋の女性・春から手紙が届きます。長澤まさみさんは現在の藤代の婚約者で動物園で働く獣医の弥生を演じ、突然、藤代の前から姿を消してしまうという役どころ。初恋の人はなぜ手紙を送ってきたのか?婚約者はどこに消えたのか?現在と過去の出来事を行き来しながら愛する人の真実の姿を探し求めるストーリーとなっていて、スクリーンいっぱいに映し出される世界各国の美しい景色や俳優陣の卓越したお芝居は映画館で観るべき作品となっています。

山田監督は4年程前に原作者である川村さんから実写映画化にあたっての監督オファーを受け「原作に囚われずに、自分の感性で再解釈して自由にやってほしい」と言われたことを明かしました。山田監督は「原作の登場人物たちそれぞれが濃密で魅力的」と言及し、2時間の映画にするために「藤代、春、弥生、の3人を主軸に描くことと原作の魅力的なキャラクターを3人にどう作用させていくのが良いのかを考えました」と話しました。また映画には原作に描かれていない部分もあり「川村さんと一緒に考えたところでした」と原作者であり、映画のプロデューサーであり、脚本にも名を連ねている川村さんと共同で進めたことを教えてくれました。

また藤井風さんが主題歌、小林武史さんが劇中音楽を担当していて音楽も魅力的な作品に仕上がっていることについて、これまで様々なアーティストのMVを手掛けてきた山田監督に聞くと「川村さんが僕の音楽的な感覚をすごく信用してくださって、僕のいいところを伸ばし、映画でのバランスを考えてくれて、映画の作り方を教えてもらった気がします」とMAも付き合って、様々なアイディアを出してくれた川村さんの存在を話し、とても良い環境だったことを教えてくれました。

佐藤健さんについて「なんでもできる人が難しいことに挑戦してくれました」

映画『四月になれば彼女は』では、過去を回想する形で大学の写真部で知り合った藤代と春との初恋が瑞々しく描かれていて、佐藤さん演じる藤代の様々な表情を見る事ができます。

予告編の中にある藤代がエスカレーターで涙を流しているシーンについて聞くと「前半戦を象徴するシーンです」と言い「素晴らしいお芝居が撮れたときは嬉しかったです」と話し、佐藤さんの芝居に感動したことを明かしました。佐藤さんとの関係について「佐藤さんは本質のところで、繊細な言葉で会話ができる方で、信頼できる方でした」と深い信頼関係があったことや佐藤さんの器の大きさを感じたことなど、撮影時を振り返りました。

さらに山田監督は「佐藤さんとは二人で濃密に話し合いました」と藤代の感情表現についてのやり取りがあったことを教えてくれました。「涙を流すことが、本当に悲しいという表現になるのか、泣いたり、叫んだりする芝居のほうが成立はするけど(藤代は)上手く感情を表すことができない人」という話し合いがあったと言い「お芝居としては繊細さが要求されるものだけど、なんでもできる人が難しいことに挑戦してくれました」と藤代を演じる佐藤さんの本作への姿勢を語りました。

映画『四月になれば彼女は』は静かな物語の中で藤代が一生懸命になる瞬間は躍動感たっぷりに描かれています。感情的になることの少ない藤代が全力で走るシーンはとても印象的です。山田監督は「誰しもがむしゃらで一生懸命になった瞬間ってあったはずで、そこに躍動感はあったほうがいい」と躍動感を大切にした理由を話し、撮影ではカメラマンの苦労があったそうですが「そこは全力で、手を抜きたくないというのが、佐藤さんからもらった大事にしていた部分です」と教えてくれました。

世界の絶景がスクリーンに!コロナ禍を経ての劇場公開に「本当にありがたい。奇跡的なこと」

映画『四月になれば彼女は』はボリビアにあるウユニ塩湖やアイスランドのブラックサンドビーチなどの絶景がスクリーンに映し出され、その美しさに圧倒されます。海外での撮影にこだわった理由として山田監督は「原作の中でも、すごく大事なシーンなんです。特にアイスランドのブラックサンドビーチやウユニなどは逃れられない場所です」と実写化にあたり大切にした部分であったことを話し「実際に行って春の目線になりたかったし、この原作を書いた川村さんが実際に旅している場所でもあるので“撮影でも実際に行かなきゃダメだと”いうのは、僕が受ける条件としてありました」と企画段階から計画していたことを教えてくれました。

映画化の企画がスタートした4年前にコロナ禍に入ったことを振り返り「(海外での撮影は)乗り越えるべきハードルがたくさんありました。それでもなぜ行くのか、何を描くべきのか、何が大切なのかというディスカッションが必然と迫られて行われていた期間だったと思います」と大きなハードルを越えたことが財産になったと語りました。海外での撮影は、行きっぱなしで大陸を横断する20日間以上の旅になったそうで「全部の大陸が違うので、移動も大変で、森さんの体力、スタッフも乗り越えてくれました」と話し「(森さん演じる)春がどういう景色が見たくて、どういう感情を手紙に込めたのかを探す旅でした」と作品にとって重要な意味を持つ旅だったようで、山田監督は「僕らも(海外に)自由に行けなかったという気持ちが重なって、気合の入った旅になりました」と述べました。

山田監督はコロナ禍を経て映画を製作し、劇場での公開を迎えることについて「海外で撮影できたことも、劇場で公開できることも本当にありがたい。奇跡的なことなんじゃないかと思います」と劇場公開を前にした今の想いを口にしました。

作品概要

映画『四月になれば彼女は』

2024年3月22日(金)ミッドランドスクエアシネマほか全国公開

原作:川村元気「四月なれば彼女は」(文春文庫)

監督:山田智和

脚本:木戸雄一郎 山田智和 川村元気

撮影:今村圭佑

音楽:小林武史

出演:佐藤健、長澤まさみ、森七菜、仲野太賀、中島歩、河合優実、ともさかりえ、竹野内豊、橋本じゅん、水澤紳吾、瀬奈じゅん、島かおり、高田聖子

制作プロダクション:AOI Pro.

配給:東宝

©2024「四月になれば彼女は」製作委員会


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